不動産売却の契約を第三者に委任する場合は代理人が必要
2015/12/09
不動産を売却する時には、その建物や土地の所有者の方が契約を行わないといけません。
しかし、中には事情があり、建物や土地の所有者の方が契約を行うことができない場合があります。
どうしても、ご自身で手続きができないという時には、代理人の方に依頼をして売却を行うという手段を取ることができます。
今回の記事では、この不動産売却時の代理人についてご説明致します。
目次
不動産売却の代理人について
不動産の売却を代理人の方に委任をすることにより、売主の方でなくても代理権の範囲であれば、不動産売買に関する様々な手続きを行えるようになります。
第三者の方に売却を委任する時には、きちんとした手順を踏んで依頼をしなければいけません。
最悪の場合は、売買の契約などが無効となってしまうこともありますので、代理人の方に委任をしようと考えていらっしゃる方はご注意ください。
それでは、まず委任をするために必要なものについてご説明致します。
委任をするために必要なもの
不動産の売却を代理人の方に依頼をする時には、法律に従った手順を踏んでおかなくてはいけません。
代理人の方に権限があることを証明するには、多くの場合下記のものが必要になります。
- 売主の方の委任状
- 売主の方と代理人の方の印鑑証明書
- 代理人の方の実印
- 売主の方と代理人の方の本人確認書類
上記の中で売主本人が準備をしないといけないのは、委任状、印鑑証明書、本人確認書類です。
委任状には売主本人の自署と実印が必要で、印鑑証明書は3ヶ月以内のものを1通用準備します。
本人確認書類は、運転免許証やパスポートなど写真付きのものをご用意ください。
書類に不備があった場合は、代理権の範囲内の行為であっても、代理人の方が委任を行えない可能性があります。
そうなってしまうと、代理人の方にも迷惑をかけるため、念入りに確認をしましょう。
以上が、委任をするために必要なものについてとなります。
次は、代理人に委任する時の注意点についてご説明致します。
代理人に委任する時の注意点
不動産の売却を代理人の方に委任をすることで、ご自身で契約を行う必要がなくなりますが、その分注意が必要な点もあります。
売却に関する契約を代理で行ってもらうということは、不動産の売却手続きを代理人の方に任せてしまうということです。
そのため、依頼をする時にはできる限り信頼ができ、代理権の範囲を守ってくださる方にお願いをすることが大切になります。
やはり、信頼ができない方に依頼をした場合は、後にトラブルが起きる可能性が高まってしまいます。
そのため、身近にお願いをできる方がおらず、あまり信頼関係のない方にお願いをする時には要注意です。
また、他にも注意が必要な点があり、例え代理人の方に依頼をしていても、売買契約締結の時や残代金決算の時には、売主本人も立ち会うように心がけないといけません。
そうしないと絶対に売却をできない訳ではありませんが、立ち会えない場合は、買主の方に不信感を与える可能性が極めて高いです。
不信感を抱かれた場合は、買主の方が司法書士の方などに依頼をし、売主本人に本人確認と売却意思の確認を取ることもあります。
以上が、代理人に委任する時の注意点についてとなります。
次は、ご自身が代理人になった場合についてご説明致します。
ご自身が代理人になった場合
中には、代理人に依頼をするのではなく、ご自身が選定をされたという方もいらっしゃいます。
この場合は、まず売主の方から委任状などの必要となる書類を受け取らないといけません。
委任状のない状態では代理権が付与をされておらず、契約などを行っていく権利がまだありません。
委任状を受け取った後は、書いてある内容に目を通し、ご自身にどのような権限があるのかを把握します。
そして、実際に書いてある権限に沿って、後はご自身が不動産を売る時と同じ要領で手続きを行っていくことになります。
無権代理を行ってしまった場合は、その行為が無効になってしまいますので、相手の方にも迷惑をかけます。
そのため、代理権の範囲を超える行為は、行わないようにご注意ください。
代理人の方が行った行為の責任は売主の方ではなく、代理人本人に帰属をすることになっており、ご自身にもデメリットがあります。
以上が、ご自身が代理人になった場合についてとなります。
今度は、代理人に渡す委任状についてご説明致します。
代理人に渡す委任状について
代理人の方に依頼をする時には、代理権などを記載した委任状が必要です。
これが無ければ代理権を付与することができず、第三者の方が法律行為を行うことができません。
それでは、まず代理人の方に依頼する時の委任状の書き方についてご説明致します。
依頼する時の委任状の書き方
委任状は代理人の方に権限を付与する書類であり、当然に適当に記載を行っていいものではありません。
委任状の書式についてなのですが、まずは委任をする内容をきちんと書面に書かなくてはいけません。
委任をする権限の他には、下記のことを明記しておきます。
- 売却をする不動産の住所
- 不動産の金額
- 引き渡しの予定日
- 委任状の有効日時と記載日時
これらを明記することで、より内容が分かりやすくなり、後にトラブルが起こる可能性も低くなります。
以上が、代理人の方に依頼する時の委任状の書き方についてとなります。
次は、委任状を作成する時の注意点についてご説明致します。
委任状を作成する時の注意点
稀に委任の内容を全く書かずに委任状を作り、そのまま代理人の方に依頼をする方がいらっしゃいます。
こういった何も書いていない委任状のことを「白紙委任状」といい、この状態で依頼をした場合は、代理人の方がどんな行為でも行えてしまいます。
やはり、どんなに信頼をできる相手であっても、全ての権限を第三者の方に付与してしまうというのは望ましくありません。
どうしても、悪用をされやすくなるため、きちんと委任をする内容を記載しておくことが大切です。
以上が、委任状を作成する時の注意点についてとなります。
今度は、法律に詳しい方に代理を依頼する場合のメリットについてご説明致します。
法律に詳しい方に代理を依頼
不動産の売却はどうしても法律が関わってくるため、代理人を頼まれても敬遠をしてしまう方がいらっしゃいます。
そのため、例え信頼ができる方にお願いをしたとしても、必ず引き受けてくださるとは限りません。
そういった時は、専門家の方に依頼をすれば、殆ど断られることなく代理をお願いすることができます。
専門家に依頼をするメリット
委任をする方を探すのに苦労をしていらっしゃる時は、司法書士の方や弁護士の方に依頼をするという方法があります。
司法書士の方も弁護士の方も法律に詳しく、不動産売却の代理人を1つの業務として扱っていらっしゃる事務所も存在をします。
身近な方にお願いをすることができない場合や、法律に詳しい方に依頼をしたい場合は、1度利用を考えてみてもいいかもしれません。
費用は別途にかかってしまいますが、職業柄法律に詳しい分、有利に不動産の売却を進めることが可能という点も魅力の1つです。
以上が、法律に詳しい方に代理を依頼する場合のメリットについてとなります。
不動産の売却を第三者の方に委任をするのは、特別な事情がある場合に限ります。
別段特別な事情もないのに第三者の方に委任をするのはあまり望ましくありませんので、ご自身での売却が可能な場合は、できる限りご自身で手続きなどを行ってください。