不動産売却の知恵袋

不動産売却時のわからないことを解決するサイト

*

不動産を売却する際のつなぎ融資の詳細とその手続きの方法

      2016/09/29

不動産を売却した場合、その後の住居として、新たな不動産を購入することも珍しくありません。

その際には、新たな不動産を購入できるだけの十分な資金が必要となります。

しかし、不動産売却時には、買主の方の都合もあり、金銭のやり繰りが上手くいかないことも多いものです。

そういったトラブルが起こった際に、大きな助けとなるのが「つなぎ融資」です。

つなぎ融資を利用すれば、住宅ローンを申し込むことができない状況であっても、新たな不動産を購入することができるようになります。

つなぎ融資を申し込む際には、事前につなぎ融資について正しい知識を持っておくことが大切です。

やはり、つなぎ融資は通常の住宅ローンと手続きの流れなどが異なっているのが一般的です。

ですから、効果的につなぎ融資を利用するためには、そのメリット・デメリットなども把握をしておく必要があります。

そこで、このページでは、不動産売却時のつなぎ融資に関する各種情報について、記載を行っていきます。

まずは、不動産売却におけるつなぎ融資の内容についてご説明致します。

目次

不動産売却時の2つのつなぎ融資

不動産を売却する際には、新居として新たな不動産を購入することも珍しくありません。

その際には、多くの方が、不動産売却の際に得られた売却金を新たな不動産の購入代金に充当します。

この場合、売却金の金額や手に入るタイミングが、新居の購入・建築と噛み合わないということもあります。

そういった際に、利用を検討するのがつなぎ融資です。

元々、つなぎ融資とは、住宅ローンの融資が実行されるまでの一定期間に、一時的に借り入れをするための短期ローンです。

不動産売却において、つなぎ融資が利用されるケースは主に2つのケースに分かれております。

1つ目のケースは、不動産売却後の「土地購入から建物を建築するまでの必要資金の借り入れ」をする場合です。
(売り先行の場合など)

この場合、借り入れを行った融資金は、工務店への着工金や中間金などの支払いに充てられます。

2つ目のケースは、不動産売却時に「新居の購入時期と旧住居の売却時期にズレが生じてしまう際の資金補完として借り入れ」をする場合です。
(買い先行の場合など)

この場合、借り入れを行った融資金で新居を購入し、旧住居が売却できた時点でつなぎ融資を返済することとなります。

これらケース別の詳しいつなぎ融資の説明につきましては、それぞれ下記の項目でご説明致します。

まずは、売り先行でつなぎ融資が必要となる可能性のある状況についてです。

不動産を売り先行にする場合

現在の住居を先に売却し、それから新居を購入することを「売り先行」と言います。

売り先行で不動産を売却した場合、資金などをやり繰りしやすくなるのが一般的です。

万が一、新居の価格が旧住居の売却益より高かったとしても、住宅ローンを組むことで購入を実行することができます。

とはいえ、時には、何らかの理由で、住宅ローンを受けることができない場合もあります。

本来、住宅ローンは、物件が完成し、金融機関がその物件に抵当権を設定できる状態でなくては融資が行われないのが一般的です。

そのため、土地を購入し、そこに新居を建設する予定であるという場合には、住宅ローンの融資を受けられないということになります。

不動産売却によって得られた売却金が、土地購入代金、新居の建築代金よりも多ければ、このような問題が起こってしまうことはありません。

一方、土地購入代金と新居の建築代金が、旧住居の売却益を上回っている場合、金融機関から融資を受けなくては土地の購入と新居の建築ができなくなってしまいます。

そこで、重要になってくるのがつなぎ融資です。

つなぎ融資ならば、抵当となる建物がない状態でも、ローンを組むことができます。
(通常は、後に住宅ローンを組むことが条件となります)

ですから、例え建物が完成していなくても、建築工事が終わるまでの必要資金を借り入れることが可能となります。

更に、売り先行であっても、
何かしろのトラブルで売却金が予定通りに手に入らなかった、
という状況になってしまうことも可能性としてはゼロではありません。

この場合、購入不動産の支払いと売却金の入手タイミングにズレが生じてしまうことになります。

そういった際に、わざわざ住宅ローンを組むとなると、先程と同じように余計な費用が発生してしまいます。

そこでも、役に立つのが融資です。

売却金が手に入るまでの短期間、つなぎ融資で必要資金を借り入れることによって、後に借入金の一括返済をすることが可能となります。

なお、売り先行を行った場合、資金の計画が立てやすくなる一方で、引越しが二回必要となるなどのデメリットも存在します。

【売り先行で不動産を売却した場合の主なメリット・デメリット】

売り先行のメリット
  • 資金のやり繰りや計画が立てやすい。
  • 立てた計画に狂いが生じにくい。
  • 購入物件のスケジュールに関係なく、売却活動・期間を設けられる。
  • 不動産が長期間売れなくても、ローンなどに関する心配が要らない。
売り先行のデメリット
  • 引越しを二回以上行わなくてはいけない(仮住まいや新居)。
  • 買い替え物件を探す際に、焦りが生じやすい。
  • 生活感のある状態で内覧を行わなくてはならないため、不動産が売れにくくなる。
  • 最悪は、仮住まいに長期間滞在せざるを得ない状況になってしまう。

やはり、つなぎ融資を利用する際には、これらのメリットとデメリットを知った上で利用することが大切です。

以上が、売り先行でつなぎ融資が必要となる状況の説明になります。

なお、不動産売却において、つなぎ融資が必要となるのは、上記の項目の2つ目のケースのような状況の場合もあります。

そのため、次は、2つ目のケースのように、買い先行でつなぎ融資が必要となる可能性のある状況についてのご説明致します。

不動産を買い先行にする場合

不動産を買い替える際に、新居を先に購入してから、現在の住居を売却することを「買い先行」と言います。

買い先行では、旧住居の売却金を購入資金に充当することができません。

そのため、多くの方は、金融機関からその分の融資を受けることとなります。

しかし、この段階で住宅ローンを組んでしまうと、旧住居が売れた後に手に入る売却金の分も含めて、ローンを組まなくてはならなくなってしまいます。

こうなってしまうと、後に旧住居が売れたとしても、原則、その売却金でローンの一括返済をすることができなくなってしまうのが一般的です。

一度組んだ住宅ローンに対して一括返済を行う場合や、その返済期間を変更した場合には、別途に手続きが必要となります。

その際には、数千円から数万円の手数料が発生してしまうことも多く、これでは本来必要のなかった費用が掛かってしまいます。

そこで、役に立つのがつなぎ融資です。

買い先行の際に、つなぎ融資を行えば、「売却代金の相当額」を一時的に借りることができるようになります。
(売却代金以上の不動産を購入したい際には、新たなローンを組むなどの対応が必要です)

そのため、不動産が売れた後にその売却金でつなぎ融資を一括返済すれば、無駄な費用の発生を抑えることができます。

なお、買い先行によってつなぎ融資を行う際にも、やはり売り先行の場合と同様に、いくつかのメリットとデメリットが存在します。

【買い先行で不動産を売却した場合の主なメリット・デメリット】

買い先行のメリット
  • 希望の新居をじっくり探すことができる。
  • 引越し後の綺麗な状態で内覧を行えるため、不動産が売れやすくなる。
  • 引越しを1回で終わらせられる。
  • 仮住まいを探す手間や資金などが要らない。
買い先行のデメリット
  • 資金のやり繰りや計画が立てにくい。
  • 立てた計画に狂いが生じやすい。
  • 購入物件のスケジュールに合わせて、売却活動・期間を決める必要がある。
  • 不動産が長期間売れない場合には、ローンなどに関する心配が必要になる。

買い先行によって不動産を売却する際には、これらのメリットとデメリットを把握し、十分に準備をした上でつなぎ融資を受けるようにすることが大切です。

以上が、買い先行でつなぎ融資が必要となる状況の説明になります。

これで、売り先行と買い先行で不動産を売却する際のつなぎ融資の説明は終わりです。

なお、つなぎ融資を行う際には、つなぎ融資自体のメリットとデメリットに関しても知っておくことが重要です。

やはり、これらを知らままつなぎ融資を申し込んでしまうと、後に想定外の問題が起こってしまう可能性もあります。

そのため、次の項目では、つなぎ融資を行った際のメリットとデメリットについてご説明致します。

つなぎ融資のメリットとデメリット5選

先程は、不動産を売り先行と買い先行で売る場合のメリットとデメリットについて記載をしました。

これらのメリット・デメリットを十分に把握しておくことも大切なことですが、やはり、つなぎ融資自体のメリットとデメリットに関しても把握をしておくことが重要です。

つなぎ融資を行う際には、メリットがある反面、時には手痛いデメリットが発生してしまうこともあります。

ですから、つなぎ融資の特徴を知り、その上で利用をしていくことが大切です。

これらを知らないままつなぎ融資を利用してしまった場合、後に、資金に関する問題が起こってしまう可能性があります。

そのため、この項目では、つなぎ融資を行った際のメリットとデメリットについてご説明致します。

まずは、つなぎ融資を行う際のメリットについてです。

つなぎ融資を行う際のメリット

不動産を買い替える際には、資金的な問題から、つなぎ融資を選択しなくてはいけないこと少なくありません。

不動産に関するつなぎ融資では、高額な金額を借り入れすることが多いため、その特性を理解した上で申し込むことが重要です。

そのためには、つなぎ融資のメリットとデメリットを把握しておく必要があります。

では、つなぎ融資を利用した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか?

まず、考えられるメリットとしては、手元にまとまった資金がない場合でも、不動産を購入できるようになるということが挙げられます。

つなぎ融資によって、不動産購入のための頭金を借りれば、買い替え時の自己負担も大幅に軽減されます。

また買い先行で不動産を売却した場合には、更に3つのメリットを期待することができます。

買い先行時に、つなぎ融資を利用し新居を購入した場合、現在の住居から新居へ引越しをすることが可能です。

ですから、綺麗な状態で内覧を行えるため、不動産が売れやすくなるというメリットがあります。

更に、不動産の売却活動を行いながら、じっくりと物件を探せるというのもメリットの1つです。

もちろん、良い物件が見つかればつなぎ融資によって、すぐに購入の申し込みをすることもできます。

そのため、資金面から買主から嫌煙されてしまうことも少なくなり、新居の購入がしやすくなります。

【つなぎ融資を実行した際の主なメリットまとめ】

  • 手元にまとまった資金がない場合でも、新たな不動産を購入することができる。
  • つなぎ融資によって、頭金を用意することができる。
  • 不動産を売却しやすくなる(買い先行の場合)。
  • 新居をじっくり探すことができる(買い先行の場合)。
  • 不動産を購入しやすくなる(買い先行の場合)。

以上が、つなぎ融資を行う際のメリットになります。

なお、つなぎ融資を行う際には、こういったメリットだけが存在している訳ではありません。

時には、様々なデメリットが発生してしまうこともあります。

やはり、これらデメリットに配慮をしておかなくては、最終的に大幅に売却益が減ってしまう可能性もあります。

そのため、次は、つなぎ融資を行う際のデメリットについてご説明致します。

つなぎ融資を行う際のデメリット

つなぎ融資は、その性質上、時にデメリットと呼べる問題が起こってしまうこともあります。

更には、その利用に関して、様々な制約などが設けられていることも珍しくありません。

ですから、つなぎ融資で損をしないようにするためには、これらデメリットについても把握をしておくことが重要です。

やはり、つなぎ融資は、あくまで「一時期のつなぎ」といった意味合いのローンです。

そのため、基本的に、つなぎ融資で長期のローンを組むことはできません。

これは、借入先に対して、返済が困難となってしまうような状況を避けるという意味合いも持ちます。

やはり、買い先行などでつなぎ融資を受ける場合、
「不動産がいつまでにいくらで売れるのか」
は誰にも分かりません。

ですから、万が一不動産が売れなかった場合、依頼主はつなぎ融資の融資金を返済することができなくなってしまいます。

融資の返済ができないとなると、つなぎ融資を受けた本人と金融機関との間に大きな問題が起こってしまうことになりかねません。

こういった事態を避けるために、つなぎ融資は、原則、6ヶ月~12ヶ月程度の期間内でローンを組む必要があります。

そうして、その期間内に不動産が売れなかった場合には、ローンの返済保証として、不動産会社などの「買取保証」を付けられるのが一般的です。

これにより、万が一、不動産が売れなかったとしても、最終的に不動産会社が買取を実行してくれるようになります。

ただし、買取で不動産を売却した場合、その相場は市場価格よりも低額となってしまうのが普通です。

ですから、通常の売却活動で不動産が売れなかった場合、大きな損失に繋がってしまう可能性があるということを想定しておく必要があります。

更に、不動産売却の際に、不動産会社を通してつなぎ融資を行った場合、途中で不動産会社を変えることはできないのが普通です。

そのため、不動産会社と何かトラブルが起こったとしても、終始不動産会社を変えることができなくなってしまいます。

またつなぎ融資を利用する際には、殆どの場合、後の住宅ローンも同じ金融機関に申し込むことを条件とした上で契約を行います。

そのため、自動的につなぎ融資と住宅ローンの2つを展開している金融機関に依頼をすることとなります。

これにより、安易に金利が安い金融機関に、借入依頼をすることができなくなってしまいます。

万が一、金利が高額な金融機関にしか借入依頼をできなかった場合、その後の利子額が高額となってしまう危険性も否めません。

そうでなくとも、つなぎ融資の金利は通常のローンよりも高い場合が殆どです。

そのため、つなぎ融資を利用する際には、つなぎ融資実行時の金利と住宅ローンの金利が高額となってしまうことも想定をしておく必要があります。

なお、その際には、利子と一緒に手続きの際に必要となる諸費用についても把握をしておくことが大切です。

やはり、これらの諸費用は、想像以上に高額となってしまうことも珍しくありません。

なお、詳しいつなぎ融資の金利と諸費用につきましては、お手数をお掛け致しますが、同ページ内の「つなぎ融資の費用と利子の確認」の項目をご覧ください。

【つなぎ融資を実行した際の主なデメリットまとめ】

  • 原則、6ヶ月~12ヶ月程度の期間内に、不動産を売却する必要がある(買い先行の場合)。
  • 不動産会社の買取保証とセットになっていることが多い(買い先行の場合)。
  • 新居を購入してつなぎ融資を受けた場合には、途中で不動産会社を変えられない。
  • 全ての金融機関がつなぎ融資を行っている訳ではないため、依頼先が限られてしまう。
  • 金利や手続きに伴う諸費用が必要になる。

以上が、つなぎ融資を行う際のデメリットになります。

これで、つなぎ融資を行った際のメリットとデメリットの説明は終わりです。

なお、不動産に関するローンには、つなぎ融資以外にも、いくつか存在しております。

例えば、おまとめローンや買替ローンなども、不動産に関するローンの1つです。

これらのローンは、一見似ているように思えますが、実際の内容には多少の違いがあるのが一般的です。

そのため、不動産売買時にローンを組む際には、これらのローンの違いについても知っておくことが大切です。

次の項目では、これら他のローンとつなぎ融資の異なる点についてご説明致します。

その他ローンとつなぎ融資の違い

不動産の買い替えなどの際には、多くの方が住宅ローンを利用します。

その際のつなぎとして、つなぎ融資を利用するということは、既に記載をしました。

一方、不動産の買い替えの際に利用ができるローンは、つなぎ融資だけという訳ではありません。

時には、買替ローンやおまとめローンといった、他のローンを利用するという選択肢もあります。

これらのローンを利用する際には、現在の状況に合っているものを選択することが大切です。

そのためにも、それぞれの違いを知り、特徴を把握しておく必要があります。

そこで、この項目では、こういった不動産に関する主なローンの違いについてご説明致します。

まずは、不動産のつなぎ融資と買替ローンの主な違いについてです。

つなぎ融資と買替ローン

買替ローンとは、不動産を売却し、買い替える際に利用をするローンです。

こう聞くと、一見、つなぎ融資と似ていると感じるかもしれません。

確かに、買替ローンはつなぎ融資のひとつであるとも言えるのですが、この二つの役割は少々異なっている点もあり、後の返済方法などにも大きな違いがあります。

本来、買替ローンとは、住宅ローンが残っている物件を売却し、その売却金をローン返済に充て、残ったローンと新居のローンを合わせて新たにローンを組むことです。

例)
【買い先行で買替ローンを利用するケース】
Aさんは、現在住んでいる住宅を売却し、新居を購入しようと考えております。
Aさんの住宅には、住宅ローンが「300万円」残っており、購入しようと考えている新居の価格は「2,700万円」です。

そこで、Aさんは、買替ローンを利用し、新居を購入することにしました。
買替ローンを利用した結果、現在の住宅に残っているローン「300万円」に、新しく購入する新居の価格「2,700万円」をプラスした「3,000万円」の融資を受けることができました。
これにより、ダブルローンとなる事態を避けた上で、新居を購入することができました。

【売り先行で買替ローンを利用するケース】
Bさんは、現在の住宅を売却し、その後に「3,000万円」の新居を購入しようと考えております。
Bさんの住宅には、住宅ローンが「2,300万円」残っており、住宅は「2,000万円」程度で売れる予定です。

無事に売却活動が終わり、旧住宅を「2,000万円」で売却することができました。
Bさんは、その際に手に入った売却金を、住宅ローンの返済に充て、残ったローンは購入予定の「3,000万円」の新居のローンと合わせて支払いたいと考えました。
そこで、買替ローンを利用し、合計で「3,300万円」のローンを組み、旧住居のローンを全て返済した上で、新たなローンとして返済を行っていくことになりました。

上記は、不動産を買い先行と売り先行で売却した際の買替ローンについての例です。

なお、買い先行で買替ローンを組んだ場合、後に現在住んでいる住宅を売却したとしても、原則、その売却金をローンに一括充当することはできません。

これらのことから、同じ買い先行であっても、買替ローンとつなぎ融資には、その後の返済などに関して大きな違いがあるということが分かります。

つなぎ融資であれば、先に新居を購入してしまっても、現在住んでいる住宅を売却した後の売却金を、その後の住宅ローンに充当してローンを組むことができます。

一方、買替ローンでは、一括繰り上げ返済に関する手続きを行わなくては、売却金で一括返済をすることはできません。

そのため、買い先行で不動産を売却する際には、こういったことに注意をしておくことが大切です。

とはいえ、買替ローンには、つなぎ融資にはないメリットも存在します。

買替ローンを利用する場合、つなぎ融資のように、つなぎ融資申請の手続きや諸費用などは必要ありません、

そのため、つなぎ融資と比べて、初期費用に関する負担が少ないというメリットがあります。

更に、買替ローンを実施している金融機関はたくさんあるため、ある程度、有利な金利の金融機関でローンを組むことができます。

【つなぎ融資と買替ローンの主な違いまとめ】

  • 買い先行での買替ローンでは、原則、旧住居の売却金を一括返済できない。
  • 買替ローンは、つなぎ融資の必要がないため、その手続きや諸費用が必要ない。
  • つなぎ融資のように、ローンを組む金融機関が制限されない。
  • つなぎ融資は短期融資であり、買替ローンは長期融資のローンである。

以上が、不動産のつなぎ融資と買替ローンの主な違いになります。

一見、似ているように見える、つなぎ融資と買替ローンですが、よく内容を見てみると、このような違いがあるということになります。

ですから、不動産を買い替える際などには、現在の状況に合っているほうを選択することが重要です。

なお、これは、つなぎ融資とおまとめローンの場合も同様です。

やはり、つなぎ融資や買替ローンとおまとめローンは、その用途によって受けられる恩恵が異なります。

そのため、次は、つなぎ融資とおまとめローンの違いについてご説明致します。

つなぎ融資とおまとめローン

おまとめ(一本化)ローンとは、複数の業者から借金をしている際に、新たなローンを組み、一つの金融機関へ借金をまとめることができるローンのことです。

そのため、複数の借金があり、その借入先がそれぞれ異なっている場合などには、おまとめローンで借金を一本化することができます。

おまとめローンを利用する際には、住宅ローンだけではなく、住宅ローン以外の借金もまとめることができるのが一般的です。

カードローンの残債、カーローン、ブライダルローンなど、ほぼ全ての借金をまとめることができます。

これは、住宅ローンでは不可能なことであり、おまとめローン独自の特徴と言えます。

本来、住宅ローンなどといった「目的別ローン」は、目的が明確だからこそ、低金利で融資を受けることができます。

ですから、住宅ローンの目的に反するローン(カードローンの借入など)を、住宅ローンで一本化しようというのは、目的別ローンの意味合いに反した融資ということになってしまいます。

その影響で、住宅ローンを組むことが前提のつなぎ融資において、他の借金をまとめることは不可能です。
○おまとめローンに住宅ローンを組み込む
×住宅ローンに他のローンを組み込む

またおまとめローンは、つなぎ融資とは違い、つなぎ融資とその後のローンを一貫して申請するなどの制限もありません。

そのため、おまとめローンを組む際には、つなぎ融資を申請する時のように、依頼先が制限されてしまうこともありません。

【つなぎ融資とおまとめローンの主な違いまとめ】

  • おまとめローンは、目的別ローンではないため、数多くのローンをまとめることができる。
  • つなぎ融資では、基本的に、目的以外の融資は受けられないことが多い。
  • つなぎ融資のように、ローンを組む金融機関が制限されない。
  • つなぎ融資は短期融資であり、おまとめローンは長期融資のローンである。

以上が、つなぎ融資とおまとめローンの違いになります。

おまとめローンを利用すると、借金を一本化できるため、金利などが分かりやすくなるのが一般的です。

しかし、場合によっては、返済が長期化してしまうなど、状況を悪化させる原因となってしまうこともあります。

ですから、利用する際には、まとめることで本当にお得になるのかを検討した上で、申し込むことが重要です。

なお、ここまでは、買替ローン・おまとめローンとつなぎ融資の違いについて記載をしました。

これらの説明を聞くと、買替ローンとおまとめローンも非常によく似たローンであることが分かります。

実際に、買替ローンとおまとめローンに関して、その違いが明確に分からないということも珍しくありません。

とはいえ、これらのローンには、似ているようで全く別の用途に利用されるローンです。

そのため、状況によって必要なほうのローンを選択できるようにしておく必要があります。

そこで、次は、この買替ローンとおまとめローンの違いについてご説明致します。

買替ローンとおまとめローン

よく、金融機関などにローンを申し込む際に、買替とおまとめの違いが分からないといった状況に陥ってしまうこともあります。

やはり、この二つを一緒のものだと勘違いしていらっしゃる方もおり、なかなか明確な違いなどが分かり辛いのが実情です。

実際に、この二つのローンには似通っている部分が多数存在します。

例えば、どちらも他の金融機関へローンを申し込み、現在のローンを一括返済するといった流れであり、ここまでならどちらも同じ役割のローンであると言っても過言ではありません。

更に、ローンを他の金融機関に移行する際に、返済期間を延ばしてしまった場合、以前よりも借金額が増えてしまう可能性があるという部分も同じです。

こう考えると、これらローンに対して、大きな相違はないように思えます。

しかし、この二つのローンの性質の部分を見てみると、根本的に内容が違うローンであることが分かってきます。

まず、上の項目で記載をした、それぞれのローンの内容を思い出してみてください。

買替ローンは、「一つの金融機関」でローンを組んでいる場合に、そのローンを他社へ移動させるローンのことです。

一方、おまとめローンは、「複数の金融機関」から借入をしている際に、その全てを他社のローンでまとめるローンのことです。

これらのことから、この二つのローンの決定的な違いは、新たにローンを組む際の借金の件数だということが分かります。

新たにローンを組む際の借入件数が、
一件であれば「買替ローン」、
複数件であれば「おまとめローン」
ということになります。

【買替ローンとおまとめローンの主な違いまとめ】

  • 買替ローンは、一つの金融機関のローンを他の金融機関へ移すローン。
  • おまとめローンは、抱えている複数の借金を一つの金融機関にまとめるローン。

以上が、買替ローンとおまとめローンの違いになります。

これで、不動産に関する主なローンの違いについての説明は終わりです。

つなぎ融資の特徴と、その他ローンの違いが把握できましたら、次は、つなぎ融資を申し込む際の準備について確認をしていきます。

やはり、つなぎ融資を申し込む際には、様々な書類や費用が必要です。

これらを把握しないまま取引を行ってしまった場合、手続きに無駄な時間が掛かってしまう可能性があります。

そのため、次の項目では、つなぎ融資を申し込む際に、確認をしておきたいことについてご説明致します。

つなぎ融資を申し込むための準備

つなぎ融資を申し込む際には、当然に、住宅ローンの申請も視野に入れた上で申し込みをする必要があります。

これらの手続きの方法は、それぞれの金融機関で若干異なっているのが普通ですが、必要書類や大まかな流れは似通っている部分が多いです。

そのため、事前に、ある程度手続きの手順などを把握しておけば、手続きの際に大きな失敗をしにくくなります。

やはり、つなぎ融資を受ける際には、様々な書類や費用などが発生してしまうのが一般的です。

その際に発生する費用は、時に非常に高額になってしまうことも珍しくありません。

ですから、事前に必要な諸費用を予想しておくことは、後の資金計画を立てる上で非常に重要です。

そこで、この項目では、つなぎ融資を申し込む際に、必要になる可能性のある主な書類と諸費用についてご説明致します。

まずは、つなぎ融資を申し込む際に必要になる書類についてです。

つなぎ融資の必要書類の確認

不動産の売却を行う際に、つなぎ融資を受けようとお考えの方は、事前に必要書類などを準備しておかなくてはなりません。

下記は、必要になる可能性のある主な書類を書き出したものですが、これらはあくまで必要書類の一例となります。
(下記の書類は、原本でなくとも書類の写し(コピー)で代用ができる場合などもありますので、事前に金融機関に確認をした上で準備をするようにしてください)

必要書類の詳細は、各金融機関にご相談ください。

【不動産売買時のつなぎ融資に必要になる可能性のある主な書類】

個人の場合
不動産売買関係書類(売買契約書や媒介契約書等など)
これらの書類は、不動産の売買契約を結んだ際に入手できます。
売買仲介を選択している場合には、媒介契約を結んだ際に媒介契約書の交付を受けているのが普通ですので、その際の書類をご準備ください。
不動産の重要事項説明書
不動産の重要事項説明書は、売買契約締結前に、不動産に関する重要事項説明を行う際に使用される書類です。
そのため、不動産を売買する際には、殆どの方が作成を行っております(重要事項説明書は、多くの場合、仲介を依頼した不動産会社側が制作を行ってくださいます)。
そのため、自然と売主の方の手元にも、重要事項説明書が交付されているのが一般的です。
物件案内図又は住宅地図
これらの書類は、管轄法務局などでコピーをすることができるため、簡単に入手をすることができます。
また、どうしても法務局でコピーをすることができないという方は、書店などで購入をすることも可能です。
この場合、想像以上に高額な価格となっていることもあるため、注意が必要です。
最近は、非常に安い価格でインターネットから図面の予約、プリントができるサービスなどもありますので、こういったサービスを利用すると、金銭面で負担が少なくなります。
なお、物件案内図や住宅地図は、図書館などで閲覧をすることもできますが、この場合、著作権の問題などがありますので、そこからコピーをするような行為はやめておくのが無難です。
不動産登記簿謄本(不動産登記事項証明書)
不動産登記簿謄本(不動産登記事項証明書)は、法務局で取得をすることができます。
登記所(法務局・支局・出張所)にて請求・取得した場合には、「1通600円」
オンラインで請求し、郵送で取得した場合には、「1通500円」
オンラインで請求し登記所の窓口で取得した場合には、「1通480円」
公図
公図は、管轄法務局などで取得をすることができます。
登記所(法務局・支局・出張所)にて請求・取得した、又は郵送で取得した場合には「1通450円」
オンラインで請求し、窓口で取得した場合には「1通430円」
オンラインで請求し、郵送で取得場合には「1通450円」
登記情報提供サービスを利用して取得した場合には「1通367円」
地積測量図
地積測量図は、管轄法務局で取得をすることができます。
登記所(法務局・支局・出張所)にて請求・取得した、又はオンラインで請求し、郵送で取得した場合には、「1通450円」
オンラインで請求し登記所の窓口で取得した場合には、「1通430円」
登記情報提供サービスにてデータを取得した場合には「1通367円」
建物図面
建物図面は、管轄法務局で取得をすることができます。
登記所(法務局・支局・出張所)にて請求・取得した、又はオンラインで請求し、郵送で取得・登記所の窓口で取得した場合には、「1通500円」
登記情報提供サービスにてデータを取得した場合には「1通427円」
工事請負契約書
工事請負契約書とは、施工会社に建物などの建築工事を依頼した際に取り交わされる書類のことです。
建築確認申請書(1面~5面)・建築確認済証・着工検査書類・中間検査書類など
これらは、施工主(施工会社)が申請をし、その後の書類を受け取るのが一般的です。
なお、その際の書類は、建物が完成した後に、施工主から建築主に引き渡されるケースと、そのまま施工主が保有するケースがあります。
つなぎ融資を申し込む際に、施工主がこれらの書類を保有している場合には、その引き渡しを要求する必要があります。
施工会社によっては、その際に引き渡しに関する費用を求めてくるケースもありますので注意が必要です。
建築確認申請書に添付した配置図・平面図・求積図など
建築確認申請書に添付をした各種書類のことです。
印鑑証明書
印鑑証明書は、各市区町村の役所や証明書発行センターなどで取得をすることができます。
発行手数料は地域によって異なり、「200円~400円」程度
住民票
つなぎ融資を申し込む際には、世帯全員、本籍地、世帯主、筆頭者記載などが省略されていない住民票が必要です。
住民票は、市役所などで取得をすることができます。
発行手数料は、「1通200円~500円」程度
借入金残高証明書など
現在、住宅ローン以外に借金を抱えていらっしゃるという方は、借入金残高証明などが必要になる可能性があります。
なお、借入金残高証明書などを紛失してしまった場合には、各金融機関に再発行を依頼することも可能です。
発行手数料は、「1通500円~900円」
給与証明書(原泉徴収票)又は給料明細書・確定申告書
これらの書類は、勤務先の会社などから発行がされるのが一般的です。
万が一、給与証明書(原泉徴収票)又は給料明細書・確定申告書などを紛失してしまった場合には、会社に頼めば再発行が可能である場合があります。
登記済証(権利証)・登記識別情報
これらは、不動産の所有権を取得した際(登記が完了した際)に、法務局から発行がされる書類です。
「登記済証(権利証)」は、新不動産登記法が施行さるまでの間に発行がされていた書類です。
一方、「登記識別情報」は、新不動産登記法が施行されから発行がされるようになった書類です。
なお、登記済証(権利証)や登記識別情報は、紛失してしまうと、二度と入手をすることはできません(再発行ができません)。
この場合、事前通知制度を利用しなくては、不動産の売買が行えなくなってしまいます。
実印
現在お持ちの実印をご用意ください。
本人と確認ができる身分証明
現在お持ちの健康保険証、運転免許証、パスポート、住基ネットカードなどで問題ありません。
自己資金を確認するための預金口座通帳など
現在、どの程度の資金があるのかを確認することができる預金口座の通帳の情報になります。
市区町村が発行する所得証明書(住民税課税決定通知書など)
住民税課税決定通知書などは、毎年6月頃に勤務先から交付を受けるのが一般的です。
万が一、住民税課税決定通知書を紛失してしまった場合には、課税証明書などで代用ができる場合もあります(課税証明書は、お住いの市区役所から取得をすることができます)。
発行手数料は、「1通200円~300円」前後
個人事業主・法人の場合
個人事業主や法人がつなぎ融資を申し込む場合、上記の書類に加えて、下記のような書類が必要となることもあります。(個人事業主の場合は、上記の書類の提出だけを求められることもありますので、別途ご確認ください)

商業登記簿謄本(商業登記事項証明書)・会社登記簿謄(会社登記事項証明書)
これらの書類は、法務局で取得をすることができます。
登記所(法務局・支局・出張所)にて請求・取得した場合には、「1通600円」
オンラインで請求し、郵送で取得した場合には、「1通500円」
オンラインで請求し登記所の窓口で取得した場合には、「1通480円」
決算書
決算書は、会社であれば1年に1回作成をすることが義務付けられておりますので、社内で作成をした決算書をご準備ください。
事業計画書
事業を始める際などには、多くの場合、事業計画書を作成しますので、その際の計画書をご準備ください。
代表者の本人確認ができる身分証明
代表者の方の健康保険証、運転免許証、パスポート、住基ネットカードなどで問題ありません。
※これらはあくまで一例ですので、実際は必要書類が異なる可能性があります。また、これら書類の取得費用は、現在の価格ですので、将来的に変更がされている可能性があります。

なお、上記の書類を準備する際には、発行後の経過時間に制限がある場合(発行後3ヶ月以内など)や数年分の書類が必要な場合もあります。

ですから、取得期限などについても、十分に意識をした上で準備を行うようにしてください。

以上が、つなぎ融資を申し込む際に必要になる書類の説明になります。

つなぎ融資申請の必要書類が準備できましたら、今度は、ローンを申し込むのに必要な初期費用について考えていきます。

つなぎ融資を利用する際には、通常とは違った初期費用が発生してしまうのが一般的です。

そのため、必要な費用についてある程度把握し、準備をしておくことが重要です。

そこで、次は、こういったつなぎ融資を申し込む際に、必要になる可能性のある主な費用についてご説明致します。

つなぎ融資の費用と利子の確認

つなぎ融資を行う際には、通常のローンとは異なる費用が発生してしまいます。

これらの費用は、決して安い金額ではないため、事前にその分の出費を想定しておくことが重要です。

つなぎ融資の手続きに必要となる可能性がある主な費用は、住宅ローン申請時の費用に加えて、
「つなぎ融資時の利子」
「借入金額に応じた印紙代」
「融資事務手数料」
「借入金の振り込み手数料」
「必要書類の取得費用」
などです。

【つなぎ融資を行う際に想定される主な費用の詳細】

つなぎ融資の金利
つなぎ融資の金利は、本来の住宅ローンの優遇無しの変動金利基準金利が適用されることが多いようです。
例えば、変動金利の基準金利「3.0%」、優遇「-2.2%」、適用金利「1.3%」という銀行があった場合、つなぎ融資の金利は、変動金利の基準金利である「3.0%」前後に設定されることが多いということになります。
なお、つなぎ融資の金利自体の相場としては、大体、2%の後半~3%程度が多いようです。
印紙代
印紙代は、つなぎ融資でいくら借入をするかによって、その金額が変わってきます。
詳しい金額別の印紙代につきましては、お手数をお掛け致しますが「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「必要になる印紙税額について」の項目をご覧ください。
融資事務手数料
つなぎ融資の融資事務手数料は、住宅ローンの事務手数料の半額が設定されているケースが多いようです。
また、金融機関によっては、融資額ごとに金額が設定されている場合や、融資額の数パーセントが手数料となる場合もあります。
これらのことから、融資事務手数料は、融資額や手数料の加算タイプなどによって、その金額が大きく変わってしまうということが分かります。
そのため、確実に何円になるということはできませんが、大体の手数料の目安としては、「5万円~10万円」程度になります。
なお、融資事務手数料は、初回のみ必要という金融機関と、振り込みごとに必要という金融機関で分かれておりますのでご注意ください。
振り込み手数料
つなぎ融資の振り込み手数料は、各金融機関で異なっているのが一般的です。
そのため、一概に何円だということはできませんが、大体の相場としては、「数百円」程度である場合が多いようです。
必要書類の取得費用
これらの費用の目安につきましては、お手数をお掛け致しますが、同ページの「つなぎ融資の必要書類の確認」の項目をご覧ください。
※これらの情報は、現在のものであって、将来的には変更されている可能性があります。

これらの費用は、時には、何十万円にもなってしまうこともあります。

そのため、ローンを考えた際には、余裕を持って資金を見積もっておくことが大切です。

なお、つなぎ融資における利子は、基本的に日割りで計算をします。

下記は、つなぎ融資の利子を計算するための2パターンの計算方法を記載したものです。
(下記のパターン1と2では、若干利子額が異なることがあります)
パターン1:元金×金利(年率)÷365日×借入期間(日)
パターン2:元金×金利(年率)÷12ヶ月×借入期間(ヶ月)

【つなぎ融資を利用した際の元金と期間別の利子の一例】
つなぎ融資の期間別の利子例※クリックで拡大

以上が、つなぎ融資を申し込む際に、必要になる可能性のある主な費用の説明になります。

これらの把握ができましたら、次は、実際に必要になる諸費用を計算していきます。

つなぎ融資の諸費用の計算方法と、計算例つきましては、下記の項目をご覧ください。

借入時の諸費用の計算方法を確認

つなぎ融資を利用する際の諸費用について把握ができましたら、次は、実際に必要になる諸費用の総額を計算していきます。

なお、つなぎ融資を受ける際には、一気に借入額の全てが振り込まれる訳ではありません。
(買い先行の場合には、必要資金が一気に振り込まれることもあります)

不動産を売却し、土地を購入した上で、新居を建築する売り先行の場合、その融資金は分割で振り込まれるのが普通です。
(この場合、土地の購入時、着工時、中間時(1回~2回)、竣工時のそれぞれ4回~5回に分けて振り込みが行われるのが一般的です)

そのため、必要な利息を計算する際には、それぞれの借入期間を計算した上で利子を計算する必要があります。

今回は、この売り先行でつなぎ融資を受ける場合を例に、必要な諸費用の計算をしていきます。

なお、他のケース(買い先行時など)のつなぎ融資の場合でも、計算の流れ自体は一緒ですので、ご自身の状況に合った計算を行っていってください。

では、実際につなぎ融資を利用した際の諸費用について計算をしていきます。

「3,300万円の土地付き注文住宅を購入した場合」

ローンの条件)
ローンの金利は「3.0%」
印紙代は「1万円」(軽減税率適用前は2万円)
融資事務手数料は、振り込み毎に「53,000円」
振込手数料は、「300円」
必要書類は不動産売却時に取得していたものでまかなえたため「0円」。

借入の流れ)
1回目で「土地の取得費用」→1,000万円を借入
2回目で「着工金」→650万円を借入
3回目で「中間金」→650万円を借入
4回目で「竣工金(工事完了後の引き渡し金)」→1,000万円を借入

借入の期間)
全体で6ヶ月(180日)を予定

1回目の「土地の取得費用」→初回の借入
2回目の「着工金」→2ヶ月(60日)後に借入
3回目の「中間金」→4ヶ月(120日)後に借入
4回目の「竣工金(工事完了後の引き渡し金)」→6ヶ月(180日)後に借入

【例題の全体的な流れ】
例題の大まかな借入の流れ※クリックで拡大

これらの情報から、必要になる利子の金額を計算していきます。

まず、借入期間が6ヶ月(180日)であることから、初回の借入である「1,000万円」は、全体で「180日間」分の利子が必要ということになります。

そうして、2回目の借入である着工金は、2ヶ月(60日)後に借入を行うことから、2ヶ月分の「60日」を「180日」から差し引いた「120日間」が借入期間ということになります。

同じように、その他の借入期間も計算をしていきます。
1回目の「土地の取得費用」→180日間、又は6ヶ月
2回目の「着工金」→120日間、又は4ヶ月(6ヶ月(180日)-2ヶ月(60)日)
3回目の「中間金」→60日間、又は2ヶ月(6ヶ月(180日)-4ヶ月(120)日)
4回目の「竣工金(工事完了後の引き渡し金)」→住宅ローンの残りの融資が実行されるため、利子や手数料などの費用負担はありません。

それぞれの借入期間が把握できましたら、次は、実際に必要な利子額を計算していきます。

なお、下記の計算では、小数点以下の端数を四捨五入しております。

【1回目の「土地の取得費用」の利子の金額】
パターン1の場合:1,000万円×3.0%÷365日×180日=約147,945円
パターン2の場合:1,000万円×3.0%÷12ヶ月×6ヶ月=約150,000円

【2回目の「着工金」の利子の金額】
パターン1の場合:650万円×3.0%÷365日×120日=約64,110円
パターン2の場合:650万円×3.0%÷12ヶ月×4ヶ月=約65,000円

【3回目の「中間金」の利子の金額】
パターン1の場合:650万円×3.0%÷365日×60日=約32,055円
パターン2の場合:650万円×3.0%÷12ヶ月×2ヶ月=約32,500円

これらの利子を全て合計すると、
パターン1の場合は147,945円+64,110円+32,055円の「約244,100円」
パターン2の場合は150,000円+65,000円+32,500円の「約247,500円」
となり、これが必要な利子の総額の予想となります。

更に、融資事務手数料と振り込み手数料が振り込み毎に掛かりますので、その分も計算をしておきます(竣工金の振り込み分は不要)。
融資事務手数料:53,000円×3回=159,000円
振込手数料:300円×3回=900円

後は、全ての費用(利子の総額、印紙代、融資事務手数料、振込手数料、書類取得費用など)を合計するだけです。

パターン1の場合:244,100円+10,000円+159,000円+900円+0円=約414,000円
パターン2の場合:247,500円+10,000円+159,000円+900円+0円=約417,400円

これらのことから、この場合のつなぎ融資に必要な諸費用の予想金額は、
パターン1→「約414,000円」
パターン2→「約417,400円」
となります。

この金額はあくまで予想となりますので、実際には、少し多めに資金を準備しておくと安心です。

なお、つなぎ融資の融資金は、つなぎ融資の利子と各種手数料が差し引かれた状態で、振り込みがされます。

例)
「上記の例の土地取得時の実際の振込金額」
パターン1の場合:1,000万円-(147,945円+53,000円+300円)=約9,798,755円
パターン2の場合:1,000万円-(150,000円+53,000円+300円)=約9,796,700円

そのため、その減額分は自己資金などから支払いを行う必要がありますので、事前によく確認をしておくことが大切です。

以上が、つなぎ融資の諸費用の計算方法と、計算例になります。

これで、つなぎ融資を申し込む際に必要になる可能性のある主な書類と諸費用の説明は終わりです。

つなぎ融資を申し込むための確認と準備が終わりましたら、とうとう実際につなぎ融資の手続きを行っていきます。

その際には、まず売り先行で不動産を買い替えるのか、買い先行で不動産を買い替えるのかを検討していく必要があります。

やはり、売り先行と買い先行では、つなぎ融資の流れが大きく異なります。

そこで、次の項目では、不動産を売り先行にした場合と、買い先行にした場合の具体的な流れについてご説明致します。

つなぎ融資を受ける際の流れ

つなぎ融資を受ける場合、いつローンを申し込み、融資が行われるのかをよく確認しておくことが大切です。

やはり、余りにつなぎ融資の申し込みが遅くなってしまうと、借り入れまでに手続きが間に合わなくなってしまうこともあります。

つなぎ融資を受けるためには、当然に融資可能かどうかの審査なども必要です。

これらの審査には、時に非常に長い時間が掛かってしまうこともあります。

更に、住宅ローンやつなぎ融資は、審査に受かったからといって、すぐに融資が始まる訳ではありません。

その後にも、書類の提出や借入条件などに関して、細かく打ち合わせが必要となるのが普通です。

【つなぎ融資を申し込んだ際の大まかな手続きの流れ】

  1. 融資が可能かどうかを簡易的にチェックする
  2. 依頼する金融機関を選ぶ
  3. 必要書類などを準備する
  4. 事前審査
  5. 事前審査の結果の連絡がくる
  6. 審査結果通知書がFAXなどで送られてくる
  7. 土地、着工、中間など全ての書類を含む、金銭消費貸借契約証書等原本(契約書類)が郵送されてくる
  8. 受け取った各種書類に必要事項を記入する(融資条件を整える)
  9. 記載が終わった書類を返送する
  10. つなぎ融資実行日が確定する
  11. 実行時差引金額の見積書・確認書が送られてくる(FAXなどにより)
  12. 送られてきた実行時差引金額の見積書・確認書を確認後、押印した後返信する(FAXなどにより)
  13. 書類返信後、契約内容確認や在籍確認などがされる
  14. つなぎ融資の実行

そのため、なるべく期間に余裕を持った上でローンの申し込みを行っておく必要があります。

なお、その際には、不動産を売り先行とするのか、買い先行とするのがでも、ローンを申し込む時期が異なってきます。

ですから、ご自身の売却プランに合わせて、つなぎ融資の手続きを進めていくことが必要です。

そこで、この項目では、つなぎ融資を実行・返済する際の流れなどについてご説明致します。

まずは、つなぎ融資を申し込む際の手続きの流れについてです。

つなぎ融資の手続きの流れ

つなぎ融資を受けるためには、事前に金融機関へローンの申し込みをしておかなくてはなりません。

その際には、金融機関が指定している書類などに、様々な情報を記入するなどの作業も必要になります。

つなぎ融資を受ける際の流れは、それぞれの金融機関で異なっております。

そのため、ローンを組む予定の金融機関の手順に従って、手続きを進めていくことが必要です。

一応、下記につなぎ融資を受ける際の大まかな手続きの例は下記のようになります。

【売り先行の場合の大まかな流れの例】
売り先行でつなぎ融資が必要となるのは、新規購入した土地に、注文住宅を新築する場合などです。

この場合、旧住居の売却金を、土地の購入代金と住宅の新築費用に充当します。

そうして、足りない金額をローンとして借り入れることになります。

  1. 先に不動産を売却する
  2. 購入したい土地を探し売買契約をする
  3. 金融機関で「土地ローン(つなぎ融資)」を組んで土地を購入する
  4. 建物建築を工務店に依頼・契約→住宅の設計を決める
  5. 土地ローンと同じ金融機関で「住宅ローン」と「つなぎ融資」を申し込む
  6. 金融機関から事前審査を受ける
  7. つなぎ融資を使い工務店に「着工金」を支払う
  8. 購入した土地上に建物の建築が始まる
  9. 工事中の「中間金」をつなぎ融資で支払う
  10. 工事が終わる→完了検査と竣工検査が行われる
  11. 住宅が引き渡される
  12. 建築が終わった新居の登記登録を行う
  13. 金融機関で住宅ローンの本審査が行われる
  14. 住宅ローンの融資金で、工務店に残りの建築代金を支払う
  15. 住宅ローンの融資金でつなぎ融資を完済する
  16. 翌月又は翌々月から住宅ローンの返済が始まる
【売り先行でつなぎ融資を受ける際のタイミングの例】
売り先行のつなぎ融資の流れ※クリックで拡大
※これらの流れは、依頼をする金融機関によって変わる可能性があります。

【買い先行の場合の大まかな流れの例】
買い先行で不動産を売買する際には、比較的多くの方がつなぎ融資を利用します。

この場合、不動産の売却金が手に入る前に売却を行うため、資金のやり繰りが売り先行よりも苦しい場合が多いです。

なお、旧住居を売却した後には、その売却金をつなぎ融資の借入分として一括返済します。

その際に、売却金が新居の購入金額を下回っていると、新たなローンを組むなどの手間が必要です。

  1. 不動産を売却する前に購入をしたい新居を探す
  2. 購入したい物件が見つかったら売買契約を行う
  3. 金融機関に新居購入のためのつなぎ融資を申し込む(売却金の相当額)
  4. (多くの場合)買取保証の契約をする
  5. 不動産の売却予定金が購入物件の価格以下の場合→新たなローンの申し込みも行う
  6. 金融機関から各種審査を受ける
  7. 新居の購入代金をつなぎ融資などで支払う
  8. 住宅が引き渡される
  9. 所有権移転登記などの登記を行う
  10. 期間内に不動産を売却(買取)する
  11. その際の売却金でつなぎ融資を完済する
  12. 新たなローンの本審査などが行われる(既に審査に通っている場合には不要)
  13. 新たなローンを組んだ場合にはその返済が始まる
【買い先行でつなぎ融資を受ける際のタイミングの例】
買い先行のつなぎ融資の流れ※クリックで拡大
※これらの流れは、依頼をする金融機関によって変わる可能性があります。

以上が、つなぎ融資を申し込む際の手続きの流れになります。

なお、つなぎ融資が実行された後は、住宅ローンの本審査などが行われ、本格的に住宅ローンの契約が行われることになります。

とはいえ、つなぎ融資と住宅ローンの審査は、申し込めば必ず通るというものではありません。

時には、金融機関から、ローンの依頼を断られてしまうこともあります。

そうなると、当然に、新たな不動産を購入することはできなくなってしまいます。

そのため、事前に住宅ローンの審査内容を理解し、現在の条件や状態で、審査が通るのかどうかを確認しておくことが大切です。

そこで、次は、つなぎ融資や住宅ローンを組む際の審査の特徴などについてご説明致します。

つなぎ融資の審査の流れ

つなぎ融資を利用するには、金融機関が行う事前審査に受かる必要があります。

この事前審査は、依頼主が後に住宅ローンをきちんと返済ができるかどうかを確認する審査です。

そのため、事前審査に受からなければ、根本的につなぎ融資を受けられないということになります。

では、この事前審査では、どういった項目がチェックされるのでしょうか?

これらの調査結果は、国土交通省の「平成27年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」によって見ることができます。

「平成27年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(国土交通省)の画像→コチラからご覧になれます
「平成27年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/common/001122119.pdf)を加工して作成

この調査結果の中でも、構成率が90%以上あるものは、多くの金融機関の審査に影響があるものだと考えることができます。

構成率が90%以上ある項目は、「借入時年齢」、「完済時年齢」、「年収」、「勤続年数」、「購入の場合の融資可能額(融資率)」、「担保評価」、「金融機関の営業エリア」、「健康状態」、「連帯保証」の9項目です。

これらの詳細を見てみると、多くの金融機関が、借入時年齢は「70歳未満」、完済時年齢は「80歳未満」を条件としているということが分かります。

年収は最低「100万円以上」からという金融機関が多く、最も多い条件としては「150万円以上」です。

勤続年数に関しては、「最低1年以上」という回答が最も多いようです。

購入する物件に対して何割を住宅ローンでまかなうかという融資率の条件に関しては、「100%」となっている金融機関が大半です。

購入する予定の土地や建物の評価額である担保評価については、「融資判断に影響、又は融資判断の参考にする」という回答が殆どになります。

金融機関の営業エリアに関しては、依頼主が依頼先の金融機関の営業エリア内に居住・勤務しているという条件で審査を行う場合が大半です。

また、団体信用生命保険に加入できるかどうかという指標の健康状態に関しては、殆どの金融機関が「団信加入が必要」と回答しております。

連帯保証に関しても、大半の金融機関が、「系列、又は外部の保証会社の保証が必要」と回答しております。

これらが、構成率が90%を越える審査項目と、その条件です。

住宅ローンを申し込む際には、こういったことに意識をした上で手続きを行うようにしてみてください。

以上が、つなぎ融資や住宅ローンを組む際の審査の特徴になります。

なお、これらの統計は、「平成27年度」の調査結果ですので、将来的には変更がされている可能性もあります。

そのため、住宅ローンを申請する際には、常に最新の統計を確認することが大切です。

こうして、住宅ローンの審査に通りましたら、とうとう本格的に融資が始まります。

つなぎ融資によって得た借入金は、当然に、後に返済を行わなくてはいけません。

その際の返済の流れは、通常の住宅ローンの返済の流れとは少々異なっております。

そのため、次は、つなぎ融資の返済の流れについてご説明致します。

融資を受けた後の返済の流れ

買い先行時のつなぎ融資では、旧住居を売却した後の売却金で、つなぎ融資を一括返済するということは既に説明をしました。

一方、売り先行でつなぎ融資を利用した場合、既に売却金は土地の購入や建物の建築の資金に充当されております。

では、この場合、どのようにして借入金の返済を行えば良いのでしょうか?

元々、売り先行時のつなぎ融資では、本来住宅ローンで得るはずだった資金を、つなぎ融資として借入れている状態です。

つまり、住宅ローンが実行された後は、振り込まれた借入金によって、つなぎ融資を一括返済することができるようになります。

ですから、この場合は、住宅ローンが実行された後に、つなぎ融資を一括返済するという流れになるのが普通です。

なお、つなぎ融資に掛かった利子や各種手数料などは、既につなぎ融資が振り込まれる際に差し引かれているのが一般的です。

そのため、つなぎ融資を返済する際に、別途、支払いが必要となってしまうことはありませんのでご安心ください。

以上が、つなぎ融資の返済の流れになります。

これで、つなぎ融資を実行・返済する際の流れの説明は終わりです。

なお、不動産を売却する際には、住宅ローンが残っている状態で不動産を売却することもあります。

そういった際に、つなぎ融資を利用して不動産を売却することも、決して珍しくありません。

そのため、次の項目では、こういったつなぎ融資を使って、ローン残債が残っている不動産を売却する方法をご説明致します。

残債がある状態でのつなぎ融資

住宅ローンを組む際には、その住宅に対して抵当権が設定されます。

抵当権は、住宅ローンの支払いが困難になってしまった際に、金融機関がその不動産を差し押さえることができる権利のことです。

そのため、抵当権は住宅ローンを完済しなければ、消えることはありません。

抵当権が設定されていると聞くと、その状態で不動産を売却できるのか疑問に感じてしまうかもしれません。

抵当権が付いたままの不動産を売却することは、法的に可能ではあります。

ただし、通常は、抵当権の付いた不動産を売却することはほぼ不可能といっても過言ではありません。

やはり、不動産に抵当権が付いているということは、その不動産がいつ差し押さえられてしまうか分からない状態です。

もしかすると、購入後すぐに元の持ち主が住宅ローンを滞納し、不動産が差し押さえられてしまうかもしれません。

そうなると、せっかく高額な金額を支払ったにも関わらず、購入した不動産を失ってしまうことになります。

そのため、こういった不動産を購入したいと考える方は、ほぼ皆無といっても過言ではありません。

その影響で、不動産の買い手がいつまで経っても現れないことが多く、実質上、売却が不可能であるのと同じということになります。

こういった事態を回避するためには、やはり住宅ローンを完済し、抵当権を抹消してから売却をすることが必要です。

その際には、つなぎ融資を利用することで、スムーズに不動産売却を進めることができる可能性があります。

そのため、この項目では、こういったつなぎ融資を使って、ローン残債がある不動産を売却する方法についてご説明致します。

つなぎ融資を行った際の残債処理

住宅ローン残債がある不動産を売り先行で売却する場合、売れた不動産の売却金を住宅ローンの返済に充てるのが一般的です。

一方、買い先行の場合は、旧住居を売却する前に、新居を購入することとなります。

この場合、旧住居の住宅ローンを完済できないまま、新居購入のための住宅ローンを組まなくてはいけません。

そうなると、ダブルローンの状態となってしまい、二重に金利などを支払わなくてはいけなくなってしまいます。

更に、抵当権が付いたままの不動産を売り出すことになるため、買い手も見つかりにくくなってしまうのが一般的です。

そのため、どうにかして、現在の住宅ローンを完済する必要が出てきます。

そこで、役に立つのがつなぎ融資です。

現在の住居が売れるまでの間、つなぎ融資でローン残債を借り入れれば、買い先行でも、その残債を完済することができるようになります。
(全体的な借入・返済の流れは、通常の買い先行を行った場合とほぼ同じです)

なお、ここで注意をしておきたいのは、
この段階でつなぎ融資として借りられる融資金額は、「将来得られる予定の売却代金の相当額」
のみであるという点です。

ですから、万が一、現在のローン残債が住居の売却金を上回ってしまう場合には、この方法を取ることはできません。

そういった際には、つなぎ融資以外のローンを利用して、不動産を買い替える必要が出てきます。

例えば、現在のローン残債と新居お購入代金を「買替ローン」でまとめれば、既存の住宅ローンを完済した上で、新たな住宅を購入することができるようになります。

以上が、つなぎ融資を使って、ローン残債がある不動産を売却する方法の説明になります。

なお、これまで、つなぎ融資に関する様々な情報を記載してきました。

これらを見ていると、つなぎ融資を利用することで、反対に金銭的なデメリットが出てしまう場合もあるということが分かります。

そのため、時には、つなぎ融資を利用しないで、不動産の買い替えを行おうとする方もいらっしゃるかもしれません。

では、こういった方々は、どういったことに意識をすれば、つなぎ融資を利用しなくてもよくなるのでしょうか?

最後の項目では、こういった不動産の買い替えの際に、つなぎ融資を利用しない方法についてご説明致します。

つなぎ融資を利用しない方法

つなぎ融資は、現在の状況や資金の状態などによって、その用途が大きく異なります。

そのため、状況によっては、つなぎ融資を利用することによって、金銭的な負担が大きくなってしまうこともあります。

もちろん、反対に金銭的な負担が少なくなることもありますが、このメリットが全員に当てはまる訳ではありません。

やはり、つなぎ融資も立派なローンです。

ですから、借入期間に応じて、金利や手数料などが掛かってしまいます。

その金利や手数料などが、高額となってしまう場合、やはりつなぎ融資を利用しないに越したことはありません。

そのため、この項目では、つなぎ融資を利用しなくても済む方法についてご説明致します。

つなぎ融資を利用しない方法

不動産売買時に、資金に余裕がない場合、どうしてもつなぎ融資で資金を調達してしまいがちです。

つなぎ融資を利用することによって、金銭的なメリットがあるという方は、その利用に関して損になってしまうことはありません。

一方、つなぎ融資を利用することによって、金銭的に不利な状況になってしまうという方は、つなぎ融資を利用すること自体がデメリットとなってしまいます。

元々、何故つなぎ融資を利用すると金銭的な負担が大きくなってしまうのかというと、その利用に関して、通常の住宅ローンに加えて、つなぎ融資分の各種手数料と金利が上乗せされてしまうからです。

とはいえ、これは、必ず全員に当てはまるデメリットではなく、場合によっては、反対に後の住宅ローンの負担が軽減されることもあります。

ですから、まずは事前に必要資金を比べ、つなぎ融資を利用することで得となるのか損となるのかを計算してみることが大切です。

そうして、余りに大きな損となってしまう場合には、つなぎ融資を利用しないで済む方法を考えていく必要があります。

つなぎ融資を利用しないで済む手段としてよく挙げられるのは、
「自己資金を土地購入以外に充てる(分割実行)」
「着工金や中間金などの支払いを行わないよう交渉する」
「代理受領を利用する」
「親戚や親などの親近者に借金をする」
「すまいとや日本住宅保証検査機構 安心ローンなどを利用する」
「つなぎ融資の必要ない住宅ローンを利用する」
「事前に購入代金に相当する自己資金を準備する」
などの方法です。

では、これから、これらの手段の内容について、詳しくご説明致します。

自己資金を土地購入以外に充てる(分割実行)
不動産の買い替えを行う際には、自己資金をどのように使用するかが大きな分岐点となります。
土地を購入し、そこに建物を建築する間につなぎ融資を利用するという場合には、自己資金を土地購入に使い切ってしまわなければ、つなぎ融資を回避できる可能性があります。

というのも、建物建築の着工金や中間金は、工務店やハウスメーカーとの交渉により、支払う金額を調整できる場合も少なくありません。

ですから、建物建築の際に、着工金や中間金を自己資金の範囲内になるように交渉し、それが通れば、つなぎ融資を利用しなくても良いということになります。
万が一、建物よりも土地購入代金のほうが高いという場合には、この方法では、節約にならない可能性がありますのでご注意ください。
更に、着工金や中間金の支払い時まで自己資金を取っておくため、土地と建物のローンを別に組む手間も必要です(分割実行)。
この場合、ダブルローンとなってしまうことを想定した上で、後の計画を立てておくことが必要です。
着工金や中間金などの支払いを行わないよう交渉する
建物建築中の着工金や中間金は、工務店やハウスメーカーと交渉をすることによって、その支払い条件を変えることができるということは既に説明をしました。
その際には、着工金や中間金を「払わない」とすることも実質上は可能なようです。

なお、施工会社との交渉が決裂した場合には、この方法を取ることはできませんのでご注意ください。
代理受領を利用する
依頼をする不動産会社や建築会社によっては、つなぎ融資を使わず、代理受領という方法を取って貰えることもあります。
代理受領とは、金融機関などから借り入れをすることを条件に、建物の代金を支払う前に登記を認めて貰うシステムのことです(建物の登記を行えば、住宅ローンを組むことができます)。
この場合、住宅ローンの融資金は契約者を通さず、不動産会社が直接受け取るように手続きを行います。
親戚や親などの親近者に借金をする
どうしても不動産の買い替え代金が不足してしまう場合には、親戚や親などの親近者に新居の購入代金を借りるということも、選択肢としてない訳ではありません。

この方法の場合、親近者の方がそれなりの資金を持っており、お金を貸してくれるというのが前提になります。

なお、全額の借金は無理だとしても、購入代金の一部を借りることができれば、資金の負担を軽減する効果を期待できます。
「すまいと」や「日本住宅保証検査機構 安心ローン」などを利用する
「すまいと」や「日本住宅保証検査機構 安心ローン」などを利用すれば、建物着工に先行して、工事の出来高に応じたローンの融資を受けることができるようになります。
更に、例え工務店が倒産してしまったとしても、完成まで完全サポートを受けることができるというメリットもあります。
「すまいと」や「日本住宅保証検査機構 安心ローン」は、利用できる工務店、金融機関などが限られていますので、事前に利用できるかどうかの確認を忘れないことが大切です。
つなぎ融資の必要ない住宅ローンを利用する
金融機関によっては、建築物ができていない状況でも、住宅ローンを組むことができる場合があります。
その際の融資の借入金は、信託口座で管理され建物を建てる際にだけ使われます。
万が一、不動産会社などが倒産した場合にも、完成保証が付いているため安心です。
事前に購入代金に相当する自己資金を準備する
何かしろの手段で新居の購入代金を準備できるという場合には、つなぎ融資を利用しなくても済むようになります。
ただし、つなぎ融資を利用する際には、自己資金で購入代金が準備できない状態であることが前提ですので、この方法での解決は現実的ではないかもしれません。

これらの方法の中で、効果的なものを選択することで、つなぎ融資の利用を回避することができる可能性があります。

現在、つなぎ融資の利用に関して難を抱えていらっしゃる方は、これらの方法を検討してみるのも一つの手かもしれません。

以上が、つなぎ融資を利用しなくても済む方法の説明になります。

これで、不動産売却時のつなぎ融資に関する各種説明は終わりです。

やはり、一戸建てを買い替えする際などは、普段とは異なった資金のやり繰りが必要となります。

ですから、事前に資金計画を検討し、無理のないローンを組むようにすることが重要です。

つなぎ融資は、借りる際の状況や条件などによって、その役割が大きく異なってきます。

そのため、メリット・デメリットに着目し、計画的に利用をしていくことが大切です。

 - 不動産売却時のつなぎ融資