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不動産売却時の固定資産税と都市計画税の納税と軽減措置

   

不動産を所有されている方は、固定資産税とお住まいの場所によっては都市計画税を納税する義務があります。

この固定資産税と都市計画税は、不動産を売却される際にも深く関係します。

固定資産税や都市計画税は不動産の所有者の方が納税義務者となりますが、売却をしますと所有権が移転し、売主の方は売却した不動産の所有者ではなくなります。

しかし、固定資産税や都市計画税は、売却をしてもすぐに納税義務者が買主の方に変更される訳ではありません。

このような場合、固定資産税と都市計画税をどのように扱えばいいのか疑問に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回の記事では、不動産売却時の固定資産税と都市計画税の納税と減額措置についてご説明致しますので、上記の点も含めて詳しくご存知でない方は参考にしてください。

まずは、固定資産税と都市計画税についてご説明致しますので、これらに詳しくない方はこちらからご覧ください。

目次

不動産の固定資産税について

不動産のような固定資産を所有されている方は、「固定資産税」の納税義務があります。

固定資産税は、不動産を売却したからといってすぐに納税義務が買主の方に移転する訳ではありません。

不動産売却時の固定資産税の納税について詳しくご存じでない場合は、それが原因で後にトラブルとなってしまう可能性もあります。

多くの場合、固定資産税などで損をするのは売主の方ですので、こういった面をしっかりとしておきたい方は特に注意が必要です。

まずは、固定資産税とはどういったものなのかご説明致しますので、詳しくご存知でない方はこちらからご覧ください。

固定資産税とは

固定資産税は、不動産のような固定資産や償却資産の所有者の方に課税される賦課課税制度の1つです。

固定資産税は「普通税」に分類され、地租や家屋税に代わるものとして、1950年に創設されました。

固定資産とは土地や家屋、償却資産を総称したものであり、下記がこれに該当します。

固定資産となるもの
土地 田、畑、宅地、塩田、鉱泉地、池沼、山林、牧場、原野、その他の土地(雑種地)
家屋 住家、店舗、工場(発電所・変電所含む)、倉庫、その他の建物
償却資産 構築物、機械、装置、工具、器具、備品、船舶、航空機などの事業用資産で、法人税又は所得税で減価償却の対象となる資産(自動車税、軽自動車税の課税対象となるものは除きます)

これらを所有されている方は、毎年固定資産税を納税する義務があります。

固定資産税は市町村税ですので、市町村が課税します。

東京23区の場合は、東京都が都税として課税します。

その年の1月1日時点に固定資産を所有されている方が納税義務者となり、毎年4月頃に納税通知書が送られて来ます。

市町村が計算して納税通知書が送られてきますので、特に所有者の方が税額を計算する必要はありません。

固定資産税の納付期間と納付期限

固定資産税には、納付期間と納付期限が定められており、一括払いと年4期で分納する方法の2つから選択できます。

納付期間と納付期限は市町村によって異なりますので、注意が必要です。

特に4期に分けて分納される場合は、市町村ごとに4期とも納付期間と納付期限が異なります。

例えば平成29年の東京23区の場合では、納付期間と納付期限は下記のようになります。

東京都23区の納付期間と納付期限
納付期間 納付期限
第1期 平成29年6月1日~6月30日 6月30日まで
第2期 平成29年9月1日~10月2日 10月2日まで
第3期 平成29年12月1日~12月27日 12月27日まで
第4期 平成30年2月1日~2月28日 2月28日まで

納付期限が過ぎてしまいますと、場合によっては「滞納金」の支払いが必要となります。

これらの期限が曖昧ですと、滞納をしてしまう原因にもなります。

特にお引越しなどで別の県や市に行かれた場合には、固定資産税の納付期間と納付期限に注意が必要です。

納税通知書は遅くても納付期限の10日前までに納税義務者の方に送らなければいけないため、ある月の末日が納付期限の場合、その月の初旬には納税通知書が送られてきます。

ですから、納付期間や納付期限をご存知でなくても分かりやすいシステムとなっておりますが、心配な方はご自身でもご確認ください。

不動産の都市計画税について

上記までが固定資産税についてですが、お住まいの地域によっては固定資産税の他に都市計画税の納税が必要となります。

固定資産税と都市計画税を同じものとお考えになる方もいらっしゃるようですが、この2つは別のものです。

固定資産税は土地や家屋などを所有されている方であれば必ず納税義務がありますが、都市計画税は土地や家屋を所有されているからといって必ず納税義務が発生する訳ではありません。

都市計画税について詳しくご存知でない方は、こちらも併せてご覧ください。

都市計画税とは

都市計画税は、「都市計画区域」の「市街化区域内」にある土地、家屋に課せられる市町村税です。
(「都市計画区域」とは都市計画制度上の都市の範囲のことで、通常は都道府県が指定し、複数の都道府県にまたがる場合は国土交通大臣が指定します)

固定資産税は土地、家屋、償却資産が課税対象ですが、都市計画税は土地、家屋のみです。

都市計画税は1956年から導入されたもので「目的税」に分類され、固定資産税と同様に賦課課税制度の1つです。

市町村が課税(東京23区の場合は東京都が都税として課税)するという点も固定資産税と同様です。

都市計画税はその年の1月1日時点に都市計画区域の市街化区域内にある土地、家屋の所有者の方が納税義務者となります。

市町村が計算して、固定資産税の納税通知書と一緒に納税通知書が送られてきますので、特に所有者の方が税額を計算する必要はありません。

なお、都市計画区域は3つに区域区分(線引き)されますが、課税対象は「市街化区域内」のみです。

都市計画区域の区域区分(線引き)につきましては、下記にまとめております。

【都市計画区域の区域区分(線引き)】
市街化区域
都市計画法第7条第2項にて市街化区域は、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域とする。と定義されております。
市街化という文字通りに、既に市街化している区域や、積極的に市街地を形成する区域が分類されます。
ここに日本の人口の多くが集中しております。
市街化調整区域
都市計画法第7条第3項にて市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域とする。と定義されております。
こちらは市街化区域とは対となっており、積極的に市街地を形成する市街化区域に対し、市街化調整区域は原則として開発行為を行わず、施設や新たな建築物を建築、増築することを抑制する地域です。
ここに開発行為を行おうとする際には、原則として都道府県知事から開発許可を受ける必要があります。
非線引き区域
非線引き都市計画区域は、上記のどちらにも区分されていない都市計画区域のことです。
法律上の名称は「区域区分が定められていない都市計画区域」です。

都市計画税の納付期間と納付期限

都市計画税は、固定資産税と一緒に納税します。

納税時には、固定資産税と都市計画税の両方を合わせた金額を支払います。

納付期間や納付期限は固定資産税と同様ですので、お手数をお掛け致しますが「固定資産税の納付期間と納付期限」をご覧ください。

なお、上記の項目でも触れておりますが、納付期間や納付期限は各市町村によって異なります。

全ての地域が共通している訳ではないという点にご注意ください。

上記の項目では、「東京23区」の納付期間と納付期限を記載しておりますので、それ以外の地域にお住まいの方は、税務署などにお問い合わせください。

多くの市町村のホームページにもこれらは記載されておりますので、そちらから確認することもできます。

売却時の固定資産税と都市計画税

不動産を売却しますと、売主の方はその不動産の所有者ではなくなります。

しかし、固定資産税と都市計画税は、その年の1月1日時点にその不動産を所有されていた方(都市計画税は不動産が「都市計画区域」の「市街化区域内」にある場合です)が納税義務者となります。

12月31日に所有権が移転するのであればこれらの点は気になりませんが、それも珍しいことです。

年の終わりではなく、年の途中で売却される方も多くいらっしゃいますので、そのような時に気になるのが固定資産税と都市計画税の扱いです。

この項目では、不動産売却時の固定資産税と都市計画税の納税についてご説明致します。

この点でお悩みの方は、参考にしてください。

不動産売却時の納税義務者と負担額

不動産を売却しますと、その不動産の所有権は売主の方から買主の方へ移動します。

こうなりますと、その不動産の固定資産税と都市計画税の納税義務も買主の方に移動します。

しかし、この2つの税金は、その年の1月1日時点に土地や家屋などを所有されていた方が納税義務者となります。

その影響により、例え1月2日に所有権が移転したとしても、その1年の固定資産税と都市計画税の納税義務者は売主の方となります。

税務上に不動産売却時の厳格な定めはなく、買主の方に納税義務はありません。

納税通知書も売主の方に送られてきますし、4期に分けて分納される際も納税義務者は全て売主の方となります。

これでは、当然に不公平だと思われる方もいらっしゃいます。

こういった不公平をなくすために固定資産税と都市計画税は、その不動産の所有月数や日数などで公平に双方が負担するのが一般的です。

中には、どちらかが全額を負担することもあるようですが、こちらは珍しい事例です。

月割りや日割りの計算方法につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「固定資産税・都市計画税の返金」の項目をご覧ください。

上記の方法で計算した金額を売却代金に上乗せするなどして、買主の方は負担額を支払います。

なお、双方が負担することをご希望であれば、事前に買主の方と相談することを忘れないでください。

固定資産税と都市計画税の計算法

固定資産税や都市計画税は、毎年自動で計算されて納税通知書が送られてきます。

そこに記載されている金額を納税しますが、不動産売却時に納税通知書などを紛失し、税額が分からない方もいらっしゃるかもしれません。

そういった場合には、税務署やお住まいの市(区)役所などで確認しますと税額が分かります。

ですから、不動産売却時にご自身で税額を計算することはあまりないかもしれませんが、どうしてもご自身での算出が必要となった場合には、計算方法についてご確認ください。

まずは、固定資産税の計算方法からご説明致します。

固定資産税の計算方法

固定資産税は、「課税標準額」に定められている税率を乗じることで算出できます。

計算方法は下記のようになっております。

「税額 = 課税標準額 × 1.4%(標準税率)」

上記の算式で、固定資産税の税額を算出できます。

納税通知書が送られてきますので、計算が不要であることも多いのですが、不動産売却時に必要となりましたらこちらの算式で算出してください。

課税標準額につきましては、お手数をお掛け致しますが「課税標準額について」をご覧ください。

また、上記の「標準税率」は「地方税法(昭和25年法律第226号)第1条第1項第5項」にて下記のように定められております。

地方団体が課税する場合に通常よるべき税率でその財政上その他の必要があると認める場合においては、これによることを要しない税率をいい、総務大臣が地方交付税の額を定める際に基準財政収入額の算定の基礎として用いる税率とする。

上記のように大概の地方団体では固定資産税の算出時には「1.4%」の税率が用いられますが、例外もあるという点に注意が必要です。

ご自身で固定資産税を計算される際には、一度税率についてご確認ください。

都市計画税の計算方法

都市計画税は、「課税標準額」に定められている税率を乗じることで算出できます。

計算方法は下記のようになっております。

「税額 = 課税標準額 × 最高0.3%(制限税率)」

上記の算式で、都市計画税の税額を算出できます。

課税標準額につきましては、お手数をお掛け致しますが「課税標準額について」をご覧ください。

また、上記の「制限税率」とは、地方団体が条例で課税することのできる最高税率です。

この範囲内であれば、地方団体が自由に税率を決めて課税できます。

各地方団体によって税率が異なることも多いため、ご自身で都市計画税を計算される際には、一度税率についてご確認ください。

課税標準額について

上記の方法で各税額を算出できますが、中には「課税標準額」が不明である方もいらっしゃるのではないでしょうか?

課税標準額が不明である場合は、こちらもご自身で算出することができます。
(ただし、実際の課税標準額とは異なる可能性があるため、確実なのは税務署や市(区)役所に税額自体を確認する方法です)

下記の項目から課税標準額についてとその計算方法などについて記載しておりますので、計算が必要であれば参考にしてください。

課税標準額とは

固定資産税や都市計画税を算出するためには、「課税標準額」を調べる必要があります。

課税標準額は納税通知書に記載されておりますが、こちらを紛失された場合などは、ご自身で計算できます。

「課税標準額」は、「固定資産税評価額」と深く関係します。
(固定資産税、都市計画税共に固定資産税評価額が関係します)

固定資産税評価額は、原則として3年間価格を据え置かれます。

平成29年時点では、次に評価を見直すのは平成30年です。

この価格を見直す年度を「基準年度」、基準年度に価格を見直すことを「評価替え」といいます。

固定資産税評価額は、下記のもので調べることができます。
(固定資産税評価額をご自身で計算される場合は、お手数をお掛け致しますが「敷地の課税標準額」と「家屋の課税標準額」にあります「敷地の固定資産税評価額」と「家屋の固定資産税評価額」の項目をご覧ください)

課税明細書
課税明細書は、所有者の方の氏名、所有されている敷地や家屋の所在地、種類、構造、面積、その年度における評価額や課税標準額、税額などが記載されております。
課税明細書は、通常納税通知書と一緒に送られてきます。
ただし、課税明細書があるのであれば、課税標準額や税額が記載されておりますので、わざわざ評価額を調べて、そこから課税標準額を算出する必要はありません。
これらの書類を紛失された場合は、他の方法で固定資産税評価額を調べることになります(これらの書類は再発行できません)。
固定資産課税台帳(名寄帳)
固定資産課税台帳(名寄帳)は、所有者の方の氏名、所有されている敷地や家屋の所在地、種類、構造、面積、その年度における評価額や課税標準額、税額などが記載されております。
(一筆一棟ごとの「固定資産課税台帳」を所有者の方ごとにまとめたものが「名寄帳」です)
ただし、固定資産課税台帳(名寄帳)を閲覧できるのであれば、課税標準額や税額が記載されておりますので、こちらもわざわざ評価額を調べて、そこから課税標準額を算出する必要はありません。

なお、固定資産課税台帳は縦覧期間内であれば、市町村の役所などで縦覧できます。

縦覧期間外であれば、有料で発行してもらうことになります。

固定資産税課税台帳を閲覧できる方は、下記のような方々です。

【固定資産税課税台帳の縦覧及び閲覧対象者】
  • 納税義務者の方
  • 同居のご家族の方
  • 納税義務者からの委任状を受けた代理人の方
  • 相続人の方
  • 借地人の方
  • 借家人の方
など

縦覧を行うためには、運転免許証や保険証など本人と確認できるものが必要です。

納税管理人及び代理人の方は、上記の書類に加えて委任状が必要となります。

家屋は、特別に特例や減額措置を受けられた場合を除いて、通常「課税標準額」と「固定資産税評価額」は一致します。

敷地は、特別に特例や減額措置を受けられない場合でも、「課税標準額」と「固定資産税評価額」は一致しません。

敷地の「課税標準額」は、「固定資産税評価額」の他に「負担調整措置」を踏まえて算出します。

この影響により、敷地の場合には「課税標準額 = 固定資産税評価額」とはなりません。

次の項目から順次敷地と家屋の課税標準額についてご説明致しますので、そちらも併せてご覧ください。

固定資産税評価額の計算方法も併せてご説明致しますので、敷地や家屋の評価額の算出をご自身でされる場合もこちらをご覧ください。

なお、これからご紹介する計算方法は、特例や減額措置の適用を受けられない場合です。

特例や減額措置の適用を受けられた場合の計算方法などにつきましては、また後程ご説明致します。
(住宅用地につきましては、特例の適用要件上、下記の項目でも少し触れております)

敷地の課税標準額

敷地の課税標準額は、固定資産税評価額から負担調整措置を考慮して算出されます。

だたし、ご自身で計算される場合は、厳密な額を計算できない可能性があります。

それを考慮した上で、計算方法をご覧ください。

まずは、課税標準額の算出に必要となる敷地の固定資産税評価額についてご説明致します。

敷地の固定資産税評価額

敷地の固定資産税評価額は、地価公示価格から求められます。

地価公示価格とは、地価公示法(昭和44年法律第49号)に基づき、国土交通省が毎年1回公示する標準地(全国に定めた地点)の1m2あたりの価格のことです。

毎年1月1日時点で不動産鑑定士の方が推定し、その年の3月頃に国土交通省が公表します。
(地価公示価格は国土交通省のホームページ以外にも、各地域のホームページ、新聞などから確認できます)

敷地の固定資産税評価額は、この土地公示価格の7割程度となります。
(必ず7割となる訳ではありませんので、この点にはご注意ください)

敷地の固定資産税評価額

敷地の課税標準額は、上記の固定資産税評価額から更に負担調整措置を考慮して課税標準額を算出します。

下記の項目から負担調整措置について記載しておりますので、こちらも併せてご覧ください。

負担調整措置とは

「負担調整措置」とは、急な税負担の上昇を抑えるための措置です。

平成6年に敷地の固定資産税評価額は地価公示価格の7割を目途とすることが定められましたが、平成6年よりも前の評価額は国の地価公示価格よりもかなり低い価格となっておりました。

これでは急に税負担が増え、納税者の方に負担を与えてしまいます。

この急な税負担の上昇を緩和するために「負担調整措置」が適用されました。

負担調整措置により、平成6年度から緩やかに税負担が上昇するようになっております。

負担調整措置では、負担水準によって課税標準額の算出方法が異なります。

負担水準につきましては、次の項目にてご説明致します。

負担水準とは

「負担水準」とは、その敷地の評価額に対してどの程度まで課税標準が達しているかを示す数値です。

この数値をもとに敷地の課税標準額は決定されます。

負担水準の算出方法は、下記のようになっております。
(画像が小さい場合は、クリック又はタップで拡大できます)

負担水準の計算方法

上記の算式によって求められた数値によって、課税標準額の計算方法や負担調整率が異なります。

下記に計算方法や負担調整率について記載しておりますので、参考にしてください。

【負担水準による今年度課税標準額の計算方法】
非住宅用地(商業地等)
非住宅用地(商業地等)につきましては、下記のように算出します。
負担水準 課税標準額
70%を超える場合 新評価額 × 70%
60%以上70%以下の場合 前年度の課税標準額を据置
60%未満の場合 前年度課税標準額 + (新評価額 × 5%)

※上記額が「新評価額 × 60%」を上回る場合は「60%」まで引き下げ(「課税標準額 = 新評価額 × 60%」)、「新評価額 × 20%」を下回る場合は「20%」まで引き上げます(「課税標準額 = 新評価額 × 20%」)。
負担水準に基づいて、上記のように計算してください。
負担水準が「60%未満」である場合は、「前年度課税標準額 + (新評価額 × 5%)」で計算を行いますが、算出した金額が上記のようになった場合にはご注意ください。
住宅用地
住宅用地につきましては、下記のように算出します。
負担水準 今年度課税標準額
100%以上の場合 新評価額 × 住宅用地の特例率
100%未満の場合 前年度課税標準額 + (新評価額 × 住宅用地の特例率 × 5% )

※上記額が「新評価額 × 住宅用地の特例率」を上回る場合は「新評価額 × 住宅用地の特例率」が課税標準額となり、「新評価額 × 20%」を下回る場合は「20%」まで引き上げます(「課税標準額 = 新評価額 × 20%」)。
負担水準に基づいて、上記のように計算してください。
負担水準が「100%未満」である場合は、「前年度課税標準額 + (新評価額 × 住宅用地の特例率 × 5%)」で計算を行いますが、算出した金額が上記のようになった場合にはご注意ください。
なお、上記の「住宅用地の特例率」につきましては、「住宅用地に対する課税標準の特例」にて記載しております(特例ですので、後にご説明致します)。
農地
農地につきましては、下記の算式によって算出した額から、低いほうのものが課税標準額となります。
  • 「今年度の評価額」
  • 「前年度課税標準額 × 負担調整率」
負担調整率につきましては、下記のようになっております。
なお、下記は平成29年10月時点の情報となっておりますので、年度によって負担調整率が変わる可能性があります。
また、お住まいの地域によって負担調整率が異なる可能性もありますのでご注意ください。
負担水準 負担調整率
90%以上の場合 1.025
80%以上90%未満の場合 1.05
70%以上80%未満の場合 1.075
70%未満の場合 1.10

所有されている敷地の用途によって、上記のように算出してください

家屋の課税標準額

家屋の課税標準額は、一般的に固定資産税評価額と一致します。

ですから、固定資産税評価額をご存知であれば、そちらが課税標準額となります。

特に敷地の時のような負担調整措置もありません。

なお、固定資産税評価額につきましては、下記のようにして算出されます。

ご自身で計算される際には、こちらもご覧ください。

家屋の固定資産税評価額

家屋の固定資産税評価額は、敷地とは求め方が異なります。

家屋の固定資産税評価額は、「再建築価格方式」が採用されております。

「再建築価格方式」は、評価の時点において、評価の対象となった家屋と同一のものを同じ場所に新築した際に必要とされる建築費を求め、そこからその家屋が建築をされてからの経過年数分に応じた減価を考慮して評価額を求めます。

まず、新築家屋は下記のように計算します。
(画像が小さい場合は、クリック又はタップで拡大できます)

新築家屋の固定資産税評価額

各部分別の再建築費評点数
再建築費評点数は、評価対象の家屋と同一のものを評価の時点においてその場所に新築した場合に必要とされる建築費(1円を1点とします)のことです。
「標準評点数」「各種補正係数」「計算単位の数値」を用いて計算を行います。
上記3つにつきましては、下記にてご説明致します。
標準評点数
評点項目の区分ごとに標準量に対する工事原価を基礎として、基準年度の2年前の東京都の物価水準によって算出された費用です。
固定資産評価基準上の「工事原価」は、標準的な工事原価(資材費と労務費)となりますので、設計管理費などの費用は含まれておりません。
標準評価点数は、総務省の「固定資産評価基準(家屋)」の中の「再建築費評点基準表」に掲載されております。
再建築費評点基準表には、「木造家屋再建築費評点基準表」と「非木造家屋再建築費評点基準表」の2つがあります。
屋根、外壁、内壁、柱、基礎、床、設備など各部分に使われた建築資材の種類、施工量、程度などを実地調査し、その結果を構造別に定められた固定資産評価基準に照らし合わせて算出します。
各種補正係数
対象の家屋の実態に見合った評価の再建築費評点数を算出するために、各部分別に施工の状況に応じて標準評点数を補正する係数です。
こちらも標準評点数と同様に、総務省の「固定資産評価基準(家屋)」の中の「再建築費評点基準表」に掲載されております。
補正項目別に「増点補正率」及び「減点補正率」が示されておりますので、各項目の種類別にご確認ください。
計算単位の数値
標準評点数を適用する範囲であり、各部分で計算単位が異なります。
こちらも上記の2つと同様に、総務省の「固定資産評価基準(家屋)」の中の「再建築費評点基準表」に掲載されておりますので、各部分別の計算単位をご確認ください。
経年減点補正率
家屋の建築後の経過年数によって生ずる損耗の状況による減価などを補正する割合です。
家屋の構造や種類によって補正率が異なります。
残存価格として「2割」の価値を残すように設定されておりますので、古くなった家屋でも評価額が「0円」となることはありません。
需給事情による減点補正
需給事情による減点補正は、建築様式が著しく旧式となっている家屋や、所在地域の状況によりその価額が減少すると認められる家屋などが適用の対象となります。
これは一部の地域のみ乗じる補正ですので、計算時にこれを踏まえない家屋も多くあります。
各市町村により適用される家屋の状態などが異なりますので、計算時には要確認です。
評点1点当たりの価額
1円に「物価水準による補正率」と「設計管理費等による補正率」を乗じて算出された額です。

上記が、新築家屋の固定資産税評価額の計算方法となります。

次は、在来分家屋の計算方法をご紹介致します。

在来家屋分の固定資産税評価額は、下記のようにして算出してください。

「再建築価格 × 経年減点補正率」

在来分家屋の再建築価格
在来分家屋の固定資産税評価額を算出するためには、在来分家屋の再建築価格を計算する必要があります。
在来分家屋の再建築価格は、下記の算式によって求めます。
「在来分家屋の再建築価格 = 前基準年度の再建築価格 × 建築物価の変動割合」
経年減点補正率
新築家屋の計算方法にて記載されているものと同じです。

上記が在来分家屋の固定資産税評価額の計算方法となります。

このようにして計算できますが、幾つもの知識を要しますので、ご自身で算出するのは難しいかもしれません。

固定資産税と都市計画税の減額措置

上記までが、敷地と家屋の固定資産税評価額、特例や減額措置の適用を受けられていない場合(住宅用地につきましては特例について少し触れております)の課税標準額の求め方となります。

今度は、固定資産税や都市計画税を軽減する特例や減額措置についてご説明致します。

固定資産税と都市計画税には、幾つかの減額措置があります。

これらの特例や減額措置があるだけで大きく税額が変わりますので、不動産売却時にはこちらもご存知であるほうが無難です。

特に更地にしてからの売却をお考えの方は、税額の計算以外にも深く関わる点があります。

特例や減額措置についてご存知でない方は、参考にしてください。

税額を軽減する6つの減額措置

所有されている不動産が一定の要件を満たしていれば、固定資産税と都市計画税の税額を軽減することができます。

固定資産税と都市計画税の減額措置は主に下記の6つが挙げられます。
(市町村によって異なる場合がありますので、詳しくは市(区)役所や税務署などにご確認ください)

【6つの減額措置】
  1. 住宅用地に対する課税標準の特例
    (敷地の固定資産税と都市計画税が対象)
  2. 新築住宅に対する減額措置
    (家屋の固定資産税が対象)
  3. 認定長期優良住宅に対する固定資産税の減税措置
    (家屋の固定資産税が対象)
  4. 耐震改修住宅に伴う固定資産税の減額措置
    (家屋の固定資産税が対象)
  5. 住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置
    (家屋の固定資産税が対象)
  6. 住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置
    (家屋の固定資産税が対象)
各措置の減額対象
1 2 3 4 5 6
敷地の固定資産税 × × × × ×
敷地の都市計画税 × × × × ×
家屋の固定資産税 ×
家屋の都市計画税 × × × × × ×

これらの減額措置につきましては、後の項目から1つずつご説明致します。

なお、上記の「住宅用地に対する課税標準の特例」を受けられている場合、更地にしてから売却をすることで敷地の固定資産税が数倍に増えてしまいます。

買主の方が見つからないのであれば、ずっと増加した固定資産税を納税することとなりますので、特に長期間の売却を視野に入れていらっしゃる方は減額措置についてよくご確認ください。

それでは、まず上記のことも踏まえまして、「住宅用地に対する課税標準の特例」についてご説明致します。

住宅用地に対する課税標準の特例

「住宅用地に対する課税標準の特例」は、ご自宅を売却される際に深く関係します。

この特例を受けますと、住宅用地(居住の用に供している敷地)の固定資産税と都市計画税の税額が軽減されます。
(家屋の固定資産税と都市計画税は軽減されません)

詳しくは後にご説明致しますが、適用を受けている時と受けていない時では、税額が大きく異なります。

まずはこの特例の適用を受けるための適用要件についてご説明致しますので、詳しくご存知でない方はこちらからご確認ください。

適用要件

敷地の固定資産税と都市計画税の減額措置の中の1つに、「住宅用地に対する課税標準の特例」があります。

この特例は、住宅用地に適用されるものです。

住宅用地とは、賦課期日(1月1日)現在、次のいずれかに該当するものをいいます。

【住宅用地に対する課税標準の特例の適用要件】
  1. 専用住宅(専ら人の居住の用に供する家屋)の敷地の用に供されている土地で、その上に存在する家屋の総床面積の10倍までの土地
  2. 併用住宅(その一部を人の居住の用に供されている家屋で、その家屋の床面積に対する居住部分の割合が4分の1以上あるもの)の敷地の用に供されている土地のうち、その面積に下表の率を乗じて得た面積(住宅用地の面積がその上に存在する家屋の床面積の10倍を超えているときは、床面積の10倍の面積に下表の率を乗じた面積)に相当する土地
住宅用地の面積
家屋の種類 居住用部分の割合
下に掲げる家屋以外の家屋 1/4以上1/2未満 0.5
1/2以上 1.0
地上階数5以上を有する耐火建築物である家屋 1/4以上1/2未満 0.5
1/2以上3/4未満 0.75
3/4以上 1.0
※居住部分の割合 = 居住部分の床面積 / 家屋の総床面積

なお、賦課期日現在に住宅が存在しない土地、住宅を建築工事中の土地、分譲住宅地などの建設予定地は住宅用地になりません。

建替中の場合は、下記の要件を全て満たしていれば住宅用地となります。

【住宅を建替中の場合の適用要件】
  1. 当該土地が、当該年度の前年度に係る賦課期日において住宅用地であったこと。
  2. 当該土地において、住宅の建設が当該年度に係る賦課期日において着手されており、当該住宅が当該年度の翌年度に係る賦課期日までに完成するものであること。
  3. 住宅の建て替えが、建て替え前の敷地と同一の敷地において行われるものであること。
  4. 当該年度の前年度に係る賦課期日における当該土地の所有者と、当該年度に係る賦課期日における当該土地の所有者が、原則として同一であること。
  5. 当該年度の前年度に係る賦課期日における当該住宅の所有者と、当該年度に係る賦課期日における当該住宅の所有者が、原則として同一であること。

適用を受けた際の減額措置

「住宅用地に対する課税標準の特例」の適用を受けますと、下記の算式で課税標準額を算出します。

住宅用地に対する課税標準の特例率
区分 固定資産税課税標準額 都市計画税課税標準額
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200m2(住宅1戸×200m2)までの部分 固定資産税評価額 × 1/6 固定資産税評価額 × 1/3
一般住宅用地 小規模住宅用地の部分(住宅1戸×200m2)を超えて、家屋の床面積の10倍を超えない範囲 固定資産税評価額 × 1/3 固定資産税評価額 × 2/3

この特例率で算出された課税標準額が、税額を算出する際に使われます。

課税標準額が減少しますので、当然に納税する税額も減少します。

住宅用地とは、住宅用家屋(居住用の一戸建て・マンション、アパートなど)の敷地をさし、住宅用家屋の敷地と一体となっている庭や駐車場(自家用)が該当します。

アパートやマンションなどの共同住宅や2世帯住宅などのような1棟に複数世帯が居住する家屋の戸数を数える場合には、各戸に利用上の独立性と構造上の独立性が認められるかどうかによります。

上記を満たすためには、一般的に下記の要素を満たしている必要があります。

  1. 玄関、居室、台所、トイレが独立しており、共有でないこと(利用上の独立)
  2. 壁や扉などで居住空間が仕切られており、独立した構造となっていること(構造上の独立)

また、上記の要件上、更地にしてから売却されるのであれば、この特例は受けられません。

そうなりますと、売却前に敷地上に居住用家屋があり、この特例の適用を受けられている場合、翌年の敷地の固定資産税と都市計画税が数倍に増加してしまいます。

更地にしてから売却される際には、この点に注意が必要です。

特に長い期間売却をされる際には、将来的なことも考えた上で更地にしてください。

適用を受けるための申告方法

「住宅用地に対する課税標準の特例」の適用を受けるには、一定の場合は原則として申告が必要です。
(申告が必要な場合につきましては、お住まいの地域によって異なる可能性があります)

下記のような変更があった場合は、申告書により申請が必要です。

【住宅用地の認定に申告が必要となる場合】
  1. 住宅を新築(新築の場合は不要である地域もあります)又は増築した場合
  2. 住宅を建て替える場合
  3. 住宅の全部又は一部を取り壊した場合
  4. 家屋の全部又は一部の用途を変更した場合(例 店舗を住宅に変更等)
  5. 土地の用途(利用状況)を変更した場合(例 住宅の敷地を駐車場に変更等)
  6. 住宅が災害等の事由により滅失・損壊した場合

上記の場合には、所有者の方がお住まいの市(区)役所などの担当の課(資産税課や固定資産税課など)や税務所などに申告書を提出してください。

申告書を提出される際には、下記の書類が必要となる場合があります。
(お住まいの地域によって異なる可能性があるため、事前にご確認ください)

【併せて提出が必要となる書類】
  • 申告する土地の上に建っている家屋の敷地、駐車場、空地等 の位置や面積等が分かる図面の資料
  • 所有者の方のマイナンバーなどのように本人確認ができる書類

また、申告書の名称は、市町村によって異なります。

例えば、東京都主税局では「固定資産税の住宅用地等申告書」という名称になっております。

なお、上記「【住宅用地の認定に申告が必要となる場合】」の「6」に該当する場合、東京都主税局では「固定資産税の住宅用地等申告書」とは別の「固定資産税の被災住宅用地等申告書」で申請する必要があります。

申告期限は原則として「【住宅用地の認定に申告が必要となる場合】」の出来事が生じた年の翌年の1月31日までですが、上記「6」の場合は例外もあります。

こちらも市町村によって異なる可能性がありますので、事前にご確認ください。

住宅用地(200m2以下)と更地の計算例

「住宅用地に対する課税標準の特例」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

住宅用地が「200m2以下」の更地、住宅用地の場合の固定資産税と都市計画税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の不動産の固定資産税と都市計画税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」、不動産の負担水準は「100%以上」として計算しております。
(家屋の固定資産税と都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
敷地(土地)
の面積
170m2
敷地(土地)
の評価額
1,320万円
家屋(建物)
の面積
130m2
(一戸建て専用住宅)
家屋(建物)
の評価額
800万円
住宅用地の率 1.0(専用住宅)
適用範囲 上限面積 1,300m2以下
小規模住宅用地 200m2以下
一般住宅用地 200m2超 ~ 1,300m2以下

上記の上限面積についてですが、まず「130m2(家屋) × 10 = 1,300 m2」までが住宅用地として認められます。

このうち「200m2 × 1(住宅の戸数) = 200m2」に相当する部分までは小規模住宅用地として計算します。
(固定資産税課税標準額は「土地の評価額 × 1/6」、都市計画税課税標準額は「土地の評価額 × 1/3」となります)

「200m2超 ~ 1,300m2」までは一般住宅用地として計算します。
(固定資産税課税標準額は「土地の評価額 × 1/3」、都市計画税課税標準額は「土地の評価額 × 2/3」となります)

今回の条件では敷地の面積は「170m2」ですので、全ての面積分を小規模住宅用地として計算できます。

固定資産税の税額
計算式 税額
敷地
+
家屋
敷地 1,320万円 × 1/6 × 1.4% = 30,800円 142,800円
家屋 800万円 × 1.4% = 112,000円
更地 1,320万円 × 70% × 1.4% = 129,360円 129,360円
都市計画税の税額
計算式 税額
敷地
+
家屋
敷地 1,320万円 × 1/3 × 0.3% = 13,200円 37,200円
家屋 800万円 × 0.3% = 24,000円
更地 1,320万円 × 70% × 0.3% = 27,720円 27,720円

住宅用地(敷地)は「200m2以下」ですので、敷地の固定資産税は「固定資産税評価額 × 1/6 × 1.4%」、敷地の都市計画税は「固定資産税評価額 × 1/3 × 最高0.3%」となります。

上記の場合では、家屋の評価額の影響により、更地にしたほうが全体の税額は安いです。

敷地だけで比較しますと、更地にしたほうが固定資産税は「4.2倍」、都市計画税は「2.1倍」増加していると分かります。

住宅用地(200m2超)と更地の計算例

「住宅用地に対する課税標準の特例」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

住宅用地が「200m2超」の更地、住宅用地の場合の固定資産税と都市計画税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の不動産の固定資産税と都市計画税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」、負担水準は「100%以上」として計算しております。
(家屋の固定資産税と都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
敷地(土地)
の面積
230m2
敷地(土地)
の評価額
1,380万円
家屋(建物)
の面積
180m2
(一戸建て専用住宅)
家屋(建物)
の評価額
600万円
住宅用地の率 1.0(専用住宅)
適用範囲 上限面積 1,800m2以下
小規模住宅用地 200m2以下
一般住宅用地 200m2超 ~ 1,800m2以下

上記の上限面積についてですが、まず「180m2(家屋) × 10 = 1,800m2」までが住宅用地として認められます。

このうち「200m2 × 1(住宅の戸数) = 200m2」に相当する部分までは小規模住宅用地として計算します。
(固定資産税課税標準額は「土地の評価額 × 1/6」、都市計画税課税標準額は「土地の評価額 × 1/3」となります)

「200m2超 ~ 1,800m2」までは一般住宅用地として計算します。
(固定資産税課税標準額は「土地の評価額 × 1/3」、都市計画税課税標準額は「土地の評価額 × 2/3」となります)

今回の条件では敷地の面積は「230m2」ですので、「200m2」相当分の固定資産税と都市計画税は小規模住宅用地として計算できます。

残りの「30m2」相当分の固定資産税と都市計画税は、一般住宅用地として計算することになります。

固定資産税の税額
計算式と税額 税額
敷地
+
家屋
敷地 36,400円 120,400円
家屋 600万円 × 1.4% = 84,000円
更地 1,380万円 × 70% × 1.4% = 135,240円 135,240円
都市計画税の税額
計算式 税額
敷地
+
家屋
敷地 15,600円 33,600円
家屋 600万円 × 0.3% = 18,000円
更地 1,380万円 × 70% × 0.3% = 28,980円 28,980円
【特例適用時の税額】
課税対象となる課税標準額を計算します
各課税標準額は下記のようにして算出します。
小規模住宅用地(200m2以下)の課税標準額
固定資産税…1,380万円 × 200m2 / 230m2 × 1/6 = 2,000,000円
都市計画税…1,380万円 × 200m2 / 230m2 × 1/3 = 4,000,000円
一般住宅用地(200m2超)の課税標準額
固定資産税…1,380万円 × 30m2 / 230m2 × 1/3 = 600,000円
都市計画税…1,380万円 × 30m2 / 230m2 × 2/3 = 1,200,000円
特例措置適用後の固定資産税課税標準額
固定資産税…2,000,000円 + 600,000円 = 2,600,000円
都市計画税…4,000,000円 + 1,200,000円 = 5,200,000円
敷地の税額を計算します
固定資産税…2,600,000円 × 1.4% = 36,400円
都市計画税…5,200,000円 × 0.3% = 15,600円

このようにして税額を算出します。

上記の場合では、固定資産税は更地にしたほうが高いですが、都市計画税は更地にしたほうが安いです。

固定資産税と都市計画税を合算した金額は、家屋ありの場合は「154,000円」、更地の場合は「164,220円」ですので、前者のほうが全体的に安くなります。

敷地だけで比較しますと、更地にしたほうが固定資産税は「約3.7倍」、都市計画税は「約1.8倍」増加していると分かります。

住宅戸数が複数の場合の計算例

「住宅用地に対する課税標準の特例」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

上記2つとは異なり、併用住宅の場合の固定資産税と都市計画税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の不動産の固定資産税と都市計画税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」、負担水準は「100%以上」として計算しております。
(家屋の固定資産税と都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
敷地(土地)
の面積
1,600m2
敷地(土地)
の評価額
2億3,000万円
家屋(建物)
の種類
7階建ての店舗付き賃貸住宅30戸(耐火)
家屋(建物)
の面積
400m2
(店舗用部分)
900m2
(居住用部分)
家屋(建物)
の評価額
3,000万円
住宅用地の率 0.75
(地上階数5以上を有する耐火建築物である家屋で居住用部分の割合が1/2以上3/4未満)
適用範囲 上限面積 13,000m2以下
小規模住宅用地 6,000m2以下
一般住宅用地 6,000m2超 ~ 13,000m2以下
1,600m2のうち住宅用地となる面積 1,200m2

上記の上限面積についてですが、まず「1,300m2(家屋) × 10 = 13,000m2」までが住宅用地として認められます。

このうち「200m2 × 30(住宅の戸数) = 6,000m2」までは小規模住宅用地として計算します。
(固定資産税課税標準額は「土地の評価額 × 1/6」、都市計画税課税標準額は「土地の評価額 × 1/3」となります)

ただし、この不動産は併用住宅ですので、敷地全体が住宅用地とはなりません。

この不動産の住宅用地の面積は、「1,600m2 × 0.75 = 1,200m2」ですので、敷地「1,600m2」のうち「1,200m2」相当分までは住宅用地として計算できます。

小規模住宅用地となるのは「6,000m2」までですので、住宅用地である「1,200m2」は全て小規模住宅用地として計算できます。

残りの「400m2」相当分の固定資産税は、非住宅用地ですので、特例の適用は受けられません。

固定資産税の税額
計算式と税額 税額
敷地
+
家屋
敷地 966,000円 1,386,000円
家屋 3,000万円 × 1.4% = 420,000円
更地 2億3,000万円 × 70% × 1.4% = 2,254,000円 2,254,000円
都市計画税の税額
計算式 税額
敷地
+
家屋
敷地 293,250円 383,250円
家屋 3,000万円 × 0.3% = 90,000円
更地 2億3,000万円 × 70% × 0.3% = 483,000円 483,000円
【特例適用時の税額】
課税対象となる課税標準額を計算します
各課税標準額は下記のようにして算出します。
小規模住宅用地(6,000m2以下)の課税標準額
固定資産税…2億3,000万円 × 1,200m2 / 1,600m2 × 1/6 = 28,750,000円
都市計画税…2億3,000万円 × 1,200m2 / 1,600m2 × 1/3 = 57,500,000円
非住宅用地(400m2)の課税標準額
固定資産税…2億3,000万円 × 400m2 / 1,600m2 × 70% = 40,250,000円
都市計画税…2億3,000万円 × 400m2 / 1,600m2 × 70% = 40,250,000円
特例措置適用後の固定資産税課税標準額
固定資産税…28,750,000円 + 40,250,000円 = 69,000,000円
都市計画税…57,500,000円 + 40,250,000円 = 97,750,000円
敷地の税額を計算します
固定資産税…69,000,000円 × 1.4% = 966,000円
都市計画税…97,750,000円 × 0.3% = 293,250円

このようにして税額を算出します。

上記の場合では、更地にしたほうが固定資産税も都市計画税も高いです。

敷地だけで比較しますと、更地にしたほうが固定資産税は「約2.3倍」、都市計画税は「約1.6倍」増加していると分かります。

新築住宅に対する減額措置

「新築住宅に対する減額措置」は、新しく家屋を建築した際に適用を受けられます(一定の要件を満たしている必要があります)。

この減額措置を受けますと、床面積「120m2」までの部分について新築後3年度間(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度間)、居住の用に供している家屋の固定資産税の税額が軽減されます。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税に減額措置はありません)

まずはこの減額措置の適用を受けるための適用要件についてご説明致しますので、詳しくご存知でない方はこちらからご確認ください。

適用要件

家屋の固定資産税の減額措置の中の1つに、「新築住宅に対する減額措置」があります。

この減額措置は、新築住宅(新築の居住用財産)に適用されるものです。

減額対象となるのは、下記の要件を全て満たしている住宅となります。

【新築住宅の減額措置の適用要件】
  1. 平成17年1月2日~平成30年(2018年)の3月31日までに新築された住宅であること。
  2. 居住部分の床面積が当該家屋の床面積の2分の1以上であること。
  3. 一戸建ての場合は居住部分の床面積が50m2以上280m2以下であること(一戸建て以外の貸家住宅の場合は40m2以上280m2以下であること)。

上記の要件をまとめますと、下記のようになります。

適用対象となる期間 平成17年1月2日~平成30年3月31日
(上記の期間に新築で建てられた住宅)
一戸建て住宅 面積の要件 50m2以上280m2以下
減額される範囲 床面積120m2相当分まで1/2
共同貸家住宅
(アパートなど)
面積の要件 40m2以上280m2以下
減額される範囲 床面積120m2相当分まで1/2
併用住宅
(居住用部分が1/2以上)
面積の要件 50m2以上280m2以下
減額される範囲 居住用部分の床面積120m2相当分まで1/2
減額される期間 新築後3年度間
(3階建て以上の耐火・準耐火建築物は5年度間)

また、アパートなどの共同住宅やマンションなどの区分所有の住宅は、下記のようにして床面積を判定します。

【アパートやマンションなどの床面積の判定】
  1. 独立的に区画された居住部分の床面積に、廊下や階段などの共有部分の面積を按分し、加えた床面積
  2. 専有部分のうち居住部分の床面積に、廊下や階段などの共用部分の床面積を按分し、加えた床面積

上記の要件に該当する部分の面積が、減額の対象となります。

適用を受けた際の減額措置

「新築住宅に対する減額措置」の適用を受けますと、新築後3年度間(3階建て以上の中高層耐火住宅等は5年度間)家屋の固定資産税の「1/2」が減額されます。

「税額 = 家屋の固定資産税課税標準額 × 1.4% × 1/2」

この算式で算出された税額が、納税時に支払う金額となります。

なお、前項目でも触れておりますように、税額が「1/2」にされるのは「家屋1戸の居住用部分の床面積120m2相当分まで」です。

「120m2を超える部分」は通常の税額となりますので、この点にご注意ください。

適用を受けるための申告方法

「新築住宅に対する減額措置」の適用を受けるには、原則として申告が必要です。

所有者の方がお住まいの市(区)役所などの担当の課(資産税課や固定資産税課など)や税務所などに申告書を提出してください。

3階建て以上の耐火・準耐火建築物の場合は、下記の書類が必要です。
(お住まいの地域によって異なる可能性があるため、事前にご確認ください)

【3階建て以上の耐火・準耐火建築物申請時に必要な書類】
  • 建築確認申請書のコピー
  • 検査済証のコピー、または建築住宅性能評価書のコピー

また、申告書を提出される際には、下記の書類が必要となる場合があります。
(お住まいの地域によって異なる可能性があるため、事前にご確認ください)

【併せて提出が必要となる書類】
  • 軽減を受ける家屋の見取図(写)など
  • 所有者の方のマイナンバーなどのように本人確認ができる書類

なお、申告書の名称は、市町村によって異なります。

例えば、東京都主税局では「固定資産税減額申告書(新築住宅)」という名称になっております。

申告期限は原則として新築された翌年の1月31日(1月1日新築の場合はその年となる可能性があります)までですが、こちらも市町村によって異なる可能性がありますので事前にご確認ください。

適用時の計算例(120m2以下)

「新築住宅に対する減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「120m2以下」の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
110m2 700万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 700万円 × 1.4% × 1/2 = 49,000円 70,000円
都市計画税 700万円 × 0.3% = 21,000円
本来の
税額
固定資産税 700万円 × 1.4% = 98,000円 119,000円
都市計画税 700万円 × 0.3% = 21,000円

家屋の床面積は「120m2以下」ですので、家屋の固定資産税は「課税標準額 × 1.4% × 1/2」となります。

上記の場合では、「49,000円」が節税されます。

適用時の計算例(120m2超)

「新築住宅に対する減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「120m2超」の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
130m2 1,300万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 98,000円 137,000円
都市計画税 1,300万円 × 0.3% = 39,000円
本来の
税額
固定資産税 1,300万円 × 1.4% = 182,000円 221,000円
都市計画税 1,300万円 × 0.3% = 39,000円
【家屋の税額】
本来の税額を計算します
1,300万円 × 1.4% = 182,000円
減額される税額を計算します
182,000円 × 120m2 / 130m2 × 1/2 = 84,000円
家屋の固定資産税を計算します
182,000円 – 84,000円 = 98,000円

家屋の床面積は「120m2超」ですので、床面積「120m2以下」に相当する部分のみ「課税標準額 × 1.4% × 1/2」として計算します。

上記の場合では残りの「10m2」部分に相当する固定資産税の税額は、通常通り「課税標準額 × 1.4%」で計算します。

今回の場合では、「84,000円」が節税されます。

認定長期優良住宅に対する減額措置

「認定長期優良住宅に対する減額措置」は、新築で家屋を建築し、認定長期優良住宅の認定を受けた場合に適用を受けられます。

この減額措置の適用を受けますと、上記の「新築住宅に対する減額措置」の適用を受けられる期間が延期されます。

まずはこの減額措置の適用を受けるための適用要件についてご説明致しますので、詳しくご存知でない方はこちらからご確認ください。

適用要件

家屋の固定資産税の減額措置の中の1つに、「認定長期優良住宅に対する減額措置」があります。

この減額措置は、認定長期優良住宅に適用されるものです。

「新築住宅に対する減額措置」の適用要件に加えて、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律の規定に基づき認定された住宅」が対象となります。

「新築住宅に対する減額措置」の適用要件につきましては、お手数をお掛け致しますが、「新築住宅に対する減額措置」にあります「適用要件」の項目をご覧ください。

適用を受けた際の減額措置

「認定長期優良住宅に対する減額措置」の適用を受けますと、新築後5年度間(3階建て以上の中高層耐火住宅等は7年度間)家屋の固定資産税の「1/2」が減額されます。
(「新築住宅に対する減額措置」の減額期間が2年延長されるとお考えください)

「税額 = 家屋の固定資産税課税標準額 × 1.4% × 1/2」

この算式で算出された税額が、実際に納税時に支払う金額となります。

なお、税額が「1/2」にされるのは「家屋1戸の居住用部分の床面積120m2相当分まで」です。

「120m2を超える部分」は通常の税額となりますので、この点にご注意ください。

適用を受けるための申告方法

「認定長期優良住宅に対する減額措置」の適用を受けるには、原則として申告が必要です。

所有者の方がお住まいの市(区)役所などの担当の課(資産税課や固定資産税課など)や税務所などに申告書を提出してください。

申告書を提出される際には、下記の書類が必要です。
(お住まいの地域によって異なる可能性があるため、事前にご確認ください)

【併せて提出が必要となる書類】
  • 長期優良住宅の認定通知書の写し
  • 所有者の方のマイナンバーなどのように本人確認ができる書類

なお、申告書の名称は、市町村によって異なります。

例えば、東京都主税局では「固定資産税減額申告書(認定長期優良住宅)」という名称になっております。

申告期限は原則として新築された翌年の1月31日(1月1日新築の場合はその年となる可能性があります)までですが、こちらも市町村によって異なる可能性がありますので事前にご確認ください。

適用時の計算例

「認定長期優良住宅に対する減額措置」の適用を受けた場合は、居住部分の「120m2」に相当する家屋の固定資産税を「1/2」に減額します。

こちらは減額措置自体が「新築住宅に対する減額措置」にあります「適用時の計算例(120m2以下)」と「適用時の計算例(120m2超)」と同様ですので、お手数をお掛け致しますがそちらをご覧ください。

耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置

「耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置」は、既存住宅について耐震改修を行った場合に適用を受けられます(一定の要件を満たしている必要があります)。

この減額措置を受けますと、家屋の固定資産税が軽減されます。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税に減額措置はありません)

まずはこの減額措置の適用を受けるための「耐震改修住宅」についてご説明致しますので、こちらからご確認ください。

適用範囲の耐震改修住宅とは

固定資産税の減額措置の中の1つに、「耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置」があります。

この減額措置は、耐震改修住宅に適用されるものです。

減額対象となるのは、下記の要件を全て満たしている住宅となります。

【耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置の適用要件】
  1. 昭和57年1月1日以前から存する住宅であること 。
  2. 昭和56年6月1日施行の建築基準法に基づく耐震基準に適合する改修工事であること 。
  3. 平成30年3月31日までの間に完了した工事であること。
  4. 耐震改修工事等に要した費用が1戸50万円超であること 。

なお、適用要件につきましては、お住まいの市町村によって異なる場合があります。

適用をお考えの際には、よくお住まいの市町村の要件をご確認ください。

適用を受けた際の減額措置

「耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置」の適用を受けますと、床面積「120m2」相当分までの家屋の固定資産税の「1/2」を減額します。
(長期優良住宅に認定されている場合、「2/3」を減額します)

「税額 = 家屋の固定資産税課税標準額 × 1.4% × 1/2」

この算式で算出された税額が、納税時に支払う金額となります。

減額される期間につきましては、お住まいの市町村によって異なります。

工事が完了した年の翌年度分のみという場合もあれば、翌年から3年度間という場合もあります。

中には工事が完了した年度によって、減額される期間が異なる市町村もあります。
(工事完了年が平成18年~21年月日であれば3年度間、平成22年~24年月日であれば2年度間などのように異なります)

この減額措置の適用をお考えの際には、事前に内容についてご確認ください。

適用を受けるための申告方法

「耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置」の適用を受ける場合には、原則として申告が必要です。

所有者の方がお住まいの市(区)役所などの担当の課(資産税課や固定資産税課など)や税務所などに申告書を提出してください。

申告書を提出される際には、下記の書類が必要です。
(お住まいの地域によって異なる可能性があるため、事前にご確認ください)

【併せて提出が必要となる可能性のある書類】
  • 建築士(建築士の免許証のコピーなどが必要な場合あり)、登録住宅性能評価機関等が発行した証明書(耐震基準適合証明書)
  • 耐震改修工事に係る明細書(当該改修工事の内容及び費用の確認ができるもの)
  • 改修工事箇所の写真
  • 改修図面、配置図などの写し
  • 領収書の写し
  • 長期優良住宅に認定されている場合は認定長期優良住宅であることを証する証明書(写し)
  • 所有者の方のマイナンバーなどのように本人確認ができる書類

また、申告書の名称は、市町村によって異なります。

例えば、東京都主税局では「固定資産税減額申告書兼減免申請書(耐震基準適合住宅)」という名称になっております。

申告期限は工事完了後3ヶ月以内とする市町村が多いですが、市町村によって異なる可能性がありますので事前にご確認ください。

適用時の計算例(120m2以下)

「耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「120m2以下」の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
100m2 1,000万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 1,000万円 × 1.4% × 1/2 = 70,000円 100,000円
都市計画税 1,000万円 × 0.3% = 30,000円
本来の
税額
固定資産税 1,000万円 × 1.4% = 140,000円 170,000円
都市計画税 1,000万円 × 0.3% = 30,000円

家屋の床面積は「120m2以下」ですので、家屋の固定資産税は「課税標準額 × 1.4% × 1/2」となります。

上記の場合では、「70,000円」が節税されます。

適用時の計算例(120m2超)

「耐震改修住宅に係る固定資産税の減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「120m2超」の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
180m2 2,100万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 196,000円 259,000円
都市計画税 2,100万円 × 0.3% = 63,000円
本来の
税額
固定資産税 2,100万円 × 1.4% = 294,000円 357,000円
都市計画税 2,100万円 × 0.3% = 63,000円
【家屋の税額】
本来の税額を計算します
2,100万円 × 1.4% = 294,000円
減額される税額を計算します
294,000円 × 120m2 / 180m2 × 1/2 = 98,000円
家屋の固定資産税を計算します
294,000 – 98,000円 = 196,000円

家屋の床面積は「120m2超」ですので、床面積「120m2以下」に相当する部分のみ「課税標準額 × 1.4% × 1/2」として計算します。

上記の場合では残りの「60m2」部分に相当する固定資産税の税額は、通常通り「課税標準額 × 1.4%」で計算します。

今回の条件では、「98,000円」が節税されます。

住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置

「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」は、既存住宅についてバリアフリー改修を行った場合に適用を受けられます(一定の要件を満たしている必要があります)。

この減額措置を受けますと、家屋の固定資産税が軽減されます。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税に減額措置はありません)

まずはこの減額措置の適用を受けるための適用要件についてご説明致しますので、こちらからご確認ください。

適用要件

固定資産税の減額措置の中の1つに、「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」があります。

この減額措置は、既存住宅にバリアフリー改修を行った際に適用されるものです。

減額対象となるのは、下記の要件を全て満たしている住宅となります。

【住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置の適用要件】
居住者の要件について
この減額措置を受けるためには、改修した家屋に次のいずれかに該当する方が申告時に居住されている必要があります。
  • 65歳以上の方
  • 要介護認定又は要支援認定を受けている方
  • 障がいのある方
バリアフリー改修を行う家屋について
この減額措置を受けるためには、改修した家屋について次の要件を満たしている必要があります。
  • 平成19年4月1日~平成30年3月31日までの間に一定の改修工事が行われたものであること。
  • 新築された日から10年以上経過した住宅であること。
  • 床面積が50m2以上であること。
  • 専用住宅や併用住宅(居住部分の割合が1棟全体の1/2以上)であること(賃貸住宅を除く)。
バリアフリー改修の工事について
この減額措置を受けるためには、次の工事で改修に要した費用が1戸あたり50万円を超えている必要があります。
ただし、国や地方公共団体からの補助金などを受けた場合、それを除いて自己負担額が50万円を超えなくてはいけません。
また、平成25年3月31日までに、バリアフリー改修工事にかかる契約を締結している場合は30万円以上で減額措置を受けられる場合があります。
  • 廊下の拡幅
  • 階段の勾配の緩和
  • 浴室の改良
  • 便所の改良
  • 手すりの取付け
  • 床の段差の解消
  • 引き戸への取替え
  • 床表面の滑り止め化

なお、適用要件につきましては、お住まいの市町村によって異なる場合があります。

適用をお考えの際には、よくお住まいの市町村の要件をご確認ください。

適用を受けた際の減額措置

「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けますと、居住部分の床面積「100m2」相当分までの家屋の固定資産税の「1/3」が減額されます。

「税額 = 家屋の固定資産税課税標準額 × 1.4% × 2/3」
「減額される税額 = 家屋の固定資産税課税標準額 × 1.4% × 1/3」

この算式で算出された税額が、納税時に支払う金額となります。

減額される期間につきましては、工事が完了した年の翌年度分のみです。
(適用をお考えの際には、必ず市町村のホームページなどで確認してください)

なお、以前にこの特例の適用を受けられている場合や、他の特例(耐震改修住宅に伴う固定資産税の減額措置や新築住宅に対する減額措置など)と同時に適用を受けられない場合があります。

この点につきましても、事前にご確認ください。

適用を受けるための申告方法

「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けるには、原則として申告が必要です。

所有者の方がお住まいの市(区)役所などの担当の課(資産税課や固定資産税課など)や税務所などに申告書を提出してください。

申告書を提出される際には、下記の書類が必要です。
(お住まいの地域によって異なる可能性があるため、事前にご確認ください)

【併せて提出が必要となる可能性のある書類】
  1. 居住者の要件に応じた書類

    • 65歳以上の方…住民票の写し
    • 要介護認定者の方又は要支援認定を受けている方…介護保険の被保険者証の写し
    • 障がいのある方…障がい者手帳などの写し
  2. 工事費明細書の写し
  3. 改修工事の領収書写し
  4. 改修箇所の図面及び写真(改修前・後)
  5. 建築士、登録住宅性能評価機関等が発行した改修工事が行われたことを証する書類
  6. 補助金等を受給されている場合は、その支給及び交付決定通知書の写し
  7. 所有者の方のマイナンバーなどのように本人確認ができる書類
  8. 情報提供に関する同意書

また、申告書の名称は、市町村によって異なります。

例えば、東京都主税局では「固定資産税減額申告書(高齢者等居住改修住宅等)」という名称になっております。

申告期限は工事完了後3ヶ月以内とする市町村が多いですが、市町村によって異なる可能性がありますので事前にご確認ください。

適用時の計算例(100m2以下)

「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「100m2以下」の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
90m2 720万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 720万円 × 1.4% × 2/3 = 67,200円 88,800円
都市計画税 720万円 × 0.3% = 21,600円
本来の
税額
固定資産税 720万円 × 1.4% = 100,800円 122,400円
都市計画税 720万円 × 0.3% = 21,600円

家屋の床面積は「100m2以下」ですので、家屋の固定資産税は「課税標準額 × 1.4% × 2/3」となります。

上記の場合では、「720万円 × 1.4% × 1/3 = 33,600円」が節税されます。

適用時の計算例(100m2超)

「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「100m2超」の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
125m2 1,380万円

上記の条件では、下記のように税額が算出をできます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 141,680円 183,080円
都市計画税 1,380万円 × 0.3% = 41,400円
本来の
税額
固定資産税 1,380万円 × 1.4% = 193,200円 234,600円
都市計画税 1,380万円 × 0.3% = 41,400円
【家屋の税額】
本来の税額を計算します
1,380万円 × 1.4% = 193,200円
減額される税額を計算します
193,200 × 100m2 / 125m2 × 1/3 = 51,520円
家屋の固定資産税を計算します
193,200円 – 51,520円 = 141,680円

家屋の床面積は「100m2超」ですので、床面積「100m2以下」に相当する部分の固定資産税のみ「1/3」減額されます。

上記の場合では残りの「25m2」部分に相当する固定資産税の税額は、通常通り「課税標準額 × 1.4%」で計算します。

上記の場合では、「51,520円」が節税されます。

住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置

「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」は、既存住宅について省エネ改修を行った場合に適用を受けられます(一定の要件を満たしている必要があります)。

この減額措置を受けますと、家屋の固定資産税が軽減されます。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税に減額措置はありません)

まずはこの減額措置の適用を受けるための適用要件についてご説明致しますので、こちらからご確認ください。

適用要件

固定資産税の減額措置の中の1つに、「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」があります。

この減額措置は、既存住宅に省エネ改修を行った際に適用されるものです。

減額対象となるのは、下記の要件を全て満たしている住宅となります。

【住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置の適用要件】
省エネ改修を行う家屋について
この減額措置を受けるためには、改修した家屋について次の要件を満たしている必要があります。
  • 平成20年4月1日~平成30年3月31日(認定長期優良住宅の場合は平成29年4月1日~平成30年3月31日)までの間に一定の改修工事が行われたものであること。
  • 平成20年1月1日以前から所在している住宅であること。
  • 床面積が50m2以上であること。
  • 専用住宅や併用住宅(居住部分の割合が1棟全体の1/2以上)であること(賃貸住宅を除く)。
省エネ改修の工事について
この減額措置を受けるためには、次の工事で改修に要した費用が1戸あたり50万円を超えている必要があります(改修部位がいずれも現行の省エネ基準相当に新たに適合することが必要です)。
ただし、国や地方公共団体からの補助金などを受けた場合、それを除いて自己負担額が50万円を超えなくてはいけません。
また、平成25年3月31日までに、省エネ改修工事にかかる契約を締結している場合は30万円以上で減額措置を受けられる場合があります。
  1. 窓の断熱改修工事(複層ガラス化など)※必須工事
  2. 床の断熱改修工事
  3. 天井の断熱改修工事
  4. 壁の断熱改修工事

なお、適用要件につきましては、お住まいの市町村によって異なる場合があります。

適用をお考えの際には、よくお住まいの市町村の要件をご確認ください。

適用を受けた際の減額措置

「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けますと、居住部分の床面積「120m2」相当分までの家屋の固定資産税の「1/3」が減額されます。
(長期優良住宅に認定されている場合、「2/3」が減額されます)

「税額 = 家屋の固定資産税課税標準額 × 1.4% × 2/3」
「減額される税額 = 家屋の固定資産税課税標準額 × 1.4% × 1/3」

この算式で算出された税額が、納税時に支払う金額となります。

減額される期間につきましては、工事が完了した年の翌年度分のみです。
(適用をお考えの際には、必ず市町村のホームページなどで確認してください)

なお、以前にこの特例の適用を受けられている場合や、他の特例(耐震改修住宅に伴う固定資産税の減額措置や新築住宅に対する減額措置など)と同時に適用を受けられない場合があります。

この点につきましても各市町村によって異なりますので、事前にご確認ください。

適用を受けるための申告方法

「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けるには、原則として申告が必要です。

所有者の方がお住まいの市(区)役所などの担当の課(資産税課や固定資産税課など)や税務所などに申告書を提出してください。

申告書を提出される際には、下記の書類が必要です。
(お住まいの地域によって異なる可能性があるため、事前にご確認ください)

【併せて提出が必要となる可能性のある書類】
  1. 増改築等工事証明書(平成29年3月31日までに改修工事が完了した場合は、熱損失防止改修工事証明書)のような建築士・指定確認検査機関又は登録住宅性能評価機関による証明書
  2. 平成29年3月31日までに改修工事を行った場合は、省エネ改修工事に要した費用を証する書類
  3. 工程表や施工業者の証明などのような工事完了日が確認できる書類
  4. 改修箇所の図面及び写真(改修前・後)
  5. 長期優良住宅の認定を受けて改修工事を行った場合は、長期優良住宅の認定を受けて改修されたことを証する書類
  6. 補助金等を受給されている場合は、その支給及び交付決定通知書の写し
  7. 所有者の方のマイナンバーなどのように本人確認ができる書類
  8. 改修前の床面積が50m2未満であった場合は、改修後の寸法が記載された家屋平面図
  9. 併用住宅の場合、居住部分とそれ以外の部分の床面積が確認できる建物図面

また、申告書の名称は、市町村によって異なります。

例えば、東京都主税局では「固定資産税減額申告書(熱損失防止改修住宅等)」という名称になっております。

申告期限は工事完了後3ヶ月以内とする市町村が多いですが、市町村によって異なる可能性がありますので事前にご確認ください。

適用時の計算例(120m2以下)

「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「120m2」以下の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
110m2 1,410万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 1,410万円 × 1.4% × 2/3 = 131,600円 173,900円
都市計画税 1,410万円 × 0.3% = 42,300円
本来の
税額
固定資産税 1,410万円 × 1.4% = 197,400円 239,700円
都市計画税 1,410万円 × 0.3% = 42,300円

家屋の床面積は「120m2以下」ですので、家屋の固定資産税は「課税標準額 × 1.4% × 2/3」となります。

上記の場合では、「1,410万円 × 1.4% × 1/3 = 65,800円」が節税されます。

適用時の計算例(120m2超)

「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」の適用を受けた際の計算例をご紹介致します。

床面積が「120m2超」の場合の家屋の固定資産税を計算致しますので、参考にしてください。

今回は下記の家屋の固定資産税を計算致します。

都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は軽減されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
140m2 1,320万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 132,000円 171,600円
都市計画税 1,320万円 × 0.3% = 39,600円
本来の
税額
固定資産税 1,320万円 × 1.4% = 184,800円 224,400円
都市計画税 1,320万円 × 0.3% = 39,600円
【家屋の税額】
本来の税額を計算します
1,320万円 × 1.4% = 184,800円
減額される税額を計算します
184,800円 × 120m2 / 140m2 × 1/3 = 52,800円
家屋の固定資産税を計算します
184,800円 – 52,800円 = 132,000円

家屋の床面積は「120m2超」ですので、床面積「120m2以下」に相当する部分の固定資産税のみ「1/3」減額されます。

上記の場合では残りの「20m2」部分に相当する固定資産税の税額は、通常通り「課税標準額 × 1.4%」で計算します。

上記の場合では、「52,800円」が節税されます。

複数の減額措置適用時の計算例

「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」は、「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」と同時適用ができます。

この2つの減額措置の適用を受けますと、固定資産税の計算方法が少し複雑になります。

まず、「住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置」は、翌年の一戸当たり「100m2」相当分までの家屋の固定資産税を「1/3」減額します。

次に、「住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置」は、翌年の一戸当たり「120m2」相当分までの家屋の固定資産税を「1/3」減額します。

上記のようになりますので、同時適用する場合、「100m2」相当分までは「2/3」を減額し、「100m2~120m2」相当分は「1/3」を減額します。

下記に計算例を記載しておりますので、同時適用をお考えの方はこちらをご覧ください。

なお、都市計画税の税率は「0.3%」として計算しております。
(敷地の固定資産税と都市計画税、家屋の都市計画税は減額されません)

計算をする条件
床面積 課税標準額
家屋
(建物)
150m2 1,620万円

上記の条件では、下記のように税額が算出できます。

家屋の税額
計算式 税額
適用時
の税額
固定資産税 115,920円 164,520円
都市計画税 1,620万円 × 0.3% = 48,600円
本来の
税額
固定資産税 1,620万円 × 1.4% = 226,800円 275,400円
都市計画税 1,620万円 × 0.3% = 48,600円
【家屋の税額】
本来の税額を計算します
1,620万円 × 1.4% = 226,800円
100m2までの減額される税額を計算します(住宅のバリアフリー改修に伴う固定資産税の減額措置で減額される税額を計算します)
226,800円 × 100m2 / 150m2 × 1/3 = 50,400円
120m2までの減額される税額を計算します(住宅の省エネ改修工事に伴う固定資産税の減額措置で減額される税額を計算します)
226,800円 × 120m2 / 150m2 × 1/3 = 60,480円
120m2までの減額される税額を計算します
50,400円 + 60,480円 = 110,880円
家屋の固定資産税を計算します
226,800円 – 110,880円 = 115,920円

同時に適用を行う場合、それぞれの減額措置により減額される税額を算出する必要があります。

計算ができましたら、本来の税額から減額される分の金額を差し引くことで、納税する金額が算出できます。

上記の場合では、2つの減額措置の減額分を合わせて「110,880円」が節税されます。

まとめ

不動産を売却される際には、固定資産税と都市計画税についても注意が必要です。

売却された不動産の固定資産税と都市計画税につきましては、売主の方と買主の方の所有日数や月数に応じて、お互いが負担することが多いです。

その際には、事前に売主の方と買主の方で、負担額について話し合いをする必要があります。

ただし、不動産の固定資産税と都市計画税の納税義務者は、1月1日時点の所有者の方ですので、売主の方となることが殆どです。

なお、固定資産税や都市計画税の税額が不明である場合、税額はお住まいの市(区)役所や税務署などで確認できますが、ご自身でも計算可能です。

その際には、下記の算式で計算してください。
(税率はお住まいの地域によって異なる場合があり、事前にご確認ください)
固定資産税…「課税標準額 × 1.4%」
都市計画税…「課税標準額 × 0.3%」

また、不動産の種類によって固定資産税と都市計画税には減額措置があり、税額を計算する際や売却の計画(更地にするかどうかや期間など)を立てる際には、これらを考慮しなくてはいけません。

不動産を売却される際には、これらの点にもご注意ください。

 - 不動産売却時の固定資産税, 不動産売却時の注意点