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不動産売却益や譲渡価値を高める8つのリフォームと経費の計上

      2024/04/17

不動産を売却される際には、その売却益が上がるように対策を行う場合が殆どです。

不動産の売却価格自体は、売主の方が自由に決めることができます。

自由に価格を決められるといっても、元の不動産の価値と見合わない程に高額にしてしまっては意味がありません。

なるべく高い価格で売却したいとお考えの場合、不動産自体の価値を高めることが必要です。

不動産の価値を高める方法はそれぞれですが、その中の1つとしてリフォームを行うという手段もあります。

売却前に不動産のリフォームをご検討の場合には、リフォームに関する知識をお持ちになることが重要です。

リフォームを行うことで不動産自体は綺麗になりますが、それでも不動産の売却価格が向上しないこともあります。

こういった事態になってしまうのは、多くの場合、間違ったリフォームを行ってしまうことが原因です。

またせっかく不動産の譲渡価値が上がったとしても、それだけでは不動産売却益が最大になったとは言えません。

後の取得費や譲渡費用に費用を余さず計上されることも、売却益を高める重要な事項です。

取得費や譲渡費用に費用を計上される際には、どのようなリフォーム代金が取得費や譲渡費用となるのかを把握されることが必要です。

このページでは、こういった不動産をリフォームした際の譲渡価値や経費に関する情報についてご説明致します。

目次

リフォームとリノベーションの違い

不動産に何かしろの工事を行う際には、
「リフォーム」や
「リノベーション」
などといった言葉を聞くことも多くあります。

現在は、両者の言葉に対して厳密な定義や線引きはありませんが、本来はそれぞれ異なる意味合いを持ちます。

この項目では、リフォームとリノベーションの違いについてご説明致しますが、必ずこのような意味合いだけで言葉が使われる訳ではありません。

人によっては、リフォームに該当する工事をリノベーションと言ったり、
リノベーションに該当する工事をリフォームと言ったりすることもあります。

不動産の売買取引の際にも、売主の方と買主の間で、これらの解釈が全く異なってしまうこともあります。

不動産売買の際には、売主の方と買主の方の間で、リフォームとリノベーションの解釈について改めて確認をされることが大切です。

リフォームに分類される工事

住宅などの建物に何かしろの工事をされた際には、リフォームという言葉が使われることがあります。

リフォーム(reform)とは元々は英語であり、「悪い状態のものを矯正や改良などして修正する」という意味で使われます。

この意味合いから行くと、リフォームというのは建物の

  • 壊れている
  • 汚れている
  • 老朽化している

部分などを直したり、綺麗にしたり、新しくしたりすることを指すということになります。

マイナスの状態のものをゼロの状態に戻したり、機能回復をしたりするための「小規模な住まいの改修工事」がリフォームに該当すると言うと分かりやすいかもしれません。

【リフォームに該当する工事の一例】

  • クロスの張り替え
  • 壁紙の張り替え
  • 外装の塗装の修繕
  • キッチン設備の変更
など

なお、ここで注意が必要なのは、リフォームは必ずしも上記のような意味合いだけで使われるとは限らないという点です。

どちらかというと、
マイナス状態のものをゼロの状態に戻す機能回復のために行われる「住まいの改修工事」
にリフォームという言葉が使われることが多いのは事実ですが、
建物の大規模な間取りの変更や増築・新しい設備を追加・元の性能や機能を超える改善などの「住まいの改修全般」
にリフォームという言葉が使われることもあります。

不動産に改修や増築などの工事を行われた上で売却をされる際には、これらの解釈の違いに注意をしておくとお互いに誤解を防止しやすくなります。

リノベーションに分類される工事

リフォームは、主に建物などに小規模な工事や修復が行われる際に使われる言葉だということは既に記載致しました。

リノベーションは、リフォームとは少々異なった意味合いで使われるのが一般的です。

元々リノベーションという言葉自体も、リフォームと同じように「修理」「改造」「修復」などの意味を持っております。

他にも「刷新」「改革」といった意味を指すこともあり、パッと見るとリフォームと似ている印象を受けます。

この両者の線引きは曖昧な場合も多いですが、厳密には建物に施した工事の規模で分別されるのが一般的です。

リフォームが、主に建物などに小規模な工事や修復が行われた際に使われるのに対し、
リノベーションは多くの場合、既存の建物の性能を新築の状態よりも向上させたり、価値を高めたりするなどの大規模な工事が行われた際に使われます。

マイナスの状態のものをゼロの状態に戻すのではなく、プラスで新たな機能を追加されるための工事がリノベーションに該当すると言うと分かりやすいかもしれません。

【リノベーションに該当する工事の一例】

  • 給排水・電気・ガスの配管などを全面的に刷新する
  • 耐久性や耐震性を高めるために壁の補修を行う
  • 建物に大規模な工事が必要になる程デザインや間取りを変える
  • 建物に増築や改築などの大規模な改変を行う
など

人によっては、リノベーションに該当する工事なども全てひっくるめて「リフォーム」と言う方もいらっしゃいます。

建物にリノベーションを行われた上で売却される際にも、リフォームの場合と同様に、その意味合いについて買主の方と確認をしておくと後に誤解などが生じにくくなります。

不動産をリフォームした際の取得費

不動産を
「リフォーム」
「リノベーション」
された際の費用は、高額となることも珍しくありません。

これらの費用は、後に不動産の取得費として計上できる可能性があります。

元々取得費とは、不動産売却後に納付が必要な譲渡税を計算する際に必要なものです。

不動産売却後の譲渡税の額は、実際の売却価格から取得費などの費用を差し引いた金額に、定められた税率を掛けて計算をします。

取得費に各費用を計上されることは、不動産売却の手取り金額を高めることに繋がります。

リフォームやリノベーションの際に掛かった費用の内、取得費となる費用とそうでない費用の判定は重要です。

もしも各費用の計上を間違われてしまうと、後に確定申告の内容などを修正する必要が出てきます。

スムーズに手続きを終えるためには、最初から間違いがないように費用などの把握をしておくことが必要です。

取得費に計上できる費用の例につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却される際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「取得費として計上できる費用」の項目をご覧ください。

上記の内容に加えて、今回はリフォーム、リノベーションをされた際の取得費について詳しくご説明致します。

売却後に取得費となる経費

不動産を売却された際に取得費となるのは、主にその不動産を取得するために要した費用などです。

本来取得費には「その不動産の維持管理費に要した費用」などは含まれないのが通常です。

しかし、リフォームやリノベーションは不動産に増改築などの大きな工事を行うこともあります。

これは不動産の価値を上げる行為であることに変わりはなく、建物を追加で購入したと同じような扱いになると考えられます。

建物を追加で購入したという扱いとなるということは、掛かった費用は不動産の取得に要した費用ということになり、そのリフォーム、リノベーションの代金は取得費ということになります。

これらの費用を取得費に計上される際には、元の工事費から「減価償却費」を差し引いた金額となりますのでご注意ください。

【減価償却費の計算式】
建物などの購入金額など × 0.9 × 償却率 × 経過年数

計算式の経過年数は、
「6ヶ月以上の端数は切り上げ」
「6ヶ月未満の端数は切り捨て」
て算入をします。

【例】

経過年数が3年3ヶ月の場合
今回は経過年数の端数が「3ヶ月」であるため、「6ヶ月未満」の端数に該当します。
6ヶ月未満の端数は切り捨てとなりますので、この場合の経過年数は「3年」となります。
経過年数が3年6ヶ月の場合
今回は経過年数の端数が「6ヶ月」であるため、「6ヶ月以上」の端数に該当します。
6ヶ月以上の端数は切り上げとなりますので、この場合の経過年数は「4年」となります。

耐用年数が過ぎた建物の減価償却費を計算される場合には、「建物などの購入金額など×5%」となります。

詳しい減価償却費の計算方法や償却率などにつきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却した時に売却益の計算に必要になる減価償却」の記事にあります「建物の減価償却費の償却方法」の項目をご覧ください。

次の項目では、実際にリフォームなどを行われた際の取得費の計算例などについてご説明致します。

リフォーム時の取得費の計算例

不動産のリフォーム費用を取得費に計上される際には、減価償却が必要になるということは既に記載致しました。

減価償却が必要になるのは、建物など経過年数によりその価値が下がるとみなされるものとなります。

その影響で土地などに掛かった工事費に関しましては、減価償却の対象とはならないのが一般的です。

今回ご紹介致します計算例は、建物部分などをリフォーム、リノベーションされた際の取得費の計算方法になります。

【取得費の計算例】
平成13年3月に土地「2,000万円」、木造の一戸建て(耐用年数が過ぎていない非事業用、非業務用不動産)を「1,000万円」で購入し、その後にリフォームを行いました。
1度目は平成18年4月に「300万円」、2度目は平成23年11月に「130万円」掛かり、この不動産を平成29年3月に売却しました。

上記の場合の取得費を計算すると、その金額は下記のようになります。

リフォーム部分を除いた取得費
経過年数は、平成13年3月~平成29年3月の「16年」ですので、「16年」を計算式に算入します。
非事業用、非業務用の木造一戸建ての償却率は「0.031」となりますので、これらの数値を計算式に当てはめると下記のようになります。
10,000,000円 × 0.9 × 0.031 × 16年 = 4,464,000円
10,000,000円 – 4,464,000円 = 5,536,000円
平成18年4月に行われたリフォーム部分の取得費
経過年数は、平成18年4月~平成29年3月の「10年11ヶ月」ですので、端数は「11か月」となります。
「11ヶ月」は「6ヶ月以上」となりますので、端数を切り上げた「11年」を計算式に算入します。
非事業用、非業務用の木造一戸建ての償却率は「0.031」となりますので、これらの数値を計算式に当てはめると下記のようになります。
3,000,000円 × 0.9× 0.031 × 11年 = 920,700円
3,000,000円 – 920,700円 = 2,079,300円
平成23年11月に行われたリフォーム部分の取得費
経過年数は、平成23年11月~平成29年3月の「5年4ヶ月」ですので、端数は「4ヶ月」となります。
「4ヶ月」は「6ヶ月未満」となりますので、端数を切り捨てた「5年」を計算式に算入します。
非事業用、非業務用の木造一戸建ての償却率は「0.031」となりますので、これらの数値を計算式に当てはめると下記のようになります。
1,300,000円 × 0.9 × 0.031 × 5年 = 181,350円
1,300,000円 – 181,350円 = 1,118,650円

今回の例では、上記の3つを合計した「8,733,950円」が、本来の建物部分とリフォーム部分を合計した取得費ということになります。

概算取得費の場合は、不動産の譲渡金額の5%が取得費となりますので、上記の計算は必要ありません。

売却後に取得費とならない経費

リフォーム、リノベーション後に不動産を売却された際には、その費用を取得費とすることができない場合もあります。

不動産売却時に取得費と認められるのは、その価値が向上するような大掛かりなリフォーム、リノベーションを行われた際に掛かった費用のみです。

通常は前述の通り、不動産の維持管理に該当するとみなされる修理修繕などは、取得費とすることはできないのが一般的です。

下記は、不動産売却時に取得費とすることができない費用の一例です。

【取得費とならないリフォームなどの費用の例】

  • 雨漏りの改善
  • 壁などのひび割れの修繕や塗装費用(以前と同程度の修理)
  • 畳の表替え
  • はく離した瓦を以前と同程度の物に取り替える
  • 床や壁紙を以前と同程度の物に取り替える
  • き損したガラスの取り替え又は障子やふすまの張り替え
  • キッチンを以前と同程度の物に入れ替える
  • ガス給湯器の入れ替え
など

なお、次のような支出はその支出を修繕費として所得金額の計算を行い確定申告されることで、その年分の必要経費に算入することができるようになります。

  1. 概ね3年以内の期間を周期として行われる修理、改良などであるとき、又は一つの修理、改良などの金額が20万円未満のとき。
  2. 一つの修理、改良などの金額のうちに資本的支出か修繕費か明らかでない金額がある場合で、その金額が60万円未満のとき又はその資産の前年末の取得価額のおおむね10%相当額以下であるとき。

修繕費に分類される費用とその他の費用についての区別は難しい場合もありますが、だからといって各費用を計上しなければ後の税額が高くなってしまいます。

取得費となる費用とそうでない費用をきちんと区別して、余さず計上されることが大切です。

不動産をリフォームした際の譲渡費用

不動産を売却される際には、それに伴い様々な支出が必要となるのが一般的です。

不動産を売却(譲渡)するために直接要した費用は、後に譲渡費用として計上することができます。

譲渡費用も取得費と同様に、不動産売却後の税金計算の際に必要となります。

取得費や譲渡費用に多くの費用を計上されることは、後の譲渡税額を減らすことに繋がります。

譲渡費用に計上できる費用の例につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却される際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「譲渡費用として計上できる費用」の項目をご覧ください。

増改築など規模の大きなリフォーム、リノベーションをされた際の費用についても、それが譲渡のために要した費用であれば、取得費ではなく譲渡費用となるのが一般的です。

リフォームやリノベーションの代金が取得費となるのか譲渡費用となるのかの区別が難しいという方は、
「工事を行われた目的」
「工事を行われた用途」
「工事を行われた時期」
などを整理されることが大切です。

不動産の売却を行う予定がなく、ただ単にご自身の住み心地などの改善のために行われた工事の場合、それは取得費に分類されます。

不動産の売却を行う予定があり、売却前にその価値や需要を高めるために行われた工事の場合、それは譲渡費用に分類されます。

上記の基準を基に費用の区別を行えば、比較的容易に取得費と譲渡費用の区別が付きます。

譲渡費用を計上される際には、取得費の際と同様に不動産の修理修繕費などの費用は除外しておくことが必要です。

不動産売却時に行われたリフォーム、リノベーション費用の内、どういった費用を計上できるのかは下記でご説明致します。

売却後に譲渡費用となる経費

不動産売却の前には、譲渡価値を向上させるためにリフォームやリノベーションを行うこともあります。

その際に支出した費用は不動産を譲渡するために発生した費用であると考えられ、通常は「譲渡費用」に分類されます。

譲渡費用に費用を計上される際には、取得費の場合と同様に計上できる費用と計上できない費用の区別を付けておくことが必要です。

譲渡費用に計上できるのは、不動産自体の価値を高めるようなリフォーム、リノベーションに要した費用のみです。

不動産の維持管理に相当すると思われるリフォーム、リノベーション費用は、譲渡費用に計上することはできません。

また譲渡費用して計上できる金額は、元の工事費から減価償却費を差し引いたものとなります。

減価償却費の計算方法は前述の取得費の場合と同じです。

【減価償却費の計算式】
建物などの購入金額など × 0.9 × 償却率 × 経過年数

耐用年数が過ぎた建物の場合は、「建物などの購入金額など×5%」が減価償却費の金額となります。

上記の計算式に算入する経過年数は、前述の通り
「6ヶ月以上の端数は切り上げ」
「6ヶ月未満の端数は切り捨て」
て計算をします。

経過年数の計算例につきましては、前項の「売却後に取得費となる経費」に記載をしておりますので、お手数をお掛け致しますがそちらをご覧ください。

更に詳しい減価償却費の計算方法につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却した時に売却益の計算に必要になる減価償却」の記事にあります「建物の減価償却費の償却方法」の項目をご覧ください。

リフォーム、リノベーション費用を譲渡費用に計上される際の減価償却費の計算例につきましては、次の項目でご説明致します。

リフォーム時の譲渡費用の計算例

不動産をリフォームされた際の費用は、元の工事費から減価償却費を差し引いてから計上する必要があります。

その計算の方法は、取得費の際に用いた方法と全く同じです。

譲渡費用は不動産の譲渡に伴い要した費用ということで、リフォーム、リノベーションからそれ程年数が経過していない場合も珍しくありません。

経過年数が少ないということは、それだけ減価償却費も少なくなります。

今回ご紹介致します計算例も、リフォーム、リノベーションされてからそれ程時間が経っていないということを想定して計算を行っております。

【譲渡費用の計算例】
平成29年3月に木造一戸建ての不動産の(耐用年数を過ぎていない非事業用、非業務用不動産)を「300万円」でリフォームし、平成29年4月に売却した場合

リフォームをした後の経過年数
経過年数は、平成29年3月~平成29年4月の「1ヶ月」ですので、端数は「1ヶ月」となります。
「1ヶ月」は「6ヶ月未満」となりますので、端数を切り捨てた「0年」を計算式に算入します。
リフォーム部分の減価償却費
3,000,000円 × 0.9 × 0.031 × 0年 = 0円
譲渡費用に計上できるリフォーム費用
3,000,000円 – 0円 = 3,000,000円

今回は経過年数が「0年」であったため、リフォーム費用の全てを譲渡費用とすることができました。

上記の例で経過年数が「7ヶ月」などであった場合には、経過年数を「1年」として計算することとなります。

不動産がリフォーム、リノベーション後にすぐ売れるとは限りませんが、取得費の場合と比べると多くの費用を計上できる可能性があります。

売却後に譲渡費用とならない経費

不動産売却の前に不動産をリフォーム、リノベーションされたとしても、その費用を譲渡費用とすることができない場合もあります。

下記は、不動産売却時に譲渡費用とすることができない費用の例です。

【譲渡費用とならない費用の一例】

  • 不動産の抵当権抹消のために掛かった諸費用
  • 売主の方の引越しに掛かった費用
  • 譲渡所得や譲渡税を申請するために払った税理士への報酬などの費用
  • 維持・管理に掛かった通常の修繕費などの費用
  • 買主の方に売却代金を取り立てた際に掛かった諸費用
  • 事前に支払った固定資産税・都市計画税
など

上記の費用の内、リフォーム、リノベーションに関係があるのは、「維持・管理に掛かった通常の修繕費などの費用」の部分です。

これにより建物を維持管理のためにリフォームされた場合には、その際に掛かった費用を譲渡費用とすることができないということになります。

またハウスクリーニングなどをされた際にも、通常は掃除するとみなされるようなものみを掃除された場合には、それらは譲渡費用とはみなされません。

取得費の際にも少々触れましたが、不動産売却の際の修繕費と資本的支出との違いの判定は難しいものです。

個人的には資本的支出として取得費や譲渡費用に計上できると思っていても、実際は違うということもあります。

逆に取得費や譲渡費用に計上できない費用だと思っていたものが、実際は計上できるものだったということもあります。

このような不動産売却後の混乱を防ぐためにも、事前に修繕費と資本的支出の違いを把握されることが大切です。

次の項目では、この不動産の修繕費と資本的支出との区別の方法についてご説明致します。

修繕費と資本的支出との区別

不動産を売却された際のリフォーム、リノベーション費用が
「修繕費」となるのか、
「資本的支出」
となるのかの判定は簡単ではありません。

取得費と譲渡費用を高めるためには、どのような費用が修繕費となり資本的支出となるのかを把握されることが重要です。

これらの概念としては、それぞれに基準が設けられており、それを基に判断することもできます。

修繕費と資本的支出の違いにつきましては、主に下記のようになります。

【修繕費と資本的支出の例示】

修繕費に分類される費用の例
  • (移えい又は解体移築を予定して取得した建物以外の)建物の移えい又は解体移築をした場合におけるその移えい又は移築に要した費用の額
  • 機械装置の移設に要した解体費を含む費用の額(集中生産を行う等のための機械装置の移設に要した費用の額は除きます)
  • 地盤沈下した土地を沈下前の状態に回復するために行う地盛りに要した費用の額
  • 建物、機械装置等が地盤沈下により海水等の浸害を受けることとなったために行う床上げ、地上げ又は移設に要した費用の額
  • 現に使用している土地の水はけを良くする等のために行う砂利、砕石等の施設に要した費用の額及び砂利道又は砂利路面に砂利、砕石等を補充するために要した費用の額
資本的支出に分類される費用の例
  • 建物の避難階段の取付等物理的に付加した部分に係る費用の額
  • 用途変更のための模様替え等改造又は改装に直接要した費用の額
  • 機械の部分品を特に品質又は性能の高いものに取り替えた場合のその取替えに要した費用の額のうち通常の取替えの場合にその取替えに要すると認められる費用の額を超える部分の金額

上記は修繕費と資本的支出の違いですが、これだけでは判別ができないという場合もあります。

もっと細かく判断をしたい場合には、更に細かい項目から判断をすることもできます。

上記よりも詳しく修繕費と資本的支出を区別したいという方は、次の項目をご覧ください。

修繕費と資本的支出の細目

修繕費と資本的支出には、前述の特徴以外にもいくつかの違いがあります。

修繕費と資本的支出との具体的な違いに関しては、下記の図をご覧ください。

【修繕費と資本的支出の簡易図】

修繕費と資本的支出の判定※クリックで拡大

上記の図のそれぞれの細目につきましては次のようになります。

【上記図の細目】

その支出額は20万円未満ですか
リフォームやリノベーションに掛かった費用が20万円以上か20万円未満であるかです。
概ね3年以内の周期で行われていますか
概ね3年以内の周期で同じような工事が行われているかです。
明らかに資本的支出ですか
支出した費用が明らかに資本的支出だと判別できるかです。
明らかに修繕費ですか
支出した費用が明らかに修繕費だと判別できるかです。
その支出額は60万円未満ですか
リフォームやリノベーションに掛かった費用が60万円以上か60万円未満であるかです。
その支出が不動産の(前期末)取得価額の10%以下ですか
不動産を購入してから何も手を加えていない場合には、不動産を取得した際の価格のことになります。後にリフォームなどを行い資産価値が増加したなどの資本的支出がある場合には、その金額も含めた合計金額となります。
災害などで毀損した不動産を現状に戻すための工事ですか
災害などで毀損した不動産を現状に戻すための工事かです。
災害に伴って支出し災害特例を適用していますか
「災害などの場合の特例」を適用している場合には、(上記以外の)災害に伴う支出の内、「30%が修繕費」、「70%が資本的支出」となります。
割合区分(7:3基準)による方法を継続適用していますか
「資本的支出と修繕費の区分の特例(7:3基準)」を継続適用しているかです。「資本的支出と修繕費の区分の特例」につきましては、次の項目の「資本的支出と修繕費の区分の特例」でご説明致しますので、お手数をお掛け致しますがそちらをご覧ください。
実質により判定します
ここで費用を実質により判定していきます。
実質によりその支出が資本的支出だと判定できますか
支出の実質から、資本的支出であるかそうでないのかを判定します。

上記の図と項目で修繕費と資本的支出の判定を行うことで、誤った計上を防止しやすくなります。

このような方法を用いても費用の判定ができないという場合には、税理士の方など専門の方への相談も視野に入れておく必要があります。

誤った費用を計上しないためにも、各経費の判定は慎重に行うことが必要です。

資本的支出と修繕費の区分の特例

修繕費と資本的支出の判定は難しい場合も多いため、明らかでない支出を簡単に区分することができる特例が用意されております。

その特例は、先程記載した「資本的支出と修繕費の区分の特例」です。

この特例には、「一定比率による区分」と「災害などの場合の特例」の2つがあります。

2つとも修繕費と資本的支出を一定の比率で区分するという点は同じですが、その内容には少々異なる点が存在します。

それぞれの特例の内容と、その区分方法につきましては下記のようになります。

【資本的支出と修繕費の区分の特例】

一定比率による区分
不動産などに対して支出があった際に、「資本的支出」であるか「修繕費」であるかが明らかでない場合には、継続して適用することを条件として、次のいずれか少ない金額を修繕費とすることができます。
  • 支出額の30%相当額
  • その固定資産の前期末取得価額の10%相当額
災害などの場合の特例
災害などで損傷した固定資産に対する支出した費用の内、「資本的支出」であるか「修繕費」であるかが明らかでない場合には、「支出額の30%を修繕費」「支出額の70%を資本的支出」とすることができます。

先程の【修繕費と資本的支出の簡易図】内の「災害特例」や「区分割合(7:3基準)」といった項目はこの特例のことです。

これらの特例を適用していらっしゃる方は、この規定に従って明らかでない費用を区分します。

なお、上記の説明だけでは具体的な費用の区分方法が分かりにくいという方は、次の項目の計算例も併せてご覧ください。

特例を適用した際の費用の計算例

先程は「資本的支出と修繕費の区分の特例」の内容と、それぞれの費用の区分方法について記載をしました。

この項目では、「資本的支出と修繕費の区分の特例」に基づいて費用を区分した場合の実際の計算例を記載致します。

【資本的支出と修繕費の区分の特例による区分の例】
「3,000万円」で購入した不動産(資産価値は当時のまま)を4年ぶりに「600万円」で大修繕しました。
「600万円」の内「200万円」は増改築のための費用でした。
残りの「400万円」は、修繕費と資本的支出の区別が明らかではありません。
この不動産の持ち主の方は、「一定比率による区分」の特例を継続適用しております。
この場合、修繕費と資本的支出はいくらになるのかを計算します。

まず先程の【修繕費と資本的支出の簡易図】で確認をしながら、上記の費用を判定していきます。

その支出額は20万円未満ですか
判定ができない費用は400万円であり20万円以上(No)
概ね3年以内の周期で行われていますか
4年ぶりに工事をしたため概ね3年以内の周期で行われていない(No)
明らかに資本的支出ですか
明らかではない(No)
明らかに修繕費ですか
明らかではない(No)
その支出額は60万円未満ですか
判定ができない費用は400万円であり60万円未満ではない(No)
その支出が不動産の(前期末)取得価額の10%以下ですか
不動産の取得価額の10%は「3,000万円 × 10% = 300万円」
「300万円」と明らかでない支出額の「400万円」を比べると、明らかでない支出のほうが多い(No)
災害などで毀損した不動産を現状に戻すための工事ですか
当てはまらない(No)
災害に伴って支出し災害特例を適用していますか
していない(No)
割合区分(7:3基準)による方法を継続適用していますか
している(Yes)

今回の例では、上記のように「1~8」まで「No」となることが分かります。

「9」でようやく「Yes」といえる項目がきましたので、明らかでない費用の「400万円」を「一定比率による区分」の特例で区分していきます。

修繕費か資本的支出か明らかでない400万円の30%は、
「400万円 × 30% = 120万円」
です。

前期末取得価額(取得価額)の10%は、
「3,000万円 × 10% = 300万円」
です。

上記の2つを比べると、
400万円の30%である「120万円」のほうが少ない金額となりますので、
こちらを「修繕費」、残りを「資本的支出」の金額とします。

修繕費
400万円 × 30% = 120万円
資本的支出
400万円 – 120万円 = 280万円

「災害などの場合の特例」の場合には、それぞれ明らかでない費用の
「30%を修繕費」に
「70%を資本的支出」
にするだけですので、上記のように前期末取得価額(取得価額)の10%を計算する必要はありません。

不動産をリフォームする際の注意

不動産を売却される際にリフォームなどを行うと、それだけ不動産の価値を高めやすくなります。

建物自体の見栄えも良くなるため、好印象を持たれやすくなるのも事実です。

しかし、不動産をリフォーム、リノベーションされることが必ず売却に有利になるとは限りません。

リフォームなどを行われたばかりに、売却に不利となってしまうケースも存在します。

不動産に行われたリフォームが原因で、買い手が見つかりにくくなったという事例もあります。

不動産を綺麗にされること自体は、不動産売却において決して悪いことではありません。

問題なのは不動産にどういった工事を行うのかという点です。

中には、不動産を購入した後にご自身で好みにリフォーム、リノベーションを行いたいという方もいらっしゃいます。

不動産を売却される際には、様々な要素を総合的に考慮した上で、リフォームなどを行うことが大切です。

効果的に不動産のリフォームを行うためには、リフォーム、リノベーション自体のメリットとデメリットなどについても把握をしておくことが必要です。

この項目では、こういった不動産にリフォームを行われた際の価値やメリットデメリットなどについてご説明致します。

不動産自体の譲渡価値との関係性

不動産の譲渡価値を高めるためには、リフォームやリノベーションを行えば良いといったような話を聞くこともあります。

確かに建物などが綺麗になりますと、不動産を探している買主の方にも好印象を持って貰いやすくなります。

印象の良い不動産は、買主の方の購買意欲を高めることに繋がります。

ただ、不動産を売却される際には、不動産の価値が上がっていれば高い価格で売れるという訳ではありません。

不動産の売却価格を不動産の価値に比例して設定したとしても、それを買うかどうかの判断は買主の方に委ねられます。

購入希望者の方が現れなければ、その不動産は売れ残ってしまうことになります。

長期間不動産が売れ残ってしまうと、せっかくリフォームやリノベーションを行われたとしても、その効果が薄れてしまう可能性があります。

最悪は本来よりも不動産の売却価格を下げた上で、買主の方を待つという状態となってしまう可能性まであります。

これでは、最終的に想像していたよりも低い価格で不動産を売買しなくてはならなくなってしまいます。

このように不動産をリフォームしてその価値が上がったとしても、譲渡価値までも比例して上がる訳ではないという点に注意をした上でリフォームやリノベーションを行うことが大切です。

不動産自体の価値と譲渡価値の両方を高めるためには、リフォームなどの仕方に意識をしておく必要があります。

譲渡価値をアップさせるリフォームにつきましては、下記の
価値がアップする8つのリフォーム」の項目で
譲渡価値をダウンさせるリフォームにつきましては、下記の
価値がダウンする8つのリフォーム」の項目で
ご説明致しますので、お手数をお掛け致しますがそちらをご覧ください。

不動産をリフォームするメリット

不動産をリフォームすること自体は、売却の際に良い影響を期待できることもあります。

建物などの状態が良くなりますと、それだけその不動産は綺麗に見えるようになります。

特に古い物件などでは、そのまま売却をしてしまうと買主の方の印象が悪くなってしまうことも珍しくありません。

建物自体の印象などが悪い不動産は、買主の方が購入を嫌煙してしまうことに繋がります。

不動産は大きい買い物だということもあり、買主の方は良い状態の物を安い価格で買いたいと考えております。

そのニーズに応えることのできる不動産は、早い段階で多くの購入希望者の方が現れやすくなります。

不動産をリフォームされることは、前述のように不動産の印象が良くなりやすいという点でメリットがあると言えます。

リフォームをしてから不動産を売却する際のメリットの詳しい説明につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却時にリフォームをした場合のメリットとデメリット」の記事にあります「不動産をリフォームするメリット」の項目をご覧ください。

不動産をリフォームするデメリット

不動産をリフォーム、リノベーション後に売却される際には、そのデメリットについても把握をしておくことが大切です。

リフォーム、リノベーションの工事には、多くの場合それ相応の費用が必要となります。

これらの費用は、後の売却価格にそのまま上乗せできる訳ではありません。

その影響で、最終的にその分の元が取れない価格で不動産を売らざるを得なくなってしまう可能性があります。

また工事後の外壁や壁紙などが、買主の方の好みに合わないといった問題が起こるケースも少なくありません。

中には不動産のリフォームなどは、後にご自身で行いたいという買主の方もいらっしゃいます。

こういった買主の方は、余りに大掛かりなリフォームが行われている不動産を購入対象から外されてしまう可能性があります。

リフォームをしてから不動産を売却される際のデメリットの詳しい説明につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却時にリフォームをした場合のメリットとデメリット」の記事にあります「不動産をリフォームするデメリット」の項目をご覧ください。

不動産をリフォーム、リノベーション後に売却される際には、こういったデメリットを考慮した上で行うことが重要です。

価値がアップする8つのリフォーム

先程、不動産をリフォームやリノベーションされる際のメリットとデメリットについて記載をしました。

その際のデメリットに関する部分は、買主の方のニーズをご検討されることで回避することができるものもいくつかありました。

リフォーム、リノベーションはやり方やデザインなどにより、不動産の譲渡価値を上げることにも下げることにもなります。

適切な工事を行えば、それだけ不動産の譲渡価値も高めることができます。

せっかく不動産をリフォームされるのでしたら、譲渡価値が上がりやすくなるような工事を行うことが大切です。

その際には必要な支出と状況などを照らし合わせながら、工事を進めていくことが重要です。

この項目では、こういった不動産の譲渡価値をアップさせるリフォームについてご説明致します。

下記の内容は必ずしも不動産の譲渡価値をアップさせる訳ではありませんので、それをご確認の上ご覧ください。

買主目線で不動産をリフォーム

不動産をリフォームされる際には、その目的を忘れないようにする必要があります。

売主の方が不動産にリフォーム、リノベーションを行うのは、不動産の
「印象を良くしたり」
「譲渡価値を高めたり」
「売れやすさを向上させたり」
するためです。

不動産の印象や譲渡価値をアップさせるためには、どういった不動産が売れやすいかを検討した上で工事を行うことが大切です。

内装や外装などの好みは人それぞれ異なりますし、ご自分が好きなデザインでも買主の方からすると少々受け入れ辛いものもあるかもしれません。

不動産を売却する予定の地域や買主の方の好みを考慮しリフォームやリノベーションを行うと、逆効果のリフォームを行いにくくなります。

ご自身だけで効果的なデザインが分かり辛い場合には、不動産会社などに売れやすいデザインや傾向を尋ねてみるのも手です。

ここで余りに大掛かりな工事を行ってしまうと、売却価格と工事費用が釣り合わなくなってしまう可能性もあります。

資金と工事費用を総合的に判断し、手を加え過ぎることには注意をしておくことが重要です。

リフォームの際には、このように売主の方の好みだけで工事を行わないよう、買主の方の目線を意識して工事を行うようにご注意ください。

不動産の壁紙に関するリフォーム

不動産の内装の印象は、買主の方の購買意欲の増減に大きな影響がある場合も少なくありません。

購入後にそこに住むということを考えると、内装について慎重になるのも頷けます。

その際に買主の方に悪い印象を持たれないようにするためには、適切なリフォーム、リノベーションを行うことが大切です。

不動産の資産価値がアップするリフォーム、リノベーションを知り、必要な工事のみ行うように意識をする必要があります。

まず物件の第一印象を左右するのが、部屋の中で視界に入りやすく、面積の大きい壁紙です。

これはどのような所有状態でも同様で、壁紙の印象は売却時の印象を分けるポイントとなる場合も珍しくありません。

不動産を売り出す前には、室内などの壁紙を綺麗にしておくなどの対策が必要です。

万人に好かれるような壁紙は存在しませんが、多くの方に好かれやすい柄やデザインなどは存在するため、そのようなデザインをチェックされておくと効果的です。

例えばリゾートタイプのホテルなどと同様の柄物・色物の壁紙を選ぶと、
「明るさ」
「落ち着き」
「開放感」
「気分の高揚」
などの印象を買主の方に持って貰えると言われております。

他にも下記のような模様の壁紙は、一般的に好感を持たれやすい傾向にあると言われております。

  • 自然を模したもの(草花など)
  • 和風の印象のもの
  • 無地でも明るくなり過ぎないもの

イメージが湧きにくいという方は、実際のホテルなどの室内の写真を参考にしてみると分かりやすいかもしれません。

壁紙を印象の良いものにすることが必ず効果的だとは言えませんが、その雰囲気が第一印象につきやすいのも事実です。

リフォームやリノベーションを行う予定がない方も、壁紙などが汚れていたり敗れていたりする際には張り替えなどを行うようにしてみてください。

不動産の内装に関するリフォーム

マンションや一戸建てなどを売却される際には、内装のリフォーム、リノベーションを行うことで譲渡価値が上がることもあります。

先程は、内装の壁紙(クロス)だけに絞って記載を行いましたが、内装にはまだ意識をしておきたい部分が存在します。

マンションでは、
「床材のフローリング」や
「一部大理石などの石貼り仕様」
などを意識したリフォーム、リノベーションを行うことで、買主の方に良い印象を持って貰いやすくなります。

特に現在のカーペット床が古いものである場合には、アレルギーなどの影響で嫌煙されてしまう可能性があります。

これらを回避するためには、床をフローリングなどに替えるなどの対処が必要です。

予算に余裕がありましたらフローリングを無垢材にするなど、材質にこだわると更に印象が良くなります。

その際にはフローリングなどの貼り替えと同時に、壁や天井なども綺麗にしておくと部屋が清潔に見えやすくなります。

部屋の中に大きな破損や汚れが存在する場合、それも忘れずに綺麗にしておくことが大切です。

これは一戸建ての場合も同様で、買主の方が悪い印象を持ってしまいそうな箇所などを、事前に点検、改善しておくようにしてください。

【買主の方の印象を与えやすい場所の例】

  • フローリングやカーペットなど(床)
  • ドアなどの建具
  • クッションフロア
など

上記の多くは、ホームセンターなどで手に入る道具を用いてご自身で修復を行うことが可能です。

ご自身でできる部分はご自身でリフォームなどを行うことで、必要な支出を抑えることができます。

なお、それぞれの箇所をリフォームされる際には、デザインが偏っていないかを随時意識しながら作業を進めるようにしてください。

不動産の設備に関するリフォーム

不動産のリフォームやリノベーションを行う際に意識が向くのが、住宅の設備に関する部分です。

特にマンションの場合は、フルリフォームと部分的なリフォームのどちらを行うのかも重要です。

現在は新築の不動産を購入するという意向が多いため、新築に近い設備や住宅性能は買主の方に好印象を持って貰いやすくなります。

リフォーム、リノベーション費用が高額になってしまうのは考えものですが、不動産会社などと相談をしてプラスになると判断したものを盛り込むと、不動産が売れやすくなるケースもあります。

【設備に関して意識しておきたい場所の例】

  • キッチン
  • ガス給湯器
  • 洗面台・化粧台
  • トイレ
  • 浴室
など

上記に加えエアコンやモニター付きドアホンなども、買主の方の印象に残りやすい設備となります。

更に忘れてはならないのが、設備の「省エネ」を求めたエコリフォームです。

上記のような設備を選ぶ際には快適さに加え、
「窓の断熱」
「節水型トイレ」
「高断熱浴槽」
「節水シャワー」
などにも意識をしておくと好印象を持って貰いやすくなります。

これは一戸建ての場合も同様で、マンションのように大掛かりなフルリフォームをしない場合でも「省エネ」を目指したエコリフォームは効果的です。

近年は、ネットオークションなどで上記のようなエコ設備を安価で手に入れることもできますので、これらをご自身で購入されてから施工会社に依頼をすると工事費が安くなる場合もあります。

不動産の水回りに関するリフォーム

不動産の設備に関するリフォームは、その工事費用が高額となることも多くあります。

特に水回りに関する設備のリフォームは、必要な費用が大きく跳ね上がってしまうことも多いものです。

水回りは単体で交換することが少なく、替える場合にはトータルで設備の入れ替えが必要となることも珍しくありません。

例え単体で浴室やトイレ、キッチン、洗面台などを交換された場合でも、それだけで数十万円となる場合もあります。

何度も言うようですが、大掛かりなリフォームをされたとしても、その費用に見合うだけの売却価格で売買ができるとは限りません。

マンションの場合は大掛かりなリフォームを行うケースもありますが、買主の方がリフォームを好まない場合もありますので注意が必要です。

水回りのリフォームでコストをかけずにその印象を良くするためには、使用可能なものを交換しないまま見栄えを良くするなどの対処が必要となります。

トイレや浴室の清掃をし、水垢や黄ばみなどの汚れを取るだけでも印象が大きく変わります。

キッチンなども同様で、油や水垢などを洗浄した後、専用のシートを貼ることで見た目の印象を上げることができます。

これらには研磨、コーティング技術などが必要となることもありますが、ある程度の規模の清掃でしたらご自身で作業を行うことも可能です。

また洗面台などは交換をする場合も多いですが、これも売主の方がオークションなどで安く物資を仕入れておくと後の工事費が安上がりになりやすくなります。

下記は、工事を行う場合に印象が付きやすい場所とその例です。

キッチン
食洗機や浄水器を盛り込む
ガス給湯器
エコ性能でインターホン機能、リモコンが付いているものに替える
洗面台・化粧台
収納面や使い勝手が向上するものに替える
トイレ
タンクレスタイプやシャワートイレ(温水洗浄付き便座)に替える
浴室
浴室乾燥機やミストサウナを取り入れる
など

これらの工事を行う際にも、省エネなどのエコリフォームを意識することで、買主の方に好印象を持って貰いやすくなります。

不動産の外装に関するリフォーム

一戸建てやマンション一棟の売却をお考えの際には、内装以外に外装の状態に意識を向けることも必要となります。

外壁の塗り替え、屋根の塗り替えなどは、買主の方の印象を左右する重要な点です。

外壁が壊れかけており、雨漏りがしそうな屋根などを見ると、買主の方が購入を見送ってしまう可能性も高まります。

不動産を売却される際には、こういった外装の状態を事前に整えておくことも大切です。

下記は、買主の方の印象を左右しやすい外装の箇所の例です。

【状態を確認しておきたい箇所の例】

  • 屋根・瓦
  • 外壁
  • 外壁サイディング
など

これらは買主の方の印象に付きやすい箇所ですので、十分に点検、改善を行っておく必要があります。

点検や改善を行うといっても、大規模な工事をされたほうが良いという意味ではありません。

余りに損傷した外装などは別ですが、それ以外では清掃や修繕などのリフォームを行う程度で十分な場合も多くあります。

改善が必要な個所とその工事の規模を的確にご検討の上、リフォームをされることが大切です。

なお、外装の修復を行う際には遮熱効果のある素材で
「屋根を塗り替えたり」
「瓦を張り替えたり」
「外壁を塗装したり」
されるとエコとして喜ばれることがあります。

エコリフォームはほぼ全ての箇所のリフォームで効果的ですが、工事前には買主の方の意向の確認も忘れないようにしてください。

不動産の機能に関するリフォーム

不動産は、そこに自分が住むことを想定して購入を検討する場合が殆どです。

一度不動産を購入すると、その後にすぐに買い替えなどができない場合も多いため、買主の方は慎重に不動産を選んでおります。

買主の方が不動産を選ぶ際には、不動産の状態や機能、価格など多くの項目をチェックすることも珍しくありません。

長期間そこに住むことを考えると、不動産自体の機能を意識される買主の方が多いのも頷けます。

不動産の譲渡価値や売れやすさを上げるためには、買主の方が満足いく性能の不動産を的確な価格で売り出すことが必要です。

不動産自体の機能が経過年数などにより低下している場合には、買主の方の求める機能をリフォーム、リノベーションにより追加することで売れやすさが変わる場合もあります。

近年では、不動産を購入する際の確認事項として「耐震」を意識する方も多くいらっしゃいます。

後に買主の方が耐震リフォーム、リノベーションを行うことを前提として不動産を探していらっしゃる場合を除き、
耐震性能がない不動産は嫌煙されやすくなるのが現状です。

実際に、耐震性能のない不動産に耐震工事をしたところ、不動産の譲渡価値が上がったというケースもあります。

その際には耐震工事と共に、住宅自体の
「耐熱」
「耐寒」
などの機能の追加や、
「フラット35」
の利用が可能な住宅がどうかの調査も重要となることがあります。

フラット35を利用するには、建物の耐震性や接道、住宅の規模などに一定の基準があるのが一般的です。

これらの基準を満たしフラット35が利用できる不動産は、それだけ買主の方の購入候補に入りやすくなります。

売却価格とリフォームやリノベーションの工事費用との兼ね合いをご確認の上、買主の方のニーズに応えやすい状況を作ることが大切です。

エクステリアに関するリフォーム

一戸建てやマンション一棟を所有していらっしゃる方は、エクステリアのリフォーム、リノベーションにも意識をしておく必要があります。
(マンションの部屋のみを売却される方は、エクステリア部分のリフォーム、リノベーションはできません)

エクステリアというと、人や使われる場面により意味がバラバラであることも珍しくありません。

一般的には、建物の内部を除く敷地内空間の総称として用いられる言葉ですが、住む方の
「ライフスタイル」や
「興味」
「こだわりのポイント」
などによってもその概念は変わってきます。

この項目でのエクステリアは、一般的に言われている建物の内部を除く敷地内空間の総称を基としておりますので、それを踏まえた上でご覧ください。

エクステリア部分は、その空間面積が広くなる可能性が高いこともあり、一旦間違った工事を行ってしまうと工事費が高額となってしまいかねません。

逆効果なリフォームを行わないようにするためには、他の箇所と同様に不動産会社などと相談をした上で、リフォームを行っていくことが重要です。

またエクステリア部分の汚れや破損は、買主の方に不安な印象を持たれてしまう可能性があります。

エクステリア部分が汚いと、その不動産自体が汚く見えてしまうことに繋がります。

売主の方から見て気にならない程度の破損でも、買主の方からすると不動産全体の印象を下げるものとなってしまうこともあります。

エクステリア部分に破損や汚れなどが存在する場合には、事前にリフォームなどをして綺麗にしておくと安心です。

エクステリア、で買主の方の印象を左右しやすい箇所は下記のようになります。

【買主の方の印象を左右しやすい箇所】

  • ベランダ・テラス
  • 門扉
  • ガレージ
  • 駐車場
  • 玄関
など

上記の箇所に対して大幅なリフォームをされる必要はありませんが、どうしもここだけは譲れないというこだわりがある場合もあります。

どうしても大幅にリフォーム、リノベーションを行いたいという方は、工事費用と売却価格の兼ね合いを思案した上で行うことが大切です。

価値がダウンする8つのリフォーム

マンションや一戸建てなどを売却される際に、リフォームやリノベーションを行うことは必ず効果的になるとは言えません。

住宅に大掛かりな工事を加えるとなると、それだけ工事などに必要な費用は高額となってしまいます。

これらの費用を取得費に計上することができたとしても、それは後の税額に影響があるだけです。

不動産を綺麗にリフォームしたとしても、肝心の売却価格がその分上がるとは限りません。

中古住宅を新築と同様にリフォームされたとしても、新築と同程度の価値にはならないこともあります。

これでは売却価格よりも工事費用のほうが多くなってしまい、結果的に赤字となる可能性もあります。

不動産をリフォーム、リノベーションされる際には、こういった支出と譲渡価値について考慮した上で行うことが大切です。

この項目では、無意味なリフォームを避けるために意識をしておきたい、譲渡価値をダウンさせる可能性のある工事についてご説明致します。

なお、これからご説明する内容も必ずしも不動産の譲渡価値をダウンさせる訳ではありませんので、それをご確認の上、下記の項目をご覧ください。

売主目線で不動産をリフォーム

一戸建てやマンションなどをリフォームされる際のデザインは、通常は工事の依頼者が決めることになります。

不動産売却の前にリフォームなどを行うということは、売主の方が工事の依頼者であり、デザインを決める立場にあります。

ここで意識をしておきたいのは、不動産のデザインを売主の方の目線で決めないようにするということです。

売主の方の好みで不動産のデザインを大幅に変更された場合、その影響で譲渡価値が下がってしまう可能性もあります。

不動産のデザインの好みは人それぞれであり、どれだけデザインを追求したとしても万人に好かれることはほぼないのが現状です。

余りに奇抜な不動産は、後に買主の方がリフォーム、リノベーションをし直す原因にもなります。

そうなりますと買主の方はリフォーム、リノベーション費用を想定して、不動産の価格を下げて貰おうと交渉をされるのが一般的です。

これでは売主の方がされたリフォームやリノベーションの意味がなくなってしまう上に、利益を最大にすることもできなくなってしまいます。

不動産の譲渡価値は不動産のデザインや設備などだけで決まる訳ではありませんが、第一印象が後の売買の決め手となることもあります。

買主の方が良い印象を受けやすい不動産は、それだけ購入希望者の方が現れやすくなります。

不動産の譲渡価値を高めるためには、こういった買主の方の意向を調べてから工事を行うことが必要です。

逆効果になる壁紙のリフォーム

売却予定の一戸建てやマンションの部屋などの壁紙が
「破れていたり」
「汚れていたり」
する場合には、壁紙のリフォームを行うと買主の方の印象が良くなりやすくなります。

その際には一般的に好かれるデザインを選択されることが大切だということは、既に「不動産の壁紙に関するリフォーム」の項目で記載致しました。

その中で、
「自然を模したもの(草花など)」
「和風の印象のもの」
「無地でも明るくなり過ぎないもの」
などは好き嫌いが少ないと記載致しましたが、無地の壁紙を選択される際には少々注意しておきたい点も存在します。

様々な壁紙を見てみると、よく無地で白一色のものが貼られていることがあります。

無地で白一色の壁紙は、価格が安価であることに加え、好き嫌いも少ないと言われているのが一般的です。

こう考えると無地で白一色の壁紙を選択すると、コストや好き嫌いのリスクを低減できると感じてしまうかもしれません。

しかし、無地で白一色の壁紙は、買主の方などに無機質な印象や画一的なイメージを与えてしまいます。

これにより不動産の購買意欲や価値の向上に対して、大きな効果を期待できない可能性があります。

買主の方に良い印象を持って貰うことができなければ、それは不動産が売れやすい状況とは言えません。

不動産が長期間売れずに残ってしまうと、最終的には売却価格を最低まで下げて買主の方を待つことになってしまいます。

壁紙で余りに奇抜なデザインを選択するのも逆効果ですが、余りに無機質過ぎるものも逆効果となる可能性があります。

壁紙を選択される際には、このようなことに注意をしておくことが必要です。

逆効果になる内装のリフォーム

近年は、なるべく安い中古マンションや中古一戸建てを見つけ、購入後に買主の方自身がリフォームなどを行うというケースも多くなってきました。

この影響で、高額なリフォーム費用を掛けて不動産を新築同然とすることは、買主の方のニーズに沿っていない結果となる可能性があります。

売主の方が事前にリフォーム、リノベーションをされた上で売却価格に費用を上乗されるよりは、簡易リフォームのみを行い安い売却価格で売り出されるほうが、買い手が付きやすい場合も多いようです。

余りに老朽化を感じる箇所や破損、汚れている箇所などはむしろ改善しておくほうが好印象となりますが、それ以外は逆効果となることもあります。

マンションなどの場合は、構造体以外の部分を全て解体し、新しいものと取り替える「スケルトンリフォーム」を行うと価値が向上するという話を聞くこともありますが、
スケルトンリフォームの費用は高額となる場合が殆どです。

「3,000万円」で購入したマンションを、その後すぐに「1,000万円」でスケルトンリフォームし売却されたとしても、
マンションの購入代金とリフォーム費用を合計した「4,000万円」以上の価格で売れるという確証はありません。

もしそのマンションが「3,500万円」で売れたとしても、それでは結果的に「500万円」の赤字が出てしまうことになります。

資産価値が「500万円」上がったということには変わりありませんが、リフォーム費用に見合うだけの価値の上昇とは言えません。
(スケルトンリフォームにより効果的に売買が行えることもあります)

これは中古一戸建ても同じであり、例えリフォームを行われたとしても、その費用に比例して譲渡価値が上昇するとは限りません。

最悪は工事費用を上乗せした売却価格の影響で、不動産が売れにくくなってしまう可能性まであります。

また下記のようなリフォーム、リノベーションも、逆効果となってしまう可能性がありますのでご注意ください。

【逆効果となりやすい内装のリフォームの例】

間取りの大幅な変更
不動産の間取りを大幅に変更されると、耐震性やバリアフリーの性能が下がってしまうケースがあります。
耐震性やバリアフリーの下がった不動産はその分価値が下がりやすくなるため、工事の際にはその確認をされることが大切です。
奇抜で個性的過ぎるデザイン
不動産を奇抜で個性的にされてしまうと、買主の方に購入を嫌煙されてしまう、リフォームのやり直しが必要になってしまうなどの事態に繋がる可能性があります。
奇抜で個性的なデザインは、少し控えておくのが無難です。
  • 壁の色を奇抜で派手なものにする
  • 引き戸をガラスのものに替える
  • 部屋をウォークインクローゼットに替える
など

逆効果になる設備のリフォーム

中古マンションなどは買主の方にインパクトを持って貰うために、設備を最新のものに取り替える場合もあります。

確かに最新の設備は買主の方にインパクトを持って貰いやすくはなりますが、その工事費用は高額となってしまいます。

特に中古一戸建てなどは、マンションと比べてリフォームなどのリスクが大きくなります。

このリフォーム費用を後の譲渡価値にそのまま反映できる場合は問題ありませんが、実際にはそうはならない場合も多くあります。

最新の設備を取り入れたとしても、その他の部分を気に入って貰えなければ不動産の購入には至りません。

時には買主の方が求めていた設備があり購入が決まるというケースもありますが、それを目的として費用をつぎ込み過ぎるのは危険です。

それよりも不動産を綺麗に掃除されるなどの簡易リフォームを行い、低い価格で売り出されるほうが売れやすくなるケースもあります。

また設備を取り替える際には、その設備が本当に必要であるのかについても検討されることが大切です。

個人的には欲しい設備であったけれど、他の方には需要がない設備を取り付けた場合、
「買主の方の購買意欲」
を上げることはできません。

例えばカードキーなどの目につきにくい設備を取り付けたとしても、購入の決め手になる程の影響を持たない場合もあります。

これでは不動産自体の売れやすさは変わらないにも関わらず、売却価格をその分高く設定してしまうことになりかねません。

買主の方がカードキーなどの設備を求めていらっしゃる場合は別ですが、需要に関係がない設備はリフォームを見送るのも一つの手です。

不動産の売買では、多機能であればある程売れやすくなるという訳ではありません。

効果的なリフォームが思い付かない場合には、無理に工事をされる必要はないということを意識しておくようにしてください。

不動産の水回りに関するリフォーム

マンションや一戸建てには、生活の上で必須である水回りの設備があります。

これらのリフォームは高額になりやすいため、リフォームをされる場合には必須と思える箇所を絞りたいものです。

設備の取り替えなどが必要ないと感じる場合には、清掃などの簡易リフォームを行い、無駄な支出を省くことが大切です。

もしも水回りの設備を大幅にリフォーム、リノベーションされる場合には、反対に譲渡価値下げてしまう可能性のある事項に注意をしておく必要があります。

下記は、水回りに関するリフォーム、リノベーションで、逆効果となり譲渡価値を下げてしまう可能性のある事項の例です。

【不動産の譲渡価値が下がる可能性のある逆効果リフォーム】

キッチン
大型シンクなどの導入で調理スペースが狭くなる
大型のシンクなどが導入され調理スペースが小さくなると、キッチン自体の使い勝手が悪くなり逆効果となる場合があります。
日差しを考えずに大型な窓を設置してしまう
キッチンに方角を考えず大きな窓などを設置されると、そこから入る強い日差しにより一気に気温が高くなり、買主の方に悪い印象を持たれてしまう可能性があります。
リフォームの影響で通路が狭くなってしまう
リフォームによりキッチンの通路などが狭くなってしまうと、使い勝手の悪さから買主の方に悪い印象を持たれてしまう可能性があります。
洗面台・化粧台
洗面台の高さを意識しないで設置する
洗面台の使い勝手の良い高さは人それぞれですので、交換する際には買主目線の細心の注意が必要です。
小さなボウルに取り替える
洗面台のボウルを小さめのものにしてしまうと、水の飛び散りなどを気にして買主の方に嫌煙されてしまう場合があります。
トイレ
大型の便座を設置し空間を狭くしてしまう
トイレの便座やタンクを大型に変えた影響で空間全体のスペースが狭くなってしまった場合、掃除や用が足しにくくなるなどの理由から買主の方に悪い印象を持たれてしまう可能性があります。
位置を考慮せずに大型の窓を設置してしまう
トイレを明るくするために大きな窓を設置された場合、外からの視線が気になり買主の方に悪い印象を持たれてしまう可能性があります。
など

上記は譲渡価値が下がる可能性のあるリフォームの一例ですが、これら以外にも買主の方が好まないと想定されるリフォームは控えておくのが無難です。

逆効果になる外装のリフォーム

マンション一棟や一戸建てをお持ちの方は、その外装にも意識をしておくことが大切です。

外装が破損していたり汚れていたりすると、それだけで不動産自体の性能が悪いと思われてしまうことも珍しくありません。

外壁は大きなリフォーム、リノベーションを行わなくても、汚れなどを清掃されるだけで見栄えが変わってきます。

機能面で余りにも不安定となっている箇所には、大きめの工事が必要となることもありますが、
少々汚れている程度のものに対して大きな工事を行う必要はほぼありません。

ここで大掛かりな工事を行うことは、支出金額の関係上逆効果となることもあります。

最終的な支出金額を抑えるためには、必要のない工事をいかに減らすかが鍵となります。

外壁を修復するための用品は個人でも簡単に購入することができるため、ご自身で簡易リフォームをされることも可能です。

しかし、外装のリフォームを全ての方が綺麗に行える訳ではありません。

経験のない方が外装のリフォームを行いますと、完成後の見た目や性能などが悪くなってしまうこともあります。

専門業者が行ったものと比較をしても、その違いが明らかである場合も少なくありません。

外装のリフォームに自信のない方は、最初から専門の業者に依頼をすることを視野に入れておくことも大切です。

ご自身で外壁などをリフォームし、汚く壊れやすいものになってしまいますと、買主の方の購買意欲も無くなってしまいます。

ご自身でリフォームをされた後にその手直しを専門業者に依頼されると、余計な費用が掛かってしまうこともあります。

事前に本当にご自身で行えるのかを整理し、できそうにない場合には最初から専門業者に依頼をされることが大切です。

逆効果になる機能のリフォーム

マンションや一戸建ての場合、築年数が多くなればなる程に、その性能部分にも変化がみられるのが一般的です。

最初は耐震性があったものでも、年数が経てばその機能は徐々に下がっていくこととなります。

現在は不動産の耐震性などが重視されることも多く、耐震性が高ければ買主の方の目にも止まりやすくなるのが一般的です。

リフォームで耐震性能を付加されますと、不動産の価値に良い影響が出る場合もあります。

これら不動産の耐震性は、内部の壁や柱などが重要となることも多いものです。

不動産に対してリフォームをされる場合、こういった壁や柱などに意識をしないで工事が行われてしまうことがあります。

こうなりますと、それだけで不動産の耐震性に影響が出てしまいます。

例えば不動産の部屋を結合し、開放感を出すリフォームを行われたとします。

その際に不動産の耐震の役割を担っている壁を取り払ってしまいますと、その耐震性が下がってしまうのが一般的です。

最初は「1」あった耐震性が、部屋結合のリフォームしたばかりに「0.9」や「0.8」になってしまうこともあります。

こうなりますと資産価値は大幅に下がってしまい、買主の方が購入を見送ってしまう原因にも繋がります。

またマンションなどでは、耐震以外の面で逆効果なリフォームが行われてしまうこともあります。

マンションは一戸建てとは異なり、水の配管工事などがややこしい場合も多くあります。

工事の際に上下水道の配管を移動させなくてはならなくなった場合、配管のスペースを取るために床の高さを数十センチ上げる必要が出てきます。

これでは部屋に段差ができてしまい、バリアフリーの機能が損なわれてしまいます。

これからは高齢社会ということで、バリアフリーの機能がなければ不動産の価格は下がりやすくなるのが通常です。

不動産をリフォームする際には、本来の機能を逆に下げてしまわないかをご確認の上、工事を行うことが大切です。

逆効果になるエクステリアのリフォーム

マンション一棟や一戸建てを売却される際には、不動産のエクステリア部分にも意識をしておくことが必要です。

ここも他の箇所同様に、不必要なリフォームを行う必要はありませんが、掃除などは行っておくと印象が良くなりやすくなります。

エクステリア部分から買主の方に良い印象を持って貰えれば、その後の不動産の印象にも繋がりやすくなります。

いくら内装などが綺麗で快適だとしても、最初のエクステリアの印象が悪ければそれが尾を引いてしまうこともあります。

こうならないようエクステリア部分の印象には、十分に意識をしておくことが必要です。

売主の方の中にはエクステリア部分にインパクトを出そうと、大掛かりなリフォームをされる方もいらっしゃいます。

確かにエクステリア部分でインパクトを持って貰うことができますと、買主の方の目にも止まりやすいかもしれません。

しかし、目に留まりやすいからといって、買主の方に購入意欲が生まれるとは限りません。

エクステリア部分を余りに奇抜で派手なデザインにリフォームされた場合、インパクトはありますが購入意欲が高まるとは言い切れません。

特に買主の方が購入後にリフォームを行うことを想定していらっしゃるとしたら、そのリフォーム自体が逆効果となってしまう可能性もあります。

買主の方が後に不動産を好みのデザインにリフォームされる予定の場合、
「不動産がいかに綺麗か」
よりも、
「いかにリフォームしやすいか」
を想定していらっしゃる場合も珍しくありません。

不動産に奇抜なリフォームをされてしまうと、肝心な購入後のリフォームに余計な手間と費用が掛かってしまうケースがあります。

これでは事前に行われたリフォームが無駄となってしまう上に、購入後の懸念から購入希望者が現れ辛くなってしまう可能性もあります。

この状態が続き購入希望者が現れなければ、自然と不動産の売却価格は下げざるを得なくなってしまいます。

エクステリア部分に清掃以外のリフォームを行う際には、このような状況を想定した工事を行うことも重要です。

まとめ

不動産売却の前にリフォームやリノベーションをされた場合には、
「取得費」
「譲渡費用」
の計上が重要になります。

それぞれに計上できる費用とそうでない費用を区別し、的確に計算を行うことが必要です。

計上できる費用とできない費用の区別につきましては、一定の基準がありますのでそれを基にする必要があります。

個人でどうしても判別が難しい場合には、専門の方への相談も視野に入れた上で経費の区別を行っていくようにしてください。

また不動産をリフォーム、リノベーションされる際には、取得費や譲渡費用の計算以外に、実際に行う工事にも注意が必要です。

不動産に対して逆効果となるリフォーム、リノベーションをされてしまうと、その譲渡価値を下げることとなってしまいます。

せっかくリフォームやリノベーションをされるのであれば、買主の方が望むような工事を選択することが大切です。

リフォームやリノベーションのやり過ぎは、むしろ売却価格を圧迫し、買主の方を遠ざけてしまう原因となってしまうこともあります。

買主の方の中には、不動産を購入後にご自身で好きなデザインにリフォーム、リノベーションをしたいとお考えの方もいらっしゃいます。

このような方に対して、売主の方がご自身の好みでリフォームをされた不動産は嫌煙される対象となります。

不動産売却の前にリフォームやリノベーションをされる際には、買主の方の目線となり、必要な工事のみを的確に行うことが大切です。

 - 不動産売却時のリフォームの経費と譲渡価値