不動産を更地にしてから売却をする基礎知識と5つのメリット
売却をする不動産は、それぞれの売主の方で状態が異なります。
特に建物の場合は、使用用途や築年数によって大きく状態が変化します。
あまりにも古い建物であれば、更地にしてからの売却が必要となるものもあります。
しかし、昨今はリフォームやリノベーションがブームとなっており、古家の需要も高まっております。
意図的に古家付きの物件を購入される方もいらっしゃいますので、古い建物があっても必ず更地にする必要はありません。
ここは売主の方の状況によって、大きく判断が変わってしまうところです。
大切なのはご自身にとって有利となるほうを選択することですので、慎重に行動をする必要があります。
今回の記事では、不動産を更地にしてから売却をする基礎知識と5つのメリットについてご説明致しますので、この点でお悩みの方は参考にしてください。
目次
更地にして売る不動産の3つの特徴
現在は古家などを意図的に購入する方も増えており、必ず古い建物を更地にする必要はありません。
ただし、一定の特徴のある不動産は、更地にして売却をすることが多いです。
更地にしてから売却をする不動産には、下記の特徴があります。
上記の特徴に該当をする不動産であれば、更地にしてから売却をしてもいいかもしれません。
それぞれ更地にしたほうがいい理由につきましては、次の項目にてご説明致します。
築年数が古く改善も困難な建物
築年数が古い建物の中には、リフォームやリノベーションなどができないものもあります。
近年では自然災害に対する意識が高まり、築年数が古い建物でリフォームなどが不可能なものは不利となる可能性が高いです。
自然災害には幾つもの種類がありますが、多くの購入希望者の方が気にかけるものとして「地震」が挙げられます。
地震に備えるためには耐震性の高い建物を購入することが大切ですが、上記のような不動産ではそれが難しくなります。
中でも「昭和56年6月1日」よりも前に建築をされた建物は注意が必要です。
皆様は「建築基準法に基づく現行の耐震基準」についてご存知でしょうか?
この基準は、昭和56年6月1日に耐震の目的で導入をされました。
これよりも前に建築確認を受けた不動産は旧耐震基準で建築をされており、地震の影響を受けやすいです。
実際に「阪神・淡路大震災」時には、特に旧耐震基準で建築をされた建物に大きな被害が発生しました。
そのため、昭和56年6月1日よりも前に建築をされた建物の需要は、著しく低くなる可能性があります。
建物に耐震工事などができるのであればまだ事情も異なりますが、それが困難であれば状況の改善は難しいです。
昭和56年6月1日よりも前に建築をされた古家でリフォームなどが難しいものは、更地で売却をするほうが無難かもしれません。
築年数が古く価値がない建物
築年数が古い建物の中には、価値がなくなってしまったものもあります。
この建物の価値につきましては、「減価償却」が関係をしております。
減価償却を行うことで、その建物の価値を知ることができます。
(お手数をお掛け致しますが、詳しくは「不動産を売却した時に売却益の計算に必要になる減価償却」の記事をご覧ください)
減価償却は建物の取得費を計算する際に必要となりますが、建物の構造によって価値がなくなる年数が異なります。
これは上記の記事の「新築の建物の耐用年数と償却率」の項目に記載しておりますが、木造の非事業用の建物(新築)であれば「33年」の経過で取得価額の5%の価値しかなくなってしまいます。
特に前項の「築年数が古く改善も困難な建物」でも記載致しましたが、あまりにも古い不動産は耐震面において不安があります。
価値がなく、その上耐震面に問題がある不動産は、他の魅力がないと購入希望者の方も類似不動産へ関心が移ってしまいます。
ただし、こちらの価値というのは、上記の通り「減価償却」によって求められた価値です。
資産価値の高い不動産(賃貸をしており収益率が高いなど)であれば、築年数が古くても早くに購入希望者の方が見つかる可能性が高いです。
また、建物の価値を考慮して売り出し価格を設定する時には、むしろ更地にしないほうが早くに売却をできることがあります。
土地のみの価値で売り出し価格を設定しますので、購入希望者の方は実質的に土地の価格分だけで建物も購入をすることができます。
このように売り出す場合は、むしろ更地にするほうが不利となることがあります。
周辺の環境に合わない建物
不動産の周辺環境は、建築当時のままとは限りません。
その不動産に合っている環境へと変化をすることもあれば、合わない環境へと変化をすることもあります。
前者であればそこまで売却の障害にはなりませんが、後者は大きな障害となることも多いです。
周辺の環境が不動産に合わない環境へと変化してしまいますと、建物の評価にも大きな影響があります。
これは個人用の不動産にも、事業用の不動産にも同様のことがいえます。
周辺の環境変化により、建物の利便性も変化をしますし、デザインや用途もその影響を受けてしまいます。
多くの購入希望者の方は利便性が低く、デザインや用途に問題のある不動産は購入を控えます。
そういった時には、土地上の建物を取壊して更地にしておき、買主の方が新しい建物を建築するほうが有意義となります。
例えば、利便性が高く広い土地に、小さな古家が建築をされているのでは、あまり理想的な状態とはいえません。
このような不動産は更地にして売却をすることで、多くの用途に使用をすることができます。
周辺の環境などの影響で明らかにないほうがいい建物は、更地にしてから売却をするほうが無難かもしれません。
建物の建築当時には周辺の環境と合っていても、売却時にはそうとは限らないという点にご注意ください。
不動産を更地にする5つのメリット
上記のような不動産は更地にするという選択肢もありますが、必ずしもそれが有利になるとは言い切れません。
上記の特徴はあくまで一例ですので、一概に上記に該当をするからといって更地にする必要はありません。
確実に解体が必要な建物であれば仕方がありませんが、そうでなければよくお考えになってから行動に移すことが大切です。
不動産を更地にすることで、メリットやデメリットも存在をします。
更地にするかお悩みの方は、上記の特徴だけではなく、メリットやデメリットも踏まえて選択をするといいかもしれません。
まずはメリットのほうからご説明致しますので、お手数をお掛け致しますがデメリットにつきましては「不動産を更地にする3つのデメリット」をご覧ください。
不動産を更地にするメリットは下記の5つです。
これらが更地にした時のメリットです。
これらがメリットになる理由につきましては、次の項目にてご説明致します。
買主の方の負担額が減ること
不動産を取壊す場合には、まとまった資金が必要となります。
相場につきましては「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「売却する前の建物解体費用」の項目にて記載をしておりますが、一般的な住宅であれば100万円以上かかることも珍しくありません。
大規模な事業用不動産などではそれ以上に費用がかかりますので、より資金確保が重要となります。
購入希望者の方の中には、解体費用を工面するのが難しい方もいらっしゃいます。
そのような方は、取壊しが想定をされる古家付きの不動産は購入を控える可能性があります。
売主の方が不動産を更地にしておけば、購入希望者の方は解体費用を準備する必要がなくなります。
解体費用の負担がなくなれば、資金確保が難しい購入希望者の方からも関心を得られます。
そうなりますと、その不動産に関心を持つ購入希望者の方も増え、早くに売却をしやすくなります。
これは不動産を更地にしてから売却をするメリットの1つです。
売主の方の中にも資金確保が難しい方もいらっしゃるかもしれませんが、建物の取壊し費用は譲渡所得計算時の譲渡費用に含めることができます。
課税譲渡所得は「譲渡価額-(取得費+譲渡費用)-特別控除」によって求められますので、場合によってはこちらの費用を節税に生かすことが可能です。
すぐに建物を建築できること
古家付きの不動産は、すぐに新しい建物を建築することはできません。
殆どの場合は古家を取壊してからの建築となりますので、それまでに一定の期間を要します。
購入希望者の方の中には、不動産を購入してから早いうちに新しい建物を建築したい方もいらっしゃいます。
そのような方にとっては、取壊しが想定をされる古家付きの不動産は、あまり都合のいいものではありません。
売主の方が不動産を更地にしておけば、土地上の建物を取壊す必要はありません。
取壊しに要する時間がなくなれば、すぐに建物を建築したい購入希望者の方からも関心を得られます。
そうなりますと、「買主の方の負担額が減ること」と同様に、その不動産に関心を持つ購入希望者の方も増え、早くに売却をしやすくなります。
これは不動産を更地にしてから売却をするメリットの1つです。
あまりにも古くて使用用途が限られる建物は、売却価格にその分の金額を上乗せして売却をすることも困難です。
そのような建物は、取壊しを視野に入れてもいいかもしれません。
建物付きで売れる余地があり、幅広い用途に使用できる不動産は、そのままの状態で売り出すほうが有利です。
瑕疵担保責任がかからないこと
不動産を売却する際には、瑕疵担保責任について意識が必要です。
これは不動産を仲介で売却した場合に発生をするもので、売主の方は一定の期間不動産に対する瑕疵に対して責任があります。
(お手数をお掛け致しますが、詳しくは「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「売買時の瑕疵担保責任について」の項目をご覧ください)
不動産の老朽化による欠陥も瑕疵に該当をしますので、築年数の古い建物はよりここを意識しておく必要があります。
更地にしてから不動産を売却する際には、古い建物の瑕疵について責任を負う必要がなくなります。
後に老朽化による建物の欠陥が見つかることはありませんので、売主の方も安心をして売却をすることができます。
これは不動産を更地にしてから売却をするメリットの1つです。
売買契約成立後に瑕疵について問題がありますと、トラブルの原因にもなりかねません。
状況によっては売主の方と買主の方で意見が対立をしてしまい、大きな問題へと発展をしてしまう可能性もあります。
瑕疵担保責任の問題がなければこういった面での心配も解消できますので、お互いに不安を抱えずに売買を行えます。
あまりにも古く瑕疵が多すぎる不動産は、特にこのメリットが大きいかもしれません。
更地のほうが広く見えやすいこと
同じ広さの不動産でも、状態によって大きく見え方が異なります。
不動産を売却する上でこの見え方は重要で、同じ広さでもより広く見えるように工夫をすることが大切です。
不動産を更地にしますと、土地上に建物などがなくなり、より広く見えやすくなります。
実際には同じ広さであるのに、建物があるために狭く見える土地は、売却をする上で不利となる可能性が高いです。
そのような不動産は、建物を取壊して更地にするほうが有利となることがあります。
これは不動産を更地にしてから売却をするメリットの1つです。
多くの購入希望者の方は、複数の不動産を購入の候補とします。
購入希望者の方はその候補の中から購入をする不動産を選択しますが、不動産が狭く見えては他のものと比較をされた時に不利となります。
同じ広さの不動産であれば、より広く見えるほうが購入希望者の方から好感も得られやすいです。
このような場合には、建物を取壊しておくほうが有利となる可能性が高いです。
建物が不要であるというのが前提ではありますが、不動産が広く見えるだけでも大きなメリットといえます。
不動産が不要な建物の影響で狭く見える時には、取壊しを視野に入れてもいいかもしれません。
埋設物や環境を確認しやすいこと
不動産には、時折地下埋設物が存在をしていることがあります。
地下埋設物のある不動産は、あまり購入希望者の方から好感を得られません。
土壌汚染物質や産業廃棄物が含まれることもありますので、特にこれらは売却をする上で大きな問題となります。
売買契約後に買主の方の調査によってこのような埋設物が発見をされますと、隠れた瑕疵とされることがあります。
(お手数をお掛け致しますが、詳しくは「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「売買時の瑕疵担保責任について」の項目をご覧ください)
埋設物が隠れた瑕疵とされた時には、売主の方が責任を負いその埋設物の撤去や改良工事を行う必要があります。
契約締結前に決定をした瑕疵担保責任を負う期間が過ぎていれば、売主の方が責任を負うことはありませんが、それも気持ちのいいものではありません。
このような事態にならないためには、できる限り売主の方も埋設物について調査をしておくことが大切です。
実際に不動産売買後に、地下埋設物によってトラブルとなった事例もあります。
不動産を更地にしますと、より埋設物の調査をしやすくなります。
原則として、売主の方は引渡し前に不動産の瑕疵を発見し、それを解決しておく必要があります。
不動産を更地にして確認をしておけば、埋設物についての心配もなくなります。
これは不動産を更地にしてから売却をするメリットの1つです。
また、更地の状態の不動産は、各方向の環境を見渡せる状態です。
周辺の環境を土地上から見渡せるというのは、時には大きなメリットとなります。
このようなメリットもありますので、不要な建物は更地にするほうが有利かもしれません。
不動産を更地にする3つのデメリット
不動産を更地にしますと上記のようなメリットがありますが、同時に幾つかのデメリットも存在をします。
このデメリットが上記のメリットよりも気になるようでしたら、更地にしてから売却はしないほうがいいかもしれません。
不動産を更地にするデメリットは下記の3つです。
これらが更地にした時のデメリットです。
これらがデメリットになる理由につきましては、次の項目にてご説明致します。
解体費用がかかってしまうこと
不動産を更地にするということは、土地上の建物を取壊す必要があります。
そうなりますと業者に依頼をして建物を解体してもらうことになりますが、解体費用は決して安くありません。
解体費用は100万円を超えることも多く、売却前に大きな出費をすることになります。
金銭面に余裕がある方はまだいいのですが、そうでなければ売主の方にとって大きな痛手となってしまいます。
売却価格は不動産自体の立地や大きさ、利便性などによっても大きく変動し、問題のある建物を取壊せば確実に高額売却に繋がる訳ではありません。
これは不動産を更地にしてから売却をするデメリットの1つです。
解体費用は譲渡所得計算時の譲渡費用に含められますが、売却価格(譲渡価額)が低い時にはあまり意味がありません。
不動産を更地にしてより高額での売却が可能であれば節税効果も見込めますが、そうでなければこのデメリットがより大きくなります。
不動産を更地にしてから売却をする場合には、この点を意識しておいてください。
建物がなくなってしまうこと
近年はリフォームやリノベーションなどが注目をされており、中古物件の需要が高まっております。
また、古民家調の建物を好む方も増えており、そういった雰囲気のある不動産はむしろステータスとなることがあります。
不動産を更地にしますと、上記のような趣向の購入希望者の方からは関心を得られない可能性があります。
不動産を売却する際には、より多くの方に関心を持ってもらうことが大切です。
更地の状態で不動産を売却しますと、土地のみをお探しの購入希望者の方からしか関心を得られません。
これは不動産を更地にしてから売却をするデメリットの1つです。
建物が確実に売却をする上で障害となるのでは仕方がありませんが、そうでなければ取壊しが不要な場合もあります。
せっかく魅力的な建物であるのに更地にしてしまっては、それだけで不利となってしまいます。
建物を取壊したばかりに売却が困難になることもありますので、不用意に解体を決断されないほうが無難です。
しかし、更地にしたほうが多様性に富み、好まれる不動産もあります。
そのような時には、更地にすることはむしろメリットとなります。
ここは売却をする不動産によって大きく異なりますので、有利となるほうを選択することが大切です。
負担をする税金が高くなること
不動産を所有している方は、固定資産税を納税する義務があります。
売却中の不動産も例外ではなく、買主の方に所有権が転移をするまでは、売主の方が固定資産税を負担しなくてはいけません。
この固定資産税は、不動産の種類によって納税額が変動をする可能性があります。
売却をする不動産が住宅などの敷地として利用をされている土地であれば、「住宅用地の特例」の適用を受けることができます。
この特例によって固定資産税が減税をされるのですが、更地になりますと住宅などの敷地として利用をしているとみなされません。
こうなりますと、更地にする前は住宅用地であったとしても、この特例の適用を受けられません。
「住宅用地の特例」の適用を受けている不動産を更地にして適用除外となった場合、3~4倍に固定資産税が増加をします。
これは不動産を更地にしてから売却をするデメリットの1つです。
売却期間が長引く可能性の高い不動産は、特にこのデメリットが目立ちます。
売却ができるまで増加した固定資産税を支払う必要がありますので、長引く分だけ負担も大きくなります。
金銭的に余裕のある方や計画を立てていらっしゃる方はいいのですが、そうでない方は注意が必要です。
こういった面でのデメリットもありますので、更地にすることをご検討中の方はこちらもご確認ください。
選択が難しい時の対処法
上記までが不動産を更地にしてから売り出すメリットとデメリットになります。
これらを踏まえた上で、ご自身にとって有利となるほうを選択することが大切です。
しかし、不動産の種類や状況によっては、どうしてもご自身での判断が難しいという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのような場合には、下記の3点の対処法を実践することで解決ができるかもしれません。
更地にするかどうかお悩みの方は、これらの対処法も一度ご確認ください。
不動産会社の方に相談をすること
殆どの売主の方は売却を有利に進めたいとお考えになりますが、そのためには的確な判断が必要です。
不動産は更地にしたほうが有利になることもあれば、不利になることもあります。
ここの判断がご自身では難しいようでしたら、まず不動産会社の方に相談をするといいかもしれません。
不動産会社の方は、不動産売買に関するプロです。
あまり経験のない方とプロの方では、大きく判断に差が出ることもあります。
ご自身では判断が難しいことでも、プロの方は今までの経験から的確な判断をしてくださることも多いです。
依頼をした不動産会社の方の中には、今までに類似をした不動産の売却に携わったことのある方もいらっしゃるかもしれません。
そのような方に相談ができれば、有利に売却をしやすくなります。
ただし、不動産会社の方に相談をして判断をする場合には、注意が必要な点もあります。
不動産会社の中には、利益ばかりを優先する悪質な業者も存在をします。
悪質な業者に依頼をして相談しますと、的確な判断がより難しくなる可能性が高まります。
的確な判断をするためには、優良な不動産会社に依頼をすることが大切です。
また、不動産会社によって得意不得意分野が異なることもありますので、そういった点も意識をしておくほうがいいかもしれません。
建物の再建築について考えること
不動産の中には、取壊しによって建物の再建築ができなくなるものもあります。
これには幾つか理由があるのですが、まずセットバックの問題が挙げられます。
(お手数をお掛け致しますが、セットバックにつきましては「不動産を売却する際に注意が必要なトラブルとその解決方法」の記事にあります「セットバックに関するトラブル」の項目をご覧ください)
このセットバックの問題によって、満足に建物の再建築ができないことがあります。
再建築をする時には現在の条件で建物を再建築しますので、古家建築当時と周辺の環境が大きく変わっている時には注意が必要です。
また、建物の建築には容積率や建ぺい率も関係し、これらは建築年数によって異なります。
(お手数をお掛け致しますが、容積率と建ぺい率は「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「曖昧になりやすい言葉について」の項目をご覧ください)
古家建設当時には認められていても、現在にはこれらの率が小さくなっている可能性もあります。
そうしますと、上記の時と同様に満足な建物を再建築できません。
建物が残っていれば、いずれの場合もリフォームやリノベーションをすることは可能です。
(役所の確認が必要となる増築や再建築は建物があっても不可能です)
これらの問題がある不動産は、修繕不可能な大きな欠陥がない限り更地にしないほうがいいかもしれません。
再建築が不可能な不動産は、著しく売却価格が下がることが多いです。
このような面も意識をして、更地にするかどうかを決定してみてください。
最初は古家付きで売却をすること
不動産を売却する際には、不動産会社の方に依頼をして物件情報などを宣伝してもらいます。
この時、不動産が更地の状態であれば土地としてしか不動産を宣伝できません。
古家付きの不動産であれば、更地渡しもできるとすることで、中古の建物と土地のどちらとしてでも売り出すことができます。
どちらでも宣伝をするには不動産会社の方にお願いをする必要がありますが、こうすることでより多くの購入希望者の方に宣伝をすることが可能です。
中古の建物をお探しの方にも土地をお探しの方にも宣伝ができますので、早期に売却もしやすくなります。
更地にするかどうかは買主の方次第ですので、そこで悩まずに売り出せるという点もメリットです。
ただし、更地として引渡すことになった場合には、売主の方と買主の方のどちらが解体費用を負担するのか決めなくてはいけません。
最初からどちらかが負担をすると決まっていればいいのですが、そうでなければ話し合いをして負担をするほうを決めることになります。
(解体費用について相談が必要な場合は、備考欄などにそのことを記載します)
この話し合いをしっかりとしておかなければ、後にトラブルの原因にもなります。
解体費用は決して安くありませんので、トラブルが起こりますと、思わぬ損失に見舞われる可能性も高いです。
このようにならないためにも、この場合にはお互いが解体費用について確認をし合うことが大切です。
大きな問題へと発展をしては大変ですので、トラブルにならないようにご注意ください。