様々な状態の不動産を売却する際の大まかな流れと手続き
2016/09/30
不動産を売却する際には、様々な作業が必要となります。
ですから、売却までに必要な手順を知っておくことが重要です。
近年は、不動産を売却する際には、殆どの方が不動産の仲介業者に仲介を依頼します。
その影響で、売主本人にそれ程知識がない状態でも、比較的簡単に売却を行うことができるようになりました。
その反面、知識不足が災いして、詐欺やトラブルが起こってしまうことが多くなったのも事実です。
やはり、不動産には様々な種類があり、それぞれで売却の流れが若干異なるのが一般的です。
現在、お持ちの不動産の種類を知り、その売却の流れを知っておくことは、後のトラブル対策にも繋がります。
そのため、このページでは、様々な種類の不動産を売却する際の流れについてご説明致します。
また複雑な状態にある不動産を売却する流れについても少々触れておりますので、必要なものをご覧ください。
では、まずは、不動産を売却する際の大まかな流れについてご説明致します。
目次
不動産を売却する3つの方法
不動産を売却する際には、主に、「仲介で売却する」、「個人間で売却する」、「買取で売却する」という3パターンを選ぶことができます。
これらには、それぞれ特徴があり、実際に売却をする際の流れなども異なっております。
もちろん、これらのどれを選ぶかは、売主の自由です。
そのため、ご自身の目的に合った方法を選択することが重要です。
なお、これらの大まかな流れさえ知っておけば、後は、不動産の種類や状態によって、事前準備を変えていくだけで売却を行うことができます。
そのため、この項目では、まず、上記の3つの売買方法による大まかな流れについてご説明致します。
なお、下記では不動産の販売活動を行う際の流れから記載をしております。
それまでの事前準備などについて知りたい方は、お手数をお掛け致しますが、
「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります
「不動産を売却するまでの流れ」と
「まず確認をしておきたいこと」
の項目をご覧ください。
では、まずは、不動産を仲介によって売却する際の大まかな流れについてご説明致します。
不動産を仲介で売却する際の流れ
不動産を仲介によって売却する際には、当然に不動産会社などに仲介依頼をする必要があります。
仲介依頼をした場合、不動産売却に係る多くの作業を、不動産会社に代行して貰うことができます。
ただし、これは、全ての作業を代行してくださるという意味ではありません。
やはり、時には、売主自身が販売に関して作業を行わなくてはならないこともあります。
ですから、売主自身も、ある程度は不動産を売却するための流れを知っておくことが大切です。
まず、仲介で不動産を売却する場合、最初に、売却計画などを立てた上で、依頼する不動産会社を探すことになります。
最近は、一括査定などを申し込むことができるサービスなどもあるため、そういったものを利用するのも効果的です。
その中で依頼をしたい不動産会社が見つかりましたら、その会社に仲介を依頼します。
そうして、媒介契約を結びましたら、不動産の売り出し価格を決め、実際に売り出しを始めます。
その時の広告などは、仲介を依頼した不動産会社が行ってくださるのが一般的です。
なお、不動産を売り出す際には、販売期間に応じて価格を調整・変更する場合も多いようです。
やはり、売れやすい不動産であれば、それなりの価格設定で販売活動を行わなくては、後に損となってしまうこともあります。
一方、売れにくい不動産であれば、販売期間によって価格を工夫しなくては、いつまで経っても売れないままで残ってしまう可能性があります。
ですから、随時売り出し価格を確認し、適切に設定をしていく作業が必要です。
不動産会社に仲介を依頼していらっしゃる場合には、売り出し価格を仲介先と相談することができます。
そのため、専門の方の意見を聞いた上で、価格を決定していくと安心です。
こうして、不動産の購入希望者が見つかりましたら、細かい部分の交渉をした上で、重要事項説明などを行ってきます。
そして、お互いに売買条件に同意をしましたら、ここで売買契約を結んでいきます。
なお、通常であればこの段階で、買主の方から手付金を受け取ります。
後は、お互いに取り決めた決算日に、買主の方から売却代金を受け取り、不動産を引き渡すだけです。
不動産の決算・引き渡し時には、通常は、仲介手数料と司法書士への報酬の支払いも必要となりますのでご注意ください。
(場合によっては、売買契約を締結した後に仲介手数料の半額を請求される場合もあります)
これで、不動産の売却は完了です。
(これらの流れは、順序が若干変わることもありますのでご注意ください)
なお、不動産の売買を終えた後には、不動産の譲渡所得に応じた税金の支払いも行わなくてはなりません。
そのため、不動産の譲渡所得に関する確定申告を行っていきます。
そして、税金を納付すれば、全ての不動産売却に関わる手続きを終えることができたということになります。
なお、これらの流れの更に詳しい説明につきましては、お手数をお掛け致しますが、「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「実際の販売活動の流れ」の項目をご覧ください。
以上が、不動産を仲介によって売却する際の大まかな流れになります。
なお、不動産を売却する際には、不動産会社に仲介を依頼しないで売買をする方法もあります。
これは、個人間売買などと呼ばれており、その名通り、個人間で売買を行います。
この方法で不動産を売却した場合、不動産会社に仲介を依頼しないため、仲介手数料などは掛かりません。
その分、売却中にトラブルが起こりやすくなってしまうなどのデメリットもあります。
次は、こういった不動産を個人間で売買する際の大まかな流れについてご説明致します。
不動産を個人で売却する際の流れ
不動産を売却する際には、必ず不動産会社に仲介を依頼しなくてはいけない訳ではありません。
そのため、既に買主が決まっている場合や不動産売買に関する知識が豊富な方は、個人売買を行という手段を取ることもできます。
ただ、個人間売買では、本来、不動産会社が代行をしてくださる多くの作業をご自身で行わなくてはなりません。
更に、知り合いとの取引は、トラブルにならないことを前提として、容易に取引を行ってしまうことも多いものです。
しかし、不動産の取引は、通常の物品売買とは訳が違います。
実際に取引を行ってみると、考えもよらなかったことで、揉め事などが起こってしまうことも少なくありません。
こうなると、例え知り合い間での取引であっても、大きなトラブルとなってしまう可能性もあります。
ですから、個人間売買を行う際には、ある程度売却までの流れを知った上で取引を行っていくことが大切です。
やはり、個人で不動産を売却する場合、必要書類などは、全てご自身で準備をする必要があります。
更に、販売活動、各書類の作成、買主の方への対応なども、売主一人で行わなくてはなりません。
ですから、スムーズに取引を行うためには、事前にこういった流れに関しても、知識を付けておくことが重要です。
下記は、個人で不動産を売買する際の大まかな流れを記載したものです。
- 物件の権利と価格を調査
- 不動産を個人間で売買する場合、不動産に関する調査や価格設定などは、売主自身で行う必要があります。
- そのため、法務局で取得することができる、「登記事項証明書(登記簿)」などで、不動産に関する権利関係などを確認しておくことが大切です。
- また不動産の価格の相場は、周辺物件の価格や路線価、公示価格などから、ご自身で割り出していく必要があります。
- なお、ご自身で不動産の相場を予想する方法につきましては、お手数をお掛け致しますが、「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「不動産の予想売却価格の計算方法」の項目をご覧ください。
- こういった工程が面倒だという方は、「不動産の一括査定サイト」などを使い、不動産会社に一括査定を依頼するのも効果的です。
- 必要書類の準備
- 仲介により不動産を売却する際には、不動産会社が必要書類を提示・準備してくださることも多いのですが、個人間売買では、ご自身で必要書類や必要物などを準備する必要があります。
- そのため、事前に必要となる可能性のある書類・物を、十分に調べ、準備をしておく作業が必要です。
- なお、不動産売却の際に準備をしておきたい主な書類・物の一覧に関しましては、お手数をお掛け致しますが、「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「不動産売却を行う際の手順」の項目をご覧ください。
- 売却価格の決定
- 不動産を売却するための準備が整いましたら、とうとう実際に不動産の売却価格を決めていきます。
- その際には、「1.物件の権利と価格を調査」で調べた相場を参考に、必要に応じて価格の微調整をすることも大切です。
- 公示地価の価格や過去の取引条件、現在広告が出されている近隣の不動産の価格などを再確認しておくと、価格を決定しやすくなります。
- ご自身で販売活動を行う
- 個人で不動産を売買する場合、ご自身で広告を出稿するなどして不動産の宣伝をしなくてはなりません。
- 不動産会社などに仲介を依頼している場合には、その会社がレインズ(不動産流通標準情報システム)というシステムに不動産の情報を登録してくれます。
- 一方、個人ではこのレインズ(不動産流通標準情報システム)に不動産の情報を登録することができないため、他の方法を使って、対象不動産を宣伝することになります。
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【個人で不動産の買主の方を探す方法の一例】
- 近所や知り合いの方に購入の希望がないかを確認する
- 個人でチラシを作りポスティングなどをして宣伝する
- 個人でも登録できる不動産情報サイトに載せる
- なお、個人でチラシを作成する場合、「デザイン料が3~8万円」程度、部数にもよりますが、「折込広告料が1回につき6~10万円」程度掛かりますので、それなりの資金を準備しておくことが大切です。
- また不動産情報サイトに対象不動産の情報を登録する場合には、掲載料などの支払いを求められる可能性があります。
- その際の掲載料は、サイトによって異なりますので、それぞれのサイトの掲載料を確認しておくようにしてください。
- 下記の表は、不動産の情報を登録することができるサイトとその掲載料の一例です。
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【不動産サイトと掲載料の一例】 Yahoo!不動産 月額1万円(6ヶ月間の契約)※1 物件s 無料 HOME’S 月額1万円(問合せ時などに課金)※1 e物件情報 スタンダードコース 3,240円 シルバーコース 6,480円 ゴールドコース 10,800円 スーモ 個別で見積もりが必要※2 おうちダイレクト 無料 アットホーム 月額1万円※3 ホームライブラリ 無料 ※1.メール、電話の問い合わせ数に応じて、その都度課金がされていきます。※2.参考価格としては、35枠で「月額20万円」程度です。※3.10枠までが月額1万円となります。 - なお、上記の「おうちダイレクト」は、「YAHOO!不動産」と「ソニー不動産」の二社が一緒に行っているサービスです。現在、マンションの登録のみで、登録地域も限定されております。
- 内見や問い合わせの対応
- 購入希望者の方が現れた場合、様々な問い合わせや内覧・現地確認の希望が来る可能性があります。
- 問い合わせが来た際や内覧の際には、複雑な内容の質問などにもご自身で対応を行わなくてはなりません。
- 購入後の瑕疵担保責任、境界などに関する説明、土壌の埋蔵物の可能性、仲介業者が入らない旨など、なるべく多くの質問内容を想定し、適切な回答ができるようにしておくことが大切です。
- やはり、こういった際に回答が曖昧であったり、詳細が分からなかったりすると、不動産が売れにくくなってしまいます。
- そのため、分からないことは事前に調べ、万が一、想定外の質問をされたとしても、すぐに状況を確認し、相手に伝えるなど適切な対応を心がけることが重要です。
- 購入希望者の方が現れる(交渉)
- 内覧などを終え、不動産の購入希望者の方が現れたら、とうとう購入の手続きを進めていきます。
- その際には、価格交渉・引き渡し日の決定を行っていきます。
- 個人売買では、この価格交渉に関しても、ご自身で行っていくこととなります。
- どの程度まで値下げをするのか、今売ってしまってもいいのかなど、的確な判断が必要です。
- なお、値下げをするタイミングと、その際の価格などに関しましては、お手数をお掛け致しますが、「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「売却しやすい条件の不動産の場合」と「売却しにくい条件の不動産の場合」の項目をご覧ください。
- 各種必要書類の作成
- 売買価格や引き渡しに関する話がまとまりましたら、次は、売買契約書や履歴事項証明書など、各種書類の作成を行っていきます。
- なお、個人間売買では、これらの書類もご自身で作成をすることになります。
- これらの書式に関しては、法律で定められている訳ではありませんが、お互いの意見を記す書類という意味でも、必ず記載をしておきたい項目がいくつかあります。
- 不動産の売買契約書は、インターネット上で「不動産売買契約書 ひな形」などと検索をすれば、多くの見本を見つけることができます。
- その中で、必要項目がきちんと記入できるものを選び、忘れずに記入を行うことが大切です。
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【契約書に記載される項目の一例】
- 売主の方と買主の方の氏名や住所
- 取引不動産の面積、所在地、地目、持分などの基本情報
- 売買代金、手付金・中間金の額や各種清算金の金額及び受領日
- 対象不動産の引き渡し日
- 土地の測量や境界に関する事項
- 公簿売買の場合は、実測面積と登記簿記載面積の誤差に関する取り決め
- 所有権移転登記の時期や費用負担などに関する取り決め
- 年度公租・公課分担の起算日などの取り決め(固定資産税など)
- 手付解除、契約解除、違約金に関する取り決め
- 融資(住宅ローンなど)利用の場合の承認予定日や融資金額などの基本情報
- 融資が未承認になった場合の契約解除(住宅ローン特約)の期限
- 契約書の印紙代に関する取り決め
- 電気・ガス・水道などの使用料の負担に関する取り決め
- 危険負担や瑕疵担保責任に関する取り決め
- 近隣環境やお互いに同意した悪条件などに関する内容
- 各種契約条項に関する詳細な取り決めの内容
- お互いに取り決め、同意した特約事項など
- もちろん、上記以外にも必要な項目がある場合には、きちんと記入を行っておくことが重要です。
- なお、個人売買では、重要事項説明書や説明は必要ないとされておりますが、後のトラブルを防止するという意味でも、きちんと重要事項説明を行っておくと安心です。
- 売買契約の締結・決算
- 契約に必要な書類などの準備ができましたら、とうとう実際に買主の方と不動産の決算・引き渡し日を取り決め、売買契約を締結していきます。
- その際には、先程作成をした売買契約書を用いて、手続きを進めていきます。
- なお、売買仲介では、売買契約を締結すると同時に手付金(売買金額の5%~10%程度)を受領するのが一般的です。
- 個人売買では、必ず手付金を受け取る必要はありませんが、安心感を求めるならば手付金を受領する方向で契約を進める必要があります。
- なお、不動産の売買契約を締結する際には、司法書士などに立ち合いを求めておくと安心です(後の所有権移転登記などを行う際にも、登記を代行して貰います)。
- 不動産の引き渡し
- 売買契約の際に決めた引き渡し日が来ましたら、実際に不動産の決算・引き渡しを行っていきます。
- 売主の方は、それまでに不動産の引き渡し準備(荷物の整理や引越しなど)を終えておく必要があります。
- (事前に買主の方から手付金を受け取っている場合には、それを差し引いた残りの売買代金を受け取ります)
- 売買代金の入金が確認できましたら、不動産と同時に所有権移転登記に必要な書類なども引き渡し、所有権移転の手続きを行います。
- その際の手続きは、多くの場合、司法書士などに代行をして貰います。
- なお、これらの各段階の詳しい説明につきましては、お手数をお掛け致しますが、「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「引き渡しの際の実際の流れ」の項目をご覧ください。
- 不動産の引き渡し・決算が終わりましたら、その後のアフターフォロー(瑕疵担保責任など)を行っていきます。
- また不動産の売買に関する税金の支払いも必要です。
- これら、税金の支払いに関する説明につきましては、お手数をお掛け致しますが、「所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識」の記事にあります「不動産の引き渡し時の基礎知識」の項目をご覧ください。
なお、実際の個人間売買では、これらの流れが若干異なってしまうこともあります。
ですから、その都度の状況に合わせ、順番や手順を入れ替えるようにしてください。
以上が、不動産を個人間で売買する際の大まかな流れになります。
なお、不動産を売却する際に、即金性を求める場合、買取によって不動産を売却するという手段もあります。
この場合、多くの作業を不動産会社に代行して貰える上に、仲介手数料の支払いも必要ありません。
その代わり、売却価格が他の方法に比べて、低くなってしまうという大きな問題も存在します。
次は、こういった買取で不動産を売却する際の大まかな流れについてご説明致します。
不動産を買取で売却する際の流れ
不動産を売却する際には、専門会社などに不動産の買取を実行して貰うという方法もあります。
この場合、不動産を即売却することができるため、すぐに売却金を手に入れることができます。
ただし、その際の売却価格は、通常の市場価格よりも低い場合が多いのが一般的です。
やはり、不動産を買取により売却をすると、その不動産は買い取った会社がリフォームなどを行わなくてはなりません。
そうすると、自然と修理修復などに関する費用が差し引かれた価格が買取価格となってしまいます。
そのため、買取で不動産を売却する際には、ある程度、価格が下がることを想定しておかなくてはなりません。
更に、中には、不動産の価格を大幅に低く査定する悪徳会社なども存在します。
ですから、こういった悪徳業者に関しても、十分に注意をしておくことが必要です。
なお、不動産を買取によって売却する場合、その流れは他の方法に比べて簡単であるのが一般的です。
やはり、買取で不動産を売却する際には、販売活動などを行う必要がありません。
そのため、実際の取引の際には、査定と打ち合わせをするだけで売却ができてしまうといっても過言ではありません。
下記は、不動産を買取で売買する際の大まかな流れを記載したものです。
- 物件の権利と価格を調査
- 不動産の買取をして貰うためには、まず、 不動産の買取を依頼することができる業者を探す必要があります。
- 不動産の買取において、最初の買取先の決定は非常に重要な部分です。
- やはり、この時の選択によって、買取価格やその後の結果がほぼ決まるといっても過言ではありません。
- 不動産の買取価格はそれぞれの業者によって、かなりバラつきがある場合も少なくありません。
- そのため、詐欺の心配などがなく、査定価格が高額な買取業者を探すことが重要です。
- 電話帳やインターネットで探す、町を歩いたりして探すなどの方法を用いて、依頼をしたい買取業者を探していきます。
- なお、インターネットの買取価格の一括査定サイトなどを利用すると、大まかな価格の相場と、買取価格が高額である業者を選別することができます(同時に口コミなどを調べておくと、尚効果的です)。
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【優良な買取業者を探す際のポイント】
- 質問や問い合わせの対応が早く、回答が的確である
- 様々なデメリットを隠さず説明してくれる
- 過去の販売実績が豊富で悪評が少ない
- 買取価格の一括査定などで複数の買取業者の価格を調べてみる
- なお、不動産の買取依頼をする際には、よく見かける業者に容易に依頼をしないようにすることも大切です。
- よく見かける買取業者などは、言い方によっては、広告費を多く使っているということになります。
- 広告費を多く使っているということは、その分、買取価格を低く設定し、その差分で広告費をまかなっている可能性があります。
- そのため、大手の業者にすぐ依頼をするのではなく、買取価格や口コミなどを総合的に判断して、買取業者を決めていくことが重要です。
- 物件の価格査定を依頼する
- 不動産の買取を依頼する業者が決まりましたら、今度は、その会社に不動産の価格査定を依頼していきます。
- なお、査定の際には、正確な調査をして貰うためにも、実地調査の実施を行うことが大切です。
- その際に価格を高めるためには、売却予定の不動産をこれまで行ったことのない程に掃除し、綺麗にしておくことがポイントです。
- 掃除などが済みましたら、事前に決めた日にちに、実地調査を行って貰います。
- 買取価格の提示
- 実地の調査が終了すると、査定を依頼した業者から買取価格が提示されます。
- 買取の場合、この価格で不動産が買い取られることとなります。
- そのため、提示された査定価格について吟味し、適切な価格かどうかを確認してみることが大切です。
- 不動産の買取では、通常の不動産売買時に比べて、6割~8割程度価格が低くなるのが一般的です。
- 良心的な業者であれば、特別な事情を除き、ほぼこの価格帯で査定価格を算出してくださいます。
- ですから、この時に、明らかに低価格な査定結果を提示してきた業者とは、契約などをしないようにすることが必要です。
- 各種打ち合わせ
- 査定価格の提示をして貰った後は、買取業者と細かい打ち合わせをしていきます。
- 提示された査定価格に不満がある場合には、この段階で交渉をすることも可能です。
- その際には、周辺地域の似通っている不動産の取引価格などの情報を収集し、買取業者に提示すると交渉が上手くいきやすくなります。
- 価格の調整が終わりましたら、次は、不動産を引き渡す際の条件やスケジュールなどを打ち合わせしていきます、
- なお、不動産の買取では、引き渡しの際にトラブルが起こってしまうことも多いものです。
- そのため、最低限、下記の事項を確認し、しっかりと打ち合わせをしておくことが大切です。
-
【確認しておきたい不動産の引き渡し条件の一例】
- 家財道具や附属設備の処分費用の請求
- 空調設備などの放置に対する請求
- その他曖昧なまま話が終わった条件
- これら以外にも、トラブルになりそうな事柄は、きちんと打ち合わせをしてから、契約を行うことが重要です。
- 売買契約の締結
- 価格や引き渡し条件などの打ち合わせなどが一式終わり、お互いに同意をしましたら、とうとう売買契約を締結していきます。
- なお、その際に売買契約書にサインをする(契約をする)と、基本的に契約内容の変更や取り消しはできないのが原則です。
- ですから、不動産の引き渡し日や入金日、各種条件などをきちんと確認した上で契約を締結することが重要です。
-
【売買契約を締結する前の最終確認】
- 本当に買取で不動産を売却しても良いのか
- 買取価格は適切であるか
- 引き渡し条件は適切であるか
- 引き渡し・入金の時期は適切であるか
- なお、契約の際には、売買契約書の読み合わせ、付帯設備の確認、物件状況等の確認、記名・押印、手付金を受け取る、といった作業を行います。
- これらの作業は、基本的に買取業者が流れを説明してくださるので、それに従っておけば問題ありません。
- 不動産の引き渡し・入金
- 不動産の売買契約を終えた後は、抵当権抹消手続き、新居への引越しなどの不動産の引き渡し準備を進めていきます。
- なお、事務的な書類の手続きなどは、買取業者が手順などを教えてくださる場合が殆どですので、その指示に従って準備を行います。
- 決算当日の入金・不動産の引き渡しは、お互いの間で取り決めた銀行で行われるのが一般的です。
- そこで、売主の方は売買代金や各種清算金などを受領し、買取業者に不動産の鍵や所有権移転登記に必要な各種書類などを引き渡します(後日、不動産売却に係る税金の支払いを行います)。
なお、不動産の売却は焦っているけれど、売却価格はなるべく下げたくないという方も中にはいらっしゃるかもしれません。
そういった場合には、不動産の買取までの期限を決め、それまでの間は通常の販売活動を行うというった方法を取ることもできます。
これなら、予め決めた期限までに不動産が売れなかった際にだけ、不動産の買取が実行されるようになります。
ですから、その期間内に不動産が売れれば、比較的高い価格で不動産を売却することができます。
以上が、買取で不動産を売却する際の大まかな流れになります。
これで、不動産を売却する際の大まかな流れの説明は終わりです。
なお、これまで記載を行った売却の流れは、あくまで一般的な不動産を売却した際の流れになります。
そのため、場合によっては、不動産を売却する前に、新たな事前確認などが必要となってしまうこともあります。
例えば、売却予定の土地の地目には様々なものがあり、それぞれで売却時の確認事項などが異なるのが一般的です。
やはり、これらの確認を怠ると、後に、思いもよらなかったようなトラブルが起こってしまう可能性もあります。
そのため、次の項目では、こういった様々な地目の土地を売却する際の流れについてご説明致します。
土地を売却する際の基礎知識
土地の登記記録を見てみると、その土地の種類などが記載されているのが一般的です。
登記上の土地の種類は、「地目(ちもく)」という名前で呼ばれております。
地目は、基本的に現況の状態を判断した上で決定がされます。
そのため、売却予定の土地の地目を確認し、的確な確認を行っておくようにしたいものです。
やはり、地目によっては売却の前に、特殊な作業などが必要となってしまうものもあります。
そこで、この項目では、こういった土地の地目の種類とその内容についてご説明致します。
なお、土地の地目に関する確認が終われば、後は多くの場合、既に記載をした方法別の売却方法とそう大差ない流れで売却を行うことができます。
土地に関する23種類の地目
地目とは、不動産登記法に定められた土地の区分のことで、現況の用途や利用目的などによって分類がされます。
不動産登記法(不動産登記規則第99条)によって規定されている地目は、全部で23種類になります。
登記上、その23種類以外の地目は使用をすることができないため、必ずこの中のどれかに分類がされます。
【23種類の地目の説明】
- 宅地
- 建物の敷地及びその維持若しくは効用を果すために必要な土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条3号)
- 田
- 農耕地で用水を利用して耕作する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条1号)
- 畑
- 農耕地で用水を利用しないで耕作する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条2号)
- 牧場
- 家畜を放牧する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条10号)
- 原野
- 耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条11号)
- 塩田
- 海水を引き入れて塩を採取する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条6号)
- 鉱泉地(こうせんち)
- 鉱泉(温泉を含む)の湧出口及びその維持に必要な土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条7号)
- 池沼(ちしょう)
- かんがい用水でない水の貯留池
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条8号)
- 山林
- 耕作の方法によらないで竹木の生育する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条9号)
- 墓地
- 人の遺体又は遺骨を埋葬する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条12号)
- 境内地
- 境内に属する土地であって、宗教法人法第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む)
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条13号)
- 運河用地
- 運河法第12条第1項第1号又は第2号に掲げる土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条14号)
- 水道用地
- もっぱら給水の目的で敷設する水道の水源地、貯水池、ろ水場又は水道線路に要する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条15号)
- 用悪水路
- かんがい用又は悪水はいせつ用の水路
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条16号)
- ため池
- 耕地かんがい用の用水貯留池
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条17号)
- 堤
- 防水のために築造した堤防
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条18号)
- 井溝(せいこう)
- 田畝又は村落の間にある通水路
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条19号)
- 保安林
- 森林法に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条20号)
- 公衆用道路
- 道路法による道路であるかどうかを問わず一般交通の用に供する道路
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条21号)
- 公園
- 公衆の遊楽のために供する土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条22号)
- 鉄道用地
- 鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条5号)
- 学校用地
- 校舎、附属施設の敷地及び運動場
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条4号)
- 雑種地
- いずれの地目にも該当しない土地
(不動産登記事務取扱手続準則 第68条23号)
なお、土地の中には、登記された地目と、実際に現在利用されている地目(現況地目)とが一致していない場合があります。
現在は土地上に住宅が建っているにも関わらず、登記上の地目は「畑」や「山林」のままになっている土地などがその例です。
法律の規定上では、利用目的の変更によって地目が変わった際には、土地の権利を持つ者が、変更があった日から1ヶ月以内に、変更登記の申請をするよう定められています。
それを怠れば、10万円以下の過料に処せられるのが一般的です。
そのため、本来は土地の用途が変わった時点で、きちんと地目を変更するのが原則です。
やはり、不動産を売買する上でも、この現況地目と登記上の地目が一致していることが好ましいのは言うまでもありません。
地目と現況地目が異なっている土地は、場合によっては、それだけで売れにくくなってしまう危険性があります。
更に、地目の変更を行っていない弊害は、土地の売れやすさ以外にも様々な影響があります。
例えば、登記上の地目が「畑」、「山林」、「雑種地」などの場合、そこに記載がされる地積は少数点以下が切り捨てられます。
例:「130.33平方メートル」であれば「130平方メートル」と表示されます
一方、地目が「宅地」である場合には、登記の地積には小数点以下第二位まで表示がされるのが普通です。
例:「130.33平方メートル」であれば「130.33平方メートル」のまま
そのため、公簿売買などで土地を売買する際には、地目の影響で価格に変動が起こってしまう可能性があります。
なお、地目変更登記によって「畑」、「山林」、「雑種地」などを「宅地」にする場合には、法務局の地積測量図の求積表を見るなどして、小数点以下の地積を確認・登記することが可能です。
地積測量図がない場合には、旧土地台帳などから数値を確認することもできます。
そのため、土地を売買する際には、きちんと地目を確認し、地積に関しても修正を行っておくことが大切です。
なお、万が一、上記の書類から地積の確認ができない場合には、小数点以下の数値を「.00」とすることになりますのでご注意ください。
例:「130.33平方メートル」であれば「130平方メートル」となります
以上が、土地の地目の種類とその内容になります。
地目の種類の確認が終わりましたら、次は、実際に土地を売るための準備を進めていきます。
やはり、地目の種類によっては、不動産売却に有利・不利なものが存在します。
売却が不利な地目に関しては、しっかりと事前確認を行い、少しでも売れやすくなるように工夫をしておくことが大切です。
更に、こういった確認は、後のトラブルを防ぐことにも繋がります。
そのため、次は、こういった地目別の大まかな事前確認の流れについて記載を行っていきます。
なお、「塩田」、「運河用地」、「水道用地」、「堤」、「井溝」、「学校用地」は、多くの場合、地方自治体などが管理している又は売却がほぼ行われないため、説明を省いておりますのでご了承ください。
また下記は、あくまで主に確認をしておきたい事柄を記載しているだけですので、状況に応じて、その他の確認が必要となる可能性もあるためご注意ください。
土地(宅地)を売却する際の流れ
宅地は、「建物の敷地及びその維持若しくは効用を果たすために必要な土地」という位置づけの土地となります。
ですから、住宅などを売買する際には、やはりこの「宅地」を売却することが大半です。
なお、宅地に分類されるのは、一戸建て住宅の敷地だけではありません。
マンションの敷地、ビルや商業施設の敷地なども「宅地」として取り扱われます。
更に、下記のような土地も、宅地に分類されるのが一般的です。
- 建物が建っている真下の敷地
- 庭の植え込み・池
- 敷地内の菜園(野菜などを栽培している場合)
- 公道に出るのに必要な私的な通路部分など、建物の効用を果たすために必要な土地で、建物の敷地と一体として使用されているもの
- 建物の敷地部分よりも広大な庭園部分(建物と一体として使用されている場合)
- 店舗や事務所の敷地で、建物の敷地以外の部分が、店先の駐車場など建物の敷地に付随するものである場合
- 宅地と接続しているテニスコートやプール
- ガスタンクや石油タンクの敷地
- 工場又は営業場に接続している物干場又はさらし場
もちろん、これら以外にも宅地と分類される土地はたくさんあります。
この項目では、こういった宅地を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
土地(宅地)を売却する際の確認
宅地は、不動産取引において、非常に取引事例が多い地目です。
そのため、他の地目のように、特別な確認が必要となってしまうことはそれ程多くありません。
宅地を売却する際に、十分に確認をしておきたいこととしては、まず「境界」の問題があります。
やはり、宅地の周りには、同じ宅地が隣接している可能性があり、これらの境界確認は非常に大切です。
境界や測量がきちんとしていないと、後に様々な揉め事が起こってしまう可能性があります。
やはり、不動産売買において、この境界に関する問題は後を絶ちません。
そのため、売却前にしっかりと境界確定測量などを行っておくことが大切です。
なお、以前に境界確定を行っている場合には、その際に作成した境界確定測量図などを相手に提示する必要があります。
境界確定測量図などを紛失してしまった場合には、境界標識(境界石や境界杭)などから復元をすることができますのでご安心ください。
次に、確認をしておきたいのは、宅地を売却する際の土地の状態についてです。
例えば、現在建っている建物を取り壊し更地にして売却を行う場合、その土地から建物などが無くなるということになります。
土地に建物を建てる際には、その建物に関する情報をきちんと登記しなくてはいけません。
これは建物を取り壊す場合も一緒で、土地から建物が無くなった際には、登記から建物の情報を消す(建物滅失登記)必要があります。
なお、建物の取り壊しから1ヶ月以内にその手続き(建物滅失登記)を行わなかった場合、10万円以下の過料が処されてしまうのが一般的です。
更に、不動産売却の際に、この建物滅失登記を忘れたまま取引をした場合、買主の方とトラブルが起こってしまう可能性があります。
そのため、建物を取り壊したにも関わらず、建物滅失登記をしていない土地を売却する場合には、そのことを買主の方に伝えておくことが大切です。
以上が、宅地を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、境界確定や建物の取り壊しをする際には、これらの費用についても確認をしておくことが必要です。
境界確定や建物の取り壊しをする際の大まかな費用の相場につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります
「境界明示・測量に必要な費用とは?」と
「売却する前の建物解体費用」
の項目をご覧ください。
売却前の確認が基本的な事項である宅地に対し、その他の地目の土地は特殊な確認が必要となることも少なくありません。
例えば、農地に分類される土地は、宅地のようにすぐに売却をできないのが一般的です。
土地の地目の内、農地に分類されるのは、主に「田」、「畑」、「牧場」などです。
そのため、これらの地目の土地を売却する際には、必要な手続きを確認し、事前にそれらを終えておくことが大切です。
次は、こういった農地を売却する際の事前確認の大まかな流れについてご説明致します。
農地を売却する際の流れ
農地とは、「耕作の目的に供される土地」のことです。
なお、「農地」は土地の地目ではなく、地目の23種類の中の一部が農地に分類されるのが通常です。
ですから、地目の中で、「耕作」を目的としている土地は、ほぼ農地という分類になります。
耕作というのは、作物の育成を助けるために「耕うん」、「整地」、「播種」、「灌漑」、「施肥」、「除草」などの一連の作業を行った上で、作物を栽培することです。
ここでいう作物には牧草も含まれます。
そのため、「田」、「畑」以外にも、飼料用の採草が行われている土地である「採草放牧地帯」などは農地に分類されるのが一般的です。
なお、ここで注意が必要なのは、耕作をせずに牧草などの採草を行っている場合です。
こういった土地は、自然に牧草が取れる状況であり、耕作を行っていない状態ということになります。
耕作を行っていないということは、農地として取り扱われる条件を満たしていないということです。
ですから、その土地は例え牧草などを採草していたとしても、農地という取り扱いにはなりません。
これは、果樹園やはす池なども同じです。
更に、宅地の敷地で菜園などをしている場合には、その土地は農地ではなく、「宅地」となるのが普通です。
田と畑の違いに関しては、「栽培される作物の種類には制限がなく、用水を用いている「田」以外の農耕地」が「畑」という分類となります。
また農地以外の土地で、主として耕作又は養蓄の事業のための採草又は家畜の放牧に供されるものは「採草放牧地帯」となります。
更に、牧場区域外の「採草放牧地帯」は「畑」、牧場区域内の「採草放牧地帯」は「牧場」となります。
なお、牧場に分類がされる土地は、牧場区域内の「採草放牧地帯」だけではありません。
牛や馬、羊や山羊などの家畜を放牧する土地なども、一般的には「牧場」という取り扱いになります。
また家畜の飼育は、牧場の区域内の土地と施設とを一体的に利用して行います。
そのため、家畜の放牧場や牧畜のために使用する建物の敷地、日陰用の林のある土地なども、まとめて「牧場」となるのが通常です。
農地に分類される土地の例につきましては、主に下記のようになります。
【農地に分類される土地の主な一例】
- 稲などを栽培している水田(田)
- 用水を利用して、作物(わさび・はす・ジュンサイなど)を栽培している土地(田)
- 水田の中に設けられている畦畔(田)
- 用水の調節管理をしている施設(田)
- 野菜、麦、いも、豆などを栽培している畑(畑)
- 草花、煙草、綿、芝、牧草などの栽培地(畑)
- りんご、梨、桃、ブドウ、みかんなどの果樹の栽培地(畑)
- 茶葉、養蚕用の桑、植林用の苗木の栽培地(畑)
- 牧場区域外の採草放牧地帯(畑)
- 牛や馬、羊や山羊などの家畜を放牧する土地(牧場)
- 牧畜のために使用している建物の敷地(牧場)
- 牧場区域内の採草放牧地帯(牧場)
- 放牧時の日陰用の林などがある土地(牧場)
これら農地は、宅地のように自由に売買をすることができないため、売却の際には事前に必要な手続きを確認しておくことが必要です。
農地には、農地法という決まりが定められており、この規定に従った処理が必要となります。
そのため、この項目では、こういった農地を売却する際の事前確認の大まかな流れについてご説明致します。
農地を売却する際の確認
農地を売却する際には、農地法という決まりに基づいた手順を踏む必要があります。
元々、農地法は昭和27年に制定された決まりであり、その本来の目的は、「耕作者が自ら農地を取得することを促進し、その権利の保護と優良な農地の確保や生産力の増進を図ること」です。
この決まりが制定されたことにより、農家以外は農地を購入することができなくなりました。
更に、農地を他の地目に変更する(農地転用)際にも特殊な処理が必要となりました。
農地法が制定された当時は、こういった決まりがあっても、困ることはそれ程ありませんでした。
しかし、法律が制定されてから月日が経った現在は、社会的背景などが変化したことにより、一概にそう言い切れなくなってきました。
実際に、農地を宅地へ転用したり、他の事業のために土地を利用したり、売却をしてしまいたいと感じる状況があるのも事実です。
農地を売買する場合や農地転用をする場合には、「農業委員会」の許可を前提として売買契約を締結する必要があります。
なお、農地転用をしないまま農地を売却する場合には、買主が農家でなくては売却ができません。
そのため、農家以外の方に売却をしたいという場合には、農地転用をすることが必要です。
農地を農地のまま売却する場合には、「農地法第3条」による売買許可を受けることとなります。
また農地を他の地目にした上で売却を行う場合には、「農地法第5条」による転用許可を得る必要があります。
こういった影響から、農地の売買は、農業関連機関を介して行うか、個人間で行われることが多いのが実情です。
なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
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なお、農地を売却する際には、農業委員会の許可が必要であることもあり、本来はほぼ行わない所有権移転登記の仮登記を行うのが通常です。
【農地を売買する際の大まかな流れ】
- 買主の方と農地の売買契約を締結する
- 売主と買主は、農業委員会の許可を条件とした売買契約を締結しておきます。
- 売買契約を締結する際には、売買契約書に、下記の「2」と「3」を「売買契約締結後に遅滞なく実行する」ことを条項として盛り込んでおくことが大切です。
- 更に、農地の売買許可や売却のための転用許可は、必ずしも許可がされるとは限りません。
- そのため、売買契約書には、「売買や転用が不許可になった場合には、違約金などが発生せず、契約を白紙に戻ることができる」といったような条項も追記しておくことが重要です。
- 農業委員会に売買契約の許可を申請する
- この手順は、下記の「3」と順番が入れ替わっても問題ありません。
- 売買契約の許可がされる前に土地の所有権移転請求権を仮登記する
- 所有権移転登記の仮登記は、売買契約の際の絶対条件という訳ではありませんが、農地の売買では多くの場合、所有権移転の仮登記を行います。
- やはり、農地の売買や転用の許可は、必ず得られるというものではありません。
- そのため、農地の売買・転用の許可を得ることができるまで、買主による将来の確実な所有権移転を保全する目的として、所有権移転の仮登記を行っておくこととなります。
- なお、この手順は、上記の「3」と順番が入れ替わっても問題ありません。
- 農業委員会から各許可がされた後に代金の決算と所有権移転登記(本登記)をする
- 農地の売買・転用の許可がされると、農業委員会から「許可指令書」が交付されます。
- この許可指令書により、やっと農地の所有権移転登記を行うことができるようになります。
これらの手順を踏めば、やっと農地を売却することができるようになります。
現在、農地の売却をお考えの方は、この農地法などに関する事項をよく確認してから、売却を行うことが大切です。
以上が、農地を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、農地に分類される地目は、「田」、「畑」、「牧場」だけではありません。
例えば、採草放牧地などは、登記簿上の地目が「山林」、「原野」などとなっていることも多いものです。
そのため、例え登記上の地目が「山林」や「原野」などであっても、それらが農地だと判断されることもあります。
こういった土地を売却する際には、当然に上記のような手続きが必要となります。
そのため、現在売却を考えている土地が、農地になる可能性がある場合には、事前に確認をしてから売却を行うことが大切です。
なお、お持ちの土地が原野である場合、確認をしておきたいことはこれだけではありません。
原野は、その価値自体が低く、売却がし辛い場合も少なくありません。
そのため、事前に必要事項を確認し、売却をしていくことが必要です。
次の項目では、こういった原野を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
原野を売却する際の流れ
原野とは、「耕作の方法によらないで雑草、かん木類の生育する土地」のことです。
本来、原野は、農地などの利用には適していない土地である場合が殆どです。
ですから、土地自体、人の手が加えられない状態で放ってあることも少なくありません。
そういった影響で、雑草やかん木類が生えるままの状態で、長年放置されていることも多く、どうしても見た目の印象が悪くなってしまいがちです。
なお、休耕田や耕作を放棄した畑などを見てみると、原野のように雑草やかん木類が生い茂っていることもあります。
この場合、原野と外観は似ていますが、これは原野ではなく農地として取り扱われるのが一般的です。
そのため、荒れ果てた田や畑などが、原野となることはありません。
やはり原野はその性質から、買い手が見つかりにくいことも多いものです。
更に、買い手が見つかったとしても、その相手が悪質な詐欺を行ってくることもあります。
ですから、売却をする際には、それなりの事前確認をしておくことが必要です。
この項目では、こういった原野を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
原野を売却する際の確認
原野を売却する場合、その価値の低さなどから、買い手などが見つからないことも多いものです。
そのため、原野所有者の方は、その処理に関して悩みを抱えていることも少なくありません。
中には、こういった原野所有者の悩みにつけ込み、売却が可能であるといったような虚偽の話を持ち込み、詐欺を行ってくるような悪徳業者もあります。
この場合、「あなたがお持ちの原野の周辺でリゾート開発が行われるため、土地の価値が高騰します」などと虚偽の話をした上で売却を勧められることとなります。
もちろん、この話が本当であれば、何の問題もありません。
一方、リゾート開発の話自体が嘘であった場合には、売却を依頼した時点で、売却のためという名目で様々な費用を請求され、そのまま連絡が取れなくなってしまうこともあります。
また実際に売買は行われたものの、その価格やその他の費用請求が法外なものであったというような事態も起こり得ます。
ですから、原野を売却する際には、これら詐欺に対して、十分に注意をしておくことが大切です。
「本当に近い内に原野の価格が高騰するような事実があるのか」、
「売却価格や必要費用は的確であるのか」
などを事前に確認しておけば、原野売却に関する詐欺行為を避けることに繋がります。
以上が、原野を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、原野の価格に関しては、ほぼ高額になることはないということを視野に入れておくことが必要です。
原野の適正価格は少々分かりにくく、取引事例を参考にしようにも取引自体が少ない場合も珍しくありません。
そのため、森林組合などで類似条件の原野を調べるなどの対処が必要となることもあります。
なお、土地の適正価格の部分で考えると、鉱泉地なども価格の算出方法が分かり辛いことが多くあります。
また各種権利関係などに関して、複雑な状況となっていることも少なくありません。
そのため、鉱泉地の売却を行う際には、これら一式を事前に確認しておくことが必要です。
次は、鉱泉地を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
鉱泉地を売却する際の流れ
鉱泉地(こうせんち)とは、「鉱泉(温泉を含む)の湧出口及びその維持に必要な土地」のことです。
具体的には、温泉(鉱泉)の湧き出し口、湧き出した鉱泉を溜めておくための設備の敷地なども「鉱泉地」となります。
更には、鉱泉を引水するための導管や送湯管など、湧き出し口の維持に必要な範囲内であるものも「鉱泉地」として取り扱われます。
鉱泉地の売買と聞くと、多くの方は自分に関係がないように感じてしまうかもしれません。
とはいえ、日本は火山が多く存在していることもあり、突然に温泉を掘り当ててしまう事例も非常に稀ながら存在しております。
またホテルや旅館などを経営している方が、諸事情により、温泉を売却するということもあります。
ですから、鉱泉地を売却する可能性のある方は、その際の事前確認を十分に知っておくことが大切です。
やはり、いざ鉱泉地を売却しようとしても、その価格の相場が分からないこと多いものです。
更に、権利などに関してよく分からないということもあります。
そのため、鉱泉地を売却する際には、根本的にその売却価格や権利関係などについて確認をしておくことが必要です。
この項目では、こういった鉱泉地を売却する際の事前確認の流れについてご説明致します。
鉱泉地を売却する際の価額確認
鉱泉地を売却する際には、まず、その土地上に設定されている権利関係を確認しておくことが大切です。
鉱泉地には、前提として温泉がありますが、この温泉には「温泉権」と「引湯権」などの権利が設定されている可能性があります。
温泉権とは、温泉源である源泉を利用することができる権利のことです。
引湯権とは、温泉権や鉱泉地を持つ者から、その温泉の一部を利用させて貰える権利のことです。
温泉権や引湯権は、通常源泉の存在する土地の所有権とは別個の権利となります。
そのため、これらの権利が特殊な関係となっている場合には、そのことを考慮した上で鉱泉地を売却する必要があります。
土地所有者が温泉権を持っていない場合や、他の方が引湯権を持っている場合、売却時の価格などに影響が出るのが一般的です。
ですから、現在の状況を整理し、適切な確認をしておくことが必要となります。
なお、ご自身の土地に温泉権を有する場合には、温泉のある土地として、温泉権と土地の所有権とを一体化した鉱泉地として評価を行います。
【鉱泉地の評価】
- 国税局長が固定資産税評価額に乗ずる倍率を定めている鉱泉地の場合
- 状況が類似する温泉地又は地域ごとに、その温泉地又はその地域に存する鉱泉地の売買実例価額、精通者意見価格、その鉱泉地の鉱泉を利用する温泉地の地価事情、その鉱泉地と状況が類似する鉱泉地の価額等を基として国税局長が鉱泉地の固定資産税評価額に乗ずべき一定の倍率を定めている場合、その鉱泉地の固定資産税評価額にその倍率を乗じて計算した金額によって評価することになります。
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- (1)以外の場合
- その鉱泉地の固定資産税評価額に、次の割合を乗じて計算した金額によって評価することになります。
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-
- その鉱泉地の鉱泉を利用する宅地の課税時期における価額
- ここには、今年度分の「相続税評価額」を当てはめます。
- その鉱泉地の鉱泉を利用する宅地のその鉱泉地の固定資産税評価額の評定の基準となった日における価額
- その鉱泉地の鉱泉を利用する宅地のその鉱泉地の固定資産税評価額の評定の基準となった日とは、多くの場合、「各基準年度の初日の前年の1月1日」となります。
- そのため、ここには、前年度分の「相続税評価額」を当てはめます。
- 住宅、別荘等の
鉱泉地の評価額 - 鉱泉地からゆう出する温泉の利用者が、旅館、料理店等の営業者以外の者である場合におけるその鉱泉地の価額は、上記で求めた価額を基とし、その価額からその価額の100分の30の範囲内において相当と認める金額を控除し評価します。
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なお、湯温、ゆう出量などに急激な変化が生じており、上記の方法で評価することが適当でないと認められる鉱泉地については、
その鉱泉地と状況の類似する鉱泉地の価額若しくは売買実例価額又は精通者意見価格等を参酌して求めた価額によって評価することとしています。
ですから、価格の算出に関しては、その都度状況を判断してから行うことが大切です。
これらを踏まえた上で、これから実際に鉱泉地の評価額を計算してみます。
なお、鉱泉地の評価額を計算する際には、(2)の方法によって算出がされる場合が殆どです。
そのため、今回は、上記の方法(2)を使って計算をしていきます。
【計算する状況】
Aさんは、鉱泉地を所有しており、その売却を考えています。
鉱泉地とその温泉の温泉権はAさんが有しています。
Aさんが所有している鉱泉地には、固定資産税評価額に乗ずる倍率が定められていませんでした。
そのため、Aさんは、(2)の方法を使用して鉱泉地の評価額を計算することにしました。
なお、Aさんの鉱泉地の各価額に関しては、下記のようになります。
【計算例の鉱泉地の条件】
- 評価対象である鉱泉地の固定資産税評価額
- 3,000,000円
- その鉱泉地の鉱泉を利用する宅地の課税時期における価額
- 7,500,000円
- その鉱泉地の鉱泉を利用する宅地のその鉱泉地の固定資産税評価額の評定の基準となった日における価額
- 8,000,000円
では、これらをもとに、実際に鉱泉地の評価額を計算してみます。
上記の条件を、【鉱泉地の評価】に記載をした式に当てはめると、下記のようになります。
なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
そういった場合には、お手数をお掛け致しますが、画像をクリックすることで拡大された画像を閲覧することができます。
例:
よって、この場合の鉱泉地の評価額は「2,812,500円」ということになります。
なお、住宅、別荘等の鉱泉地の場合は、「鉱泉地の評価額からその価額の100分の30の範囲内において相当と認める金額」を差し引くことになります。
では、先程計算した鉱泉地の評価額を基にして、住宅、別荘等の鉱泉地だった場合の評価額を計算してみます。
【住宅、別荘等の鉱泉地のだった場合の計算例】
鉱泉地の評価額から差し引く金額が、「鉱泉地の評価額の100分の30」であった場合
この場合、元の鉱泉地の評価額から差し引く金額は以下のようになります。
計算例:2,812,500円×100分の30=843,750円
この数値を元の鉱泉地の評価額から差し引くと以下のようになります。
計算例:2,812,500円-843,750円=1,968,750円
よって、この場合の住宅、別荘等の鉱泉地の評価額は、「1,968,750円」ということになります。
鉱泉地の所有権と温泉権の両方を有していらっしゃる方は、これで鉱泉地の評価を計算することができました。
なお、土地の所有権は持っているけれど、温泉権を有していないという方は、温泉権の評価に関しても計算を行う必要があります。
次は、この温泉権が設定されている場合の鉱泉地の評価額の計算方法についてご説明致します。
鉱泉地の温泉権の価額確認
お持ちの鉱泉地に温泉権が設定されている場合、その価額の算出方法は先程とは異なります。
何故なら、鉱泉地をお持ちの場合でも、この温泉権がなくては、その分評価が下がってしまうからです。
ですから、お持ちの鉱泉地に他の方の温泉権が設定されている場合には、その価額を先程計算した鉱泉地の価額から差し引く必要があります。
算式:
温泉権が設定されている鉱泉地の評価額=鉱泉地の評価額-温泉権の評価額
なお、温泉権の評価の方法に関しましては、下記のようになります。
【温泉権の評価】
「温泉権の価額」は、その温泉権の設定の条件に応じ、温泉権の売買実例価額、精通者意見価格等を参酌して評価することになります。
一般的には、下記のような要素から判断して価格を求めることが多いようです。
- 「原価法」で温泉の掘削などに要した費用を考慮する(費用性)
- 原価法で温泉の価格を求める際には、温泉の採掘に要した費用及び施設の設置・管理に要する費用(温泉開発者に対する適正な報酬を含む)などを考慮して、その価格を求めます。
- 「収益還元法」で温泉を利用する事によって得られる収益を考慮する(収益性)
- 収益還元法は、温泉を利用する事によって実際に得られた収入から、外部への支出を差し引いて手元に残る資金の流れ(キャッシュ・フロー)を資本還元して温泉権の元本としての価格を求めることです。
- なお、収益を還元する際には、「ご自身で温泉利用施設を経営している場合」と「温泉を何口かに分けて有料で供給する(配湯する)場合」で還元の方法が異なりますのでご注意ください。
-
- ご自身で温泉利用施設を経営している場合
- 施設の営業によって得られる収益を、土地・建物、経営、資本、労働に適正に配分した残りの収益を還元利回りで還元します。
- 温泉を何口かに分けて有料で供給する(配湯する)場合
- 温泉の使用料(配湯料)収入から必要諸経費を控除した純収益を還元利回りで還元します。
- 「取引事例比較法」で温泉の取引価格を考慮する(市場性)
- 取引事例比較法で温泉の価格を求める際には、類似した条件の温泉権についての取引市場を確認し、その取引価格を標準として評価します。
なお、人工掘削によって生じた温泉の経済価値は、多くの場合、下記のような事項も主として見出され、総合的に判断された上で算出がされることとなります。
- 源泉の掘削について多額の費用を要すること
- 湧出する温泉を利用する事によって一定の収益が得られることから、評価時点において、将来的な収益の現在価値(継続使用後の処分価格もしくは残存価格の現在価値を含む)として投資額の回収が見込まれること
これらを総合的に判断し、温泉権の評価額を想定していきます。
温泉権の評価額の想定が終わりましたら、後は、この温泉権の評価額を上の項目で計算した鉱泉地の評価額から差し引くだけです。
例えば、算出した鉱泉地の価格が「3,000,000円」であり、温泉権が「1,000,000円」であった場合は、
計算例:3,000,000円-1,000,000円=2,000,000円
となり、鉱泉地自体の評価額は「2,000,000円」ということになります。
これで、温泉権が設定されている場合の鉱泉地の評価額の計算が終わりました。
なお、鉱泉地に温泉権ではなく、引湯権が設定されている場合には、これとはまた違った計算が必要となります。
次は、この引湯権が設定されている場合の鉱泉地の評価額の計算方法についてご説明致します。
鉱泉地の引湯権の価額確認
お持ちの鉱泉地に引湯権が設定されている場合、温泉権と同様に、元の鉱泉地の価額から引湯権の価額を差し引く必要があります。
その際の、計算の流れは温泉権と大差はないため、ほぼ同様の手順で計算をすることができます。
算式:
引湯権が設定されている鉱泉地の評価額=鉱泉地の評価額-引湯権の評価額
なお、引湯権の価額の算出方法は以下のようになります。
【引湯権の評価】
引湯権の価額は、既に記載をした「鉱泉地の評価」又は「住宅、別荘等の鉱泉地の評価」を使い算出をするのが一般的です。
まず、「お持ちの鉱泉地のゆう出量に対するその引湯権に係る分湯量の割合」を「鉱泉地の評価額」に乗じて求め、その価額を算出します。
そうして、その価額から、引湯の条件に応じ、その価額の100分の30の範囲内において相当と認める金額を控除した価額が、引湯権の価額になります。
なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
そういった場合には、お手数をお掛け致しますが、画像をクリックすることで拡大された画像を閲覧することができます。
100分の30の範囲内で減額評価をする条件とは、その契約によって使用制限を受ける場合や、湯元から使用地までが遠く湯が冷めてしまうなどの理由によって決定がされます。
なお、別荘、リゾートマンションなどに係る引湯権で通常取引される価額が明らかなものについては、納税義務者の選択により課税時期における当該価額に相当する金額によって評価することができます。
これらの方法で、引湯権の価額を求めましたら、後は既に記載をした通り、その評価額を鉱泉地の評価額から差し引くだけです。
では、実際に引湯権が設定されている場合の鉱泉地の評価額を計算してみます。
【計算する状況】
Bさんは、鉱泉地を所有しており、その鉱泉地に他の方の引湯権が設定されています。
現在、Bさんはこの鉱泉地を売却しようと考えており、土地自体の価値を計算するつもりです。
なお、Bさんの鉱泉地の価額と、各要素の数値は、下記のようになります。
【計算例の引湯権の条件まとめ】
- 鉱泉地の評価額
- 3,000,000円
- 鉱泉地のゆう出量に対するその引湯権に係る分湯量の割合
- 30%
- 引湯の条件に応じ、その価額の100分の30の範囲内において相当と認める金額
- 100分の30
上記の条件を引湯権の評価額を計算するための算式に当てはめると、下記のようになります。
なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
そういった場合には、お手数をお掛け致しますが、画像をクリックすることで拡大された画像を閲覧することができます。
(上記式の「900,000円(3,000,000円×30%)」とは、「お持ちの鉱泉地のゆう出量に対するその引湯権に係る分湯量の割合」を「鉱泉地の評価額」に乗じた数値です)
引湯権の評価額を算出できましたら、後はその価格をもとの鉱泉地の評価額から差し引くだけです。
計算例:3,000,000円-630,000円=2,370,000円
よって、この場合の鉱泉地の評価額は「2,370,000円」となります。
なお、他の方がお持ちの温泉権に引湯権が設定されている場合などもありますが、この場合、温泉権の評価額から引湯権の評価額が差し引かれます。
そのため、土地の所有権をお持ちの場合には、温泉権から引湯権の評価額を差し引く必要はありません。
(元の鉱泉地の評価額から、温泉権の評価額を差し引くだけで、土地自体の評価額は算出ができます)
以上が、鉱泉地の評価額を計算する方法になります。
鉱泉地の売却をお考えの方は、こういった事前確認を行った上で、土地の売却を行うことが大切です。
なお、土地を売却する際には、こういった権利関係について目を配るだけではなく、土地自体にも意識をしておく必要があります。
やはり、不動産売買時には、土地自体の地目によって、売れやすさが変わってしまうことも珍しくありません。
例えば、土地の地目が池沼である土地は、買い手などが嫌煙をしてしまうこともあります。
更に、池沼という土地の特性から、売却後のトラブルに繋がってしまうこともあります。
そのため、池沼などを売却する際には、事前に土地の状態などを確認しておくことが必要です。
次の項目は、こういった池沼を売却する際の大まかな事前確認についてご説明致します。
池沼を売却する際の流れ
池沼(ちしょう)とは、「かんがい用水でない水の貯留池」のことです。
国が所有し、公共の用に供する水流・水面である公有水面下の土地以外の水面下の土地であり、耕地をかんがいする目的ではない水の貯留地がこの「池沼」となります。
池沼というと、一般的には自然に水が貯留したものを指しますが、登記手続きの上では、天然・人口であるかは問われません。
そのため、人工的に作られた貯留池であっても、登記上では「池沼」となります。
なお、上記と同じ条件の貯留池でも、その水が「かんがい用水として用いられている」と、「ため池」となりますのでご注意ください。
池沼を売買する際には、やはり事前にある程度、その状態などについても調査をしておくことが大切です。
やはり、売却の際に地目を変更するのか、そのままで売るのかなどでも売却前の流れは異なってきます。
そのため、この項目では、こういった池沼を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
池沼を売却する際の確認
池沼を売却する場合、そのままで売却をするのか、宅地などに地目を変更するのかで状況が違ってきます。
池沼から地目を変更しないで売買する場合には、そこにある池沼をそのまま買主の方に引き渡すことになります。
その際には、池沼の状態や水質の説明などを求められる可能性がありますので、事前に確認をしておくと安心です。
なお、池沼は、その土地を埋め立てて、他の地目に変更して売却をすることも可能です。
やはり、池沼をそのまま売却するよりも、他の地目としてしまったほうが買い手も見つかりやすいのが実情です。
ただし、池沼の登記情報は、地目を変更したからといって消えるものではありません。
池沼は、 一般に50年経っていないと地盤が沈む可能性があると言われております。
そのため、池沼を宅地などにすることで、必ず購入希望者が見つかる訳ではないという点には注意が必要です。
やはり、不動産売買の際には、買主側がその土地に関して十分に調査を入れることも多いものです。
その調査では、過去の地目などに関しても調査がされる場合が殆どです。
そのため、現在の池沼を埋め立てた場合には、そのことをきちんと買主の方などに説明をしておくことが大切です。
更に、だいぶ前に池沼を埋め立てた場合には、その土地が埋め立てられてから何年経過しているかを確認することも重要です。
これらを怠ると、最悪は地盤の問題などが起こり、買主の方が多大な被害を被ってしまう可能性があります。
この場合、悪いのは全面的に説明不足だった売主です。
そのため、最悪は買主の方から契約の解除を申し立てられてしまう可能性もあります。
ですから、池沼を売却する際には、地目に関する問題などに関しても十分に検討した上で売却を行うことが大切です。
以上が、池沼を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、既に原野を売却する際の事前確認の流れは記載をしましたが、原野に似た土地に山林というものがあります。
山林は原野と似ているといっても、土地の特徴などを比較すると、様々な違いが存在するのが一般的です。
そのため、山林を売却する際には、原野とは異なる事前確認が必要です。
次は、こういった山林を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
山林を売却する際の流れ
山林とは、「耕作の方法によらないで竹木の生育する土地」のことです。
そのため、「耕うん」、「整地」、「播種」、「灌漑」、「施肥」、「除草」などの人間の手を加えていない状態で、竹や樹木が生育する土地は山林となります。
この場合、地形や人工林、自然林の区別はありません。
なお、植林をし、苗木が肥料や下草刈りといった管理を必要としている土地は、人間の手が加えられているため山林とはなりません。
この場合、後に植林をした木々などが成長し自生をするようになれば、その地目は山林となります。
山林は、土地面積自体が広大になりやすく、取引事例も決して多い訳ではありません。
そのため、売買時には事前に確認をしておきたいことがいくつか存在します。
この項目では、こういった山林を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
山林を売却する際の確認
山林は、処分しにくい土地の一つであり、都市部から離れれば離れる程、買い手がいなくなるのが通常です。
そのため、その分売却価格が低めとなってしまうことも多く、山奥の山林だと1m²100円で取引がされることも珍しくありません。
更に、山林を売却する際には、多くの場合、正確な土地面積を測量しません。
やはり、山林のような広大な面積を測量するとなると、その費用は莫大なものとなってしまいます。
そうすると、後に山林が売れたとしても、その売却益と測量費が見合わないことになってしまう可能性があります。
ですから、山林の面積は、登記簿上の面積を参考にして売買が行われることが通例です。
これは一般に「公簿売買」と呼ばれており、万が一、登記記録と実際の地積に相違があったとしても、原則、それらを清算せずに売買が行われます。
そのため、山林を売却する際には、登記簿(登記事項証明書)などで山林の面積を確認しておくことが大切です。
なお、山林の価格は、ただ単に土地の面積と存在位置だけで判断がされるという訳ではありません。
山林の評価では、様々な要素が総合的に判断されることが多く、主に下記のような要素の影響を受けます。
- 山林に生育している木の品質
- 山林に生育している樹種と樹齢
- 山林から得られる物資の搬出路の有無
- 山林の間伐は行われているかどうか
- その他山林に存在する道路などの立地状況
そのため、これらの要素を事前に確認しておけば、売却時の価格を判断しやすくなります。
なお、山林の大まかな相場を知りたい場合には、一括査定などを利用するというのも一つの手です。
また山林の売却に関しては、山林付近の不動産屋や森林組合などへ相談をすることになります。
もちろん、これらへ相談をしても必ず山林が売れるという訳ではありませんが、売却をしやすくなるのは確かです。
なお、山林を売却した場合、後にその売却益に見合った税金の納付を行わなくてはなりません。
その際の税金は、通常の不動産売却とは異なる計算が必要です。
ですから、山林を売却する際には、売却した後の税金に関しても意識をしておくことが大切です。
山林を売却して得た所得は、「立木」の部分が「山林所得」、土地の部分は「譲渡所得」となります。
※ただし、所得から5年以内の山林を譲渡した場合には、その所得は「事業所得」又は「雑所得」となります。
これらは、共に分離課税であり、他の所得とも合算はできません。
山林売却後の「譲渡所得」に関しては、通常の不動産の税金計算を行うことで税額を算出することができます。
一方、「山林所得」に分類される所得に関しては、別途、特殊な計算が必要です。
【山林売却時の税額を計算する方法】
- 課税される山林所得の計算方法
- 山林を売却した際には、その全体の売却益に課税がされる訳ではありません。
- 課税がされる山林所得は、総収入金額から「必要経費」と「特別控除」を差し引いた金額となります。
- なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
- そういった場合には、お手数をお掛け致しますが、画像をクリックすることで拡大された画像を閲覧することができます。
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- 総収入金額
- 山林を売却した際の譲渡対価のこととなります。
- 必要経費
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- 必要経費に計上できる費用
- 必要経費とは、山林を取得する際に要した費用、植林費、維持、管理するための費用、譲渡する際の仲介手数料、伐採費などを合計した金額になります。
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【必要経費の一例】
- 植林費
- 山林を取得した際の費用(仲介手数料や登記費用など)
- 管理費、育成費
- 伐採費
- 譲渡時の費用(仲介手数料など)
- 必要経費の特例
- 15年以上所有している山林を売却する際には、必要経費の特例として、「概算経費控除の特例」により計算をした金額を必要経費とすることができます。
- 概算経費控除の特例の適用期間の計算は、山林を相続した日から計算するのではなく、被相続人がその山林を取得した日にちを引き継ぐことができます。
- そのため、相続により取得した山林は、その殆どが所有期間15年以上になると考えておいて問題ありません。
- 概算経費控除の金額に関しましては、下記の算式により算出をします。
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- 特別控除
- 山林所得の計算時には、総収入金額から必要経費を差し引いた金額から、更に「最大50万円」までを差し引くことができます(特別控除)。
- そのため、総収入金額から必要経費を差し引き、その金額が50万円を超えている場合には、特別控除として更に50万円を差し引くことができるようになります。
- 例:「総収入金額300万円」で「必要経費が200万円」であった場合
- 「総収入金額300万円」-「必要経費200万円」-「特別控除50万円」=50万円
- なお、総収入金額から必要経費を差し引いた金額が50万円未満の場合には、その残りの金額を算入します。
- 例:「総収入金額が300万円」で「必要経費が270万円」であった場合
- 「総収入金額300万円」-「必要経費270万円」-「特別控除30万円」=0円
- 税金の計算方法
- 山林所得に係る税額は、他の所得と分離し「5分5乗方式」で算出をします。
- (税額を計算する際には、「課税所得金額の千円未満の端数を切り捨て」て計算をします)
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- なお、上記の式に当てはめる「税率」は下記の表をご覧ください。
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【平成27年分以降の追加所得税の速算表】 課税される所得金額 税率 控除額 195万円以下 5% 0円 195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円 330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円 695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円 900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円 1,800万円を超え 4,000万円以下 40% 2,796,000円 4,000万円超 45% 4,796,000円 ※平成28年時点
では、これらをもとに、実際に山林売却時の税金を計算してみます。
【計算する条件】
Aさんは、所有している山林を売却しました。
そのため、山林売却に係る税金を納付しようと考えております。
譲渡所得の税金の計算を終え、次は課税山林所得と必要な税額を計算することにしました。
なお、Aさんが得ることができた総収入金額と、必要経費、特別控除は下記のようになります。
【計算例の条件】
- 総収入金額
- 30,000,000円
- 山林の所有期間
- 15年以上(「概算経費控除の特例」を適用)
- 概算経費控除の特例に算入する譲渡費用
- 10,000,000円
- 特別控除
- 総収入金額から必要経費を差し引き、その金額から最大50万円までを控除
上記の条件では所有期間が15年経っているため、「概算経費控除の特例」を適用して課税山林所得を計算していきます。
まず、総収入金額が「30,000,000円」、譲渡費用が「10,000,000円」ということから、「概算経費控除の特例」適用後の必要経費は下記のようになります。
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これで必要経費が「20,000,000円」だと分かりましたので、上記条件を課税山林所得の算式に当てはめていきます。
この場合、総収入金額から必要経費を引いた金額が「50万円」以上となります。
そのため、特別控除の金額は、その控除額の最大である「50万円」を算入します。
なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
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これにより、課税山林所得が「9,500,000円」であるということが分かりました。
後は、この課税山林所得を、山林所得の税金の算式に当てはめていきます。
なお、例題の課税山林所得は「9,500,000円」であるため、計算に算入する税率は「33%」、控除額は「1,536,000円」です。
なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
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よって、この場合の税額は、「0円」となります。
この税額に、土地部分の譲渡所得分の税額を合計した金額が、山林を売却した際の税額ということになります。
税額の計算ができましたら、後は、確定申告を行い、計算した税額を納付するだけです。
以上が、山林を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、土地の地目の中には、土地の売買自体が困難な地目も存在します。
例えば、地目が墓地となっている土地などは、その売却ができないことも珍しくありません。
そのため、墓地を売却したい場合には、事前に流れに沿った確認をしておく必要があります。
次の項目では、こういった墓地を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
墓地を売却する際の流れ
墓地とは、「人の遺体又は遺骨を埋葬する土地」のことです。
墓地には、近代的な霊園や村落などの共同墓地など、様々な規模のものが存在します。
例え敷地の雰囲気や規模が異なっても、人の遺体又は遺骨を埋葬する土地であれば、どれも「墓地」として取り扱われます。
墓地は、土地の用途が用途なだけに、売買を行うイメージは少ないかもしれません。
確かに、墓地を売買するというのは、それ程存在する事例ではありません。
墓地の売買が必要な状況といえば、墓地の土地を使わなくなった場合や、不要な土地を購入してしまった場合などが挙げられます。
墓地の売却は、通常の土地の売却とは異なり、様々な事前確認が必要となるのが一般的です。
そのため、この項目では、こういった墓地を売却する際の事前確認の流れについてご説明致します。
墓地を売却する際の確認
墓地は、民法第897条により、「慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継する」と定められています。
慣習が明らかでない場合は、権利を承継する者は家庭裁判所がこれを定めることとなります。
なお、墓地を購入するというのは、通常は、墓所使用権を取得しているだけの状態となります。
つまり、墓地を承継する際には、「その所有権を相続する」のではなく、その「使用権」が継承されるのが一般的です。
そのため、現在墓地をお持ちの方でも、実際にはその使用権を持っているだけで、所有権は取得していない状態であることが多くあります。
これは、墓地を取得する際の契約書などにも記載がされています。
土地の所有権を取得していないということは、その譲渡や又貸しができないということです。
ですから、墓地を売買したいと考えた際には、その墓地自体の所有権を持っているかどうかの確認が必要となります。
その確認で、土地自体の所有権を持っていることが分かれば、通常の売買と同じような流れで売却をすることができます。
万が一、土地の使用権のみを取得している場合には、その墓地を売却することはできませんのでご注意ください。
以上が、墓地を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、こういった売却自体が困難となってしまう可能性のある土地は、墓地だけではありません。
例えば、地目が境内地となっている土地なども、その売却には様々な事前確認が必要となります。
地目が境内地となっている土地は、基本的に宗教団体などが管理・所有をしている場合が殆どです。
そのため、通常の土地売買とは異なる手続きなどが必要となってしまうのが通常です。
次の項目では、こういった境内地を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します
境内地を売却する際の流れ
境内地とは、「境内に属する土地であって、宗教法人法第3条第2号及び第3号に掲げる土地(宗教法人の所有に属しないものを含む)」のことです。
そのため、お寺や教会の敷地などは、この境内地として取り扱われることとなります。
なお、宗教法人法第3条第2号及び第3号に掲げる土地とは、下記のような土地を指すのが一般的です。
- 本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む)
- 前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地
- 参道として用いられる土地
- 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田(神饌田)、仏供田、修道耕牧地等を含む)
- 庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地
- 歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地
- 前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地
境内地を売却するのは、その土地の性質上、宗教団体などが多くなります。
宗教団体などが境内地を売却する際には、他の土地の売却とは異なる流れとなるのが通常です。
そのため、この項目では、こういった境内地を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
境内地を売却する際の確認
やはり、境内地を売却する際には、その売却の流れについてきちんと確認をしておくことが大切です。
宗教法人などが境内地を売却する際には、売却に関して「宗教法人法」という特別な定めがあります。
そのため、その決まりに従って、境内地を売却していかなくてはなりません。
なお、境内地を売却する際に必要となる主な条項は、下記のようになります。
【境内地などを売却する際に関係のある主な宗教法人法の条項】
- 二三条一項一号
- この規定には、不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供する行為をするときは、「その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない」と定められております。
- これらのことから、宗教団体がそれまで使用していた境内地を売却するためには、信者やその他の利害関係に対して、1ヶ月以上前には売却をするという事実を伝えておくことが必要ということになります。
- 二四条
- この規定には、「宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない」と定められております。
- そのため、上記の「二三条一項一号」の内容に違反した境内地の売買は、基本的に無効となりますのでご注意ください。
- なお、取引の相手が規定に違反した取引であったことを知らなかった場合には、その取引を無効とすることはできません。
- 五二条二項七号
- この規定には、「規則で境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物に係る第二十三条第一号に掲げる行為に関する事項を定めた場合のその取り決め」が定められております。
- これは、最初に記載をした宗教法人法の「二三条一項一号」に基づいて境内地などの売却を行う際に、これ以外に売買の条件を設けた場合に記載がされます。
- 例えば、境内地を売却する際の必須事項として、「二三条一項一号」以外に「責任役員会の同意を得て、宗派(包括団体)の代表役員の承認を得る必要がある」といった決まりを取り決めた場合には、そのことに関する事項が記載されております。
- そのため、境内地を売買する際には、「二三条一項一号」と「五二条二項七号」に記載がされている取り決めを実行した上で、売却を行うことが必要です(これらの規定は、法人登記記録から誰でも閲覧をすることができます)。
- なお、「責任役員会の同意を得て、宗派(包括団体)の代表役員の承認を得る」ことが条件となっている場合には、まず、責任役員の議決と経て議事録を作成し、更に総代の同意を得て議事録を作成する必要があります。
- そうして、宗派の代表役員の承認を得て承認書の作成を行います。
- 更に、これらの書類にそれぞれ実印を押印し、印鑑証明書と共に登記に添付をします。
- 最後に、責任役員は誰か、総代は誰かなどの資格証明書を作成し、宗教法人の代表者が実印で記名押印した上で印鑑証明書の添付をすれば、手続きは終わりです。
これらの条項を満たせば、やっと境内地の売却をすることができます。
なお、土地を宗教団体に貸している方などは、地目を境内地から変更してから返還して貰うようしておくと、後の手間を大幅に削減することができます。
そのため、現在土地を宗教団体などに貸している方は、事前に宗教団体と話し合いをしておくと安心です。
以上が、境内地を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、ここまで、様々な土地を売却する際の大まかな流れについて記載をしてきましたが、時には用悪水路と呼ばれる土地を売却することもあります。
用悪水路は、私たちの生活に必要な水路であると同時に、用途によっては汚水が流れていることもあります。
ですから、用悪水路を売買する際には、その水路の状態などをしておくことが重要です。
やはり、水路の状態などを把握しないまま売却を行ってしまうと、それが原因でいつトラブルが起こってしまうか分かりません。
そのため、次の項目では、こういった用悪水路を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
用悪水路を売却する際の流れ
用悪水路とは、「かんがい用又は悪水はいせつ用の水路」のことです。
人が生活をしている場所には、水を運ぶための水路などが必要不可欠です。
これらの水路は、水を供給(用水)するためだけに存在している訳ではありません。
やはり、日常生活で出た使用後の水を排泄するための水路(悪水)も必要となります。
このように、水を供給・排泄するための水路の内、悪水を排泄するための水路は「用悪水路」と呼ばれます。
家庭の雑排水を流す下水道や、工場排水を流す排水路など、使用後の水を排泄するための水路は制限なく「用悪水路」となります。
また田や畑に水を引いて土地を潤すかんがい用の水路なども「用悪水路」として取り扱われるのが一般的です。
なお、こういった用悪水路も、他の土地と同様に他の方に売却をすることができます。
その際には、どういった状態で売るのか、その場合はどういった確認が必要なのかなど事前調査が必要な場合も少なくありません。
そのため、この項目では、こういった用悪水路を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
用悪水路を売却する際の確認
用悪水路をお持ちの方の中には、その売却を検討している方もいらっしゃるかもしれません。
その際には、使用しなくなった用悪水路を埋め立てて売却をすることも多いものです。
しかし、用悪水路は、綺麗な状態の水だけが流れている訳ではありません。
時には、様々な用途で使用した汚水などが排水されている場合もあります。
やはり、用悪水路に汚水などが流れている場合、その水路自体が汚染されている可能性があります。
そうなると、例え水路を埋め立てたとしても、土壌自体が汚染されてしまうことになりかねません。
そのため、売却時には水路の状態に関して十分に調査を行った上で売却をすることが大切です。
また用悪水路をそのまま売却する際にも、こういった水質確認は必要です。
やはり、土地の購入者からすれば、その水路を流れる水がどういった状態のものなのか気になってしまうものです。
更に、その用悪水路の使用状況などに関しても、情報を改めて確認しておく必要があります。
やはり、近隣の方がその用悪水路を使用している場合、それらの状況は買主の方の生活に大きな影響があります。
ですから、用悪水路を使用する可能性のある第三者がいる場合には、その情報を買主の方に提示しておくことが重要です。
以上が、用悪水路を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、水に関する地目は、池沼や用悪水路などだけではありません。
例えば、ため池と呼ばれる土地なども、水に関する地目の一つです。
ため池は、池沼と似通っている地目ではありますが、実際にはその用途の部分などに細かい違いがあります。
そのため、ため池を売却する際には、池沼などと同様に様々な事前確認をしておくことが大切です。
次の項目では、こういったため池を売却する際の大まかな確認事項の流れについてご説明致します。
ため池を売却する際の流れ
ため池とは、「耕地かんがい用の用水貯留池」のことです。
これは、国が所有し、公共の用に供する水流・水面である公有水面下の土地以外の水面下の土地で、耕地をかんがいする目的で用いられる水の貯留地のことになります。
そのため、公有水面下の土地の水面下の土地などは、「ため池」とはならないのが一般的です。
更に、公有水面下の土地以外の水面下の土地であっても、かんがい用水として用られていない貯水池の場合には、「池沼」となります。
なお、一般的にため池とは、人工的に用水を貯留する目的で作られた池のことを指しますが、
登記手続きの際には、人工・天然問わず、「耕地かんがい用の用水貯留池」であればため池となります。
ため池を売却したい場合、その地目や状態などについて、様々な確認が必要となることも珍しくありません。
そのため、この項目では、こういったため池を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
ため池を売却する際の確認
ため池は、地方自治体などが管理・所有していることも少なくありません。
また個人所有であっても、水利権などの影響で、事実上村などの管理になっている場合もあります。
そのため、個人がため池を売却する場合には、本当にそのため池が自分だけで所有しているのかを確認することが重要です。
やはり、ため池に対して、その水を利用できる水利が設定されている場合、第三者がそのため池を利用している可能性があります。
この場合、権利関係が複雑になっていることもあり、売却が困難となってしまう可能性も否めません。
更に、都道府県によっては「ため池条例」などが制定されている可能性もあります。
この場合、個人でのため池の利用について様々な制限がされてしまうのが一般的です。
そのため、ため池に関する法的な制限の調査なども慎重に行い、買主の方に伝えておくことが重要です。
なお、ため池を埋め立てて他の地目にして売却する際には、池沼の場合と同じように、地盤の状態などを確認しておくことも必要です。
やはり、ため池を宅地などに変更する場合、地盤の状態が悪くなってしまうことも珍しくありません。
万が一、埋め立て後の地盤の状態が悪い場合には、例え売れにくくなっても、きちんと買主の方に提示をしておくことが大切です。
中には、こういった不利益な情報を相手に提示したくないと考える方もいらしゃるかもしれません。
しかし、不利益な事実を隠したまま土地の取引を行ってしまうと、その後に深刻なトラブルになってしまいかねません。
ですから、不利益な情報を明らかにし、お互いに同意をした上で取引う必要があります。
なお、地方自治体が所有しているため池を売却した場合、その売却金は自治体の収入となります。
そのため、例え水利権を持っていたとしても、その売却金が分配されることはありません。
以上が、ため池を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、地方自治体などが所有者となっている可能性が高い土地は、ため池だけではありません。
例えば、水道用地や運河用地などは、そういった土地の代表です。
そのため、個人がこれらの土地を売却する機会は、滅多にないといっても過言ではありません。
個人が所有し、売却をする可能性のある特殊な土地といえば、保安林などがあります。
保安林は、通常の山林とは異なり、その利用に関して様々な制限が設けられてしまうのが通常です。
ですから、保安林を売却する際にも、十分に事前確認をしておく必要があります。
次は、こういった保安林を売却する際の大まかな流れについてご説明致します。
保安林を売却する際の流れ
保安林とは、「森林法に基づき農林水産大臣が保安林として指定した土地」のことです。
これは、徐々に養い育てる目的のかん養、土砂の流出防止、海岸付近に見られる防風、砂防、潮害防止などの目的のための土地などが指定されることとなります。
(竹木の生育していない土地であっても、森林法に基づいた農林水産大臣の指定があれば保安林となります)
なお、現在の土地が保安林であるかどうかは、個人で決定をすることはできません。
そのため、お持ちの土地が突然に保安林に指定され、地目の変更が必要となることもあります。
地目が保安林となった土地は、森林法による規制を受けることとなります。
ですから、その土地に対して、自由に手を加えることができなくなってしまうのが一般的です。
そのため、売却活動を行ったとしても、買い手が見つからないというケースも少なくありません。
この項目では、こういった保安林を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
保安林を売却する際の確認
保安林は、その性質上、買い手などが見つかりにくくなってしまうのが一般的です。
そのため、売りに出しても、いつまで経っても買主が見つからないということも珍しくありません。
ですから、保安林を売却する際には、最終的に買主が現れないことを想定しておくことが必要です。
その代わり、保安林は固定資産税が実質的に非課税となります。
そのため、いっそのこと保安林をずっと所有しておくのも選択肢としてはない訳ではありません。
もし、どうしても保安林を売りたい場合には、森林組合などに相談をしてみるのも一つの手です。
といっても、この方法で保安林の売却活動を行ったとしても、取引が成立する可能性は極めて低いと考えておく必要があります。
また買い手が見つかった際には、念のため、その相手が保安林ということを知っているかの確認も行っておくことが重要です。
以上が、保安林を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、土地を売却する際には、時に道路となっている土地を売却することもあります。
道路には、国道と私道があり、私道の場合は個人の方が土地を所有していることも少なくありません。
なお、私道を所有し一般大衆がその私道を利用している場合、その地目は公衆用道路という取り扱いとなります。
公衆用道路を売却する際には、やはり権利や通行人の関係などが複雑になりがちです。
これらの確認を怠ったまま土地の売却を行ってしまうと、買主の方が近隣トラブルなどに巻き込まれやすくなってしまいます。
そのため、次の項目では、こういった公衆用道路を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
公衆用道路を売却する際の流れ
公衆用道路とは、「道路法による道路であるかどうかを問わず一般交通の用に供する道路」のことです。
なお、公衆用道路として取り扱われる土地は、道路法上の道路である
「高速道路」、
「国道」、
「市町村道」
だけではありません。
農道や林道、里道、公衆用としている私道なども、条件さえ満たしていれば公衆用道路となります。
そのため、私有地を一般公衆の交通のために利用している場合でも、その土地の地目は公衆道路となっている可能性があります。
なお、私有地の通路を一般大衆ではなく「特定の人」だけが利用している場合には、その通路は公衆用道路とはなりませんのでご注意ください。
この場合、私有地と公有地の区別なく、その利用状況に応じた地目となるのが通常です。
公衆用道路の売却を行う際には、やはり権利関係や近隣の方との関係などにより、売却がややこしくなってしまうことも珍しくありません。
そのため、この項目では、こういった公衆用道路を売却する際の事前確認の流れについてご説明致します。
公衆用道路を売却する際の確認
私道などを所有している場合、その土地の地目が公衆用道路となっていることもあります。
もちろん、私道でなくとも、一般大衆が通行する土地などをお持ちの場合には、その土地は公衆用道路となります。
こういった土地を売却する際には、事前に様々なことを確認しておくことが重要です。
やはり、公衆用道路は権利関係や使用環境、通行時の通行料などの様々な要因が存在する可能性があります。
これらの事項は、土地を売却する際に、詳細に買主の方に伝えておかなくてはならないことです。
更に、公衆用道路は、時に近隣の方などと共有をしていることもあります。
この場合、その部分の売却に関して、ややこしいことになってしまうことも少なくありません。
なお、これら公衆用道路を売却する際に事前に確認しておきたい事項に関しましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に注意が必要なトラブルとその解決方法」の記事にあります「私道などに関する4つの問題点」の項目をご覧ください。
私道を売却する際には、こういった各種情報について、事前に確認をしておくことが大切です。
以上が、公衆用道路を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、一般大衆が利用する可能性のある土地は、公衆用道路だけではありません。
公衆用道路は、既に記載をした通り、一般大衆が通行を目的とする土地のことです。
ですから、一般大衆が利用する土地であっても、通行以外に使われる土地などは公衆用道路以外の地目が登記されいる可能性があります。
例えば、公園などは一般大衆が利用しますが、その目的は土地の通行ではありません。
公園を個人が所有していることは非常に稀ですが、実際の事例として全くない訳ではありません。
そのため、次の項目では、こういった公園を合売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
公園を売却する際の流れ
公園とは、「公衆の遊楽のために供する土地」のことです。
これには、公園内の広場や花壇、通路や休憩所などといった施設の敷地なども含まれます。
更に、公園内のブランコや滑り台、砂場などの遊戯施設やテニスコートなどの運動施設、野外ステージなどの敷地も公園となるのが通常です。
これら公園は、国、都道府県、市区町村などの地方自治体が管理者である場合が殆どです。
その中で、稀ではありますが、個人所有の土地が公園として使用されていることもあります。
居住者以外が入ることができないマンション敷地内公園や、個人所有地で地方自治体が管理していない公園などがその例です。
地方自治体が公園の管理をしていない場合、基本的にその管理者は土地所有者となります。
ですから、マンション敷地内の公園であればマンションの管理組合が、個人所有地であれば、その土地の所有者が管理者になるのが一般的です。
そのため、人によっては、地目が公園となっている土地を売却する機会もあるかにしれません。
公園の売却を行う際には、やはり事前に確認をしておきたい事柄がいくつかあります。
この項目では、こういった公園を売却する際の事前確認の流れについてご説明致します。
公園を売却する際の確認
地目が公園となっている土地には、主に公衆が遊楽するための設備などが存在します。
そのため、公園を売却する際には、これら設備の状態の確認も必要となることも珍しくありません。
やはり、設備の状態が良ければ、それだけ売却時の価格などにも良い影響を期待できます。
ですから、公園を売却する際には、土地上の各設備に関して、その状態を詳細に買主の方に伝えておくことが必要です。
遊具などがある場合には、その点検や安全性についても、十分に考慮する必要があります。
なお、場合によっては、その土地上の設備を取り壊して売却することとなる場合もあります。
この場合、土地の地目を変更するのか、公園のまま売却するのか、買主の方と十分に話し合っておくことが大切です。
公園のまま売却をする場合には、その土地上の設備の処分費用はどちらが負担するのかなどを話し合うこととなります。
また設備などを取り壊し、地目変更をする場合には、設備の取り壊し費用に加え、登記変更の費用をどちらが負担するのかの確認もしておく必要があります。
やはり、これらの事項をきちんと確認していないと、後の各種費用負担に関してトラブルが起こってしまう可能性があります。
現在、公園の売却をお考えの方は、こういったことを確認し、的確に話し合いを行ってから売却を行うことが大切です。
以上が、公園を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、土地の地目の中には、鉄道用地と呼ばれるものもあります。
鉄道用地は、公園と同様に個人が所有する機会は殆どないといっても過言ではありません。
ただし、殆どないというだけで、時には鉄道用地を所有することとなるケースも極稀ながら存在しております。
そのため、鉄道用地を売却するといった事例は全くないという訳ではありません。
鉄道用地を売却する際には、やはり他の地目と同様に、一応確認をしておきたい事項がいくつか存在します。
次の項目では、こういった鉄道用地を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
鉄道用地を売買する際の流れ
鉄道用地とは、「鉄道の駅舎、附属施設及び路線の敷地」のことです。
なお、鉄道用地として取り扱われる鉄道に、公営と民営の区別はありません。
また線路や鉄道の駅舎など、その付属施設として使用されている敷地に関しても鉄道用地として取り扱われます。
【鉄道用地と分類される土地の主な一例】
- 鉄道の線路や駅舎の敷地
- 駅舎と一体的に利用される駅前の広場
- 駅の構内にある車両庫の敷地
- 鉄道の線路敷地に接続している鉄道専用の変電施設の敷地
- 職務上、常駐しなくてはならない者のための宿舎の敷地
- 鉄道の踏切の詰め所の敷地
鉄道の附属施設であっても、これらの施設と一体的に使用されてないものは鉄道用地とはなりませんのでご注意ください。
なお、鉄道用地を個人で所有するというケースはほぼないといっても過言ではありません。
あるとすれば、鉄道の廃線跡地が売られており、そのまま購入をした場合や、所有地に鉄道などを走らせている場合などです。
鉄道用地は、その土地の用途から、売却時に地目の変更が必要な場合もあります。
そのため、これらに関する確認が必要になることも少なくありません。
この項目では、こういった鉄道用地を売却する際の事前確認の流れについてご説明致します。
鉄道用地を売買する際の確認
廃線になった鉄道の跡地を購入し、それを売却する場合、地目変更登記をしない限り、購入時点の地目が継続されます。
そのため、購入時点の地目が鉄道用地であった場合には、売却時にそのことを開示するなどの対処が必要です。
これは、個人所有の鉄道の用地を売却する際も同様です。
やはり、鉄道用地を購入し、そのまま鉄道用地として使用をする方はほぼ皆無です。
ですから、後にその土地を宅地などに変更するなどの手続きが必要となります。
更に、その土地に対して所有者しかわからない要素がある場合、その開示もしておくことが大切です。
やはり、廃線となった鉄道用地を購入した場合、その土地に関して何かしろの不具合などがある可能性もあります。
もしかすると、鉄道用地として利用されていた頃に、地中などに何か埋蔵物など埋め立てられたかもしれません。
これらは、きちんと土地の中を確認しなくては発見をすることはできません。
万が一、地中に埋蔵物がある土地を売却した場合、後に買主から責任を追及されてしまう可能性もあります。
ですから、鉄道用地などを売却する際には、事前に地中の状態に関する調査も行っておくことが重要です。
以上が、鉄道用地を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、地目は全部で23種類ありますが、その中の一つに雑種地と呼ばれる地目があります。
雑種地は、その土地が存在する地域によって、様々な制限が設けられていることも珍しくありません。
そのため、売却をする際には、その制限について考え、売れやすさを検討していくことが重要です。
次の項目では、こういった雑種地を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
雑種地を売却する際の流れ
雑種地とは、雑種地以外の22種類の「いずれの地目にも該当しない土地」のことです。
本来、土地の地目は、その土地の現況や利用目的に重点を置き決定がされます。
これは、部分的に差があったとしても、土地全体としての状況を観察して定められるのが一般的です。
その中で、22種類の地目のいずれにも該当しない土地は、「雑種地」として取り扱われます。
【雑種地として取り扱われる土地の一例】
- 駐車場
- 野球場
- ゴルフ場
- 飛行場
- 遊具を主とする遊園地の敷地
- 下水処理場の敷地
- 変電所や鉄塔の敷地
- 宅地に接しないテニスコートの敷地
- 宅地に接しないプールの敷地
なお、上記の土地であっても、その利用状況に応じては、雑種地以外の地目となることもあります。
例えば、店舗や事務所の駐車場などは、建物の敷地としての利用が主で、駐車場はその付随的なものであると言えます。
ですから、店舗や事務所の駐車場はその部分の敷地も含め、土地全体がひとかたまりの「宅地」として取り扱われることとなります。
またゴルフ場や飛行場のように、その敷地の一部に建物がある場合には、それらの地目に関しても注意が必要です。
何故なら、その建物の利用目目的がゴルフ場や飛行場などの付随的なものに過ぎないと認められた場合、建物の敷地を含む全体が「雑種地」となるからです。
そのため、例え建物が建っている土地があったとしても、その土地がどういった地目になるのかをきちんと確認することが必要です。
なお、雑種地に分類される建物の部分を宅地などとするためには、建物の周りに、
「道路」、
「溝」、
「堀」
などがあり、建物の敷地とその他の敷地を明確に区別できる状態でなくてはなりません。
こう聞くと、雑種地は、他の敷地と特殊な関係下にあることも少なくないということが分かります。
ですから、売却の際には、そのことで買主の方と揉めてしまう可能性もないとは言い切れません。
やはり、雑種地を売却した後のトラブルを防止するためには、事前に必要なことをしっかりと確認しておくことが大切です。
この項目では、こういった雑種地を売却する際の事前確認の流れについてご説明致します。
雑種地を売却する際の確認
雑種地は、宅地の半分程度の価格になると言われることもありますが、これは間違った解釈となります。
駐車場や資材置き場などの雑種地は、整地してあり、道路付けもある程度必要になることが多いです。
ですから、その状態を考えると、比較的宅地に近いと言えます。
これらのことから、「市街化区域内」にある雑種地は、宅地並の価格で取引されることも少なくありません。
(非線引区域や、都市計画区域外なども同様です)
ただし、これは雑種地が「市街化区域内」にある場合の話です。
ですから、「市街化調整区域」にある雑種地などの場合は、これとは異なる評価となってしまう場合が多くあります。
市街化調整区域の雑種地には、原則として建物の建築ができません。
そのため、そういった条件を考慮され、宅地よりも価格が安くなってしまうことが多くなります。
こういった雑種地に建物を建築するためには、その土地の地目を建物が建築できる地目へと変更する必要が出てきます。
そのため、市街化調整区域で建物を建築する前提で雑種地を売却する際には、その事実を買主の方に適切に告知しておくことが大切です。
なお、市街化調整区域であっても、例外的に、「医療施設」、「老人ホーム」、「コンビニエンスストア」、「ガソリンスタンド」などの施設の建設は認められております。
ですから、これらの業者に雑種地の売却をアプローチすれば、売却が上手くいく可能性が高まります。
雑種地を売却する際には、こういったことに関しても十分に考慮した上で、効果的な売却方法を選択することが重要です、
以上が、雑種地を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
これで、それぞれの地目の土地を売却する際の大まかな事前確認の流れの説明は終わりです。
なお、これまでは土地の売買に重点をおいた事前確認の流れなどを記載してきました。
しかし、不動産を売却する際に確認が必要なのは、土地に関する事項だけではありません。
やはり、対象不動産自体に何か複雑な条件などがある場合にも、その売却の流れを事前に確認しておくようにしたいものです。
そのため、次の項目では、特殊な条件下におかれている不動産を売却する際の大まかな流れについてご説明致します。
複雑な状況での不動産売却の流れ
不動産を売却する際には、売却がスムーズに終わるとは限りません。
時には、不動産自体が非常に複雑な状況に置かれていることもあります。
そういった場合、事前にその問題の解決方法を知っておくことが大切です。
やはり、不動産売却の際には、普段の生活では気が付かなかった重大な問題点が見つかる可能性もあります。
こういった問題点が見つかった際には、その問題を根本から解決してから売却を行うことが必要です。
これら問題点の解決を後回しにしてしまった場合、その影響で深刻な問題が起こってしまう可能性もあります。
そのため、早めに問題点の的確な解決方法を知り、実行をしていくことが重要です。
この項目では、こういった複雑な状況下にある不動産を売却する際の大まかな事前確認流れについてご説明致します。
まずは、敷地の一部が水道用地である不動産を売却する際の大まかな事前確認の流れについてです。
敷地の一部が水道用地である場合
不動産の中には、所有している宅地の中に、水道用地があることもあります。
水道用地は、多くの場合、水道局などが所有者となっております。
そのため、例え宅地内に水道用地などがあったとしても、その部分の土地だけは市区町村などが所有者となっているのが通常です。
土地の所有権を持っていないということは、その部分の土地には、何も手を加えることができないということです。
そのため、その部分に関して変更を加える際には、水道局などにその許可を得る必要が出てきます。
とはいえ、やはり水道用地に何かしろの建造物や塗装などが行われた場合、配管のメンテナンスなどの工事費用が高くなってしまう危険性があります。
そのため、工事をしなくては大きな被害がある場合など以外は、原則、工事の許可がされないのが一般的です。
ですから、こういった土地を売却する際には、買主の方に水道用地の存在を明らかにすることが大切です。
更に、水道用地に対して定期的にメンテナンスなどが行われる場合、このことに関する情報の開示もしておく必要があります。
こういった工事は、時には比較的大きな騒音となってしまうこともあります。
その事実を知らないまま土地を売却した場合、後に大きなトラブルとなってしまう可能性も否めません。
そのため、売却する敷地内に水道用地などがある場合には、その事実に加え、メンテナンス工事の情報なども開示をすることが大切です。
以上が、敷地の一部が水道用地である不動産を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、土地の状況によっては、水道用地から引き込みをしている個人所有の水道管を使い、水の供給を受けていることもあります。
こういった不動産を売却する場合、状況によっては様々なトラブルが起こってしまう可能性があります。
そのため、現在使用している水道管の利用状況・状態などを確認しておくことが大切です。
次は、こういった個人所有の水道管を使って水の共有を受けている不動産を売買する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
個人所有の水道管がある場合
私たちが生活を行う上で、必要不可欠なのが水です。
水は、基本的に水道局(市町村)などが所有している水道管から供給がされます。
とはいえ、全ての不動産が、市の本管から水の供給を受けている訳ではありません。
場合によっては、個人が所有している水道管が水道管の本管に繋がっており、そこから水の供給を受けていることもあります。
なお、この説明では分かり辛いという方は、下記の簡易図をご覧ください。
こういった状況の不動産を取引する際には、やはり事前にその利用に関する確認をしておくことが大切です。
この場合、不動産を売却せずそのまま使い続けるのであれば、「Aさん」と問題が起こってしまうことはほぼありません。
何故なら、引き込み管から分岐して水道を使うことに対して、Aさんも承諾をしているからこそ、この土地に建物が建っているからです。
そのため、一般的には不動産売却により不動産の所有者が変わったとしても、その際に使用料なようなものを請求される事例は多くありません。
ただし、その土地上の建物を取り壊し、更地にして売却をするなどといった場合には、少々状況が異なってきます。
この場合、Aさんが当初聞いていた話と異なる土地の状態となってしまうことになります。
そのため、引き込み管の使用などに関して、異議を唱えられてしまう可能性もあります。
ここで話がこじれてしまうと、最悪は引き込み自体分岐を認めてくれなくなる可能性もゼロではありません。
こうなってしまうと、不動産の所有者は、
「何とかしてAさんから分岐の許可を継続して貰う」か、
「自分で水道管本管から引き込む」
などの対処を考えなくてはいけなくなります。
水道管本管に繋げる引き込み管を埋設するためには、1mあたり数万円(3万円程度が相場です)掛かると言われています。
更に、アスファルトがある場合には、その掘り起こしと埋め直しの費用を考えなくてはなりません。
これらの費用に安全対策の費用を加えると、1mあたり5万円前後の費用が必要だということになります。
そのため、個人所有の水道管から分岐して水の供給を受けている場合には、事前に所有者の方と打ち合わせをしておく必要があります。
その際に、どうしても引き込み管の所有者から使用許可を得られない場合には、水道管の引き込みを売主負担で行うのか買主負担で行うのかも確認をしておくことも大切です。
日常、何気なく使用している水道ですが、不動産売却の際には、こういった普段意識をしない部分に関しても意識しておくことが重要です。
以上が、個人所有の水道管を使って水の供給を受けている不動産を売買する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、不動産を売買する際に共有となっている可能性があるのは、水道管だけではありません。
時には、不動産の所有権自体が共有となっていることもあります。
この場合、その不動産をスムーズに売却することができなくなってしまう危険があります。
そのため、次は、こういった共有不動産を売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
共有不動産を売却する場合
不動産は、時に所有者が複数人いることもあります。
こういった共有不動産を売却する際には、原則、共有者全員の同意が必要です。
共有者の中に不動産の売却に反対をする方がいれば、その不動産の売却はできなくなってしまいます。
そのため、不動産を売却したい所有者は、その持分(権利)部分の売却などを考えていく必要があります。
共有不動産の持分は、他の共有者の同意がなくとも売却をすることが可能です。
不動産全体を自由に使うことができない権利を買う方は稀ですが、最近はその持分のみを買い取るといった業者なども存在します。
ですから、他の共有者が不動産の売却を頑なに拒否する場合には、お持ちの持分だけを売却することも視野に入れておくことも必要です。
また土地であれば、持分に沿って分筆をし、それぞれを所有するようにしてしまうのも一つの手です。
これなら、土地自体が共有ではなくなるため、売却を個人が自由に行うことができるようになります。
他にも、「共有物の分割協議」の手続きを行い、自分の持分を他の名義人に売却するという方法もあります。
なお、不動産の売却に共有者全員が同意する場合には、そのまま不動産を売却することで解決ができます。
この場合、売却した後の売却金は、それぞれの持分割合で分けるのが一般的です。
共有不動産を売却する際の流れは、おおかた通常の売買と同じですが、各手続きには共有者全員の参加が必要となります。
ですから、共有者全員が実印と印鑑証明を準備し、共有者全員が直筆で契約書にサインをし、売買契約時には共有者全員が立会いを行わなくてはなりません。
更に、決済時にも共有者全員の立会いが必要となります。
そのため、そういった確認を含めた上で、共有者全員が売却の計画を立てていくことが大切です。
以上が、共有不動産を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
なお、不動産を売却する際に注意をしておきたいのは、こういった共有不動産を売却する場合だけではありません。
やはり、夫婦で住宅などを購入し、その後に離婚してしまった場合などの不動産売却に関しても、注意をしておきたいことがいくつかあります。
離婚時に不動産を売却する場合、その財産分与は状況によって大きく異なります。
更に、住宅ローンの状態や名義変更に関する部分に関しても、十分に確認をしておく必要があります。
そのため、次は、離婚時に住宅などを売却する際の大まかな事前確認の流れについてご説明致します。
離婚時に住宅を売却する場合
現在、離婚をする夫婦は多く、その際に不動産の売却が行われることも珍しくありません。
やはり、離婚後も不動産を所有するとなると、様々なトラブルの元となってしまう可能性があります。
離婚時に不動産を売却する場合、その売却金は多くの場合夫婦の間で分け合います。
これは財産分与と呼ばれ、夫婦間の関係や状況などによってその分配割合が異なるのが一般的です。
そのため、離婚後に住宅などを売却する際には、この財産分与に関して確認をしておく必要があります。
更に、住宅ローンが残っている場合には、その処理に関する流れについても確認をしておくことが重要です。
なお、離婚時の財産分与や住宅ローン残債の処理、その他の情報につきましては、お手数をお掛け致しますが、「離婚時に所有をしている不動産を売却する場合の基礎知識」の記事をご覧ください。
これらのことを事前に確認してから不動産売却すれば、夫婦間で揉め事が起こりにくくなります。
以上が、離婚時に住宅などを売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
離婚時の不動産売却は、流れを間違えてしまうと、大きな問題が起こってしまいかねません。
そのため、お互いに十分に話し合いなどをしておくことが大切です。
なお、不動産売却時に十分な確認が必要となる状況はこれだけではありません。
やはり、不動産に関する法令などは数多く存在しており、その制限を守った上で売買を行う必要があります。
そのため、売主の方は、その制限についても十分に確認をしておく必要があります。
次は、こういった特別な制限などがある不動産を売却する際の事前確認の流れについてご説明致します。
不動産に特別な制限がある場合
不動産に関する法令には様々なものがあり、中には不動産に関する制限などが制定されている場合もあります。
これら不動産に関する法令は、各年度などによって変更がされていることも少なくありません。
そのため、建物建築当時は規制がなかった場合でも、現在は新たな規制ができている可能性もあります。
現在の建物を建築した後に何かしろの法令が制定された場合、建築した建物が違法となってしまうことも珍しくありません。
こういった場合、既に建築してある不動産の取り壊しは不要ですが、後に同等の建物の建て替えができなくなってしまいます。
この事実を知らないまま不動産を取引してしまった場合、買主の方の想定している工事などが行えない場合があります。
こうなると、売主の方の説明不足が責められ、後に売買契約を解除されてしまう可能性も否めません。
不動産は、資産自体が高額であるため、その所有期間が非常に長くなっていることも珍しくありません。
そのため、その不動産を購入した当時と、現在では不動産に対する法令などが変わっていることもあります。
不動産を売却する上で、こういった各制限を買主の方に説明するのは、売主の方の義務とも言えます。
ですから、不動産を売却する際には、事前にその不動産にどういった法令や特別な制限があるのかを改めて確認しておくことが大切です。
不動産会社に仲介を依頼した場合、こういった調査は不動産会社が行ってくださいます。
一方、個人で不動産を売買する場合などには、売主本人がこういった情報を詳細に把握しておく必要があります。
そのため、市のHP上などで、不動産に関する制限などを調べておくなどの対処が必要です。
都市計画法や法令上の制限、道路の種類や開発行為や宅造の許可など、忘れず確認をしておくことが大切です。
なお、市のHP上でこれらの法令を確認できない場合には、市町村の建築担当課などに相談をするという選択肢もあります。
これらを確認した上で不動産の売却を行えば、後に法令に関するトラブルが起こってしまう可能性を抑えることができます。
以上が、特別な制限などがある不動産を売却する際の大まかな事前確認の流れになります。
これで、複雑な状況下にある不動産を売却する際の大まかな事前確認流れの説明は終わりです。
なお、不動産を売却する際には、住宅ローンが残った状態で売却せざるを得ないこともあります。
住宅ローンが残っている不動産を売却する場合、当然にその流れは住宅ローンを完済している場合の流れとは異なります。
ですから、住宅ローン残債の処理を想定して不動産の売却を行っていくことが必要です。
次の項目では、住宅ローンが残っている状態の不動産を売却する際の大まかな流れについてご説明致します。
ローン残債がある場合の売却
不動産の住宅ローンの返済が困難になってしまった場合には、その不動産を売却せざるを得ないこともあります。
この場合、不動産を売却する際の状況などによって、適切な売却方法が異なるのが一般的です。
不動産の売却金で住宅ローンを完済できる場合には、そのまま不動産を売却することでこの問題を解決することができます。
一方、不動産の売却金が住宅ローンの残債を下回る場合には、特殊な処置などが必要となってしまします。
そのため、住宅ローン残債がある不動産を売却する際には、現在の状況にあった売却方法を選択することが大切です。
この項目では、こういった住宅ローンが残っている不動産を売却する際の大まかな流れについてご説明致します。
まずは、不動産売却による売却金で住宅ローンの一括返済ができる場合の大まかな売却の流れについてです。
売却金で一括返済ができる場合
不動産の売却金が住宅ローンの残債を上回る場合には、その売却金でローンを一括返済するのが一般的です。
やはり、不動産の住宅ローンを完済しなくては、その抵当権を抹消することができません。
そのため、通常の不動産売買の流れに、住宅ローンを返済するための手順を加えていく必要があります。
なお、住宅ローンは、ローンを組んだ時点でその返済期間を設定している場合が殆どです。
不動産の売却金でローンを一括返済するとなると、その返済予定が狂ってしまいます。
そのため、突然に金融機関にローンの一括返済をしても、その処理が受理されないのが一般的です
ですから、住宅ローンの返済期間を変更したい場合には、事前に「住宅ローンの一括繰り上げ返済の手続き」を行っておく必要があります。
その際には手続きに関しての手数料などを求められることもありますので注意が必要です。
この手続きが済めば、不動産の売却金で住宅ローンを一括返済することができるようになります。
なお、住宅ローンの一括返済は、不動産の決算日当日に行うのが通例です。
そのため、売主の方は不動産の決算日当日までには、住宅ローンの一括繰り上げ返済手続きを終えておく必要があります。
住宅ローンの一括繰り上げ返済手続きが終わりましたら、通常の売買と同様に不動産の取引を進め、不動産の売買代金を受け取り、その代金で住宅ローンの一括返済を行います。
これで不動産の抵当権を抹消することができるようになりました。
不動産の抵当権抹消手続きは、司法書士に依頼をするのが一般的です。
そのため、不動産の決算日には、司法書士に所有権移転登記と抵当権抹消登記の二つを依頼することになります。
なお、不動産の抵当権を抹消するためには、住宅ローンを借りた時に設定した「抵当権設定契約証書」の解除証明書なども必要です。
ですから、抵当権抹消登記を行う際には、こういった書類も忘れず準備をしておくようにしてください。
登記の依頼を受けた司法書士は、法務局で各種登記の手続きを行います。
そうして登記が完了したら、不動産を買主の方に引き渡します。
これで、住宅ローンの返済と不動産の取引が完了しました。
【住宅ローンが残っている不動産を売却する際の大まかな流れ】
- 事前に住宅ローンを借り入れた金融機関に、ローンの一括繰り上げ返済の手続きを行う
- 買主の方から不動産の売買代金を受け取り、その代金で住宅ローンを一括返済する
- ローンを借り入れていた金融機関から抵当権抹消の許可を受ける
- 売主の方が、抵当権抹消登記を行う(殆どの場合、司法書士に代理依頼をします)
- 買主の方が、所有権移転登記を行う(殆どの場合、司法書士に代理依頼をします)
- 司法書士などが法務局で登記の手続きをする
- 不動産を買主の方に引き渡す
以上が、不動産売却による売却金で住宅ローンの一括返済ができる場合の大まかな売却の流れになります。
この事例では、不動産を売却することで住宅ローンを完済することができたため、それ程面倒な手続きは必要ありませんでした。
では、住宅ローン残債が売却金の金額を上回ってしまう際には、どのような売却方法を取る必要があるのでしょうか?
最後は、住宅ローンを完済できない場合の大まかな不動産売却の流れについてご説明致します。
売却金で一括返済ができない場合
ローンが残っている不動産を売却する際には、その売却金をローンの返済に充てる場合が殆どです。
やはり、抵当権が設定されたままでは、不動産を売却できる可能性はほぼありません。
ですから、不動産を売却する際には、住宅ローンの完済を目的とした売買を行う必要があります。
ただし、不動産を売却した際の売却価格が、必ずしもローン残債を上回っているとは限りません。
実際に、不動産を売却しても、その売却金が住宅ローンの残債額よりも低額となってしまうことがあるのも実情です。
こういった際には、不動産の売却金にプラスして、他の資金調達方法を考えていく必要があります。
例えば、買い替えローンやおまとめローンといったローンを新たに組むことで、資金不足を回避することができます。
とはいえ、この場合、どちらにしてもローンの返済に関して、難のない方が前提の方法となります。
ですから、もし住宅ローンを滞納してしまっているという方などは、この方法を取ることはできません。
やはり、住宅ローンの支払いを滞納してしまうような状況では、新規にローンを組んだとしても今度はその支払いができなくなってしまう可能性があります。
そうすると、結局は住宅ローンを滞納するのと同じ状況になってしまいます。
ですから、こういった場合、多くの方は不動産の任意売却を行うことになります。
不動産を任意売却によって売却する場合、ある程度売主の方の意見を通した上で、売却を行うことが可能です。
更に、通常の不動産を売却するのとほぼ同じ流れで手続きを進めていくことができます。
任意売却を行う場合、最初は任意売却を行うことができる業者を探し、電話やメール、対面などで売却の相談をしていくことになります。
(任意売却を行うためには、専門の業者の仲介が必要です)
その際には、住宅ローンの状態などの現状を伝えておくのが一般的です。
任意売却に関する相談が終わりましたら、通常の不動産売却と同じように売却価格の査定が行われ、媒介契約を結んでいきます。
その際には、債権者が専任媒介契約以上の契約を望むことが多いため、専任媒介契約以上の契約を結ぶことが多くなります。
媒介契約が終わりましたら、ここで債権者との交渉が始まります。
任意売却を行うためには、最終的に債権者全員の同意を貰うことが条件となります。
そのため、この段階で債権者に交渉を行っておくと、後に売却の同意を貰いやすくなります。
(交渉は、媒介契約を行った業者が代理で話し合いを行ってくださる場合が殆どです)
債権者との交渉が終わりましたら、後は購入希望者が決まるまで、おおかた通常の売買と同じ流れで販売活動が進んでいきます。
購入希望者が現れた後は、購入者の方と資金計画などについて打ち合わせをし、債権者に「購入申込書」と「売買代金配分表」を提出します。
これで、任意売却に関する同意を得ることができれば、任意売却を行うことが可能となります。
後は、通常の売買と同様に引越しや決算、不動産の引き渡しを行い、借金整理の手続きを行えば任意売却は完了です。
【任意売却を行う際の大まかな流れ】
- 任意売却を依頼する仲介業者を探す
- 仲介を依頼した業者に現在の状況を細かく話す
- 不動産の価格を査定して貰う
- 仲介業者と媒介契約を結ぶ(専任媒介契約以上の場合が多い)
- 仲介業者などが債権者と各種交渉を行う
- 不動産の販売活動が始まる
- 不動産の購入希望者が現れる
- 購入希望者と購入条件や価格などを交渉する
- 債権者に「購入申込書」と「売買代金配分表」を提出し、売買に同意して貰う
- 不動産の売買契約を締結する
- 不動産の引き渡し・決算を行う
- 借金整理の手続きなどを行う
これらが、任意売却を行う際の大まかな流れになります。
なお、売主の方の状態によっては、上記の流れが少々異なることもありますのでご注意ください。
以上が、住宅ローンを完済できない場合の大まかな不動産売却の流れになります。
これで、様々な種類の不動産を売却する際の流れの説明は終わりです。
やはり、不動産を売却する際には、その状態、売却理由、状況などによって売却の流れが異なるのが通常です。
そのため、スムーズな取引を行うためには、自分が売却をしたい不動産の種類や状態を整理した上で売却の流れを確認しておくことが大切です。