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不動産が売却損であった場合の確定申告書などの記載方法

   

現在、ある一定の収入を得ている方は、確定申告を行う必要があります。

これは、不動産売却などで得た収入も同様です。

サラリーマンなどは、普段は会社が確定申告を行ってくれるため、ご自身で確定申告を行うことはほぼありません。

しかし、不動産売却で得た収入は会社の確定申告とは別に確定申告が必要です。

そのため、会社で給与所得などの確定申告が行われても、不動産売却の収入に関しては、やはりご自身で確定申告を行う必要があります。

とはいえ、不動産売却において、その売却益が損失となってしまうこともない訳ではありません。

この場合、確定申告が必要であるのか不要であるのか疑問に感じてしまう方もいらっしゃるかもしれません。

不動産の売却益が損失であった場合、それに係る税金の支払いは必要ありません。

そのため、別途に確定申告をする必要はないのでは、と感じてしまう方もいらっしゃるようです。

では、実際には確定申告は必要になるのでしょうか?

このページでは、こういった不動産売却時に譲渡損失が出た場合の確定申告について記載を行っていきます。

なお、このページに記載をしている確定申告書・方法は、「平成27年度分」までの情報となります。

ですから、「平成28年度分」の確定申告につきましては、来年に別の記事でご説明致します。

では、まずは、不動産の売却益が損失であった場合に確定申告が必要であるのかという点についてご説明致します。

目次

不動産売却後の確定申告

確定申告とは、税金を納めるために必要な手続きです。

万が一、確定申告を忘れてしまうと、所得に関する税金の納付ができなくなってしまいます。

そうすると、税金の納付を滞納してしまうこととなり、後に様々なペナルティを受けることとなってしまいます。

そのため、何かしろの収入を得た場合には、やはり事前に確定申告の必要性について把握しておくことが重要です。

なお、これら詳しい確定申告に関する説明や各種ペナルティにつきましては、お手数をお掛け致しますが、
不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります
確定申告についての説明」と
確定申告を忘れた際のペナルティ
の項目をご覧ください。

なお、ここで問題となるのが、不動産の売却益が損失であった場合です。

この場合、根本的に納税の必要がなくなります。

ですから、納税するために確定申告を行う必要がない状態ということになります。

しかし、確定申告は、決して税金の納付を行うためだけに存在する訳ではありません。

時には、確定申告を行うことで、金銭面で有利となるような場面も存在します。

そのため、この項目では、不動産を譲渡し売却損であった場合の確定申告の必要性についてご説明致します。

不動産譲渡後の確定申告の必要性

不動産を売却する際には、その金額が損失となってしまうことも考えられます。

その場合、やはり納付が必要な税額も0円となります。

そのため、多くの方が確定申告をしなくても良いのでは、と考えてしまうことが多いようです。

確かに、納税の必要がないということは、確定申告を行わなくても法的には何の問題もありません。

ただし、これはあくまで「法的」には問題がないというだけです。

実際には、不動産譲渡に関する確定申告が行われない場合、税務署から問い合わせなどが来るのが普通です。

ですから、例え不動産を譲渡し売却損であったとしても、確定申告を行うことになると考えておく必要があります。

更に、一定の要件を満たしていれば、その損失分を申告することで、いくつかの特例を受けることができる可能性もあります。

こういった特例を適用できれば、譲渡損失の金額を給与所得など他の所得から控除することが可能となります。

これにより、所得税の税額が減ることになり、結果的に税金の納付額を削減することに繋がります。

ですから、例え不動産を譲渡し売却損であったとしても、やはり確定申告を行うことを想定しておくことが大切です。

以上が、不動産を譲渡し売却損であった場合の確定申告の必要性についての説明になります。

では、不動産を譲渡し売却損であった場合には、どのような特例を受けることができる可能性があるのでしょうか?

次の項目では、こういった不動産を譲渡し売却損であった場合の特例についてご説明致します。

不動産売却損時の特別控除

不動産を譲渡し売却損であった場合には、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
のいずれかの適用により、他の所得と不動産の譲渡損失を損益通算することができるようになります。

これらの特例を適用するためには、
「不動産売却を行った年の1月1日時点でその不動産を5年超所有していること」や、
「売却を行う不動産が居住用(マイホーム)であること」
などの要件があります。

ですから、不動産を譲渡し売却損であった場合には、まずこの適用要件を満たしているのかを確認しておくことが大切です。

またこれら二つの特例は、後に不動産を買い換えるのか、買い換えないのかでも適用できるほうが変わってきます。

そのため、それぞれの特例の内容などについて、きちんと把握をしておくことが必要です。

そこで、この項目では、これらの特例の内容などを簡易的にご説明致します。

まずは、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」のほうの説明について記載していきます。

なお、特例を申請する際に、確定申告書など以外で必要となる可能性のある書類に関しては、
お手数をお掛け致しますが、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります「確定申告の必要書類を準備」の項目をご覧ください。

居住用不動産を買い換える場合

不動産を譲渡し売却損であった場合には、先程も記載をした通り、
「それが居住用であるのか」、
「新居を買換えるのか」
で適用ができる特例が変わってきます。

居住用不動産を「買い換える」のであれば、その際に適用ができるのは「居住用不動産に買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」となります。

この特例を適用すれば、不動産譲渡時に売却損が出た場合、その損益を他の所得と損益通算できるようになります。

損益通算しても赤字となった差し引きしきれなかった金額については、翌年以降3年間繰り越して所得から控除することができます(適用した年を入れると4年です)。

この特例を適用するためには、所定の書類に必要事項を記載した上で、確定申告をする必要があります。

下記は「居住用不動産に買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用するために必要な書類をまとめたものです。

【確定申告時に記載が必要な書類】

  1. 確定申告書B様式第一表
  2. 確定申告書B様式第二表
  3. 確定申告書B様式第三表(分離課税用)
  4. 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》
  5. 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】

これらの書類に記載をした上で確定申告を行えば、「居住用不動産に買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けることができます。
(これらの必要書類は、「税務署」や「還付申告センター」で貰う、「国税庁のHPで印刷をする」ことで取得をすることができます)

以上が、「居住用不動産に買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の説明になります。

なお、居住用不動産売却した後に住居を買い換えない場合、
「居住用不動産に買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けることはできませんのでご注意ください。

そのため、こういった場合には、もう一つの特例である「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の適用を検討することとなります。

次は、この「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の内容などについて簡易的にご説明致します。

居住用不動産を買い換えない場合

居住用不動産の売却益が損失であった際に、不動産を買い換えない場合には、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を適用する必要があります。

この特例を適用すれば、「5年を超えて保有する住宅ローンが残っている居住用財産」を売却した際に売却損が出た場合に、その損益を一定の限度で他の所得から差し引くことができるようになります。

損益通算しても赤字となった差し引きしきれなかった金額については、翌年以降3年間繰り越して所得から控除することができます(適用した年を入れると4年です)。

この特例を適用するためには、不動産を買い換える場合と同様に、所定の書類に必要事項を記載した上で、確定申告をする必要があります。

下記は「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を適用するために必要な書類をまとめたものです。

【確定申告時に記載が必要な書類】

  1. 確定申告書B様式第一表
  2. 確定申告書B様式第二表
  3. 確定申告書B様式第三表(分離課税用)
  4. 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》
  5. 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】

これらの書類に記載をした上で確定申告を行えば、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けることができます。
(これらの必要書類は、「税務署」や「還付申告センター」で貰う、「国税庁のHPで印刷をする」ことで取得をすることができます)

以上が、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の説明になります。

こうして適用する特例が決まりましたら、今度は実際に確定申告書を記載していきます。

確定申告書の記入は、やはりややこしいというイメージをお持ちの方も多いかもしれません。

実際に、確定申告をする際には、専門家の方に作成の代行を依頼することも少なくありません。

この場合、作成の代行に関する報酬などの準備が必要となってしまうのが一般的です。

ですから、少しでも必要費用を減らしたい方は、ご自身で確定申告を行う必要があります。

確定申告書は、順を追って説明を見ていけば、個人でも十分に作成をすることが可能です。

そのため、次は、不動産を譲渡し売却損であった場合の確定申告書の記載手順についてご説明致します。

売却損時の確定申告のやり方

確定申告を行うためには、まず、指定の書類に、必要事項を記載していかなくてはなりません。

その際には、各書類への記載方法などが分からず、なかなか作業が進まないことも多いものです。

やはり、確定申告書は、今まで一度も作成をしたことがないという方が大半です。

更に、記載をする欄なども数多く準備されており、その欄に何を記載すれば良いのか分からない場合も少なくありません。

そのため、確定申告を行う際には、記入が必要な欄とその情報を知ることから始める必要があります。

確定申告書に記載をする内容と欄さえ分かれば、後はそれ程難しい作業ではありません。

不動産の売却益が損失であった場合には、通常は損益通算などの特例を適用します。

そのため、確定申告の際に、特例を適用するために必要な書類の作成も行わなくてはなりません。

そこで、この項目では、不動産を譲渡し売却損であった際に特例を受けるという条件で、確定申告を行う際の手順について記載をしていきます。

まずは、確定申告を行う際の大まかな記載の流れについてです。

確定申告書への記載の流れ

確定申告書の作成を行う際には、基本的にどの書類から作成をしても問題はありません。

ただし、書類へ記載する順番によっては、作成が行いにくくなってしまう可能性があります。

そのため、事前にある程度順番を考えて、各書類に記載をしていくことが大切です。

下記は、確定申告書を作成する際の一般的な流れです。
(リンクをクリックすると、各説明へ移動できます)

  1. 【(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》】を作成する
  2. 申告書B第一表の【上部】を書く
  3. 申告書B第一表の【左上部(収入金額等・所得金額)】などの欄を書く
  4. 申告書第二表を作成する
  5. 申告書B第一表の【左下部(所得から差し引かれる金額)】などの欄を書く
  6. 申告書B第三表(分離課税用)の【上部】を書く
  7. 残りの申告書B第三表(分離課税用)を作成する
  8. 「(特定)居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書」を作成する
  9. 申告書B第一表【右半分(税金の計算・その他)】などの欄を書く

もちろん、この手順で作成がし辛いと感じる方は、必ずこの手順で作成を行う必要はありません。

そういった方は、ご自身のやりやすい手順で、記載を行ってみてください。

このページでは、上記の手順を踏まえた上で、確定申告書の記入手順を記載していきます。

なお、通常、確定申告書の欄の番号(数字)は〇で覆われておりますが、表示に関する問題により、本ページでは全て〇を書かずに通常の数字として記載を行っておりますのでご了承ください。

では、まずは「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の記載方法についてです。

譲渡損失の金額の明細書の書き方

不動産を譲渡した際の損失を確定申告(特例を適用)する場合には、それぞれの特例に応じて必要な書類を作成する必要があります。

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けたい場合には
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」
の作成が必要になります。

また「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けたい場合には、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
の作成が必要になります。

ですから、ご自身が必要なほうの書類を準備してください。

書類の準備がでましたら、次は実際に各書類に必要事項を記入していきます。

その際には、書類自体に記載情報の名称が記載してありますので、それを参考に記載をしていくこととなります。

とはいえ、書類の情報を見ただけでは、何を記載すれば良いのか分からないことも少なくありません。

そのため、この項目では、記載を行う欄とそこに記載を行う情報の説明を行っていきます。

まずは、「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【上部】の記載方法についてです。

明細書の【上部】の書き方

「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
を作成するためには、まず書類の【上部】などを記載する必要があります。

とはいえ、書類上部は、記載項目が多い訳ではありませんので、記入情報さえ間違えなければ記入はそれ程難しくありません。

そのため、記入情報と記入欄を確認しておけば、個人でも十分に記載を行うことが可能です。

では、これから記載例を参考にして、実際に書類に情報を記載していきます。

下記の各項目の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

【(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》の上部】

「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【上部】には、主に確定申告を行う方の情報を記載します。
まず、左上部の【平成__年分】の欄に、確定申告を行いたい年度を記載します。
そうして、その下の「住所」、「氏名」、「電話番号」の欄に、ご自身の「住所」、「氏名」、「電話番号」を記載します。
なお、「氏名の欄」には、カタカナでフリガナを書き、電話番号は(×××)に市外局番などの記載を忘れないようにしてください。

以上が、書類上部の記載方法になります。

次は、実際に下部の欄に必要事項を記入していきます。

下部の欄は、【上部】よりもややこしい情報の記載が必要となることも珍しくありません。

ですから、記載情報を十分に確認し、記載欄に関してもよく確認をしておくことが大切です。

では、次は【譲渡した資産に関する明細】の記載方法についてご説明致します。

【譲渡した資産に関する明細】の書き方

【譲渡した資産に関する明細】の部分には、譲渡した不動産の各種情報を記載していきます。

この欄を記載する際には、建物と土地の譲渡価額を分けて書くなど、場合によってはややこしくなってしまう箇所も存在します。

そのため、内容をきちんと整理した上で、各欄に記載をしていくことが大切です。

では、記載例を見ながら、【譲渡した資産に関する明細】の記載方法を見ていきます。

下記の各項目の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

なお、各画像は、サムネイルをクリックすることにより拡大することができます。

【譲渡した資産に関する明細】

この欄には、実際に具体的な譲渡損失に関する詳細を記載していきます。

記載をする内容に関しては、
「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」と
「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」
に大差はありませんので、どちらも同じような手順で作成を行うことができます。

ですから、下記は、住所以外同じ条件で、不動産を「買い換える場合」と「買い換えない場合」の両方のケースによる書類の記載方法を記載しております。

なお、下記の画像は基本的に、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が「上」、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が「下」
となっておりますので、必要なほうをクリックしてご覧ください。

では、順を追って、記載する情報を整理していきます。

上部右の「土地・借地権」
今回の例では、この欄には何も記載をしておりませんが、土地などを売却した際には、この欄に記載が必要となります。
ご自身が所有している土地を売却した場合は「土地」に、借地権を売却した場合には「借地権」を丸で囲みます。
土地・借地権の選択の記載例
「資産の所在地番」
この欄には、売買契約書に記載された物件の所在地を記載してください。
なお、建物と土地の住所が異なる場合には、画像のようにそれぞれ的確な住所を対応するほうの欄に記載します。
建物と土地の所在地が一緒の場合には、「土地・借地権」の欄に「同左」と記載しても問題ありません。
「資産の利用状況」「面積」
この欄には、売却した不動産の売却直前の利用状況を書きます。
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」や「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けるためには、居住用不動産を譲渡していることが条件ですので、多くは記載例のように「自己の居住用」などといった用途になるはずです。
なお、これらの記載が終わりましたら、今度はそれぞれ「建物」と「土地」の面積を、所定の欄に記載していきます。
マンションなどを売却した場合には、「建物」にご自身の専有部分の面積を記載し、「土地」には、記載例を参考にして「マンションの敷地全体の面積」とご自身の「敷地権の持分」を記載します。
なお、参考画像で記載を行っている土地面積の各詳細は以下のようになります。
マンションの敷地全体の面積
1,857.6m²
自身の敷地の持分
20m²
この場合、まず、マンションの敷地全体の面積である「1,857.6」を記入しその右横に、「×」を書き、下に「マンションの敷地全体の面積」、上に「ご自身の敷地権の持分」を分数のような形で記載するのが一般的です。
なお、記載例では、「マンションの敷地全体の面積」の桁数が異なっておりますが、これは、マンションの敷地全体の面積に「m²」以下の数値があるため、それを無くすために「cm²」に直し、持分の記載を行っているためです。
「1,857.6m²→185,760cm²」
「20m²→2,000cm²」
「譲渡先」
この欄には、不動産を譲渡した相手方の情報を記載します。
なお、建物と土地の譲渡先が同じ場合には、「土地・借地権」の欄に「同左」と記載をしても問題ありません。
「住所又は所在地」
この欄には、不動産を譲渡した相手の住所を記入します。
「氏名又は名称」
この欄には、不動産を譲渡した相手の氏名を記入します。
「譲渡契約締結日」
この欄には、不動産の譲渡契約を締結した契約年月日(売買契約書の契約年月日)を、「建物」と「土地」に分けて記載してください。
「譲渡契約締結日の前日における 住宅借入金等の金額及びその借入先」※
この欄は、「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」(不動産を買い換えない場合)のみ記載が必要となります。
ですから、「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」を作成していらっしゃる方は、次の説明にお進みください。
この欄には、不動産の譲渡契約締結日の前日における「住宅借入金等の残高(住宅ローンの残高)」とその「借入先名」を記載します。
なお、住宅借入金(住宅ローン)を複数の金融機関などから借り入れしている場合には、「借入先」の()の中には、それぞれの借入先を記載してください。
またその下の欄には、複数の金融機関の住宅借入金(住宅ローン)を合計した金額を記載してください。
「譲渡した年月日」
この欄には、不動産を譲渡した年月日を、「建物」と「土地」に分けて記載します。
なお、通常、譲渡した年月日とは、登記に必要な書類などを買主の方に交付し、「最終代金を受領した日」となりますのでご確認ください。
「資産を取得した時期 」
この欄には、譲渡した不動産を取得(購入)した年月日を記載します。
「譲渡価額」
この欄には、不動産を譲渡した際の「譲渡代金の総額」と「建物」と「土地」の譲渡価額をそれぞれ分けて記載します。
万が一、譲渡した不動産が共有不動産である場合には、ご自身の持分などの記載も必要となります。
この場合、欄に「(譲渡価額×持分)」と記載をし、更にそれを計算したご自身の持分に見合った金額を同じ欄に一緒に記載をします。
言葉だけでは分かり辛いという方は、下記の画像をご覧ください。
参考画像に記載をした情報に関しては、以下のようになります。
譲渡価額
100,000,000円
共有持分の割合
1/2(50%)
なお、スマートフォンなどでページを閲覧している方は、下記の画像が見辛い場合があります。
そういった場合には、お手数をお掛け致しますが、画像をクリックすることで拡大された画像を閲覧することができます。
なお、「譲渡価額」の「合計」の右の欄の「建物」と「土地・借地権」の欄にも、同様に譲渡価額の記載を行います。
その際には、参考画像のように「建物」の欄に、建物と土地の譲渡価額を合わせた金額を記載しても問題ありません(この場合、土地の欄は空白のままにしておき、参考画像のように建物と土地を合わせたことが分かる記載を行います)
なお、土地だけを売却した場合には、「土地・借地権」の欄に譲渡価額を記載してください。
「取得費」
この欄では、譲渡した不動産を取得した際の取得費の詳細を記載していきます。
取得費に計上ができる費用につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「取得費として計上できる費用」の項目をご覧ください。
また取得費が不明である場合には、「概算計算による取得費」(不動産の売却代金の5%相当額)を使用してください。
取得価額
この欄には、譲渡した不動産を取得した際の取得価額を記載します。
なお、その際の取得価額は、「建物」と「土地」に分けて記載をするのが原則です。
当時に建物と土地を一括で購入し、契約書などにも建物の価額が区分されて記載されていない場合には、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります【建物の取得価額の計算方法】の項目をご覧ください。
償却費相当額
「償却費相当額」は、その建物が業務用か非業務用かに応じて計算方法が変わります。
「業務用建物」の場合は、事業所得や不動産所得の計算上必要経費に算入される償却費の累積額により計算をするのが一般的です。
一方、「自己の居住用建物」などの「非業務用建物」の場合は、異なる計算が必要となります。
なお、詳しい償却費相当額の計算方法につきましては、お手数をお掛け致しますが、不動産を売却した時に売却益の計算に必要になる減価償却」の記事にあります「耐用年数と償却率を知る方法」と「建物の減価償却費の償却方法」の項目をご覧ください。
差引
建物などは、期間が経過することによりその価値が下がってしまうのが一般的です。
ですから、こういった時間の経過と共に価値が下がる資産の取得価額を計算する際には、その期間に応じた「償却費相当額」を「取得価額」から控除した金額を「取得費」として記載します(【2欄】又は【3欄】の「取得価額」から【3欄】又は【4欄】の「償却費相当額」を差し引いた金額)。
「譲渡に要した費用」
この欄には、譲渡した不動産を譲渡するために直接要した譲渡費用の詳細を記載していきます。
譲渡費用に計上ができる費用につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「譲渡費用として計上できる費用」の項目をご覧ください。
なお、「譲渡価額」の「合計」の右の欄の「建物」と「土地・借地権」の欄にも、譲渡価額の際と同様にそれぞれ譲渡価額の記載を行います。
その際には、参考画像のように「建物」の欄に、建物と土地の譲渡価額を合わせた金額を記載しても問題ありません(この場合、土地の欄は空白のままにしておき、参考画像のように建物と土地を合わせたことが分かる記載を行います)
なお、土地だけを売却した場合には、譲渡価額の欄と同様に、「土地・借地権」の欄に譲渡価額を記載してください。
「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額」
この欄には、不動産の譲渡に係る損失の金額を記載します。
「譲渡価額(【1欄】又は【2欄】)」から、「差引(【4欄】又は【5欄】)」と「譲渡に要した費用(【5欄】又は【6欄】)」を差し引いた金額を「△を付けて」記載してください。

以上が、【譲渡した資産に関する明細】の記載方法になります。

なお、次は【買い換えた資産に関する明細】を記載していくのですが、これは、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受けたい方のみが記入をすることになります。

ですから、この次の説明は、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受けたい方のみお進みください。

なお、「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」のほうの記載はこれで終わりです。

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」の適用をお考えの方は、
後の「確定申告書B第一表」の作成へお進みください。

なお、「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の完成した全体の画像をご覧になりたい方は、下記のリンクをクリックしてください。
特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》の全体画像

【買い換えた資産に関する明細】の書き方

この欄には、「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受けたい方のみが記載を行います。

大まかな記載の流れは先程の【譲渡した資産に関する明細】と同じです。

ですから、上記の記載方法と併せて下記の説明をご覧ください。

下記の各項目の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

「資産の所在地番」
この欄には、新たに購入した不動産の所在地を記載します。
購入した建物と土地の所在地が異なる場合には、それぞれの欄に各住所を記載します。
なお、建物と土地の所在地が同じ場合には、「建物」の欄に不動産の所在地を記載し、「土地・借地権」の欄に「同左」と記載しても問題ありません。
「資産の利用状況・利用目的」「面積」
この欄には、新たに買い換えた不動産の利用状況とその面積を記載します。
(特例の性質上、殆どの方の利用状況は「自己の居住用」などとなります)
なお、購入した不動産がマンションの場合には、参考画像のように記載をするのではなく、「1 譲渡した資産に関する明細」で記載をしたように面積を記載してください。
「買換資産の取得(予定)日」
この欄には、買い換えた不動産を「取得した日」又は「取得する予定の日」を記載します。
なお、万が一、建物と土地の取得(予定)日が異なる場合には、それぞれの欄に取得する(予定)日を記載してください。
居住の用に供した(供する見込)日
この欄には、購入した住宅に「住み始めた日」又は「住み始める予定の日」を記載してください。
「買換資産の取得( 予定 )価額」
この欄には、買い換えた不動産の購入価格を記載します。
「合計」の欄には、不動産を購入した際の「建物」と「土地・借地権」の購入価額の総額を、「建物」と「土地・借地権」の欄にはそれぞれの購入価額を記載します。
「買入れ先」
この欄には、買い換えた不動産を購入した際の買い入れ先に関する情報を記載します。
なお、建物と土地の買い入れ先が同じ場合には、「建物」の欄に買い入れ先の所在地を記載し、「土地・借地権」の欄に「同左」と記載しても問題ありません。
住所又は所在地
買い換えた不動産を購入した際の買い入れ先の所在地を記載します。
氏名又は名称
買い換えた不動産を購入した際の買い入れ先の氏名や名称(会社名や個人名など)を記載します。
「住宅の取得等に要した住宅借入金等の金額及びその借入先」
この欄には、新たに購入した不動産を取得する際に要した住宅借入金(住宅ローン)の金額とその借入先を記載します。

以上が、【買い換えた資産に関する明細】の記載方法になります。

これで、「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の記載方法の説明は終わりです。

なお、「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の完成した全体の画像をご覧になりたい方は、下記のリンクをクリックしてください。
居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》の全体画像

これら書類の作成が終わりましたら、今度は実際に確定申告書に情報の記載を行っていきます。

確定申告書を見ると、多くの記入欄があるため、記載がややこしそうに見えてしまうかもしれません。

しかし、不動産譲渡に関する確定申告は、記載が必要な項目さえ把握できていれば、それ程ややこしいものではありません。

そのため、順を追って必要な項目に情報を記載していけば、自然と作成を終えることが可能です。

そこで、次は、これら確定申告書の記載方法についてご説明致します。

まずは、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の「確定申告書B第一表」の記載方法についてです。

確定申告書B第一表の書き方

「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の作成が終わりましたら、今度は確定申告書の作成に移ります。

なお、確定申告書の作成順序は各自自由なのですが、やはり、作成しやすい順序などは存在します。

そのため、その手順に従って書く場合には、まず確定申告書B第一表の【上部】や【左上部(収入金額等・所得金額)】などの箇所を記載することになります。

更に、第一表に記載をする内容は、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
で相違はありません。

そのため、今回の参考画像は、1つだけとなっております。

なお、確定申告書B第一表の記載方法に関して下記の説明に不明な点がある方は、お手数をお掛け致しますが、
不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります「確定申告書B第一表の書き方
の項目と併せてご覧ください。

では、まずは確定申告書B第一表【上部】の記載方法についてご説明致します。

第一表【上部】の書き方

まず、第一表の中で記載を行う箇所は、【上部】などになります。

ここには、確定申告を行う方の各情報などを記載するため、それ程難しい情報を記入することはありません。

そのため、順を追って必要事項を記入していけば、比較的簡単に記載を終えることができます。

では、記載例を参考に、記載方法を見ていきます。

下記の各項目の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「確定申告書B第一表」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

【申告書B第一表の上部】

確定申告書B第一表の【上部】には、確定申告を行う方の各種情報を記載していきます。
まず、左上部の「   税務署長」の前には、確定申告を提出する税務署の名前を、その下には、確定申告書を提出する予定日を記載します。
上記の横にある「□□年分の~」の□□の部分には、「所得を得た年度」(参考画像は、平成27年度分の所得の確定申告を行う場合)を記載し、その横の「  申告書」の部分に「確定」と記載します。

次に、その下の欄に、所得を申告する方の「住所(事業所なども含む)、「氏名」、「性別」、「職業」、「屋号・雅号」、「世帯主の氏名」、「世帯主との続柄(申告者が世帯主であれば、本人と記入)」、「生年月日」、「電話番号(市外局番から)」を記入します。

それらの記載が終わりましたら、今度は住所を記入した欄の下にある「種類」の欄の中で、申告する所得の種類に該当するものを「〇」で囲みます。
今回は、不動産譲渡に関する所得の申告ですので、「分離」の部分を〇で囲みます。
(氏名の右横の欄には、申告書作成後に押印してください)

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合のであった場合の確定申告書B第一表の【上部】の記載方法になります。

【上部】の記載が終わりましたら、次も第一表の作成を続けていきます。

その際には、【左上部(収入金額等・所得金額)】の作成を行うのが一般的な順番です。

そのため、次は、確定申告書B第一表【左上部(収入金額等・所得金額)】の記載方法についてご説明致します。

第一表【左上部】の書き方

確定申告書B第一表の【左上部(収入金額等・所得金額)】には、実際に得た「収入金額」や「所得金額」などを記載していきます。

そのため、ご自身が得た収入や所得などに関する情報が記載された書類などを準備しておくと作業が楽になります。

なお、お手元に「源泉徴収票」などがある場合には、それを見ながら記載を行ってください。

「源泉徴収票」などをお持ちでない方は、各自でそれぞれの金額を確認した上で、記載を行ってください。

では、記載例を参考にして、記載方法を見ていきます。

下記の各項目の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「確定申告書B第一表」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

【申告書B第一表の左上部(収入金額等・所得金額)】

【左上部(収入金額等・所得金額)】では、実際に得た収入金額と所得金額を対応した欄に記載していきます。
なお、今回の例では、給与所得を得ているため、それを踏まえた上で記載を行っていきます。

今回の例では、ほぼ全ての情報を「源泉徴収票」から転記することができます。
転記する箇所につきましては、記載例の「源泉徴収票」と「確定申告書」の同じ緑色の番号部分同士となります。
今回の記載例で使用した源泉徴収票→札幌三郎さんの源泉徴収票

なお、給与所得が不明な場合には、
不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります
給与所得金額の計算方法の一覧
の項目をご覧ください。

「収入金額等」
この欄には、実際に得た収入金額を記載していきます。
記載例では、給与所得を得ているため、「給与(カの欄)」に記載を行います(源泉徴収票の(1)の金額)。
収入が給与所得以外である場合や、他にもある場合には、対応する欄にその収入を記載していきます(公的年金を得ているのであれば、「雑・公的年金(キの欄)」にその金額を記載)。
なお、各欄を見ていくと、「不動産(ウの欄)」と書かれたものがありますが、不動産譲渡に関する収入はこの欄に記載をしないでください。
「所得金額」
この欄には、実際に得た所得金額を記載していきます。
記載例の所得の種類は給与所得であるため、「給与(6の欄)」に記載を行います。
なお、給与所得以外に所得がある場合には、収入金額等の欄と同様に、対応する欄にそれぞれの所得を記載していってください(公的年金を得ているのであれば、「雑(7の欄))。
なお、こちらも「不動産(3の欄)」の欄には、不動産の譲渡所得を記載しないでください。
全ての所得金額の記入が終わりましたら、「合計(9の欄)」に、記入した全ての所得の合計金額を記載します。

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の確定申告書B第一表の【左上部(収入金額等・所得金額)】の記載方法になります。

なお、ここまで(第一表の【上部】と【左上部】)の記載が終わりましたら、残りの欄を記載する前に「確定申告書B第二表」を作成すると後の記載が行いやすくなります。
(第二表の記載方法→「確定申告書B第二表の書き方」)

もちろん、他の作成手順のほうが簡単に感じるという方は、ご自身が作成しやすい順番で作成を行っても問題ありません。

このまま第一表を完成させたいという方は、このまま次の【左下部(所得から差し引かれる金額)】の作成方法にお進みください。

第一表【左下部】の書き方

確定申告書B第一表の【左下部(所得から差し引かれる金額)】には、その名の通り、所得から差し引かれる金額を記載していきます。

これらの金額は、必要な税額を減らす上でとても重要です。

ですから、事前にそれらの金額を十分に確認し、的確に記載をすることが大切です。

なお、源泉徴収票などをお持ちの場合には、ここでも、多くの情報を転記することができます。

そのため、源泉徴収票などをお持ちの方は、各金額について確認をしながら記載をしていってください。

下記の各項目の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「確定申告書B第一表」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

今回の記載例で使用した源泉徴収票→札幌三郎さんの源泉徴収票

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

【申告書B第一表の左下部(所得から差し引かれる金額)】

源泉徴収票などをお持ちの場合には、その情報を【左下部(所得から差し引かれる金額)】の対応する欄に転記していきます。

転記をする欄につきましては、記載例の「確定申告書B第一表」と「源泉徴収票」の緑色の同じ番号同士の部分です。

なお、今回の例では、札幌三郎さんの合計所得が「1,000万円以下」となっております。

ですから、配偶者控除や扶養控除などを受けることが可能です。

そのため、記載例のように「配偶者(特別)控除(21~22の欄)」と「扶養控除(23の欄)」に対応する控除額を記載していきます。

今回受ける控除は、「配偶者控除」であり、その控除額は「38万円」です。
(「配偶者特別控除」の場合には、区分という欄に「1」と記入してください)

これらの記載が終わりましたら、今度は「扶養控除(23の欄)」に扶養控除の金額を記載していきます。

今回の例では、「年齢が19歳以上23歳未満」の方がいますので、控除額は1人「63万円」です。

札幌三郎さんには、この扶養親族が「2人」いらっしゃいますので、記載する金額は、「63万円×2」で「126万円」となります。

なお、配偶者控除や扶養控除の金額は、その条件などによって金額が変わってくるのが一般的です。

これら控除の金額につきましては、下記をご覧ください。

【各種控除に関する説明と金額】

「配偶者(特別)控除(21~23の欄)」
配偶者(特別)控除は、配偶者の方の合計所得金額によって、適用できるほうが変わります。
配偶者の方の合計所得金額が「38万円以下」
「配偶者控除」
配偶者の方の合計所得金額が「38万円を超え76万円未満」
「配偶者特別控除」
なお、詳しい配偶者(特別)控除の説明と、その金額につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産の売却を被扶養者の名義で行った場合の影響と損失」の記事にあります「税金の扶養を外れる所得金額」と「売却をする前の税金の控除額」の項目をご覧ください。
扶養控除
申告者の方に、控除対象扶養親族がいらっしゃる場合は、その親族の方の年齢などによって、一定の金額が控除されます。
なお、その際の条件と各控除額につきましては、下記の表をご覧ください。
(扶養控除額)
控除額
一般の控除対象扶養親族 38万円
特定扶養親族 63万円
老人扶養親族 同居老親等 58万円
同居老親等以外 48万円
「一般の控除対象扶養親族」
扶養親族の内、年齢が16歳以上の方のことです。
「特定扶養親族」
扶養親族の内、年齢が19歳以上23歳未満の方のことです。
「老人扶養親族」
扶養親族の内、年齢が70歳以上の方のことです。
「同居老親等」
老人扶養親族の内、ご自身や配偶者の直系尊属で、あなたや配偶者との同居を常としている方のことです。
基礎控除
基礎控除は、例え合計所得が「1,000万円」を超えていても受けることができます。
基礎控除の控除額は基本的に「38万円」です。
※上記の金額は、「平成28年度」時点の金額です。

確認が終わりましたら、それぞれの欄に対応する金額を記載し、「合計(25の欄)」に、全ての控除額を合計した金額を記載してください。

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の確定申告書B第一表の【左下部(所得から差し引かれる金額)】の記載方法になります。

【左下部(所得から差し引かれる金額)】部分の記載が終わりましたら、次は右部の記載を始める前に、
「確定申告書B第二表」(作成済みの方は必要ありません)と
「確定申告書B第三表」
を作成してから右部を書くと、後に記載が行いやすくなります。
(第二表の記載方法→「確定申告書B第二表の書き方」)
(第三表の記載方法→「確定申告書B第三表の書き方」)

続けて第一表を作成したいという方は、このまま下へお進みください。

では、ここからは「確定申告書B第一表」の【右半分(税金の計算・その他など)】の作成方法についてご説明致します。

第一表【右半分】の書き方

第一表の【右半分(税金の計算・その他など)】には、実際に「還付される税金」の金額などを記載していきます。

なお、不動産の譲渡損失と他の所得を通算した後の金額が、「黒字」である場合には、納付が必要な税額を記載することになります。

そのため、通算後の金額が「黒字」となる方は、税額の計算をする準備をしておいてください。

では、記載例を参考にして、記載方法を見ていきます。

下記の各項目の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

【申告書B第一表の右半分(税金の計算・その他など)】

「税金の計算」
この欄には、第三表などで記載をした「税額」、第二表で記載をした「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額」などを転記していきます。
まず、本来は、「上の26に対する税額(27の欄)」に、第三表で記載をした税額を記載していくのですが、今回は不動産の譲渡損失とその他の所得を通算した結果、その金額が赤字となっております。
そのため、納付が必要な税額は「0円」となりますので、「上の26に対する税額(27の欄)」には「0」と記載をします。
「上の26に対する税額(27の欄)」の記載が終わりましたら、今度は、その下の欄に移ります。
「28欄~37欄」までには、各種控除についての記載を行っていきます。
各控除を確認し、該当するものがある場合には、その金額を対応する欄に記載していってください。
「28欄~37欄」までに必要事項の記載が終わりましたら、今度はその下の「差引所得税額(38の欄)」に、「上の26に対する税額(27の欄)」に記載をした金額から「27欄~37欄」に記載をした金額を差し引いた金額を記載してください。
今回のように、不動産の譲渡損失を他の所得と通算し、赤字であった場合には、課税される所得がありませんので、「0」と記載します。
「差引所得税額(38の欄)」の記載が終わりましたら、その下の「災害減免額(39の欄)」に、「災害減免額」の金額を記載してください(ない場合には無記入)。
そうして、その下の「再差引所得税額(40の欄)」に、「差引所得税額(38の欄)」から「災害減免額(39の欄)」を差し引いた金額を記載します。
今回の例では、どちらにしても納付が必要な税額が「0円」ですので、「再差引所得税額(40の欄)」には「0」と記載します。
「再差引所得税額(40の欄)」の記載が終わりましたら、今度はその下の「復興特別所得税(41の欄)」に移ります。
この欄には、「再差引所得税額(40の欄)」に記載をした金額に「2.1%」を掛けた金額を記載します。
今回の例では、税額が「0円」ですので、「復興特別所得税(41の欄)」には「0」と記載をします。
「復興特別所得税(41の欄)」の記載が終わりましたら、今度は「所得税及び復興特別所得税の額(42の欄)」に、「再差引所得税額(40の欄)」と「復興特別所得税額(41の欄)」を合計した金額を記載してください。
今回の例では、いずれの金額も「0円」ですので、「所得税及び復興特別所得税の額(42の欄)」には「0」と記載をします。
「所得税及び復興特別所得税の額(42の欄)」の記載が終わりましたら、今度は「所得税及び復復興特別所得税の源泉徴収税額(44の欄)」を記載します。
この欄に記載をする金額は、第二表の【〇 所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)】の「所得税及び復興特別所得税の 源泉徴収税額の合計額(44の欄)」に記載をした金額です。
今回の例では、「901000」を記載します。
「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額(44の欄)」の記載が終わりましたら、その下の「所得税及び復復興特別所得税の申告納税額(45の欄)」に移ります。
この欄には、「所得税及び復興特別所得税の額(42の欄)」から、「外国税額控除(43の欄)」と「所得税及び復復興特別所得税の源泉徴収税額(44の欄)」の金額を差し引いた金額を記載します。
ただし、それは通算後の金額が「黒字」であった場合の話です。
不動産の譲渡損失とその他の所得を通算した際の金額が「赤字」である場合には、記載例のように「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額(44の欄)」に記載をした金額を、そのまま「△を付けて」記載します。
今回の例では、「△901000」となります。
ここまで記載ができましたら、後は「還付される税金(48の欄)」に、先程記載をした「901000」を記載をするだけです。
(税金の還付を受ける際には、欄下部の(45-46)は関係ありませんので、そのまま「901000」を記載します)
これが、実際に還付される税金の金額となります。
【通算後の金額が黒字になる場合】
不動産の譲渡損失とその他の所得を通算した結果、その金額が「黒字」となる場合には、上記とは異なる記載が必要となります。
そのため、上記と同じ記載方法で作成をしてしまうと、間違った情報を申告してしまうことになります。
そのため、通算後の金額が「黒字」となる方は、こちらの記載方法を見ながら、確定申告書の作成を行ってください。
なお、記載例に記載をした各種情報は、下記のようになります。
【記載例の基本情報】

第三表【86欄】の金額
1,615,500円
28欄~37欄までに記載をする控除
なし
災害減免額
なし
所得税及び復興特別所得税の源泉徴税額(第二表44欄の金額)
901,000円
まず、「上の26に対する税額(27の欄)」の部分に、第三表【86欄】の金額である「1615500」を記載します。
その下の「28欄~37欄」には、記載をする控除がありませんので、無記入のままにしておきます。
「差引所得税額(38の欄)」には、「上の26に対する税額(27の欄)」から、「28欄~37欄」までの金額を順次差し引いた金額を記載するのですが、今回は各種控除がありません。
ですから、「差引所得税額(38の欄)」には、そのまま「上の26に対する税額(27の欄)」の金額を記載します。
更に、今回は「災害面減額」もありませんので、「災害面減額(39の欄)」も無記入のままにしておきます。
災害減免額がないため、その下の「再差引所得税額(40の欄)」には、「差引所得税額(38の欄)」の金額をそのまま記載します。
(「災害減免額(39の欄)」を記載している場合には、「差引所得税額(38の欄)」から「災害面減額(39の欄)」を差し引いた金額を記載してください)
「再差引所得税額(40の欄)」を記載しましたら、その金額に「2.1%」を掛けた金額(0円未満の値が出た場合は切り捨て)を、下の「復興特別所得税額(41の欄)」に記載します。
今回は、「1615500 × 2.1%」ですので、「33925」と記載をします。
「復興特別所得税額(41の欄)」の記載が終わりましたら、「再差引所得税額(40の欄)」の金額と、その金額を合計します。
そうして、合計した金額を「所得税及び復興特別所得税の額(42の欄)」に記載します。
今回は、「1615500 + 33925」ですので、記載する金額は「1649425」となります。
記載が終わりましたら、「外国税額控除」がある方は、「外国税額控除(43の欄)」に、その金額を記載します。
(今回は、「外国税額控除」はありませんので、無記入となっております)
「外国税額控除(43の欄)」の記載が終わりましたら、今度は「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額(44の欄)」に、「第二表【44欄】」で記載をした金額を転記していきます。
今回の例では、記載をするのは「901000」となります。
「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額(44の欄)」の記載が終わりましたら、「所得税及び復興特別所得税の額(42の欄)」から、「外国税額控除(43の欄)」と「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額(44の欄)」を差し引いた金額を「所得税及び復興特別所得税の申告納税額(45の欄)」に記載します。
今回は、「1615500 – 0 – 901000」ですので、「748425」を記載します。
ここまで記載が終わりましたら、後は、「所得税及び復興特別所得税の申告納税額(45の欄)」の金額を、「納める税金(47の欄)」に記載するだけです。

なお、第一表の「その他」や「延納の届出」部分の記載方法につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります「「その他・延納の届出」の記載方法」の部分をご覧ください。

また税金の還付を受ける際には、それを受け取る口座情報の記載も必要になります。

その際に使用することのできる口座は、「銀行などの預金口座」と「ゆうちょ銀行の貯金口座」です。

これらの口座情報は、第一表の【右半分】の下部で記載を行います。

下記は、それぞれの口座情報を記載する際の記載方法です。

【還付される税金の受取場所の記載】

銀行などの預金口座へ振込みを希望する場合
銀行などの預金口座の書き方
銀行などの預金口座へ振り込みを希望する場合には、書面の記載欄に従って、必要情報を記載していきます。
左上部の欄に、銀行名などを記入し、その右側の「銀行・金庫・組合・農協・漁協」の中から、対応するものを「〇」で囲みます。
そうして、右部にある欄に銀行の「本店・支店・出張所・本所・支所」のいずれかを記入し、対応するものを「〇」で囲みます。
また忘れず「預金種類」の欄の該当する預金種類に「〇」を付けてください。
(総合口座の場合には、「普通」に「〇」を付けてください)
最下部にある「口座番号欄」には、口座番号のみを左詰め(7桁以内)で書いてください。
なお、「郵便局名等」の欄は記入不要です。
ゆうちょ銀行の貯金口座へ振込みを希望する場合
ゆうちょ銀行などの貯金口座の書き方
ゆうちょ銀行の預金口座へ振り込みを希望する場合には、「口座番号・記号番号」以外の欄への記入は必要ありません。
ただ、ゆうちょ銀行の各店舗又は郵便局窓口で、税金の還付を受け取りたい場合には、「郵便局名等」の欄に、受取りを希望する「郵便局名」などを書いてください。
「口座番号・記号番号」の欄には、「記号部分(5桁)」を書き、それから「番号部分(2~8桁)」を書きます。
その際には、貯金総合通帳の記号番号のみを左詰めで書いてください。
(他の金融機関との振り込み用の「店名(店番)」、「口座番号」は書かないでください)
なお、記号部分と番号部分の間に1桁の数字(通帳再発行時に表示される「-2」などの枝番)がある場合には、その数字の記入は不要です。

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の確定申告書B第一表の【右半分(税金の計算・その他など)】の記載方法になります。

これで、やっと「確定申告書B第一表」を作成することができました。

「確定申告書B第一表」の完成した全体の画像をご覧になりたい方は、下記のリンクをクリックしてください。
確定申告書B第一表の全体画像

なお、まだ「第二表」などを作成していないという方は、下記の項目に進み、第二表の作成を行ってください。

既に作成を終えているという方は、まだご自身が作成をしていない部分の記載方法をご覧ください。

では、次の項目では、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の「確定申告書B第二表」の記載方法についてご説明致します。

確定申告書B第二表の記載方法

確定申告書B第二表では、様々な金額の記載を行っていきます。

なお、第二表を見てみると、第一表の書面と記載欄などが大きく異なっております。

そのため、記載に関して難しく感じてしまいがちですが、実際はそうとも限りません。

やはり、順を追って各欄の記入をしていけば、個人でも十分に作成を行うことができます。

第二表には、主に「所得の内訳」や「所得から差し引かれる金額に関する事項」、「配偶者(特別)控除・扶養控除」などに関する事項を記載します。

扶養控除などに関しても、それらの金額を事前に調べておけば、記載が難航してしまうことは少なくなります。

そのため、この項目では、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の「確定申告書B第二表」の記載方法についてご説明致します。

確定申告書B第二表の書き方

不動産の譲渡に関する確定申告を行うためには、この確定申告書B第二表の作成も必要になります。

なお、第二表も、第一表と同様に「源泉徴収票」などから転記をできる箇所が数多く存在します。

そのため、今回はそれを想定した上で、各説明を行っていきます。

なお、下記の説明でよく記載方法が分からないという方は、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります「確定申告書B第二表の書き方」の項目をご覧ください。

では、順を追って、申告書第二表の記載方法を見ていきます。

なお、第二表に記載をする内容は、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
で相違はありません。

そのため、今回の記載例の画像も1つだけとなっております。

また以下の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「譲渡損失の金額の明細書」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

今回の記載例に用いた源泉徴収票をご覧になりたい方は、下記のリンクからご覧ください。
札幌三郎さんの源泉徴収票

【確定申告書B第二表】

【左最上部】
第二表の左最上部には、「申告する所得を得た年度」や、「申告者の方の住所・氏名」などを記載します。
【○ 所得の内訳(所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額)】
この欄には、「所得の種類」、「種目・所得の生ずる場所又は 給与などの支払者の氏名・名称(源泉徴収票の(8))」、「収入金額(源泉徴収票の(1))」、「給与などの支払者の氏名・名称収入金額所得税及び復興特別所得税源泉徴収税額(源泉徴収票の(7))」などの金額を(源泉徴収票から)転記していきます。
記載例は、給与所得がある場合の例ですが、その他にも所得がある場合には、それらの記載も一緒に行ってください。
全ての所得の記載が終わりましたら、下部の欄の「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額の合計額(44の欄)」に、「所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額」の欄に記載をした金額の合計を記載します(「収入金額」の欄の金額の合計は記載をする必要はありません)。
【○ 所得から差し引かれる金額に関する事項】
この欄には、「社会保険料控除(12の欄)」、「生命保険料控除(14の欄)」、「地震保険料控除(15の欄)」、「21~23配偶者(特別)控除・扶養控除」などの金額を記載していきます。
なお、これらは、特に違いがない限り、源泉徴収票の情報を転記してください。
その際には「社会保険料控除(12の欄)」の「社会保険の種類」の欄に「源泉徴収票のとおり」と記載し、横の「支払保険料」には「源泉徴収票の(3)」の金額を記載します。
また「生命保険料控除(14の欄)」、「地震保険料控除(15の欄)」も同様に「源泉徴収票のとおり」と記載をしてください。
なお、「21~23配偶者(特別)控除・扶養控除」の欄に関しましては、下記で詳しくご説明致します。
【21~23配偶者(特別)控除・扶養控除】
この欄には、「配偶者(特別)控除」や「扶養控除」がある場合に、その金額を記載します。
なお、これらの控除は、「申告者の方の合計所得金額が1,000万円を超えている」と適用することはできませんのでご注意ください。
今回の例である「札幌三郎さん」は、合計所得が1,000万円以下ですので、「配偶者(特別)控除」と「扶養控除」を受けることができます。
ですから、「21~23配偶者(特別)控除・扶養控除」の欄に、必要事項を記載していきます。
まず、「配偶者の氏名」の欄に配偶者の方の氏名を記載し、その横の「生年月日」に配偶者の方の生年月日を記載します(明(治)・大(正)・昭(和)・平(成)の中で、対応するものを〇で囲んでください)。
そうして、その横にある「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の対応するほうの□にチェックをしてください。
次に、その下の欄の「控除対象扶養親族の氏名」に、控除の対象となっている親族の方の氏名を記入し、その横の「続柄」に申告者の方との続柄を書きます。
それらが終わりましたら、今度は「生年月日」に控除の対象となっている親族の方の生年月日を記載し、その隣の「控除額」に控除となる金額を記載します。
なお、その他の控除については、お手数をお掛け致しますが、第一表の【左下部(所得から差し引かれる金額)】の欄をご覧ください。
【○ 住民税・事業税に関する事項】
給与所得者が給与所得及び公的年金等に係る所得以外の所得に対する住民税を、給与から差し引きたい場合には、この欄の「給与から差引き」の□に○を記入しておく必要があります。
なお、住民税を給与から差し引かないで、別に納付したい場合には、「自分で納付」の□に○を記入してください。

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の「確定申告書B第二表」の記載方法になります。

なお、第一表【左上部(収入金額等・所得金額)】を記載し、そのまま第二表の作成を行った方は、ここで第一表の【左下部(所得から差し引かれる金額)】の作成に戻ってください。
(第一表の【左下部(所得から差し引かれる金額)】の書き方に戻る)

第一表を全て作成し、第二表を作成したという方は、このまま「確定申告書B第三表(分離課税用)」の作成方法へお進みください。

では、次の項目では、不動産に譲渡損失があった場合の「確定申告書B第三表」の記載方法についてご説明致します。

第三表(分離課税用)の書き方

確定申告書B第三表(分離課税用)では、実際に得た所得の合計やそれに係る税額の計算などを行っていきます。

今回は、不動産の譲渡価額が損失となった場合の確定申告であるため、通常時とは少々異なる記載が必要となります。

ですから、記載が必要な情報などを十分に確認しながら作成を行うことが必要です。

やはり、この第三表(分離課税用)に間違った数値を記入してしまうと、様々な面で不具合が出てきてしまいます。

そうならないためにも、改めて各欄の金額なども確認をすることが大切です。

この項目では、こういった不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の「確定申告書B第三表(分離課税用)」の記載方法について記載をしていきます。

なお、第三表(分離課税用)に記載をする内容は、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
で少々異なる箇所が存在します。

そのため、今回の記載例の画像は2つとなっております。

また第三表(分離課税用)では、不動産の譲渡損失と他の所得を通算した金額が
「赤字」であるのか
「黒字」であるのか
でも、記載方法が異なります。

ですから、ご自身の状況に合っているほうの記載方法を確認するようにしてください。

では、まずは、確定申告書B第三表(分離課税用)【上部】の記載方法についてご説明致します。

第三表【上部】の書き方

まず、確定申告書B第三表(分離課税用)の中で記載を行う箇所は、【上部】などになります。

この欄には、第一表の時と同様に、確定申告を行う方の各情報などを記載していきます。

そのため、この欄では、それ程難しい情報を記入することはありません。

ただ、第一表と異なるのは、「特例適用条文」などを記載する欄があるという点です。

今回の例では、それぞれ不動産の譲渡損失に関する特例を適用します。

ですから、それらに対応した「特例適用条文」の記載が必要です。

なお、それぞれの「特例適用条文」の記載につきましては、下記の記載方法をご覧ください。

では、記載例を参考に、記載方法を見ていきます。

また以下の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「確定申告書B第三表(分離課税用)」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

各画像は、サムネイルをクリックすることにより拡大することができます。

【申告書B第三表(分離課税用)の上部】

この欄には、第一表の際と同様に、「申告する所得を得た年度」と、「申告者の方の情報」などを記載していきます。
そのため、「平成□□年分の~」の部分に申告をする所得を得た年度を記載し、その横の「  申告書(分離課税用)」の空白部分に「確定」と記載します。

記載が終わりましたら、今度は第一表にはなかった右部の「特例適用条文」の部分を記載していきます。
特例適用条文は、適用する特例で記載内容が変わってきますので、ご自身が受けたいものを調べておくことが必要です。

今回の例では、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受ける予定ですので、これらに対応した特例適用条文を確定申告書に記載します。

それぞれの特例適用条文は、下記のようになります。

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
措法41条の5
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
措法41条の5の2

なお、他の「特例適用条文」につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります【特例適用条文の一例】の項目をご覧ください。

特例適用条文が分かりましたら、今度は第三表の既定の欄にその条文を記載していきます。
まず、第三表内の「所法・借法・震法」の中で、該当するものを〇で囲みます(今回は、どちらの特例も「借法」です)。

そうして、記載例を参考に、特例適用条文を記載していきます。
なお、今回の特例適用条文は、「措法41条の5」と「措法41条の5の2」なのですが、記載をする際にはいずれも「項」の欄に「1」を記載してください。

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の確定申告書B第三表(分離課税用)の【上部】の記載方法になります。

第三表【上部】の記載が終わりましたら、このまま続けて、
【左部( 収入金額・所得金額・税金の計算)】と
【右中部(○ 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項)】
などの箇所の作成を行います。

なお、これらの箇所は、通算後の金額が「赤字」なのか「黒字」なのかで記載方法が異なります。

ですから、ご自身の状況によって、記載する内容を間違えないようにしてください。

通算後の金額が「黒字」である場合には、通常の不動産譲渡時の確定申告の手順と併せてご覧になると、更に分かりやすいかもしれません。

通常の不動産譲渡時の確定申告書の記載方法につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります「第三表(分離課税用)の書き方」の項目をご覧ください。

では、次は、確定申告書B第三表(分離課税用)
【左部( 収入金額・所得金額・税金の計算)】と
【右中部(○ 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項)】
の記載方法についてご説明致します。

第三表【左部】と【右中部】の書き方

既に記載をした通り、不動産の譲渡所得は「分離課税」となります。

第一表の「収入金額等」や「所得金額」などに記載をした金額は、分離課税とならない所得の情報です。

そのため、分離課税となる所得は、この確定申告書B第三表(分離課税用)に記載をする必要があります。

ですから、確定申告書B第三表(分離課税用)の
【左部( 収入金額・所得金額・税金の計算)】と
【右中部(○ 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項)】には、
不動産譲渡に関する「収入金額」、「所得金額」、「税金の計算」、「各種情報」
などを記載していきます。

更に、この第三表では、実際に納付が必要な税額の計算なども行います。

そのため、納税が必要である方は、情報の記載と共に、税額の計算も行ってください。

またこれらの欄を記載する際には、多くの箇所を「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」から転記することができます。
((特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》の書き方を見る)

ですから、第三表(分離課税用)を記載する際には、作成した「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」などを確認しながら記載を行ってください。

では、記載例を参考に、記載方法を見ていきます。

まずは、【左部(収入金額・所得金額・税金の計算)】の説明です。

以下の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「確定申告書B第三表(分離課税用)」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

各画像は、サムネイルをクリックすることにより拡大することができます。

【左部(収入金額・所得金額・税金の計算)】

「収入金額」
この欄には、不動産譲渡の際に得ることができた「譲渡価額」を記載します。
その際には、「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【譲渡価額(【1欄】又は【2欄】)】の金額を転記してください。
なお、譲渡した不動産の所有年数や条件などによって、記載をする欄が異なりますので、詳しく知りたい方は、お手数をお掛け致しますが、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります【不動産の所有期間・条件別の記載場所】の項目をご覧ください。
「所得金額」
この欄には、本来、不動産譲渡によって得ることができた所得を記入するのですが、今回は利益が出ていません(記入する欄に関しては【収入金額】に記載をした場合と同様に、「不動産の所有期間・条件」に対応する欄に記載してください)。
ですから、この欄には、譲渡の際に出た損失金額などを記載していきます。
なお、今回の例では、申告書第一表の【所得金額】の「事業(営業等)(1の欄)」~「雑(7の欄)」までの合計が「黒字」です。
こういった場合には、対応する欄に、不動産を譲渡した際の「譲渡損失の金額」をそのまま記載します。
なお、その際には、金額の先頭に「△」を付けて記載をしてください
今回の例では、「長期譲渡・一般分(61の欄)」に、不動産の譲渡損失額である「△15359050」を記載します。
(「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額(【6欄】又は【7欄】)」の金額です)

なお、上記以外(第一表の【所得金額】の「事業(営業等)(1の欄)」~「雑(7の欄)」までの金額が赤字の場合など)の場合には、記載手順が異なる可能性がありますので、税務署の指示に従い記載を行ってください。

「税金の計算」
この欄には、本来、課税される所得の金額を記載していくのですが、今回は他の所得と通算しても所得金額が赤字ですので、課税される所得はありません。
ですから、「総合課税の合計額(9の欄)」以外の欄への記載は必要ありません(万が一、通算後の金額が黒字になった場合には、同項目の最後の記述をご覧ください)。
なお、今回のように損失と他の所得を通算した結果、「赤字」となってしまう場合には、「総合課税の合計額(9の欄)」に、第一表の「合計(9の欄)」とは異なる金額を記載することになります。
(記載をする金額は、他の所得と不動産の譲渡損失を通算した後の金額となります)
なお、各記載例で記載をする金額に関しては、下記をご覧ください。
「住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受ける場合
今回の例では、各所得から「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」の【3欄】の金額を差し引きます。
所得は給与所得の「9,700,000円」、【3欄】の金額は「15,359,050円」ですので、計算をすると以下のようになります。
9,700,000円(給与所得) – 15,359,050円(3欄の金額) = △5,659,050円

今回は、他の所得と譲渡損失を通算した金額が赤字ですので、通算後のそのままの金額に「△」を書いて記載をします。

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受ける場合
今回の例では、各所得から「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」の【4欄】の金額を差し引きます。
所得は給与所得の「9,700,000円」、【4欄】の金額は「11,000,000円」ですので、計算をすると以下のようになります。
9,700,000円(給与所得) – 11,000,000円(4欄の金額) = △1,300,000円

今回は、他の所得と譲渡損失を通算した金額が赤字ですので、通算後のそのままの金額に「△」を書いて記載をします。

【通算後の金額が黒字になる場合】
万が一、「不動産の譲渡損失の金額」と「他の所得」を通算した際に、その金額が「黒字」となる場合には、上記以外の欄にも情報の記載が必要となります。
この場合、納税が必要となる所得が存在するため、その分に対しての税額を計算しなくてはいけません。
では、実際に下記の条件を例に、確定申告書の作成をしていきます。
【例】

「不動産の譲渡価額」
25,000,000円(長期譲渡所得・一般分)
「不動産の譲渡損失の金額」
△300,000円
その他の所得
13,000,000円(給与所得)
所得から差し引かれる金額
3,150,000円
「収入金額」
この欄は、不動産の譲渡損失と他の所得を通算した後の金額が、「赤字」であっても「黒字」であっても、記載内容・記載をする欄に変わりはありません。
「所得金額」
今回、不動産の譲渡損失(△300,000円)とその他の所得(13,000,000円)を通算すると、その金額は「黒字」となります。
こういった場合には、譲渡損失と他の所得を通算する前の「そのままの損失額(△300,000円)」に「△を付けた状態」で金額を記載します。
(金額を記載する欄は、赤字の場合と同様です)
「税金の計算」
今回は、不動産の譲渡損失とその他の所得を通算した後の金額が「黒字」となりますので、その分の税金の支払いが必要となります。
(13,000,000円(給与所得)-△300,000円(譲渡損失)=12,700,000円)
ですから、不動産の譲渡損失とその他の所得を通算した後の金額を「総合課税の合計額(9の欄)」に記載してください。
「総合課税の合計額(9の欄)」の記載が終わりましたら、その下の欄の「所得から差し引かれる金額(25の欄)」の記載に移ります。
課税される所得がない状態では、この欄への記載は必要ありませんでしたが、今回は課税される所得があるため、この欄への記載が必要となります。
この欄に記載をした金額は、「総合課税の合計額(9の欄)」から、その金額を差し引くことができます。
記載をする金額は、第一表の「合計(25の欄)」に記載をした金額となりますので、その金額を転記してください。
「所得から差し引かれる金額(25の欄)」の記載が終わりましたら、今度は下の「課税される所得金額」に移ります。
まず、先程記載をした「総合課税の合計額(9の欄)」の金額から、「所得から差し引かれる金額(25の欄)」の金額を差し引きます。
なお、計算後の金額に「千円未満」の値がある場合には、その金額を切り捨てます。
12,700,000円(9欄)-3,150,000円(25欄)=9,550,000円
この金額が、「課税される所得金額」となります。
課税される所得金額が分かりましたら、「課税される所得金額」の中の対応する欄に、その金額を記載していきます。

今回の例では、「総合課税の合計額(9の欄)」に記載をした所得の税額を計算しましたので、「9 対応分(70の欄)」に、計算した税額(「1190000」)を記載します。

次は、【右中部(○ 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項)】の記載に移ります。

【右中部(○ 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項)】

この欄には、譲渡した不動産に関する「区分」、「所得の生ずる場所」、「必要経費」、「差引金額(収入金額-必要経費)」などを記載していきます。
その際には、殆どの情報を「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」から転記することができます。

まず、「区分」の欄には、不動産の区分(所得金額などで記載をしたものと同じ)を記載してください(今回の事例では、どちらも「長期・一般」です)。
その他の欄は、「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の対応する欄から、情報を転記してください。

なお、転記をする欄とその内容につきましては下記のようになります。

「所得の生ずる場所」
「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【資産の所在地番(建物)】の欄から転記
「必要経費」
「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【差引(4欄又は5欄)】と【譲渡に要した費用(5欄又は6欄)】の金額を合計した金額を記載
「差引金額(収入金額-必要経費)」
「(特定)居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【居住用財産の譲渡損失の金額(6欄又は7欄)】を転記

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合の確定申告書B第三表(分離課税用)の
【左部(収入金額・所得金額・税金の計算)】と
【右中部(○ 分離課税の短期・長期譲渡所得に関する事項)】
の記載方法になります。

不動産の譲渡損失とその他の所得を通算した後の金額が赤字となる場合には、これで第三表の記載は終わりです。

「確定申告書B第三表(分離課税用)」の完成した全体の画像をご覧になりたい方は、下記のリンクをクリックしてください。
不動産を買い換える場合の確定申告書B第三表の全体画像
不動産を買い換えない場合の確定申告書B第三表の全体画像

一方、上記の【左部( 収入金額・所得金額・税金の計算)】で通算後の「黒字」になる場合には、上記に加えて【右上部(税金の計算など)】の記載も必要となります。

そのため、次は、確定申告書B第三表(分離課税用)の【右上部(税金の計算など)】の記載方法についてご説明致しますので、必要な方のみご覧ください。

第三表【右上部】の書き方

確定申告書B第三表(分離課税用)の【右上部(税金の計算など)】には、【左下部】で記載をした金額の税額を記載していきます。

そのため、税金の支払いが必要ない方は、この欄への記載は必要ありませんので、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」又は
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
の記載方法へとお進みください。

税金の計算が必要であるという方は、このまま下記の説明へお進みください。

では、記載例を参考に、記載方法を見ていきます。

以下の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「確定申告書B第三表(分離課税用)」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

【右上部(税金の計算など)】

この欄では、実際に納付が必要な税額の計算を行っていきます。
なお、その際には所得金額に掛ける税率の割合について注意が必要です。

本来、不動産の譲渡所得に対する税金を計算する際には、不動産譲渡に係る所得税と住民税の税率を使用して税額を計算するのが一般的です。
しかし、今回のように不動産を譲渡し売却損となり、他の所得と損益通算をした場合には、不動産譲渡時の税率とは異なる税率を使用する必要があります。

というのも、今回は不動産の譲渡損失と他の所得を通算した金額に課税がされるため、その所得は不動産の譲渡所得ではないという位置づけになります。
そのため、通算した所得に応じて、掛ける税率を変えていく必要があります。
今回の例では、給与所得と損失を通算しておりますので、通常の所得税の税率を使用して、税額を計算します。

なお、「総合課税の所得金額に対する税額」を計算する際の所得税の税率につきましては、お手数をお掛け致しますが、
不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります
【総合課税の所得金額に対する税額の計算方法】の項目をご覧ください。
今回は、総合課税の所得金額が「9,550,000円」ですので、税率は「33%(0.33)」、控除額は「1,536,000円」です。

これらをもとに、納付が必要な税額を計算してみます。

【税額の計算例】
1,190,000円 × 0.05(5%) = 59,500円

よって、今回は「59,500円」の税金の納付が必要ということになります。

計算が終わりましたら、その税額を右上部「税金の計算」の対応する欄に記載していきます。
今回は、「9 対応分(70の欄)」に記載をした金額の税額を計算しましたので、計算した税額は「70 対応分(78の欄)に記載をします。

なお、他にも計算をした税額がある場合には、同様に対応する欄にその金額を記載していってください。
全ての税額の記載が終わりましたら、「78から85までの合計(86の欄)」に、「78欄~85欄」までに記載をした税額の合計額を記載します。

なお、「78から85までの合計(86の欄)」に記載をした金額は、申告書B第一表の「上の26に対する税額(27の欄)」に転記をします。

以上が、不動産を売却して譲渡損失が算出される場合(通算後の金額が「黒字」になる場合)の確定申告書B第三表(分離課税用)の【右上部(税金の計算など)】の記載方法になります。

これで、「確定申告書B第三表(分離課税用)」の記載は終わりです。

ここまでくれば、確定申告書の完成は目の前です。

なお、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」や
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受ける際には、この次にもあと一枚書類を作成する必要があります。

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受ける場合には、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」の作成が、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」を受ける場合には、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
の作成が必要になります。

次の項目では、これらの書類の作成について記載を行っていきます。

繰越控除の対象となる金額の計算書の書き方

この項目では、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
の書き方について記載を行っていきます。

なお、これらの書類は、多くの箇所を他の書類から転記することができます。

ですから、作成をする際には、他の書類を確認しながら記載を行っていってください。

なお、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
は、大まかな記載の流れは一緒なのですが、少々細部の記載内容が異なります。

そのため、今回は分かりやすいように、それぞれの書類を分けて記載方法をご説明致します。

まずは、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」
の記載方法についてです。

不動産を買い換える場合の記載

不動産を買い換える予定で不動産を売却し、その売却益が損失であった場合には、
「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受ける必要があるということは既に書きました。

「居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受けるためには、
「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」と
「確定申告書第一表~第三表(分離課税用)」
以外にも作成が必要な書類があります。

それが、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」
です。

この書類に記載をした金額が、実際に来年へ繰り越される損失金額となりますので、慎重に記載を行うことが大切です。

なお、所定の欄で通算後の金額が黒字となる場合には、来年へ繰り越される損失はありませんので、記載方法に従って欄に「0」と記載をしてください。

では、記載例を参考に、記載方法を見ていきます。

以下の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

なお、下記の説明内の「少ないほうの金額」というのは、赤字が大きいほうという意味ではなく、金額を「普通に比べて少ないほう」という意味ですのでご注意ください。

【居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】】

【上部】
書類上部は、他の書類と同様に、確定申告を行う方の基本情報などを記入していきます。
上部の(平成__年分)には、申告を行う所得を得た年度を記載します。
その下の欄には、申告者の方の「住所」と「氏名」とそのフリガナをカタカナで記載してください。
【1欄】
この欄には、「特例の計算の基礎となる居住用財産の譲渡損失の金額」を記載します。
なお、その際には書類に記載がされている説明通りに、「居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【居住用財産の譲渡損失の金額(6欄)】に記載をした金額を書いてください。
【2欄】
この欄には、「分離課税の対象となる土地建物等の譲渡所得の金額の合計額」を記載します。
【1欄】の金額以外にも、土地・建物などの譲渡所得がある場合には、その金額と【1欄】の金額を通算(【1欄】の赤字金額を、得た譲渡所得から差し引く)した金額を記載してください(通算後の金額が黒字の場合は差し引き後の金額ではなく「0」と書いてください)
今回は、【1欄】以外に不動産の譲渡所得はありませんので、【1欄】と同じ金額を記載します。
【3欄】
この欄には、「損益通算の特例の対象となる居住用財産の譲渡損失の金額(特定損失額)」を記載します。
【1欄】と【2欄】に記入をした金額の内、いずれか少ないほうの金額を書いてください。
【記載例】
【1欄】が「15,000,000円」、【2欄】が「13,000,000円」だった場合には、【2欄】の「13,000,000円」を記入
今回の例では、【1欄】と【2欄】の金額が同じですので、そのまま同じ金額を記載します。
【4欄】
この欄には、「本年分の純損失の金額」を記載します。
書類を見てみると「上記【3欄(※)】、第一表【9欄】及び申告書第三表【68欄】・【69欄】の金額の合計額又は申告書第四表【71欄】の金額を書いてください」とありますが、今回は「上記【3欄(※)】」の金額を記載する必要があります。
なお、「特別控除前の総合譲渡所得の黒字の金額又は一時所得の黒字の金額(特別控除後、2分の1前)がある場合には、「上記【3欄】の金額」から、その黒字の金額を差し引いた金額を記載してください。
【例】
今回の例では、黒字の「給与所得」があるため、その金額を【3欄】の金額と通算した上で記載を行います。
9,700,000円(給与所得) + △15,359,050円(3欄の金額) = △5,659,050円
この金額を、「△を付けずに」【4欄】に記載してください。
なお、計算した結果、不動産の譲渡損失を他の所得から引ききれる(黒字になる)場合には、実際の差引金額ではなく、「0」と記載をしてください。
【5欄】
この欄には、本年分が青色申告の方のみ「不動産所得の金額、事業所得の金額 (※2)、山林所得の金額又は総 合譲渡所得の金額 (※3)のうち赤字であるものの合計額」を記載します。
本年度が青色申告でない方は、この欄への記入は不要です。
記載が必要な場合には、それぞれ赤字の所得のみ、その金額を合計した金額を記載してください。
【6欄】
この欄には、本年分が白色申告の方のみ「変動所得の損失額及び被災事業用資産の損失額の合計額」を記載します。
本年度が白色申告でない方は、この欄への記入は不要です。
記載が必要な場合には、それぞれの損失額の合計額を記載してください。
なお、いずれも損失がない場合には、「0」と記載をしてください。
【7欄】
この欄には、「居住用財産の譲渡損失の繰越基準額」を記載します。
上記の【5欄】と【6欄】に記載がない場合には、【4欄】の金額をそのまま記載してください。
【5欄】又は【6欄】に記載がある場合には、【4欄】から【5欄】又は【6欄】の金額を差し引いた金額(引ききれない場合には「0」と記入)を記載します。
今回の例では、【4欄】の金額をそのまま転記します。
【8欄】
この欄には、「翌年以後に繰り越される居住用財産の譲渡損失の金額」を記載します。
ここに記載をした金額が、翌年以後に繰り越される譲渡損失の金額となります。
なお、記載をする金額は、【3欄】と【7欄】に記載をした金額のいずれか少ないほうとなります。
今回の例では、【7欄】の金額のほうが【3欄】の金額よりも少ないため、そちらを記入します。
土地の面積が500m²を超える場合
譲渡した土地の面積が500m²を超えている場合には、その部分には特例を適用することができません。
ですから、500m²を超えた部分に相当する譲渡損失額を差し引いた金額を【8欄】に記載する必要があります。
そのため、【8欄】に記載がされている計算式を用いて、繰り越し控除の金額を計算してください。
右の画像は、譲渡した土地が500m²を超えている場合の記載例です。
計算式の説明に従って、ご自身が売却した不動産の情報を記入し、計算を行ってください。

なお、記載例のそれぞれの記載情報に関しては、下記をご覧ください。

【記載例の基本情報】

【3欄】の金額
30,000,000円
【7欄】の金額
20,300,000円
(土地等に係る特定損失の金額)
21,000,000円(建物を抜いた土地のみの譲渡損失)
(土地等の面積)
800m²

以上が、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」
の記載方法になります。

なお、不動産を買い換えない場合に、不動産の譲渡損失が出た場合には、上記とは異なり、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
を作成する必要があります。

そのため、次は、「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」の記載方法についてご説明致します。

不動産を買い換えない場合の記載

不動産を買い換えない予定で不動産を売却し、その売却益が損失であった場合には、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受ける必要があるということは既に書きました。

「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」
を受けるためには、
「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」と
「確定申告書第一表~第三表(分離課税用)」
以外にも作成が必要な書類があります。

それが、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
です。

この書類に記載をした金額が、実際に来年へ繰越される損失金額となりますので、慎重に記載を行うことが大切です。

なお、所定の欄で通算後の金額が黒字となる場合には、来年へ繰り越される損失はありませんので、記載方法に従って欄に「0」と記載をしてください。

では、記載例を参考に、記載方法を見ていきます。

以下の右側にある画像は、国税庁よりお借りした「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」の記載例です。
「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/tebiki2015/kisairei/joto/pdf/001.pdf)を加工して作成

この画像を例にして、各所の説明を行っていきます。

なお、下記の説明内の「少ないほうの金額」というのは、赤字が大きいほうという意味ではなく、金額を「普通に比べて少ないほうの金額」という意味ですのでご注意ください。

【特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】】

【上部】
書類上部は、他の書類と同様に、確定申告を行う方の基本情報などを記入していきます。
上部の(平成__年分)には、申告を行う所得を得た年度を記載します。
その下の欄には、申告者の方の「住所」と「氏名」とそのフリガナをカタカナで記載してください。
【1欄】
この欄には、「特例の計算の基礎となる居住用財産の譲渡損失の金額」を記載します。
書類に記載がされている説明通りに、「特例居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【特定居住用財産の譲渡損失の金額(7欄)】に記載をした金額を書いてください。
【2欄】
この欄には、「分離課税の対象となる土地建物等の譲渡所得の金額の合計額」を記載します。
【1欄】の金額以外にも、土地・建物などの譲渡所得がある場合には、その金額と【1欄】の金額を通算(【1欄】の赤字金額を、得た譲渡所得から差し引く)した金額を記載してください(通算後の金額が黒字の場合は差し引き後の金額ではなく「0」と書いてください)
今回は、【1欄】以外に不動産の譲渡所得はありませんので、【1欄】と同じ金額を記載します。
【3欄】
この欄には、「譲渡契約締結日の前日における住宅借入金等の金額から特定居住用財産の譲渡価額を控除した残額」を記載します。
そのため、「特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》」の【1欄】から【2欄】を控除した金額を記載します。
(控除した金額が赤字の場合は「0」と書いてください)

【4欄】
この欄には、「損益通算の特例の対象となる特定居住用財産の譲渡損失の金額(特定損失額)」を記載します。
【1欄】~【3欄】に記入をした金額の内、いずれか少ない金額を書いてください。
【記載例】
【1欄】が「15,000,000円」、【2欄】が「13,000,000円」、【3欄】が「10,000,000円」だった場合には、【3欄】の「10,000,000円」を記入
今回の記載例では、【3欄】に記載をした金額が最も少ないため、【3欄】の金額を記載します。
【5欄】
この欄には、「本年分の純損失の金額」を記載します。
書類を見てみると、「上記【4欄(※)】、第一表【9欄】及び申告書第三表【68欄】・【69欄】の金額の合計額又は申告書第四表【71欄】の金額を書いてください」とありますが、今回は「上記【4欄(※)】」の金額を記載する必要があります。
なお、「特別控除前の総合譲渡所得の黒字の金額又は一時所得の黒字の金額(特別控除後、2分の1前)がある場合には、「上記【4欄】の金額」から、その黒字の金額を差し引いた金額を記載してください。
【例】
今回の例では、黒字の「給与所得」があるため、その金額を【4欄】の金額と通算した上で記載を行います。
9,700,000円(給与所得) + △11,000,000円(3欄の金額) = △1,300,000円
この金額を、「△を付けずに」【5欄】に記載してください。
なお、計算した結果、不動産の譲渡損失を他の所得から引ききれる(黒字になる)場合には、実際の差引金額ではなく、「0」と記載をしてください。
【6欄】
この欄には、本年分が青色申告の方のみ「不動産所得の金額、事業所得の金額 (※2)、山林所得の金額又は総 合譲渡所得の金額 (※3)のうち赤字であるものの合計額」を記載します。
本年度が青色申告でない方は、この欄への記入は不要です。
記載が必要な場合には、それぞれ赤字の所得のみ、その金額を合計した金額を記載してください。
【7欄】
この欄には、本年分が白色申告の方のみ「変動所得の損失額及び被災事業用資産の損失額の合計額」を記載します。
本年度が白色申告でない方は、この欄への記入は不要です。
記載が必要な場合には、それぞれの損失額の合計額を記載してください。
なお、いずれも損失がない場合には、「0」と記載をしてください。
【8欄】
この欄には、「特定居住用財産の譲渡損失の繰越基準額」を記載します。
上記の【6欄】と【7欄】に記載がない場合には、【5欄】の金額をそのまま記載してください。
【6欄】又は【7欄】に記載がある場合には、【5欄】から【6欄】又は【7欄】の金額を差し引いた金額(引ききれない場合には「0」と記入)を記載します。
今回の例では、【5欄】の金額をそのまま転記します。
【9欄】
この欄には、「翌年以後に繰り越される特定居住用財産の譲渡損失の金額」を記載します。
ここに記載をした金額が、翌年以後に繰り越される譲渡損失の金額となります。
なお、記載をする金額は、【4欄】と【8欄】に記載をした金額のいずれか少ないほうとなります。
今回の例では、【8欄】の金額のほうが【4欄】の金額よりも少ないため、そちらを記入します。

以上が、
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
の記載方法になります。

これで、
「居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5用】」と
「特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書【租税特別措置法第41条の5の2用】」
の記載は終わりです。

ここまで作成が終わりましたら、後は、確定申告書B第一表に戻り、【右半分(税金の計算・その他)】を記載するだけです。
(第一表の【右半分(税金の計算・その他)】の書き方に戻る)

なお、各表を全て作成してから次に進んでいた方は、これで全ての書類を作成することができました。

後は、作成をした書類を税務署に提出し、税金の還付などを待つだけです。

なお、詳しい「確定申告の提出時期(納税の時期)・提出方法」と「税金の還付時期」につきましては、お手数をお掛け致しますが、
不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります
確定申告の申告書の提出方法」と
税金の納付時期・方法と還付時期
の項目をご覧ください。

不動産を売却した際に、例え売却損となってしまったとしても、こういった対処を取ることで損をいくらか取り戻すことができます。

ですから、不動産を売却した際に、譲渡損失が出た場合には「損益通算」や「繰越控除」などの適用を検討することが大切です。

 - 不動産の売却損時の確定申告