未登記の不動産を売却する際の所有権保存登記と建物表題登記
2017/12/31
不動産を売却する際には、様々な場面で登記という言葉を耳にする機会があります。
登記は、不動産売買を行うために必要不可欠な手続きです。
多くの場合は、不動産の所有権を買主の方に移す所有権移転登記が必要となります。
所有権移転登記以外にも、状況に応じて様々な登記を行わなくてはならない場合もあります。
不動産売買時に必要な登記は、それぞれの売主の方の状況に応じて変わるのが通常です。
例えば、売却予定の不動産に抵当権などが設定されている場合には、抵当権抹消手続きを行う必要があります。
他にも、売却予定の不動産が未登記であった場合などは、事前に適切な登記を行っておかなくてはなりません。
未登記の不動産を売却するためには、通常、所有権保存登記などが必要です。
これらの登記が行われますと、通常通り不動産の所有権移転登記を行えるようになります。
このページでは、このような未登記不動産を売却する際の保存登記などについてご説明致します。
目次
不動産の未登記について
登記とは、不動産の状態や所有権を第三者に公示するために行います。
現在不動産を所有していらっしゃる方は、その不動産を取得した際に適切な登記を行っているのが通常です。
特に、仲介などにより不動産を取得したという方は、殆どの方が所有権移転登記などを行っております。
問題となるのは、個人間売買などにより不動産を取得した場合や、後に新しい建物を建築した又は、増改築などをした場合などです。
このような場合には、不動産を購入、増改築した所有者の方が不動産に対して登記などを行っておかなくてはなりません。
ここで登記がされていない不動産は、登記記録に不動産の情報が無いため、登記上存在しない建物として扱われます。
このように不動産が未登記となる状況につきましては、下記で詳しくご説明致します。
不動産が未登記となる状況
不動産は、土地であっても建物であっても、所有権を移転する際には、所有権移転登記などが必要となります。
所有権移転登記が完了して、初めて登記上の所有権が他の方に移ります。
所有権移転登記をした後、
「その敷地などに建物を建築する」、
「元の建物を増改築する」
などといった際には、別途に登記が必要となるのが一般的です。
新しく建築した建物や増改築した建物部分に対して新しく登記を行うためには、建物表題登記が必要です。
その後、所有権保存登記を行い、所有権に関する部分を登記に記録します。
これら一連の登記がされていない不動産は、「未登記」の状態となり、登記記録自体が作成されていない状態となります。
増改築された部分のみが登記されていない場合は、その建物は「一部未登記」の状態となります。
ここで意識が必要であるのは、例え未登記の不動産でも「固定資産税の納税通知書」などは自宅に届くという点です。
建物が新築されますと、その年内に市区町村役場から建物の調査・測量がされ、家屋台帳が調製されます。
そうして、調査結果を基に翌年の4月の中旬頃、建物の所有者の方に固定資産税の納税通知書が送付されます。
固定資産税の納税通知書が届いたからといって、登記が完了した訳ではなく、市区市町村役場により家屋台帳が調製されたため固定資産税が徴収されているだけです。
固定資産税の納税通知が届いている状態の方でも、実際は不動産自体が未登記である可能性もありますので、一度登記の状態をご確認ください。
未登記建物を売買する際の問題
未登記の建物を売買する際には、建物表題登記からされていないのか、所有権保存登記のみがされていないのかで状況が変わってきます。
元々建物表題登記自体がされていない場合には、後に買主の方が建物表題登記と所有権保存登記を行いますと、不動産自体の所有権を買主の方が取得できます。
一方、建物表題登記がされている場合には、通常は登記の表題部に記載のある所有者の方など以外は、後の所有権保存登記を行えません。
その影響で、該当不動産を売却する際には、事前に売主の方が所有権保存登記を終えておく必要があります。
未登記の不動産を売買する際には、最終的に買主の方に多くのリスクが存在する状況となります。
売主の方に悪意が無い場合でも、不慮の出来事などから結果的に買主の方に不利益が出てしまう可能性もあります。
売主の方は、買主の方にどのようなリスクがあるのかを知り、問題が起こらないように意識をしておくことが大切です。
未登記の不動産を売買する際に、売主の方が表題登記と保存登記を行った場合には、前述の通り、通常の売買と同様の流れで所有権移転登記を行えます。
後に買主の方が表題登記と保存登記を行うといった方法を採る場合でも、実質登記上の所有権は買主の方に移ります。
問題となるのは、これらの登記を一切無視した上で、不動産売買を行った場合です。
多くの場合、未登記不動産の登記を無視したまま売買を行う買主の方はいません。
ただ、金銭的な面から、登記などを行わないままで不動産の取引を行ってしまうケースも稀ながら存在します。
未登記のままの不動産を売買した際の買主の方のリスクとしては、主に下記の3つが挙げられます。
売主の方は、これらのリスクを意識し、買主の方と慎重に取引を行うことが重要です。
各リスクの詳細につきましては、下記で詳しくご説明致します。
所有権を公示できない可能性
不動産を未登記のまま売買した際には、その後に買主の方が登記をしない限り、不動産は未登記のままです。
登記がされていない不動産は、第三者に所有権の公示ができず、所有者も登記記録には記載がされておりません。
極端な話、買主の方がずっとその不動産に住み続けるだけの場合には、登記がされていない状態でも問題はありません。
ただ、未登記の不動産は様々な犯罪に巻き込まれてしまう可能性も高くなります。
例えば、その不動産の所有者を偽れるような第三者が現れた場合、その第三者が勝手に買主の方が購入した不動産の表題登記と保存登記を行ってしまう可能性もあります。
そのまま所有権を手にした第三者が不動産を売却してしまった場合、せっかくの不動産は他の方の手に渡ってしまいます。
ここで真の所有者の方が所有権を訴えたとしても、登記上で所有権を握っているのは、登記を行った第三者です。
不動産の登記を第三者が勝手にできるような場面は極稀ですが、全く可能性が無いという訳ではありません。
未登記不動産の売買時には、このようなリスクが伴うという点を意識した上で、取引を行うようにしてください。
売主の方も、後に買主の方がこのようなトラブルに遭われた際には、様々なトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
未登記不動産の売買時には、売主の方も買主の方も、このようなトラブルに注意し、お互いに合意を確認しあった上で取引を進めることが大切です。
売主の方に騙されてしまう可能性
不動産の売買は、売主の方と買主の方が赤の他人である場合も珍しくありません。
赤の他人同士の取引という点で、お互いに信頼関係を築いていかなくては、取引が難航してしまう場合もあります。
未登記の不動産は、登記がされていないという点で、買主の方からしますと少々不安が大きい取引となるケースも多いです。
実際、未登記の不動産を売却する売主の方に悪意がある場合には、買主の方が重大なトラブルに巻き込まれてしまう可能性もあります。
不動産の売買が成立しますと、実際の不動産の所有権は売主から買主に替わりますが、登記上の所有権は空白のままです。
これでは買主の方は、購入した不動産の所有権を第三者に示せないという状態です。
ここで売主の方に悪意がある場合、後に売主の方が不動産に対して表題登記と保存登記を行い、他の第三者にその不動産を売却してしまう可能性もあります。
例えば、未登記不動産の所有者である「Aさん」が、「Bさん」に未登記のまま不動産を売却し、「Bさん」はそのまま表題登記と保存登記をしなかったとします。
「Aさん」は、その状態を利用し、自分が売却した不動産の表題登記と保存登記を行い、後に他の「Cさん」に売却した場合、「Bさん」は家を出ていかなくてはならなくなります。
「Bさん」が裁判などのより家の権利を勝ち取った場合などは別ですが、これではあんまりな話です。
売主の方に悪意が無い状態でも、買主の方はこのような状況を懸念してしまうケースもあります。
未登記の不動産を売却する際には、通常の売買時よりも売主の方と買主の方との間に、信頼関係が必要となる場合が多いという点に意識が必要です。
住宅ローンが組めない可能性
不動産は高額な資産である場合も多く、買主の方は多くの場合、住宅ローンなどを組みます。
金融機関に住宅ローンの申請をしますと、審査の後に住宅ローンの貸し出しの可否が通知されます。
この住宅ローンですが、未登記の状態の建物に対してローンを組みたい場合には、ローンを申請した後の審査で問題となる可能性があります。
未登記不動産は、登記がされておらず、権利関係が不明瞭となっている不動産です。
権利関係が不明瞭となっている不動産の売買では、後に権利関係のトラブルが起こる可能性が通常の不動産よりも高くなります。
金融機関は、このような後のトラブルを懸念し、未登記不動産に対してローンの提供を承認できない場合が多いのが実情です。
住宅ローンを組めない場合、買主の方は不動産の代金を一括で準備する必要が出てくるため、金銭的な面での負担が大きくなります。
売主の方と買主の方が顔見知りであったり、お互いに大きな信頼がある状態であったりする場合には、一定の期間を設け、その間に分割して代金を清算するといった方法も採れます。
しかし、売主の方と買主の方が赤の他人であり、信頼などもそれ程ない場合には、一括で代金をやりとりするのが通常です。
未登記の不動産の売買をお互いに快く進めるためには、売主の方と買主の方がしっかりと話し合いなどをすることが必要となります。
未登記不動産の個人間売買
未登記不動産を売買する際には、様々なトラブルが起こり得ます。
通常、仲介売買により不動産を売却する際には、登記についての詳細が細かく確認されます。
それに対して、個人間売買により不動産を取引する際には、当事者間で登記などの確認を行わなくてはなりません。
これらの確認を怠った場合、後に深刻な問題が発覚してしまう可能性もあります。
個人間売買では、後のトラブルに考慮し、事前にしっかりと登記などの状態を確認しておくことが重要です。
特に、未登記の不動産を個人間で売買する際には、権利関係に対して十分に確認をしておくと安心です。
この項目では、このような個人間売買により未登記の不動産を取引した際の問題などについてご説明致します。
不動産の個人間売買の際の問題
未登記の不動産を個人間で売買しますと、権利関係などに関するトラブルが発生するリスクが高まります。
仲介業者を通じて未登記の不動産を売買する場合、仲介業者が登記の状態などの確認をしてくださいます。
登記記録を確認する際には、登記事項証明書を取得し、その内容を確認するのが一般的です。
登記事項証明書の内容を確認しますと、不動産が
「未登記である」のか、
「保存登記までされている」のか
などの状況が全て分かります。
その際に、未登記である不動産は登記記録自体が存在しませんので、登記内容の確認自体が行えません。
このような状態の不動産を売却する際に、仲介業者が間に入っていますと、まず売主の方に対して不動産の表題登記と保存登記をするように話がされます。
(状況によっては、不動産の売買が成立した後に、買主の方が表題登記と保存登記をするという方法を採る場合もあります)
それに対して、不動産の個人間売買では、不動産の登記の状態は、売主の方などが個人で確認しておかなくはなりません。
そうして、不動産が未登記であった場合には、買主の方と登記の進め方を話し合う必要があります。
通常は、事前に売主の方が各登記を行った後に、通常の売買と同じように買主の方に不動産の所有権移転登記を行う流れが多いですが、
中には、登録免許税などの登記の費用がもったいないとの理由で、不動産を未登記のまま売買する場合もあります。
未登記の不動産を未登記のまま売買しますと、後に大きなトラブルが起こってしまう可能性が高まります。
個人間売買により不動産を売買する際には、仲介業者のような専門の方が売買に関わる訳ではありません。
専門家の方の意見が無い状態での未登記不動産の売買は、よりリスクが伴いますので、その点を意識した上で取引を行うことが大切です。
未登記の不動産を相続した場合
相続財産に不動産がある場合には、その所有権を相続人に移行する登記を行わなくてはなりません。
その際の登記は、相続登記(所有権移転登記)と呼ばれ、
通常は、不動産を取得した相続人が、不動産に対して適切な登記を行います。
ここで注意が必要となるのは、相続不動産が未登記であった場合です。
未登記となっている不動産は、そのまま相続登記を行うことができません。
この場合、相続人は不動産に対して相続登記以外の登記を行う必要が出てきます。
この項目では、このような未登記の不動産に対して必要な登記についてご説明致します。
なお、詳しい相続不動産の相続登記の説明につきましては、お手数をお掛け致しますが、「相続した不動産を売却する際の4種類の遺産分割方法と登記」の記事にありますので、そちらをご覧ください。
未登記の不動産を相続した場合
不動産を所有していらっしゃる場合、通常は不動産を取得した際に適切な登記を行っているのが一般的です。
ただ、不動産の登記は、その所有者の方が行わなくてはならないため、そのまま忘れてしまったというケースも存在します。
不動産の取得時に登記がされなかった場合、その不動産は未登記となってしまうのが通常です。
不動産を相続した際に、該当不動産の登記がされていないと判明した際には、相続人が適切な登記を行っておく必要があります。
なお、ここで問題となるのは、先祖代々その未登記不動産を相続してきた場合です。
相続登記がされていない相続財産に対して登記などを行うためには、まず相続登記がされていない時点からの相続をやり直していく必要があります。
例えば、先代の祖父が不動産に対して相続登記を行わず、相続登記が未了となっている場合は、祖父の遺産分割からやり直していかなくてはなりません。
祖父の相続登記となりますと、戸籍で相続人を調査した上で、法定相続人の全員に連絡が必要となります。
最悪は、十何人にも及ぶ相続人に連絡しなければならない場合もあり、とても手間と時間が掛かってしまいます。
このような事態を避けるためにも、不動産の相続時などには、不動産の登記状況などを確認しておくと安心です。
相続発生時に、相続不動産が未登記であると判明した際には、
「建物(土地)表題部登記」と
「所有権保存登記」
を行いますと、不動産の権利関係に関する登記を行えます。
これらの登記を行う際には、不動産に対して所有権があるという事実を証明しなくてはなりません。
未登記の相続不動産に対して所有権があるという事実を証明できる書類などにつきましては、同ページの「不動産の保存登記の必要書類」に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
建物表題登記と所有権保存登記
不動産は、通常土地であっても建物であっても、所有者の方が存在します。
その所有者の方は、実質不動産の所有権を持ってはいますが、それだけでは第三者に公示できる所有権とはいえません。
不動産の所有権を第三者に公示できるようにするためには、事前に所有権保存登記が必要です。
所有権保存登記をしていないからといって、突然にその不動産の所有権がなくなってしまう訳ではありませんが、後に売却をするなどといった際に問題が出てきます。
何故なら、所有権保存登記を行っていない不動産は、後に買主の方に所有権移転登記をできないからです
所有権移転登記をできない不動産を購入したいと考える買主の方は、ほぼいないといっても過言ではありません。
所有権保存登記を行うためには、事前に建物表題登記などが必要となる場合もあります。
この項目では、このような不動産売却時の建物表題登記と所有権移転登記についてご説明致します。
建物表題登記の必要性
建物などが新築された際には、所有者の方が登記をしない限り、建物に対して登記記録は作成されません。
このような未登記建物に対して様々な登記を行うためには、まず、その建物の情報が記録される登記記録の作成が必要となります。
その際に必要となるのが、「建物表題登記」です。
建物表題登記が完了しますと、その建物に関する情報が記録される登記記録が作成されます。
その際の登記記録の表題部には、建物の
「所在」、
「登記年月日」、
「家屋番号」、
「種類(使用目的)」、
「構造」、
「床面積」
などが記録されます。
建物以外の部分である土地などは、多くの場合、所有権が明確となっており、事前に所有権保存登記がされているケースが殆どです。
その影響で、通常は土地部分に関して表題登記と保存登記を行う状況は多くありません。
万が一、土地に対して表題登記が行われていない場合には、建物表題登記ではなく土地表題登記を行います。
なお、不動産に対して表題登記を行いますと、登記記録の表題部には一応不動産の所有者の記載が行われます。
しかし、登記記録の表題部にのみ不動産の所有者が記載されただけでは、まだ第三者に所有権を公示できないのが通常です。
所有者の方が、所有不動産に対して対抗要件を得るためには、その後に所有権保存登記が必要です。
不動産を売却する際には、売却不動産の登記の状況を確認した上で、買主の方と取引を行うようにしてください。
所有権保存登記の必要性
不動産の所有者の方が第三者にその所有権を主張するためには、建物表題登記以外にも適切な登記をしておく必要があります。
不動産に対して建物表題登記を行っただけでは、登記記録の表題部が作成されるのみで、肝心な所有権に関する部分には記載がされません。
この状態では、例え表題部に記載がされた所有者の方であっても、不動産の権利関係に関する登記を行えません。
不動産の権利関係に関する登記を行えない場合、不動産売却後の所有権移転登記もできないということになります。
これでは、不動産の買い手が見つかりにくくなり、スムーズに売買を行えない可能性が出てきます。
不動産の所有者の方が、権利関係に関する登記を行えるようにするには、登記記録の所有権に関する部分への登記が必要です。
その際に必要となるのが、「所有権保存登記」です。
不動産の所有権保存登記が行われますと、その不動産の所有者などが登記記録の甲区欄に記録されます。
登記記録上に甲区欄ができますと、所有者の方に対抗要件が加わり、売買時の所有権移転登記などといった不動産の権利関係に関する登記ができるようになります。
不動産によっては、表題登記のみがされ所有権保存登記がされていないケースもありますので、表題登記がされている場合でも保存登記がされているかの確認が必要です。
建物(土地)表題登記の登記義務
未登記の建物や土地は、現在も数多く存在しております。
通常、建物や土地などの不動産を取得した際には、所有者の方が建物表題登記や土地表題登記を行います。
表題登記を行っていない不動産は、登記記録自体が存在しないため、売買などの際に買主の方が見つかりにくいなどの弊害が出てしまう場合も珍しくありません。
また、不動産の表題登記は、実は登記が義務付けられており、定められた期限までに登記を完了しなくてはならないのが通常です。
下記は、登記の完了までに期限が設けられている登記の一例です。
- 建物表題登記
- 土地表題登記
- 建物滅失登記
- 地目変更登記
- 地積更正登記
上記のような登記が必要な場合には、通常はきちんと不動産に対して登記をしておくようにしなくてはなりません。
この項目では、上記のうち、土地や建物の表題登記の義務や登記の期限などについてご説明致します。
建物(土地)表題登記の登記期限
通常、不動産の表題登記は義務であり、本来未登記の不動産などはあってはなりません。
では、何故実際に未登記の不動産が存在するのか、疑問に感じてしまうかもしれません。
本来、不動産の表題登記を怠った場合、「10万円以下の過料」に処されてしまうという決まりがあります。
しかし、現在不動産の表題登記をしていない方に対して、実際に過料の徴収があったケースはないようです。
その影響で、未登記の不動産を所有していらっしゃる方に対して、未登記という事実などが通知されることはほぼありません。
表題登記が法で定められている義務であるという点では、表題登記を怠ってしまうのは良い選択とはいえません。
ただ、中には未登記であるという事実を知らないため、登記を怠ってしまったという方もいらっしゃいます。
お持ちの不動産が未登記であると判明した際には、なるべく早急に登記を行うようにするのが原則です。
現在売却を予定している不動産が未登記である場合には、売買までに登記を行っておきますと、後の取引時にもスムーズに手続きが進みやすくなります。
本来、建物や土地の表題登記は、その不動産を取得してから「1ヶ月以内」に行う必要がありますが、期限を過ぎた場合でも登記はできます。
不動産を売却する際には、未登記の不動産などは買主の方から嫌煙されやすくなるのも事実です。
例え買い手が見つかったとしても、殆どの場合、後に表題登記や保存登記が必要となります。
未登記の不動産を売却する予定のある方は、その点と意識した上で早めに登記を行っておきますと、後のトラブルなどに関しても良い効果を期待できます。
所有権保存登記の登記義務
建物や土地の表題登記などは、不動産の取得後1ヶ月以内に行う義務があります。
こう聞きますと、不動産の所有権保存登記などにも登記の期限があるように感じてしまうかもしれません。
所有権保存登記は表題登記とは異なり、不動産の所有権部分に関する登記です。
不動産の所有権に関する登記は、それ以外の登記と根本的に期限などの定めが異なります。
この項目では、不動産の所有権保存登記の義務や登記の期限などについてご説明致します。
所有権保存登記の登記期限
不動産の登記には、大きく分けて
「不動産の物理的状況に関する登記」と
「不動産の権利関係に関する登記」
の2種類があります。
所有権保存登記は、このうち不動産の権利関係に関する登記となります。
本来、表題登記など、不動産の物理的状況に関する登記は、完了するまでの期間が法律で定められております。
それに対して、所有権保存登記などの不動産の権利関係に関する登記は、登記の義務がなく、登記に対して期限なども存在しません。
その影響で、将来的にずっと未登記のままでも過料などは発生しません。
ただ、法的に登記の義務がないとはいえ、所有権保存登記をずっと行いませんと、不動産の権利関係が曖昧なままとなってしまいます。
権利関係が曖昧な不動産は、最悪は悪意のある第三者により、深刻なトラブルが引き起こされる可能性もあります。
将来的に、所有権保存登記がされていない不動産を売却する予定のある方は、特に注意が必要です。
未登記の不動産は、売却の際などに悪印象を与えてしまったり、登記の際に余計な手間などが掛かってしまったりしてしまうケースも少なくありません。
最善の状態で不動産を売り出すためには、事前に所有権保存登記を行っておくのが無難です。
不動産の所有権保存登記は、司法書士の方に委任をするか、ご自身で登記を行う必要があります。
未登記の不動産の登記を行う際の手順につきましては、同ページの
「未登記不動産を委任により登記する手順」と
「未登記不動産をご自身で登記する手順」
に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
未登記不動産を売買する際の流れ
未登記の不動産を売買する際には、買主の方とどのような取引の方法を採るかで、若干手続きなどの流れが変わってきます。
通常は、売主の方又は、買主の方のいずれかが表題登記や保存登記を行い、取引を行う流れが多いです。
場合によっては、そのまま登記を行わない取引もありますが、これは極めて稀なケースです。
未登記の不動産を売買する際の大まかな流れとしては、主に下記の3つのパターンがあります。
売主の方と買主の方は、この中のいずれかの方法により、不動産の取引を行う場合が殆どです。
それぞれの取引の流れにつきましては、下記で詳しくご説明致します。
売主が各登記を事前に行う
未登記の不動産を売り出す際には、事前に売主の方が表題登記と保存登記を行った上で、取引を行うという方法もあります。
売主の方がこれらの登記を行いますと、通常の不動産売買と同様の流れで取引を行えます。
この場合、売主の方は、買主の方に不動産を引き渡す前に、不動産の表題登記と保存登記を終わらせておきます。
そうして、引き渡しの際には、通常通り買主の方へ所有権移転登記を行い取引が完了します。
この方法を選択した場合、不動産の決算前に権利関係に関する登記がされますので、買主の方が住宅ローンを組んだ上で取引に望めるようになります。
更に、取引の安全の観点からしても、最善の方法と言えます。
仲介売買により未登記の不動産を売却する際には、多くの場合、司法書士の方に不動産の表題登記や保存登記を委任します。
登記を委任しますと、通常は不動産の決算日までに各登記が完了しますので、後は仲介業者などの指示に従い取引を進めていきます。
なお、個人間売買など仲介業者を介さない状態で未登記不動産の取引を行う際には、登記をご自身で行うのか、司法書士の方に委任するのかを決める必要があります。
司法書士の方に登記を委任する際には、ご自身で司法書士の方に登記の委任をお願いしておかなくてはなりません。
登記の際には、必要書類などを準備する期間なども必要ですので、それを考慮しつつ手続きの目途を立てるようにしてください。
買主が各登記を取引後に行う
買主の方が一括で不動産の売買代金を準備できる場合など、住宅ローンの利用が必要ない場合には、
未登記不動産の表題登記と保存登記を、不動産の決算・引き渡し後に買主の方が行う方法も選択できます。
本来は、売主の方が各登記を終わらせておくのが最善ではありますが、売主の方と買主の方に
「信頼関係があり」、
「お互いに合意の上」
である場合には、取引後に登記を行う方法を選択しても問題はありません。
買主の方が不動産の決算後に表題登記と保存登記を行う際には、決算時点で不動産の所有権移転登記は行いません。
不動産売買の決算日には、売主の方は買主の方から不動産の売買代金を一括で受け取ります。
買主の方は、売主の方から不動産を受け取ります。
その後、買主の方は受け取った不動産の表題登記と保存登記を行い、不動産の所有権を初めて登記します。
買主の方が、不動産の決算後に表題登記と保存登記を行いますと、不動産売買時の所有権移転登記の費用が必要なくなります。
更に、売主の方は事前に保存登記を行っておりませんので、その分の費用も節約できます。
未登記不動産を取引後に登記しますと、このようにお互いに必要な費用を削減できるというメリットがあります。
取引後に表題登記のみを行う
買主の方が住宅ローンを利用せず、尚且つ後の保存登記を行わない場合には、不動産の取引後に表題登記のみを行う方法もあります。
この場合、不動産の保存登記を行いませんので、登記記録の権利関係に関する記載は空白のままとなります。
登記上の権利関係に関する記載が空白となると聞くと、買主の方は不安を感じてしまうかもしれません。
確かに、保存登記のされていない不動産は、所有権などを公示できません。
ただ、不動産の表題登記により登記記録の表題部が作成された際には、その欄に一応該当不動産の所有者が記載されております。
不動産の保存登記は、この表題部に記載された所有者以外は行えないのが通常です。
表題部の所有者以外で保存登記を行えるのは、「所有権を有することが確定判決によって確認された者」などのみとなります。
これらの影響から、不動産の表題登記を行いますと、保存登記をした場合とほぼ同様の権利を得られるのが一般的です。
とはいえ、これは結果的な話であり、実際に不動産の権利者が登記されている状態とは異なります。
買主の方の立場からしますと、どちらにしても売主の方に信頼がある状態でなくては、この方法による売買は行いたくないと考えるのが通常です。
ただ、この方法では、
「売主の方と買主の方双方の不動産の保存登記費用」と、
「後の所有権移転登記の費用」
が必要なくなりますので、金銭的な負担を減らす場合には効果的です。
未登記不動産を登記する時期
未登記の不動産を売却する際には、不動産の表題登記と保存登記を行ってから売却したいという売主の方も多いかもしれません。
不動産の表題登記や保存登記を行うには、必要書類を収集・作成した後、所定の法務局に登記の申請を行う必要があります。
これら一連の手続きは、必ずしも専門の方に委任しなくてはいけないという決まりはありません。
不動産の所有者の方などが、ご自身で登記を行うこともできます。
登記には専門知識が必要となる場合もありますが、実際に個人で登記を行ったという方も多くいらっしゃいます。
未登記不動産の登記に必要となるには、主に「建物(土地)表題登記」と「所有権保存登記」です。
なお、通常の不動産売買時の流れにつきましては、お手数をお掛け致しますが、「様々な状態の不動産を売却する際の大まかな流れと手続き」の記事にあります「不動産を売却する3つの方法」の項目をご覧ください。
未登記不動産の売買では、この流れに加えて、建物(土地)表題登記と所有権保存登記を行います。
実際の登記の流れにつきましては、下記の項目でご説明致します。
未登記不動産の登記の流れ
売主の方が、未登記不動産に対して事前に登記をした上で取引を行う際には、事前に登記の準備などが必要となります。
大まかな売買の手順は通常の不動産の場合と同じではありますが、建物(土地)表題登記と所有権保存登記を行う時期により少々その流れが異なってきます。
建物(土地)表題登記と所有権保存登記を行う時期は、主に下記の3つのパターンがあります。
- 不動産を売り出す前から各登記を行っておく
- 不動産を売り出してから取引日までに登記を行う
- 不動産の取引日が決まってからその日までに登記を行う
仲介業者の方に仲介を依頼した場合には、最初に建物(土地)表題登記と所有権保存登記を勧められるケースが多いようですが、
個人間売買などの際には、いつ登記を行うかは売主の方の自由です。
不動産を売り出す前から登記を行うケースでは、その後は通常の不動産の売買と同様の流れで取引が進みます。
不動産を売り出してから取引日までのいずれかの日に登記を行うケースでは、不動産の売り出し期間の間に各登記を行っていきます。
不動産の買い手が見つかり、取引日が決まってから登記を行う場合は、買主の方に不動産を引き渡す期日(決算日)に間に合うように各登記を終わらせておきます。
いずれの方法の場合も、司法書士の方や土地家屋調査士の方に登記を依頼するか、ご自身で登記をしておかなくてはなりませんので、登記時期を間違わないように注意が必要です。
未登記不動産を司法書士の方に委任した際と、ご自身で登記する場合の大まかな流れにつきましては、同ページの
「未登記不動産を委任により登記する手順」と
「未登記不動産をご自身で登記する手順」
に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
未登記不動産を委任により登記する手順
未登記不動産の登記を司法書士の方や土地家屋調査士の方などへ委任する際には、売主の方は多くの作業を行う必要がなくなります。
登記申請書の作成や必要書類の収集など、多くの作業を司法書士の方や土地家屋調査士の方が代行してくださいます。
(建物(土地)表題登記は、司法書士の方のみでは登記ができませんので、土地家屋調査士の方に作業の依頼をする必要があります)
売主の方は、一部の書類などの準備を行うだけです。
不動産を売却する際の登記自体の流れとしては、大まかに下記のようになります。
- 不動産の登記をいつするかを決める
- 不動産の建物(土地)表題登記を行う
- 不動産の所有権保存登記を行う
それぞれの詳細につきましては、下記でご説明致します。
1.登記時期を決める
未登記不動産を売り出す際には、事前に登記を行っておく又は、買主の方と登記の時期を話し合う必要があります。
仲介を依頼した際には、仲介業者が登記の時期などの調整を行ったくださる場合が殆どですので、それに従い登記を行うケースも多いです。
実際に登記の時期が決まりましたら、その期限に間に合うように登記を行っていきます。
司法書士の方や土地家屋調査士の方に登記の依頼をした場合には、登記がスムーズに進みますので、なかなか登記が完了できないといったよう状況となる可能性は殆どありません。
不動産自体が相当難解な状況にある場合は別ですが、通常は最速に近い日数で登記を終わらせることができます。
ただ、不動産の表題登記や所有権移転登記は、申請後すぐには承認がされませんので、早めに登記の委任を依頼しておくと安心です。
2.表題登記を行う
未登記不動産の登記時期が決まりましたら、期限までに実際に登記を行っていきます。
未登記不動産は、最初に「建物(土地)表題登記」を行う必要があります。
建物(土地)表題登記は、登記の際に測量などに基づいた建物図面や各階平面図の作成が必要となります。
各図面は、司法書士の方では作成を代行することができませんので、「土地家屋調査士」の資格を持った方に登記の委任を行います。
土地家屋調査士の方に建物(土地)表題登記の依頼をする際には、依頼主の方は主に下記のような書類や印鑑の準備が必要です。
【ご自身で準備が必要な一般的な物の例】
- 建築確認済証及び申請書書類一式(お手元にない場合には不要)
- 依頼主の方の住民票
- 免許証などの本人確認書類
- 登記の委任状(多くの場合依頼先が準備してくださいます)
- 実印(状況によっては認印で可)
これらの必要書類は、実際に依頼をした土地家屋調査士の方によって異なる可能性がありますので、相手から指示された書類などは追加で準備をしてください。
土地家屋調査士の方に、建物(土地)表題登記の委任を依頼した際の一般的な登記の流れは下記のようになります。
- 土地家屋調査士の方に登記の委任を依頼する
- 登記の委任を依頼する土地家屋調査士の方に、建物(土地)表題登記の委任をお願いします。
- 依頼先の土地家屋調査士の方が各書類の収集を行う
- 土地家屋調査士の方が、建物(土地)表題登記に必要となる図面を作成するために必要な書類を収集してくださいます。
- 一般的には、依頼主の方又は、建築業者から不動産の「建築確認済証及び申請書書類一式」と「図面」を、法務局から「公図」、「地積測量図」、「建物図面」、「登記事項証明書(登記簿謄本)」などが集められます。
- 資料を基に該当不動産の調査がされる
- 収集された資料を基に、該当不動産の測量や敷地・隣接地の状況確認などの調査がされ、写真なども撮影されます。
- 調査結果を基に必要図面が作成される
- 事前に行われた測量や状況確認の結果に基づき、 建物(土地)表題登記に必要となる「建物図面」と「各階平面図」などの作成がされ、委任状などの作成も行われます。
- 土地家屋調査士の方が施工業者から更に必要書類を受け取る
- 土地家屋調査士の方が、施工会社から、該当不動産の「工事完了引渡書」、「施工会社の印鑑証明書」、「会社謄本(代表者事項証明書)」などを受け取ります。
- 依頼主の方が委任状と住民票を準備する
- 依頼主の方が、ご自身の「住民票や免許証などの本人確認書類」(最初の書類収集時に提出していらっしゃる場合は不要です)と、必要事項を記載した委任状を、依頼先の土地家屋調査士の方に提出します。
- 土地家屋調査士の方が登記の申請をする
- 土地家屋調査士の方が、建物(土地)表題登記の申請書の作成、必要書類の準備をしてくださいますので、その後に依頼主の方は必要個所に押印し、そのまま法務局に登記申請を行って貰います。
- 登記の申請が法務局で受け付けられる
- 登記の申請が終わりましたら、法務局により登記の手続きが開始されます。
- 登記の申請後は、必要に応じて登記官より現地調査などが行われ、問題がなければ1週間~10日で登記が完了します。
- 土地家屋調査士の方から必要書面が渡される
- 登記が完了しましたら、土地家屋調査士の方から「登記完了証」と不動産の「登記事項証明書(登記簿謄本)」などが渡され、「建築確認済証及び申請書書類一式」などの一部の書類も返還されます。
建物(土地)表題登記が終わりましたら、今度は不動産の所有権保存登記を行っていきます。
3.保存登記を行う
不動産の建物(土地)表題登記が終わりましたら、次は不動産の所有権保存登記を行います。
不動産の所有権保存登記には、図面などの作成は必要ありませんので、司法書士の方などに登記の委任を依頼します。
司法書士の方に所有権保存登記を依頼しますと、司法書士の方が必要書類の収集から登記の申請までを行ってくださいます。
依頼主の方がご自身で準備が必要な物につきましては、主に下記のようになります。
【ご自身で準備が必要な一般的な物の例】
- 依頼主の方の住民票
- 住宅用家屋証明書(適用対象の場合)
- 免許証などの本人確認書類
- 登記の委任状(多くの場合依頼先が準備してくださいます)
- 実印(状況によっては認印で可)
- お借入れがある際にはその設定書類一式
- お借入れがある際にはご自身の印鑑証明書
これらの書類は、実際に依頼をした司法書士の方によって異なる可能性がありますので、相手から指示された書類などは追加で準備をしてください。
司法書士の方に所有権保存登記の委任を依頼した際の一般的な流れは下記のようになります。
- 司法書士の方に登記の委任を依頼する
- 登記の委任を依頼する司法書士の方に、所有権移転登記の委任をお願いします。
- 司法書士の方が必要書類の収集をする
- 登記の委任を依頼した司法書士の方が、所有権保存登記に必要な書類を収集してくださいます。
- 依頼主の方が委任状と住民票を準備する
- 依頼主の方が、ご自身の「住民票や免許証などの本人確認書類」(最初の書類収集時に提出していらっしゃる場合は不要です)と、必要事項を記載した委任状を、依頼先の司法書士の方に提出します。
- 登記申請書を司法書士の方が作成する
- 司法書士の方が、代理人として登記申請書を準備し、必要事項を記載してくださいます。
- 司法書士の方が登記の申請をする
- 作成された登記書類などに対して、売主の方が押印をし、司法書士の方が法務局に登記の申請をしてくださいます。
- 法務局で所有権移転登記が受け付けられる
- 登記の申請が終わりましたら、法務局により登記の手続きが開始され、問題がなければ10日~14日程度で登記が完了します。
- 司法書士の方から必要書面が渡される
- 不動産の所有権移転登記が完了した際には、司法書士の方から「登記識別情報通知書」や、提出書類のうち「還付を受けられる書類」を受け取ります。
不動産の所有権保存登記が終わりましたら、不動産に対して権利関係に関する登記がされた状態となります。
未登記不動産をご自身で登記する手順
未登記不動産をご自身で登記する際には、様々な書類の収集などが必要です。
登記時期などにつきましても、売主の方が全て考え、事前に行っておかなくてはなりません。
必要書類の収集には、本人がお考えになっている以上の時間が掛かってしまう場合もあります。
また、登記の申請は、提出書類などに1つでも不備がありますと、法務局で受付が却下されてしまうのが一般的です。
個人で登記を行う際には、必要書類や申請書などに不備がないかを、よく確認しておくことが大切です。
ご自身で建物(土地)表題登記や所有権保存登記を行う際の大まかな手順につきましては、下記のようになります。
- 不動産の登記をいつするかを決める
- 登記に必要な書類の収集を行う
- 不動産の建物(土地)表題登記を行う
- 不動産の所有権保存登記を行う
それぞれの詳細につきましては、下記で詳しくご説明致します。
1.登記時期を決める
個人で不動産の登記を行う際には、様々な面でトラブルなども起こりやすくなります。
手続きなどに関しても、専門の方に頼むよりも時間が掛かってしまう場合も多くありますので、
ある程度の余裕を持って、登記を行うための準備などを始めておくと安心です。
登記に必要な書類などがすぐに手に入らない場合などは、登記の準備だけでもかなりの時間を要してしまう可能性があります。
不動産の登記に対して時間が掛かってしまいそうな場合には、買主の方などと話し合い、余裕を持った期限設定をしておくようにしてください。
2.必要書類を準備する
登記の必要書類は、不動産に関する書類から登記申請者に関する書類まで、様々なものが必要となります。
不動産に関する書類は、登記事項証明書など法務局で手に入る書面もありますが、中にはそれだけでは取得ができないものもあります。
該当不動産の建築時に関する書類や建物の図面など、中には作成に専門知識が必要な書類も存在します。
登記申請時には、これらの必要書類が全て揃っていなくては、不動産の登記手続きが受理されません。
必要書類の収集自体は、そのやり方を知っていれば個人でも行えますが、専門知識が必要な書面の作成は簡単に行えない場合も少なくありません。
実際に、法務局などに登記の相談をした場合でも、各図面の作成が困難であるという理由から、最終的には専門の方に手続きを委任するように勧められる場合もあります。
不動産売買の際に個人で登記を行う予定である方は、事前に登記の手続きの方法などについて調べておくことが大切です。
登記に必要な書類のうち、取得に時間が掛かりそうなものは早めに取得をしておくなど、早いうちから徐々に準備を始めておくようにしてください。
3.表題登記を行う
未登記不動産の場合、最初に行う登記は建物(土地)表題登記となります。
建物(土地)表題登記では、比較的多くの書類の準備を行わなくてはなりません。
「登記を行う予定の不動産に関する書類」や「施工会社の印鑑証明書」など、様々な書類の取得が必要です。
準備が必要な書類の中には、登記をする不動産に関する建物図面などもあります。
この建物図面は、登記申請者が作成をしなくてはならず、作成ができない場合には登記自体が行えません。
土地家屋調査士の方に登記を委任した場合には、有識者の方が的確な建物図面の作成を行ってくださいます。
一方、個人で建物(土地)表題登記を行う際には、図面の作成方法を1から調べていかなくてはなりません。
今までに建物図面の作成を行った経験のある方や、図面作成に関する知識のある方は、比較的容易に図面の作成ができるかもしれません。
しかし、普段建物などの図面を作成した経験のない方は、正確な図面の作成に時間が掛かってしまう場合もあります。
実際に、建物図面の作成が上手くいかず、個人での登記を断念してしまうケースもあります。
建物(土地)表題登記を個人で行う際には、早めの時期から順を追って、準備をしておくようにしたいものです。
建物(土地)表題登記を行う際の図面の作成方法や実際の手順につきましては、同ページの「未登記不動産の表題登記」に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
4.保存登記を行う
不動産の建物(土地)表題登記が終わりましたら、次は所有権保存登記を行います。
不動産の所有権保存登記は、建物(土地)表題登記のように図面の作成などは必要ありません。
申請の際には、登記申請書と、併せて提出が必要な書類を準備するのみとなります。
所有権移転登記の必要書類と実際の手順につきましては、同ページの「未登記不動産の保存登記」に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
なお、不動産の所有権保存登記では、一定の要件を満たしている住宅に限り、登録免許税の減税を受けられます。
その際には、「住宅用家屋証明書」という書類が必要となります。
住宅用家屋証明書が無い場合でも登記自体は行えますが、提出しますと大きく登録免許税が軽減されます。
所有権保存登記の際には、事前に住宅用家屋証明書の交付を受けられるかどうかの確認を忘れないようにしてください。
住宅用家屋証明書の交付を受けるための要件や、交付の手順などにつきましては、同ページの「住宅用家屋証明の説明」に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
未登記不動産の表題登記
未登記不動産の表題登記を行う際には、ご自身で多くの書類を集めておく必要があります。
登記申請書や建物図面などの書類の作成も、ご自身で行わなくてはなりません。
中には、建物の建築を依頼した際の施工会社(工事を行った会社など)に、書類の発行を依頼しなくてならない場合もあります。
これらの準備は、少々面倒であるケースもあり、登記期限のギリギリで準備を始めますと間に合わない可能性もあります。
そのような事態を防ぐためにも、売主の方は、早めに各登記の準備を始めておくことが重要です。
この項目では、このような不動産の建物(土地)表題登記の必要書類や実際の手順などについてご説明致します。
不動産の表題登記の必要書類
不動産の表題登記を行う際には、必要となる書類を把握し、早めに収集をしておく必要があります。
なお、土地は多くの場合、土地表題登記がされておりますので、今回は建物表題登記の方法について詳しくご説明致します。
まず、建物表題登記を行うためには、一般的に下記のような書類を集める必要があります。
下記の書類はあくまで例ですので、管轄法務局などから他の書類の提示をされた際には、それらの書類もご準備ください。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
建築確認申請書 | 施工会社 |
建築確認済証 | 施工会社 |
建築検査済証 | 施工会社 |
引渡証明証又は建築確認完了検査済証 | 施工会社 |
施工会社の代表者事項証明書 | 施工会社 |
施工会社の印鑑証明証 | 施工会社 |
登記申請者の印鑑証明書 | 市区町村役場 |
登記申請者の住民票 | 市区町村役場 |
案内図 | ご自身で作成 |
建物図面・各階平面図 | ご自身で作成 |
建物表題登記申請書 | ご自身で作成 |
場合によっては、追加で
「被相続人と相続人に名前が変わった前後の固定資産税評価額通知書(前後合わせて3年分)」、
「相続関係書類(被相続人の出生から死亡までにさかのぼる全ての戸籍謄本)」
なども必要となります。
登記申請者が、不動産の所有者でない場合には、委任状などの作成も必要です。
上記「建物表題登記の必要書類」の表のうち、
「案内図」には、書式などはありませんので、登記申請する建物の所在などを分かるように記載しておきます。
Google MAPなどを用いて所在の位置を示しても問題はありませんので、A4サイズの紙などに地図を印刷し、建物の敷地を赤色で塗っておきます。
また、建物表題登記申請書は、インターネットでテンプレートが多く配布されておりますので、それをダウンロードして記載をします。
建物表題登記申請書の記載は、それ程難しくはありませんので、順を追って記載を行います。
その際には、建物の所在地の地番を忘れずに記載し、「構造」欄が不明である場合には、
「建築確認申請書」や
「引渡証明書」
を確認する又は、施工会社に確認をした上で記載を行います。
申請書は、「黒色インク」、「黒色ボールペン」、「カーボン紙(摩擦等により見えにくくなるもの以外)」などで記載を行います。
パソコンでの記入も可能ですので、都合の良い方法で記載をしてください。
パソコンで記載を行った際には、申請書に必要事項を記載した後、A4の上質紙などに印刷をします。
なお、建物図面や各階平面図の作成につきましては、次の項目でご説明致します。
登記に必要な各種図面の作成方法
建物表題登記を行うためには、建物図面と各階平面図の作成が必要です。
図面の作成をする際には、様々な規定などがありますので、
事前に図面の書き方を知り、決まりに沿った図面を作成することが大切です。
図面は、
「手書き」でも、
「パソコンで作成」
しても問題はありませんので、登記申請者の方がやりやすいほうをご選択ください。
肝心の図面記載時のルールにつきましては、主に下記のようになります。
なお、建物図面と各階平面図の記載例につきましては、下記のリンク先をご覧ください。
出典:「建物図面サンプル」(http://houmukyoku.moj.go.jp/morioka/content/000133358.jpg)
- 用紙の大きさ
- B4
- 記載する際の線の太さ
- 0.2mm以下
- 床面積の記載
- 不動産登記法上の床面積(床から天井までの高さが150㎝あり、尚且つ3方向が壁やガラスで囲まれている部分)に当たる部分を記載
-
【床面積に含まれない部分の例】
- 吹き抜け
- 天井高が150㎝以下の小屋裏
- 3方向がガラスや壁で囲まれていないベランダ
- 屋上に出る以外に用途のない棟屋(天井高が150cm以上のものも含む)
など - 2階部分を記載する際
- 1階部分を点線で書く
- 各階の求積(面積)表
- 床面積を小数点第2位まで記載(小数点第3位を切り捨て)し、求積表を式と一緒に書く
- 縮尺
-
- 図面の縮尺
- 250分の1で書き、縮尺を記載する
- 建物配置図の縮尺
- 500分の1で書き、縮尺を記載する
- 建物配置図
-
- 建物配置図の地番
- 建物配置図には地番を書き、周辺の土地の地番も記載する
- 建物配置図の記載距離
- 建物配置図は、境界線(不明な場合には公図やゼンリン住宅地図を参考にしますと分かりやすくなります)から、1階部分の外壁(木造の場合は柱の中心)までの距離を書く
- ※建物が敷地に対して斜めに立っている場合には、建物の四隅の何処でも良いので、そこから垂直に土地の境界線までの距離を測ります。
-
【建物が土地に対して斜めに建設されている際の記載例】
上記の赤線の部分の距離を測ります。
- 周辺道路
- 周辺の道路に地番がある場合には、道路の地番も記載する
- 方位
- 北が上となるように図面を記載し、方位記号も記載する
- 図面の作成日・作成者
- 図面には作成日と作成者を記載し捺印する
- 登記申請人の記載
- 登記を申請する登記申請人の氏名を記載する
- 家屋番号の記載
- 登記を申請する建物の家屋番号を記載する
- 建物の所在地の記載
- 登記を申請する建物の所在地を記載する
図面を作成する際には、施工会社から建物図面や各階平面図、配置図などを貰える場合もあります。
その場合には、縮尺と不動産登記法上の床面積に含まれない部分に注意し、その内容を基に登記用の図面の作成を行います。
表題登記の実際の申請手順
建物表題登記に必要な書類などが集まりましたら、申請書と必要書類を下記の順番で左とじにします(ホッチキスで左はじを2~3か所程度とめる)。
(下記は一般的な登記申請書の提出方法であり、状況によっては少々手順が異なる場合もありますのでご注意ください)
- 登記申請書
- 案内図
- 登記申請者の住民票
- 建築確認済書・建築確認申請書・引渡証明書又は、建築確認完了検査済証
- 施工会社の代表者事項証明書
- 施工会社の印鑑証明書
- 原本還付請求書
- 建物図面
- 各階平面図や資料
上記のうち、建物図面や各階平面図などの図面類は、まとめてクリップでとめておきます。
また、提出する原本類の中で還付を受けたい書類がある場合には、「原本還付請求書」の作成も行っておかなくてはなりません。
原本還付請求書は、インターネットで検索をしますとテンプレートをダウンロードできますので、それに必要事項を記載します。
請求書の記載が終わりましたら、還付を受けたい書類の原本をコピーし、そのコピーした書面のほうを登記申請書などと一緒に綴じておきます。
そうして、書類の原本のほうは、登記申請書などとは別にクリップでとめ、登記申請時に一緒に提出をします。
これら一連の手続きを行っておきますと、登記の申請が完了した後に、該当書類の原本の還付を受けられるようになります。
登記完了後に還付を受けられる書類は、
「住民票」、
「建築確認済書」、
「建築確認申請書」、
「引渡証明書又は、建築確認完了検査済証」、
「施工会社の代表者事項証明書」、
「施工会社の印鑑証明書」、
などとなりますので、これらの還付が必要ない場合には、そのまま登記申請書と一緒に、書類の原本を綴じておきます。
必要書類を提出し、書類に不備が無い場合には、後に担当の方が建物の調査を行いに来ますので、不動産所有者の方などが立会いをします。
その調査で問題が無い場合には、そのまま手続きが進み、建物表題登記が完了します。
未登記不動産の保存登記
不動産の表題登記が終わりましたら、今度は不動産の所有権保存登記を行います。
所有権保存登記では、準備が必要となる書類が表題登記よりも少ない場合が殆どです。
その影響で、書類収集に必要な時間や費用が、表題登記よりも少なくて済みます。
ただ、不動産の所有権保存登記を行うためには、登録免許税という印紙税の納付が必要となります。
この登録免許税は、通常は万単位の出費が必要となる場合も多いため、事前に必要となる費用を知っておくと安心です。
この項目では、このような不動産の所有権保存登記の必要書類や実際の手順などについてご説明致します。
不動産の保存登記の必要書類
不動産の所有権保存登記を行う際には、適切な書類の準備が必要です。
所有権保存登記に必要な書類は、一般的に下記のようになります。
下記の書類はあくまで例ですので、管轄法務局などから他の書類の提示をされた際には、それらの書類もご準備ください。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
住宅用家屋証明書
(軽減税率を適用する場合)
|
市区町村役場 |
登記申請者の住民票 | 市区町村役場 |
所有権保存登記申請書 | ご自身で作成 |
(場合によっては、上記に加え、不動産の登記事項証明書又は、表題登記済証などが必要となる場合もあります)
上記の住宅用家屋証明書の交付要件や申請の方法などにつきましては、同ページの「住宅用家屋証明書の説明」に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
なお、不動産の所有権保存登記申請書につきましては、法務局のホームページからダウンロードできます。
所有権保存登記申請書のダウンロード→出典:「不動産登記の申請書様式について」(http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/minji79.html)
上記リンク先の「2) 所有権保存登記申請書」にある書面が、所有権保存登記申請書の様式です。
各申請書には、
「一太郎」、
「Word」、
「PDF」
の3種類の形式が準備されておりますので、都合の良い形式の書面をダウンロードしてください。
(申請書リンクの下部には、申請書の記載例などもあります)
申請書は、「黒色インク」、「黒色ボールペン」、「カーボン紙(摩擦等により見えにくくなるもの以外)」などで記載を行います。
パソコンでの記入も可能ですので、都合の良い方法で記載をしてください。
パソコンで記載を行った際には、申請書に必要事項を記載した後、A4の上質紙などに印刷をします。
また、不動産が相続財産である場合には、上記「所有権保存登記の必要書類」の表の書類に加えて、所有権を証明する証拠となり得る資料が必要となる場合もあります。
【不動産の所有権を証明する証拠となり得る書類の例】
- 固定資産税を支払った証拠としての領収証
- 確認申請の資料
- 工事請負業者の引渡完了証
更に、相続不動産に対し、遺産分割協議などを行う際には、遺産分割協議書に固定資産評価証明書の記載をそのまま転記するのが一般的です。
転記した末尾には、「〇〇市長発行にかかる平成△△年度固定資産評価証明書の記載による」などと注記をしておきますと、固定資産評価証明書の特定も容易となりますので、スムーズに登記の処理が進みやすくなります。
保存登記の実際の申請手順
所有権保存登記に必要な書類などが集まりましたら、申請書と必要書類を下記の順番で左とじにします(ホッチキスで左はじを2~3か所程度とめる)。
(下記は一般的な登記申請書の提出方法であり、状況によっては少々手順が異なる場合もありますのでご注意ください)
- 登記申請書
- 印紙台紙
- 登記申請者の住民票
- 住宅用家屋証明書
上記の書類を綴じる際には、登記申請書と印紙台紙に対して契印などが必要となります。
契印や各書類の詳しい綴じ方につきましては、お手数をお掛け致しますが、「相続した不動産を売却する際の4種類の遺産分割方法と登記」の記事にあります「登記申請書と必要書類の提出方法」の項目をご覧ください。
なお、添付をした
「登記申請者の住民票」や
「住宅家屋証明書」
などの原本は、後に還付を受けられます。
添付書類の原本還付を受けたい場合には、お手数をお掛け致しますが、「相続した不動産を売却する際の4種類の遺産分割方法と登記」の記事にあります「添付書類の還付を受けたい場合」の項目をご覧ください。
提出する書類の準備ができましたら、後は管轄の法務局に持参又は、郵送により書類を提出します。
住宅用家屋証明書の説明
不動産の所有権保存登記を行うためには、登録免許税の納付が必要となります。
この登録免許税には、一定の登記に限り軽減税率が設けられており、所有権保存登記はその中の1つに該当します。
登録免許税の軽減を受けるためには、それぞれの登記に対して設けられている軽減税率の適用要件を満たしている必要があります。
所有権保存登記の登録免許税に対して軽減税率を受けるためには、住宅用家屋証明書という書面の交付を受けていることが必要です。
住宅用家屋証明書を取得するためには、お住いの地域の役場に交付手続きを行わなくてはなりません。
ただ、証明書の交付を受けるためには一定の要件があり、その要件を満たしていない不動産では交付自体が却下されてしまいます。
住宅用家屋証明書の交付を受けるための要件につきましては、下記で詳しくご説明致します。
証明書の交付を受けられる要件
住宅用家屋証明書の交付を受けるためには一定の要件が設けられており、どの不動産でも証明書の交付を受けられる訳ではありません。
そのため、住宅用家屋証明書の交付を申請する際には、お持ちの不動産が適用要件を満たしているかを確認しておく必要があります。
住宅用家屋証明書の交付を受けるための要件は、主に下記のようになります。
下記の要件は、それぞれの市区町村で異なる可能性もありますので、事前にお住いの地域の役場でご確認ください。
- 共通事項
-
- 個人が建築した住宅用の家屋であること
- その家屋の延床面積が50m2以上であること
- マンションなどの区分所有建物については、建築基準法上の耐火または準耐火建築物であること
- 店舗などを含む併用住宅については、居宅部分の床面積が建物全体の90%を超えていること
- 個人が新築した注文住宅の場合
-
- 新築されてから1年以内の申請であること
- 建築後使用されたことのない建売住宅・マンションの場合
-
- 新築されてから1年以内の申請であること
- 未使用の家屋であること
- 建築後使用されたことのある中古住宅の場合(特定の増改築等がされた家屋を宅地建物取引業者から取得した場合以外)
-
- 売買や競売によって中古住宅を手に入れていること
- 取得してから1年以内の申請であること
- 建築されてからの経過年数が、木造の場合は20年、家屋登記簿上の構造が鉄骨、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート、コンクリート、石、れんが及びコンクリートブロック造の家屋については25年以内である又は、耐震基準適合証明書があること
- 建築後使用されたことのある中古住宅の場合(特定の増改築等がされた家屋を宅地建物取引業者から取得した場合)
-
- 宅地建物取引業者から取得した家屋であること
- 取得してから1年以内の申請であること
- 建築されてからの経過年数が、木造の場合は20年、家屋登記簿上の構造が鉄骨、鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート、コンクリート、石、れんが及びコンクリートブロック造の家屋については25年以内である又は、耐震基準適合証明書があること
- 取得時において建築後10年を経過した家屋であること
- 工事費用総額が300万円以上または当該家屋の売買価格に占める工事費用総額の割合が20%以上であること
- 次の(1)・(2)いずれかの用件に該当する工事を行うこと
- (1)
-
次の「ア」から「カ」までの工事を行い,工事費用の総額が100万円を超えること。
工事の内容 ア 増築、改築、大規模の修繕又は、模様替 イ マンションの場合は、次の(ア)から(ウ)のいずれかについての修繕又は、模様替 (ア) 床または階段の過半について行う修繕または模様替 (イ) 間仕切壁の室内に面する部分の過半について行う修繕または模様替 (ウ) 主要構造部である壁の室内に面する部分の過半について行う修繕または模様替 ウ 家屋(居室・調理室・浴室・便所・洗面所・納戸・玄関・廊下)のいずれか1室の床または壁の全部について行う修繕または模様替 エ 耐震改修工事(一定の耐震基準に適合させるための修繕又は、模様替) オ バリアフリー改修工事(高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための修繕又は、模様替) カ 省エネ改修工事(エネルギーの使用の合理化に資する修繕又は、模様替) キ 給排水管・雨水の侵入を防止する部分に係る修繕又は、模様替 - (2)
- 上記「エ」から「キ」までのいずれかに該当する工事を行い、工事費用が単独で50万円を超えること。
- なお、「キ」に該当する場合は、工事費用が50万円を超えることに加え、給水管・排水管または雨水の侵入を防止する部分の瑕疵を担保する既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約を締結していること。
お持ちの不動産の状況に該当する適用要件を満たしている場合には、お住いの地域の役場で、住宅用家屋証明書の交付申請を行います。
住宅用家屋証明書の交付を申請する際に必要となる書類などにつきましては、次の項目でご説明致します。
証明書の交付に必要となる書類
住宅用家屋証明書の交付を受けるためには、交付申請時に様々な書類を併せて提出する必要があります。
必要書類は、不動産の登記に必要な書類と同じものも多いですので、準備にそれ程手間が掛からない場合も多いです。
住宅用家屋証明書の交付申請時の必要書類につきましては、主に下記のようになりますので、状況に応じて必要な書面をご準備ください。
なお、下記の書類は、それぞれの市区町村で異なる可能性もありますので、事前にお住いの地域の役場でご確認ください。
- 共通書類
-
- 手続きを行う方の身分証明書(運転免許証、健康保険証、国家資格証、補助者証など)
- 2部の住宅用家屋証明申請書
- 手続きを行う方の住民票(住民票をまだ新住所へ変更していない場合は、居住申立書及び添付書類も必要です)
- 住民票は、写しを提出しても問題ありません(多くの場合、申請後に返却がされます)。
- 個人が新築した注文住宅の場合
-
- 次の(1)~(3)のいずれか
- 登記完了証(電子申請)
- 登記完了証(書面申請) + 登記申請書の写し
- 登記(全部)事項証明書
- 建築確認済証(間取りがわかる図面添付)
- 特定認定長期優良住宅又は、認定低炭素住宅の場合は、認定申請書の副本及び認定通知書
- 上記書類は、確認後返却がされる場合が多いです(申請時、1から2までの書類は写しを提出しても問題ありませんが、3のみは原本が必要です)。
- 次の(1)~(3)のいずれか
- 建築後使用されたことのない建売住宅・マンションの場合
-
- 家屋未使用証明書
- 次の(1)~(3)のいずれか
- 登記完了証(電子申請)
- 登記完了証(書面申請) + 登記申請書の写し
- 登記(全部)事項証明書
- 建築確認済証(間取りがわかる図面添付)
- 原因証書(売買契約書、売渡・譲渡証書、登記原因証明情報など)
- 特定認定長期優良住宅又は、認定低炭素住宅の場合は、認定申請書の副本及び認定通知書
- 上記の2から5は、確認後返却がされる場合が多いです(申請時、2から4までの書類は写しを提出しても問題ありませんが、5のみは原本が必要です)。
- 建築後使用されたことのある中古住宅の場合(特定の増改築等がされた家屋を宅地建物取引業者から取得した場合以外)
-
- 登記簿(全部)事項証明書(登記簿謄本)
- 原因証書(売買の場合は、売買契約書、売渡・譲渡証書、登記原因証明情報が、競売の場合は、代金納付期限通知書及び領収書)
- 上記の書類は、確認後返却がされる場合が多いです(申請時は、上記書類の写しを提出しても問題ありません)。
- 建築後使用されたことのある中古住宅の場合(特定の増改築等がされた家屋を宅地建物取引業者から取得した場合)
-
- 登記簿の全部事項証明書(登記簿謄本)
- 売買価格が記載された原因証書(売買契約書、売渡・譲渡証書、登記原因証明情報など)
- 増改築等工事証明書
- 既存住宅瑕疵担保責任契約書(給水管・排水管又は、雨水の侵入防止工事を行った場合のみ)
- 上記の書類は、確認後返却がされる場合が多いです(申請時は、上記書類の写しを提出しても問題ありません)。
「住宅用家屋証明申請書」は、お住いの地域の市区町村のホームページよりダウンロードができます。
申請書には必要事項の記載が必要ですが、多くの場合、記載に困るような個所はありませんので、内容に沿って記載を行っていきます。
これらの書類の準備が終わりましたら、お住いの地域の役場に対して、実際に住宅用家屋証明書の交付申請を行います。
実際の申請方法につきましては、次の項目でご説明致します。
証明書の交付申請方法と費用
住宅用家屋証明書の交付申請に必要な書類の準備が終わりましたら、その書類をお住いの地域の役場に持参する又は、郵送により送付します。
郵送により住宅用家屋証明書の申請を行う際には、用意をした書類に加え「郵便請求の申請書」などが必要となる市区町村もあります。
郵便請求の申請書は、お住いの地域の市区町村のホームページからダウンロードを行えます。
郵送請求に必要な書類の準備ができましたら、全ての書類を封筒に入れ、切手を貼り付けた返信用封筒を同封しておきます。
各書類に不備が無く、不動産が要件を満たしている場合には、役所で証明書の交付申請が受理されます。
万が一、書類に不備があるなどには、役所からその旨が知らされますので、その不備を改善した上で再度申請を行います。
なお、住宅用家屋証明書は、通常は「1通につき1,000円~1,300円」程度の交付手数料が必要となります。
交付手数料は、役所内の指定金融機関に入金するなどといった納付方法となりますので、各市区町村の役場に従って納付をしてください。
これら一連の手続きが終わりましたら、住宅用家屋証明書の取得が完了します。
後は、所有権保存登記を行う際に、他の必要書類と一緒に法務局へ提出することで、登録免許税の軽減措置を受けられます。
建物表題登記に必要な費用
建物表題登記を行う際には、様々な費用が必要となる可能性があります。
その影響で、事前に必要な費用を把握しておきますと、後にスムーズに登記の準備を行いやすくなります。
なお、登記を土地家屋調査士の方に委任する場合と、ご自身で登記申請を行う場合でも必要な費用は異なります。
登記を委任する際には、通常はご自身で登記を行う場合よりも高額な費用が必要となるのが一般的です。
建物表題登記に必要な費用は、それぞれの方の状況により変わりますので、一概に何円といった決まりはありません。
状況が複雑な不動産などの場合は、その分必要な費用なども多くなりやすくなります。
この項目では、このような建物表題登記に必要となる可能性のある費用についてご説明致します。
建物表題登記を委任する際の費用
建物表題登記を行う際には、高額な費用が必要となるケースも珍しくありません。
特に、登記を土地家屋調査士の方に委任する際には、必要な費用が万単位で多くなる可能性もあります。
通常、建物表題登記などを土地家屋調査士の方に委任しますと、後に報酬と状況に応じた実費などの支払いが必要となります。
必要となる報酬は、それぞれの土地家屋調査士の方で異なりますので、正確な金額は実際に尋ねてみるしかありません。
なお、土地家屋調査士の方の報酬目安につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「登記の代理申請時の報酬目安」の項目をご覧ください。
上記のリンク先を確認しますと、「日本土地家屋調査士会連合会が「平成25年8月1日」に行ったアンケートによる報酬の平均額」は、
住居・車庫の建物表題(表示)登記が「83,647円」
店舗・事務所・共同住宅の建物表題(表示)登記が「183,093円」
となっております。
これらに書類取得時の実費などが加算された金額が、最終的に土地家屋調査士の方に支払う金額となります。
最終的な合計金額は「10万円前後~20万円前後」となる場合が多いようですので、状況に応じて必要費用を工面しておくようにしてください。
なお、これらの金額はあくまで目安ですので、実際の金額は土地家屋調査士の方にご相談ください。
建物表題登記をご自身で行う際の費用
建物表題登記を個人で行う際には、登記を委任した際よりも大幅に必要費用を削減できる可能性があります。
建物表題登記を行う際に必要となる書類は、同ページの「不動産の表題登記の必要書類」に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
これらの書類のうち、
「建物の所在の案内図」、
「建物図面・各階平面図」、
「建物表題登記申請書」
には、取得費用などは掛かりません。
また、
「建築確認申請書」、
「建築確認済証」、
「建築検査済証」、
「引渡証明証又は、建築確認完了検査済証」
などにつきましても、当時不動産を取得した際に受け取り保管していらっしゃる場合には、これらの取得も必要ありません。
万が一、これらの書類を紛失していらっしゃる場合には、当時の施工会社などに問い合わせますと、手に入る場合もあります。
ただ、建築基準法に基づき交付される「確認済証」や「検査済証」については、一度交付がされると再交付ができないのが一般的です。
その影響で、これらの書類を紛失してしまった際には、各市区町村役場で、「建築確認申請台帳記載事項証明」という書類を発行して貰う必要があります。
建築確認申請台帳記載事項証明がありますと、その建物が建築確認済であり、検査済であるとの証明ができます。
建築確認申請台帳記載事項証明は、「建築確認申請台帳記載事項証明の申請書」を各市区町村のホームページからダウンロードする又は、窓口で貰った後、必要事項を記入し提出するだけで交付申請ができます。
その際には、交付手数料が「200円~300円」程度掛かりますので、お住いの地域の手数料をご確認ください。
これらの書類の他には、
「施工会社の代表者事項証明書」、
「施工会社の印鑑証明証」
を施工会社から受け取る必要があります。
施工会社にこれらの交付を相談しますと、会社に対して、各書類の申請時に必要となる取得手数料などの支払いが必要となる場合もあります。
これらの取得費用につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「登記の代理申請時の報酬目安」の項目をご覧ください。
上記のリンク先を確認しますと、
「施工会社の代表者事項証明書」に対して「600円」、
「施工会社の印鑑証明証」に対して「450円」
の取得手数料が掛かるということが分かります。
また、
「登記申請者の印鑑証明書」や
「登記申請者の住民票」
は登記申請者の方がご自身で取得する必要がありますので、それぞれ取得を行ってください。
この場合、
「印鑑証明書」には「1通300円~400円程度」
「住民票」には「1通200円~500円程度」
の取得費用が掛かります。
こうして必要書類の準備が終わりましたら、それらを取得する際に掛かった各費用を全て合計した金額が、個人で建物表題登記を行うために必要となる金額です。
建物表題登記の費用の計算例
建物表題登記を土地家屋調査士の方に委任しますと、必要費用の計算は委任した土地家屋調査士の方が行ってくださいます。
一方、ご自身で建物表題登記を行う際には、登記を行う方が必要費用の計算を行わなくてはなりません。
建物表題登記を行う際の費用は、取得が必要な書類の種類や数により異なります。
例えば、ほぼ全ての書類が無く、別途取得を行う際には、下記のような費用が必要となる可能性があります。
必要書類 | 取得費用 |
---|---|
建築確認申請書 | 0円
(施工会社によります)
|
建築確認済証 | 200円~300円程度 |
建築検査済証 | |
引渡証明証又は建築確認完了検査済証 | |
施工会社の代表者事項証明書 | 600円 |
施工会社の印鑑証明証 | 450円 |
登記申請者の印鑑証明書 | 300円~400円程度 |
登記申請者の住民票 | 200円~500円程度 |
建物の所在の案内図 | 0円 |
建物図面・各階平面図 | 0円 |
建物表題登記申請書 | 0円 |
上記の金額を全て合計しますと、大体、「1,700円~2,250円」程度の費用が必要ということになります。
建物表題登記には、登録免許税は掛かりませんので、実質上書類の取得費用のみが、最終的に必要となる登記費用となります。
なお、今回計算をした費用は、あくまで目安であり、実際には全く異なる計算となる場合もあります。
正確な金額は、実際にご自身が取得する書類をご確認の上、お住いの地域の市区町村役場にご相談ください。
所有権保存登記に必要な費用
不動産の所有権保存登記では、必要書類などが建物表題登記と比べて少なくなります。
登記申請に対して、各図面の作成なども必要ありませんので、登記申請を委任する際には、司法書士の方にお願いをするのが一般的です。
その際には、司法書士の方に対して報酬や実費の支払いなどが必要となります。
なお、ご自身で所有権保存登記を行う場合には、建物表題登記と同様、書類の取得費用など以外の費用は掛かりません。
ただ、所有権保存登記には登録免許税の納付が義務付けられておりますので、申請の際にはその費用も追加されます。
この項目では、このような所有権保存登記に必要となる可能性のある費用についてご説明致します。
所有権保存登記を委任する際の費用
所有権保存登記を行う際には、司法書士の方などに登記の委任をお願いできます。
司法書士の方に登記の委任を依頼した際には、後に報酬や実費などの支払いが必要です。
その際に必要となる報酬は、それぞれの司法書士の方で異なり、正確な金額は実際に尋ねてみるまで分かりません。
一応、「日本司法書士会連合会が「平成25年2月」に行ったアンケート」による目安はありますが、これらも全ての司法書士の方に当てはまる訳ではありません。
日本司法書士会連合会が「平成25年2月」に行ったアンケートによる報酬の平均額につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「登記の代理申請時の報酬目安」の項目をご覧ください。
上記のリンク先を確認しますと、「日本司法書士会連合会が「平成25年2月」に行ったアンケートによる報酬の平均額」は、
所有権保存登記が「22,806円」
となります。
これらに書類取得時の実費が加算された金額が、司法書士の方に支払いが必要な金額です。
更に、所有権保存登記には登録免許税が掛かり、その税率は
軽減税率適用前が「市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格 × 4/1000」
軽減税率適用後が「市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格 × 1/1000」
となります。
その影響で、司法書士の方に所有権保存登記を委任した際には、
「2万円前後~3万円前後」の報酬と、
不動産に応じた登録免許税
を合計した金額が、後に支払いが必要な費用合計となります。
なお、この金額はあくまで目安ですので、実際の金額は司法書士の方にご相談ください。
所有権保存登記をご自身で行う際の費用
個人で登記を行う際には、司法書士の方へ報酬の支払いなどを行う必要はありません。
その影響で、必要となるのは所有権保存登記に必要な書類を取得するために要した費用と、登録免許税のみとなります。
所有権保存登記を行う際に必要となる書類は、同ページの「不動産の保存登記の必要書類」に記載しておりますので、お手数をお掛け致しますが、そちらをご覧ください。
これらの書類のうち、
「住宅用家屋証明書」
は、適用要件を満たしている不動産のみが取得できます。
以前に証明書を取得していらっしゃる場合には、その書類を準備しておきます。
なお、所有権保存登記を行う際に、初めて住宅用家屋証明書を取得する場合には、
「1件につき1000円~1300円前後」
の交付手数料が掛かります。
また、「登記申請者の住民票」などの取得も必要ですので、登記申請者の方がご自身で書類を取得しておきます。
(建物表題登記の際に取得していらっしゃる場合には、その際に取得した書類で代用ができます)
住民票の取得費用につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「登記の代理申請時の報酬目安」の項目をご覧ください。
上記のリンクを確認しますと、
「登記申請者の住民票」は「1通200円~500円程度」
で取得ができるということになります。
なお、「所有権保存登記申請書」に取得費用は掛かりません。
これらの書類取得費用に、
「市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格 × 4/1000」(軽減税率適用前)、
「市区町村役場で管理している固定資産課税台帳の価格 × 1/1000」(軽減税率適用後)
のいずれかの登録免許税を追加した金額が、ご自身で所有権保存登記を行う際に必要となる費用の合計です。
所有権保存登記の費用の計算例
所有権保存登記を司法書士の方に委任する場合は、必要費用の計算は委任した司法書士の方が行ってくださいます。
一方、ご自身で所有権保存登記を行う際には、登記を行う方が必要費用の計算を行わなくてはなりません。
所有権保存登記を行う際の費用は、必要となる書類の取得費用や登録免許税の金額により大きく異なるのが通常です。
例えば、固定資産課税台帳の価格が「3,000万円」の不動産に対し所有権保存登記を行う際に、
ほぼ全ての書類が無い場合には、下記のような費用が必要となる可能性があります。
必要書類 | 取得場所 |
---|---|
住宅用家屋証明書
(要件を満たしている場合)
|
1,000円~1,300円前後 |
登記申請者の住民票 | 200円~500円程度 |
所有権保存登記申請書 | 0円 |
上記の金額を全て合計しますと、大体、「1,200円~1,800円」程度の費用が必要ということになります。
更に、所有権保存登記には登録免許税が掛かりますので、その分の費用も上記の金額に追加しなくてはなりません。
今回は、固定資産課税台帳の価格が「3,000万円」の不動産に対して、住宅用家屋証明書の取得をした状態で登記を行いますので、軽減税率が適用された状態の税率となります。
計算式:3,000万円 × 1/1000 = 3万円
上記の計算式から、今回必要な登録免許税は「3万円」となります。
この「3万円」と登記に必要な書類の取得費用である「1,200円~1,800円」を合計しますと、
今回の所有権保存登記に必要となる費用は「31,200円~31,800円」となります。
なお、今回計算をした費用は、あくまで目安であり、実際には全く異なる計算となる場合もあります。
正確な金額は、実際にご自身が取得する書類をご確認の上、お住いの地域の市区町村役場にご相談ください。
まとめ
不動産に対して表題登記や所有権保存登記がされていない場合、その不動産は未登記となります。
未登記不動産を売買する際には、様々なトラブルが起こる可能性があるため注意が必要です。
特に、個人間売買により未登記不動産を売買する際には、登記の状況などをしっかりと確認しておく必要があります。
なお、未登記不動産の所有権を第三者に公示するためには、不動産の表題登記を行った後に所有権保存登記を行わなくてはなりません。
その影響で、未登記不動産を売買する際には、売主の方が事前に表題登記と所有権保存登記を行った上で取引を行うケースが多いです。
中には、実際に不動産の売買を行った後に、買主の方が表題登記と所有家保存登記を行う場合もあります。
また、状況によっては、売主の方も買主の方も不動産の登記を行わないといった方法を採る場合もありますが、
なるべくはどちらかが登記を行った上で取引を行うのが無難です。
不動産の表題登記と所有権保存登記は、専門の方に登記を委任する又は、ご自身で申請しますと手続きが開始されます。
建物表題登記は「土地家屋調査士の方」に、所有家保存登記は「司法書士の方」に委任の依頼をするのが一般的です。
ご自身で各登記を行う際には、必要図面などの作成もご自身で行わなくてはなりません。
更に、登記に必要となる書類の収集もご自身で行う必要がありますので、準備だけで想像以上の時間が掛かってしまう場合もあります。
専門の方に登記を依頼した際には、取引までに登記を完了できないケースは極稀ですが、
ご自身で登記を行う際には、状況によって想定外の問題が起こってしてしまうケースもあります。
未登記不動産に対して、ご自身で登記を行う際には、時間に余裕を持って準備を始めておくと安心です。
不動産の表題登記と所有権保存登記は、不動産の売れやすさなどにも影響が出る可能性がありますので、事前に適切な対処を採った上で取引に臨むようにしてください。