所有している不動産を売却する際に知っておきたい基礎知識
2017/02/03
不動産売却を行う際には、事前に様々な準備をしておく必要があります。
近年は、インターネットの普及により、多くの不動産会社に一括査定を申し込めるようなサービスも増えてきております。
このサービスのお陰で、以前よりも迅速に、尚且つすぐに査定価格を比較できるようになりました。
依頼先の選択肢が増えたということは、選択の際の判断が難しくなったということでもあります。
効果的に不動産売却を行うためには、ある程度ご自身でそれらに関する知識を身に付けておくことが大切です。
このページでは、こういった不動産売却に関する基礎知識などを記載していきます。
まずは、不動産を売却するまでの大まかな流れについてご説明致しますので、不動産売却をお考えの方は確認をしてみてください。
目次
不動産を売却するまでの流れ
不動産を売却する際には、売主の方の選択する売却方法によって、手順が少々異なってきます。
例えば、不動産を個人売買したい場合と、売買仲介を選択する場合などがその例です。
ご自身が行いたい売却方法の手順をきちんと確認しておくことが大切です。
この項目では、これら不動産売却の主な手順について記載をしていきます。
不動産売却を行う際の手順
不動産の売却は、そう経験することではないため、なかなか手順が分かりにくいものです。
何も知らない状態のまま、不動産を売却したという方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、この場合、将来的にもっと良い条件で売却ができた、と後悔をしてしまうことになってしまう可能性が高くなります。
やはり、満足のいく売買を行うためには、まず不動産売却の大まかな手順を知り、不動産売却に関する知識をある程度身に付けておくことが大切です。
そのための第一歩として、ご自身が行いたい売買方法を明確にし、その際の手順について考えてみる必要があります。
なお、個人売買と売買仲介のどちらが良いかお悩みの方は、下記項目の「不動産の売却方法による相違点」にそれぞれの情報を記載しております。
売却方法が決まりましたら、下記を確認し、必要なものを揃えていってください。
なお、仲介売買を選択した場合には、仲介先の不動産会社などが、これらのいくつかの書類を準備してくださる場合もあります。
- 土地、建物の登記事項証明書(登記簿)
- 登記事項証明書(登記簿)とは、不動産の所有者や権利に関するあらゆる事項を確認することができる書面です。
- これらは、法務局で取得をすることができます。
- 不動産売買において、登記事項証明書(登記簿)は、ほぼ必須といっても過言ではないため、準備をしておくことが重要です。
- 公図
- 公図は、不動産の境界などが記載されている図面であり、法務局で取得をすることができます。
- 公図に記載がされている境界には、正確さが欠ける場合もありますが、不動産売買において、公図の提示が必要となることは少なくありません。
- そのため、事前に準備をしておくことが大切です。
- 土地、建物登記済権利書又は登記識別情報(権利書)
- これらは、法務局から登記名義人に交付される書類であり、登記名義人がその物件の所有者であることを証明する書類です。
- 売却する物件が平成17年以降に取得したものである場合には、「登記済権利書」ではなく、「登記識別情報」が発行されているケースもあります。
- そのため、「登記済権利書」と「登記識別情報」のどちらかを準備しておきます。
- 実印
- 売主が本人であるかを確認したり、各種書類などに押印をしたりする際に使用します。
- この場合、シャチハタなどでは証明にならない場合が多いため、きちんと実印を準備しておく必要があります。
- 印鑑証明書(3ヶ月以内発行のもの)
- 印影という「捺印された印の跡」が、実印と同様であることを証明する書面です。
- まだ交付を受けていない方は、印鑑登録などが必要になります。
- この場合、市区町村役場窓口の備え付けの申請書に必要事項を記入し、各種手続きをすることで登録ができますので、お住いの地域の発行方法に従い申請を行ってください。
- 印鑑証明書の方は、各市区町村の役所や証明書発行センターなどで発行して貰えます。
- なお、法人の印鑑証明書は法務局での申請となりますのでご注意ください。
- 住民票
- 売主の方の現住所と、登記上の住所が異なる場合に必要になります。
- なお、売主の方が新しい住居に住民票を移す際には、引越しから14日以内に行わないと法律違反となってしまいますのでご注意ください。
- 住民票を新しい住所に移す作業は、不動産の売却が完了していなくても行うことができますが、印鑑登録が自動的に抹消されてしまいます。
- そのため、売却前に住民票を移す場合には、旧住所の印鑑証明書を取得しておき、それから3ヶ月以内に不動産売却ができるかを確認してから行うと安心です。
- 身分証明
- 不動産売却を行う際には、本人と確認できる身分証明書を準備しておく必要があります。
- これは、免許証やパスポートなどで問題ありませんので、各自準備できるものをご確認ください。
- なお、免許証やパスポートなどをお持ちでない方は、保険証など、その他の本人を確認できる書類などで代用ができる場合もあります。
- 固定資産税納税通知書及び固定資産税評価証明書
- 固定資産税の納税額の確認のために必要になります。
- 他にも、所有権移転登記などを行うために必要な登録免許税の算出の際にも必要となりますので、不動産売買時には準備をしておくようにしてください。
- 建築確認済証及び検査済証・建築設計図書・工事記録書など
- 一戸建の売買の際には、建築確認済証や検査済証などを提示することにより、その物件が建築基準法に従って建築されていることを証明できます。
- これらは、現地で行われる検査で各基準を満たしていれば発行されているのが一般的です。
- なお、建築設計図書や工事記録書などは、法的手続きに関する書類ではありませんが、準備をしておくことで買主の方へ適切な情報提供が行えます。
- 前面道路の登記簿謄本実測図、建築図面、建築協定書など
- 前面道路の登記簿謄本実測図、建築図面、建築協定書などがある場合には、きちんと準備をしておくと、買主の方へ情報の提供がしやすくなります。
- 特に、建築協定書などがある場合には、買主の方にそのことを伝えておかないと、後にトラブルが起こってしまう可能性があります。
- 付帯設備表・物件状況報告書や告知書(付帯設備表及び物件状況報告書)
- 中古戸建・中古マンションの売買時には、付帯設備表・物件状況報告書や告知書(付帯設備表及び物件状況報告書)などの書類が重要視されることも少なくありません。
- これらの書類を揃えておくことで、実際に売買を行った後のトラブルを防止しやすくなります。
- これらは、売買時の必須書類ではありませんが、準備をしておくことによってスムーズに取引を行いやすくなりますので、なるべく作成などを行っておくことが大切です。
- 売買契約書貼付印紙
- 売買契約書などの課税文書には、その金額に応じた「収入印紙」というものを貼付しなくてはいけません。
- 収入印紙は、郵便局や法務局(登記所)、「収入印紙売りさばき所」などで購入をすることができますので、各自契約金額をご確認の上、収入印紙を購入しておいてください。
- なお、必要な収入印紙の額につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「必要になる印紙税額について」の項目をご覧ください。
- 土地測量図・境界確認書
- 不動産売買において、買主の方から確認を求められる可能性が高い書類です。
- やはり、境界線が明確でないと、購入後に買主の方が近隣トラブルなどに巻き込まれてしまう可能性が高まります。
- そのため、境界線が未確認である場合には、境界確定などを行い、正確な測量図を作成しておくことが大切です。
- 管理費・修繕積立金・管理組合費・町内会費などマンションの維持費などの書類(マンションの管理規約又は使用細則など)
- マンションなどの売却をお考えの方は、これらの書類を準備しておくようにしてください。
- やはり、マンションの維持管理の詳細、動物を部屋に入れても良いのかなどといった決まりは、買主の方にとって非常に重要なことです。
- これらの規定を知らずに、マンションの売買契約を行ってしまうと、後にトラブルのもとになってしまいかねません。
- そのため、これらの書類は、売買契約時以前のタイミングで提示をすることが望ましいです。
- 耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等など
- 昭和56年6月1日(建築基準法にもとづく耐震基準)以前の物件や、アスベスト(石綿)が使用されている可能性のある物件を売却する際には、耐震診断報告書やアスベスト(石綿)使用調査報告書などの提示を求められることがあります。
- これらの書類は、売却に必須という訳ではありませんが、やはり、準備をしておいたほうがトラブル回避に効果的です。
- 建築制限に関する情報や書類(用途地域、建ぺい率や容積率など)
- 売却不動産に、建築制限などがある場合には、それらに関する情報や書類も必要な場合があります。
- また建ぺい率や容積率などの情報を提示する際にも、こういった情報は重要になってきます。
- これらの資料は、市役所などで取得をすることができるため、事前に準備をしておくと安心です。
- 公営、市営などの上下水道の引込情報
- 不動産を売却する際には、ライフラインに関する情報の提示も必要です。
- そのため、現在使用している水道が、どういった状態であるのかを確認しておくことも重要です。
- こういった情報は、水道局などで得ることができますので、不動産売却の際には、確認をしておくようにしてください。
- 都市ガス、LPガスなどのガスの情報
- こちらも、上下水管と同様に、その使用環境が重要になってきます。
- やはり、こういったライフライン関係は、後の買主の方の生活にも大きな影響がある場合が殆どです。
- そのため、現在使用中のガスの状況についても、事前にガス会社などに確認を取っておくと安心です。
- 公道、私道、幅員などの前面道路の情報
- 不動産に面している道路の詳細は、売買時に重要な要素となってくることも少なくありません。
- そのため、事前に不動産に面している道路などに関する情報を土木事務所や市役所、周辺住民に確認をしておくことが大切です。
- 借地権などの証明書
- 借地権の土地を売却する場合には、売却時に地権者の許可を取る必要がある場合も多いです。
- そのため、そういった権利関係などを買主の方に伝えるためにも、こういった書類を準備しておくようにしてください。
- ローン残高証明書又はローン返済予定表
- 住宅ローンを利用中の方は、これらの書類を準備する必要があります。
- なお、不動産売買時には、こういった抵当権を解除しておくことが原則です。
- 購入時の契約書やパンフレット・広告資料など
- 不動産を購入した際の販売資料などがあれば、それぞれ準備をしておくと、買主の方に不動産の説明を行いやすくなります。
- これらの資料は、必ず準備が必要である訳ではありませんが、準備ができる方は確認してみてください。
- 銀行口座書類
- 不動産売買は、金銭の動きが大きいため、現金で取引を行うことはあまりありません。
- 通常は、銀行振り込みなどにより代金が支払われることが殆どです。
- そのため、売主の方は、買主の方が振り込みを行うための銀行口座に関する書類を準備しておく必要があります。
- その他の書類
- 上記以外にも、不動産売買に必要なものがあれば準備を行っておきます(地盤調査報告書・住宅性能評価書・既存住宅性能評価書など)。
- 更に、不動産売買に係る特例や特別控除などを受ける際には、それらに必要な書類も準備をしておくことが大切です。
なお、特例などを適用する予定の方は、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事にあります「確定申告の必要書類を準備」の項目も併せてご覧ください。
これらの確認が終わりましたら、次は、不動産売却の手順をチェックしていきます。
【不動産売却を行う際の主な手順】
- 不動産の売却目的や条件などを整理する
- 実際に不動産の販売活動を行う
- 売主の方と買主の方で売買契約を結ぶ
- 売買契約を結んだ買主の方に不動産を引き渡し、その分の代金を貰う
なお、これらは主な手順となりますので、実際は少々異なっていることもあります。
また、上記の手順に関しては下の各項目で補足をしておりますので、必要なものをご覧ください。
以上が、不動産売却の際の主な手順の説明になります。
次は、不動産売却をスムーズに行うために、売買時によく耳にする「言葉」について簡単にご説明致します。
曖昧になりやすい言葉について
不動産を売却するとなると、不動産に関した言葉を色々と聞くことがあります。
そのため、やはりある程度は、こういった「不動産売却に関する言葉」などを知っておかなくては、取引の際に戸惑ってしまうことになりかねません。
下記は、そういった言葉の一例を書き出したものですので、必要な方はご覧ください。
「不動産・敷地・建物・道路の違い」
これは、どれもよく聞く言葉なのですが、それぞれの違いとなると曖昧になってしまいがちです。
まず、「不動産」とは土地・建物両方のことを指します。
その中で、「道路」に2m以上接しており建物を建てる土地のことを「敷地」、土地に定着していて屋根や柱・壁があり、電気・ガス・水道などの施設があるものを「建物」と言います。
なお、「道路」とは、一般的に幅が4m以上あり、国や地方自治体が「道路である」としたもののことです。
「筆」
不動産に関する登記や測量などを行う場合、この筆という言葉を聞くことも多いかもしれません。
これは、土地を数える際に使用する言葉で、土地が1つである場合には、「1筆(いっぴつ)」と数えます。
更に、1つの土地を複数の土地に分けることを「分筆」、複数の土地を1つにまとめることを「合筆」と言います。
「更地と底地の違い」
更地とは、建物が建っておらず、所有者が自由に使用目的を決めることができる状態のものを指します。
一方、底地とは、土地の所有者が第三者に対してその土地を使用する権利を与えており、所有者自身が直接使えない状態のものを指します。
「指定流通機構(レインズ)」
宅地建物取引業法に基づき、国土交通大臣が指定した不動産流通機構のことです。
このシステムに、不動産会社などが物件情報を登録することで、全国にその情報を発信することができます。
現在、全国に、東日本、中部圏、近畿圏、西日本の4法人が設立されており、それぞれの地域の不動産情報の交換業務などを行っております。
「建ぺい率」
建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建坪)の割合のことです。
この建ぺい率の数値は、不動産の価格にも影響することが多いため、一度、お住いの地域の割合を確認してくようにしてください。
なお、建ぺい率の異なる区域に土地がまたがる場合には、区域ごとの建築面積の限度をそれぞれ合計して計算していきます。
その数値のことを「加重平均」と言います。
例えば、130m²の土地があり、100m²が50%、30m²が70%の区域にまたがってしまう場合の計算方法は下記のようになります。
100m²×50%=50m²
30m²×70%=21m²
これらを合計すると、71m²
この合計である71m²から、本来の土地の面積である130m²を割ると、
71²÷130m²=0.54615……
これらのことから、加重平均は「54.62%」となります(小数点以下第5位を四捨五入)。
「建築面積(建坪)」
建ぺい率の対象となる建築面積(建坪)は、建物を真上から見た水平投影面積となります。
そのため、構造的に一定ではなく、1階、2階などが左右上下にそれぞれ飛び出ている場合には、上から見た形で面積を測ってください。
一般的に、住宅の軒や庇・地階などは、1mを超えている分だけを面積に算入します。
「手付金」
手付金とは、契約締結の日以降、買主の方から売主の方へ支払われる金銭で、後に売買代金に充当されます。
手付金には、一般的に「証約手付」、「解約手付」、「違約手付」の3種類があります。
「手付金等の保全措置」
買主の方が手付金を支払った後に、売主の方が倒産をしてしまった場合や、夜逃げして引き渡しがされなかった場合に、支払った手付金などを返還して貰える措置のことです。
なお、これは「売主」が「宅建業者」で、「買主」が「個人」である場合のみの措置となりますのでご注意ください。
以上が、売買時に曖昧になりやすい言葉の説明の一例になります。
もちろん、これら以外にも、曖昧になりそうな言葉などは事前にきちんと調べておくようすることが大切です。
次の項目では、不動産売買を行う際には確認をしておきたい「瑕疵担保責任」についご説明致します。
売買時の瑕疵担保責任について
よく、不動産売買を行う際には、「瑕疵担保責任」を確認しておいたほうが良いといったようなことを聞きます。
しかし、名前は知っているけれど、実際にはどういったものなのか分からないという方も多いかもしれません。
そこで、この項目では、この瑕疵担保責任について説明を行っていきます。
まず、瑕疵担保責任とは、売買契約の目的物(不動産など)に、購入した時点に発覚していなかった「隠れた欠陥(瑕疵)」があった場合に、売主の方が買主の方に対して負う担保責任のことです。
【主な瑕疵担保責任の例】
- 建物などが雨漏りし始めた場合
- 建物にシロアリがいた場合
- 建物の見えない部分などに腐食があった場合
- 給排水管などの不具合があった場合
- 土地などに隠れた瑕疵があった場合
民法で規定をされている瑕疵担保責任の内容は下記のようになります。
売主の方の責任……通常の注意を払っていても分からなかった欠陥があった場合(無過失責任)
買主の方が請求できる内容……契約の解除・損害賠償請求
売主の方が責任を負う期間……宅地建物取引業者の場合は「2年以上」、新築住宅の場合は、主要構造などにつき「10年」
買主の方が責任を追及できる期間……買主の方が「瑕疵を発見した日」から1年以内
そのため、売主の方は、売却後に負う瑕疵担保責任の内容について、きちんと提示をしておくことが大切です。
瑕疵担保責任は、「責任を負う期間を限定する」又は「免責」にすることもできますので、売却の際には確認をしてみてください。
とはいえ、瑕疵担保責任を免責としてしまった場合には、やはり買主の方が見つかりにくくなってしまう可能性があります。
そのため、それぞれのバランスを見ながら、瑕疵担保責任の内容について決めていくことが大切です。
なお、瑕疵担保責任の期間内・期間外の責任については、下記の図をご覧ください。
以上が、瑕疵担保責任の説明になります。
次の項目では、不動産の売買方法の種類とその特徴について記載を行っていきますので、売買方法の選択でお悩みの方は、参考にしてみてください。
不動産の売却方法による相違点
不動産を売買する場合、どういった売買方法を望むのかによって、手間や作業・売れやすさなどが変わってきます。
そのため、個人売買・売買仲介・買取の中から、状況に合ったものを選択することが大切です。
この項目では、こういった不動産の売却方法に関する情報を簡易的に記載しておりますので、それぞれの特徴を比較してみてください。
なお、詳しい不動産の売却方法の違いにつきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産の売却時に選択をできる二種類の方法とそれぞれの特徴」の記事にあります「不動産の売却方法について」の項目をご覧ください。
個人売買のメリットとデメリット
不動産を売却する際には、個人売買を選択することにより、効果的に売却ができる場合があります。
まず、個人売買のメリットとしては、不動産会社に仲介を依頼しないため、仲介手数料を支払う必要がないということが挙げられます。
更に、個人が「事業と関係のない建物」を売却した場合、消費税が掛かりません。
(土地の売買は、原則非課税です)
そのため、販売価格をその分安くすることができますので、買主の方の値引き交渉にも対応がしやすくなります。
他にも、個人売買では、売主の方と買主の方がじっくり話し合える機会が多いため、お互いに納得した上で売買を行える可能性が高まります。
(特に、買主の方が知り合いである場合には、取引がスムーズに進むことが多いです)
以上が、個人売買を選択した場合の主なメリットになります。
では、反対に個人売買を選択した際のデメリットには、どういったものがあるのでしょうか?
まず、挙げられるデメリットとしては、不動産の情報を公開する場が限られてしまうということが挙げられます。
この影響で、買主の方が見つかりにくいことが多く、販売活動が難しい場合が多いです。
また、買主の方が見つかっても、価格設定や販売活動・契約書作成・物件の引き渡しまでをご自身で行わなくてはいけません。
そのため、専門知識を持っていないと、各所で揉め事が起こってしまう危険があります。
更に、不動産を引き渡した後の「瑕疵担保責任」も、売主の方が負わなくてはいけません。
この瑕疵担保責任は、売買契約時に免責としたり、期間を限定したりもできますが、そうなるとやはり不動産が売れにくくなってしまいます。
そのため、個人売買を行う際には、住宅の状態を十分に確認しておくことが大切です。
メリット | デメリット |
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以上が、個人売買を選択した場合の特徴になります。
次は、売買仲介を選択した場合の特徴についてご説明致しますので、他の売買方法と併せてご覧ください。
売買仲介のメリットとデメリット
近年、不動産を売却する際には、不動産会社に仲介を依頼するケースが殆どです。
この売買仲介のメリットとしては、売却したい不動産の情報を広範囲に公開できるということが挙げられます。
そのため、不動産を効果的に宣伝できますので、買主の方が見つかりやすくなります。
更に、価格の設定や販売活動・契約書の作成・物件の引き渡しなどの多くを不動産会社に代行して貰えるため、売却時の手間が少なくなるという利点もあります。
もちろん、売買時の交渉・調整も専門知識を持った不動産会社が行ってくださるので、売主の方に専門知識がなくても問題ありません。
以上が、売買仲介を選択した場合の主なメリットになります。
では、売買仲介を選択した際のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
まず、挙げられるデメリットとしては、殆どの場合、不動産会社に仲介手数料を支払わなくてはいけないという点です。
この仲介手数料は、消費税の課税対象ですので、本来必要な料金に加え、消費税が掛かってしまいます。
(この場合、売主が個人であれば、原則、建物などの「取引金額」には消費税は掛かりません)
更に、買主の方との取引が事務的になりやすく、じっくり話し合うことのできる機会が少ないという点にも注意が必要です。
他にも、瑕疵担保責任も売主の方が負わなくてはいけないため、不動産の瑕疵についての対応も考えておかなくてはいけません。
また、売買仲介が広範囲に情報を公開できるといっても、必ず買主の方が見つかる訳ではないという点にも注意が必要です。
場合によっては、不動産が売れず、販売活動が長期化されてしまうこともあります。
そのため、早めに売却金が欲しい方は、買取も視野に入れて、計画を立てておくことが大切です。
メリット | デメリット |
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以上が、売買仲介を選択した場合の特徴になります。
次は、買取売却を選択した場合の特徴についてご説明致しますので、他の売買方法と併せてご覧ください。
買取売却のメリットとデメリット
今まで、個人売買と売買仲介に関して記載を行ってきましたが、不動産を売却する際には、買取を行って貰うという選択肢もあります。
買取というのは、不動産を不動産会社などに直接買い取って貰う方法のことです。
では、不動産売却の際に買取を選択した場合には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
まず、買取を選択した場合のメリットとしては、売却までに時間が掛からないということが挙げられます。
そのため、売却時の資金計画が立てやすく、長い間不動産が売れ残ってしまう心配もありません。
更に、買取なら、特殊な土地や建物・事業用地など、仲介では制約しにくい資産も早急に売却をすることができます。
もちろん、仲介をして貰う訳ではありませんので、仲介手数料なども掛かりません。
また、買取をして貰った不動産は、その後の内覧に立ち会う必要もなくなりますので、他人に知られずに売却を行うことができます。
もちろん、売却を行った不動産の「瑕疵担保責任」も不動産会社が持つことになりますので、売却後の瑕疵の心配もいりません。
以上が、買取を選択した場合の主なメリットになります。
では、反対に、買取を選択した際のデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
まず、買取を選択すると、買取った業者がその不動産をリフォーム・リノベーションし転売することになります。
この場合、不動産取得費や登録免許税・リフォームなどの諸費用は、買取った業者が負担をしなくてはいけません。
そのため、その分を、もとの買取価格から差し引いて買取が行われる場合が殆どです。
更に、買取業者を紹介して貰い、取引が成立した場合には、仲介手数料が発生する可能性もあります。
メリット | デメリット |
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以上が、買取売却を選択した場合の特徴になります。
(なお、売買仲介を依頼した場合でも、土地の譲渡には消費税が課税されません)
買取は、他の売却方法に比べるとデメリットの数は少なめですが、その分デメリットの内容が手痛いものとなっております。
そのため、買取を選択する際には、売却益などを検討し、納得した上で取引をすることが大切です。
なお、買取を選択した場合でも、一定期間までは売買仲介で販売活動を行い、期限が来たら買取を行って貰うといった方法を取ることもできます。
早めに不動産を売却したいけれど、なるべくなら高く売りたいという方は、こういった方法を選択してみるのも一つの手かもしれません。
不動産を売却する前の確認事項
不動産を売却する際には、事前に準備を整えてから、販売活動を行っていくことが大切です。
とはいえ、一体何をしたら良いのか、具体的に分からないという方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、この項目では、こういった不動産売却を行う前に確認しておきたいことについて記載を行っていきます。
まず確認をしておきたいこと
不動産を売却する方は、何かしろの理由があって、不動産を手放す場合が殆どです。
実際に売却活動を始めると、この売却理由が曖昧になりやすく、当初の目的を忘れてしまうことがよくあります。
そうなると、最終的に、その目的が達成できない状態に陥ってしまいかねません。
そのため、まずは不動産売却をする理由を確認し、整理をしておくことが大切です。
例えば、「子供が大きくなってきたため、大きな家に住み替えたい」という理由があった場合はどうでしょうか?
この場合、既存の住宅を売却し、新居を購入・賃貸し、そこに引越しをするというのが目的になります。
この目的を踏まえた上で、手元資金を確認し、不動産の住み替え時期や現在の住まいに戻る可能性などを考えていきます。
なお、手元資金の状態を確認するには、不動産売却に必要な費用についての知識も持っておかなくてはいけません。
不動産売却に必要な各費用につきましては、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」のページをご覧ください。
これらの確認が終わりましたら、今度は、住宅の住み替えに関するイメージを考えていきます。
この時、不動産の売却時期や販売価格、新居はどうするのかなどをイメージしておくことが大切です。
そして、考えたイメージに沿って、不動産の販売活動を行っていくようにすれば、後に「ああしておけば良かった」と感じてしまうことも少なくなります。
もちろん、売買仲介などを選択する場合には、そのイメージを仲介会社の担当者の方と共有しておくことも重要です。
この時、新居の購入と売却を並行して行うのか、売却・購入を先に行ってしまうのかなども、ある程度担当者の方と話し合っておくようにしてください。
※クリックで拡大
以上が、不動産売却の際に、まず確認をしておきたいことの説明になります。
皆さんも、不動産売却を行う際には、こういったことを意識して売却を行ってみてください。
次は、不動産を売却する際の実際の販売活動の流れについてご説明致しますので、これらを踏まえた上で手順を確認していってください。
実際の販売活動の流れ
不動産の売却目的などの確認が終わりましたら、次は、実際に不動産の販売活動に移っていきます。
不動産の販売活動の流れは、どういった売却方法を選択するのかによって異なってくるのが一般的です。
下記では、個人売買、売買仲介、買取の3種類の販売活動の流れについて記載をしておりますので、対応するものを確認してみてください。
では、順を追ってそれぞれの販売活動の流れについて見ていきましょう。
「ステップ1.売却したい不動産の相場を調べ、売却価格の目安を立てていく」
不動産を売却する際には、まず相場の目安を立てていくことが大切です。
そのため、売主の方は、近辺物件の相場や各種情報を収集し、大体の相場から売却価格の目安を立ておくようにしてください。
「ステップ2.依頼をしたい不動産会社を探していく(個人売買の場合は不要)」
売買仲介や買取を選択した場合、仲介や買取を依頼する不動産会社を探さなくてはいけません。
この時に信頼ができる不動産会社を探しておくことで、後の取引をスムーズに行うことができます。
不動産会社の探し方につきましては、「仲介会社の選び方と実績の確認」をご覧ください。
「ステップ3.売却する不動産の価格を不動産会社に査定して貰う(個人売買の場合は不要)」
最初に大体の売却目安を立てていても、やはりプロの目から見ると、全く異なった価格が算出される可能性もあります。
そのため、不動産売却の際には、不動産会社に査定を依頼しておくと価格設定時にミスが少なくなります。
(査定を依頼する際には、複数の会社への申し込むも可能です)
「ステップ4.信頼ができると感じた不動産会社に、仲介や買取を依頼する(個人売買の場合は不要)」
査定後に、信頼ができると感じた不動産会社と契約を行っていきます。
売買仲介の場合は媒介契約を、買取の場合は査定で提示された金額で不動産を買取って貰います。
これで買取を選択した場合の取引は終了です。
「ステップ5.売却予定の不動産を実際に売り出す(個人売買の場合は、ステップ1からここに飛んでください)」
不動産を売り出す際の価格は、売主の方が自由に設定をすることができます。
自由に設定ができるといっても、やはりあまりに高額な価格を設定してしまうと、不動産自体が売れにくくなってしまいます。
そのため、査定価格や周辺の事例、市場などの情報を踏まえた上で、販売価格を設定するようにしてください。
例えば、不動産を早く売りたいと考えた場合には、「査定価格よりも売り出し価格を安く」し、
時間が掛かっても高く売りたいという場合には、「売主の方の希望価格に近い金額にする」など、
状況によって価格の設定を変えていくことが大切です。
「ステップ6.購入を希望する方が現れたら、各種交渉をしていく」
売り出した不動産の購入を希望する方が現れたら、売却条件などの交渉を行っていきます。
仲介を依頼した場合には、不動産会社が一緒に交渉にあたってくださいますが、個人売買の場合には、ご自身で交渉をする必要がありますのでご注意ください。
「ステップ7.物件情報などを開示し、買主の方に重要事項説明などを行う」
不動産の内覧などを終え、売買契約を結ぶ際には、「重要事項説明」などで、なるべく正確な不動産情報を買主の方に伝えておく必要があります。
やはり、後に大きなトラブルが起こらないようにするには、物件の不具合や欠陥などを素直に伝えておくことが大切です。
なお、重要事項説明の詳しい内容につきましては、「重要事項説明についての確認」をご覧ください。
「ステップ8.売主の方と買主の方とで売買契約を結ぶ」
売主の方と買主の方が、お互いに売買条件に同意できましたら、とうとう売買契約を結びます。
その際には、物件価格の10%~20%程度の手付金(契約金)を買主の方から受け取るのが一般的です。
「ステップ9.買主の方に不動産を引き渡し、最終処理を行う」
買主の方から売買代金を受領し、登記に必要な書類と不動産を引き渡します。
そうして、後に課税される税金の支払いなどを行えば、各種手続きは終了です。
なお、取引後に不動産の瑕疵が見つかった場合には、取引時の契約に応じた対応が必要になりますのでご注意ください。
以上が、不動産売買時の主な取引の流れになります。
これで、不動産を売却する前の主な確認事項の説明は終わりです。
次の項目では、実際に不動産を売却する際の価格の計算方法についてご説明致します。
不動産の予想売却価格の計算方法
上記でも書きましたが、不動産の売り出し価格は、最終的に売主の方が決定します。
その際には、不動産の価値を知り、的確な価格を設定するように意識をすることが大切です。
そのため、この項目では、個人でもできる、不動産価格の算出方法について記載を行っていきます。
なお、以下はあくまで目安であり、確実にこの価格になるという訳ではありませんのでご注意ください。
ご自身で土地の査定を行う方法
土地の価格は、周辺の情報や公的資料などを調べることによって、ある程度予想をすることができます。
例えば、「時価(実勢価格)」、「路線価(相続税評価額)」、「公示地価(公示価格)」、「固定資産税評価額」など、これらは全て土地の価格に関する資料になります。
ここでご紹介するのは、上記の中の「路線価(相続税評価額)」を使用した土地の査定方法です。
なお、路線価(相続税評価額)とは、国税庁が相続税や贈与税の算定の基礎にするために、全国の市街化区域内の道路沿いに付けている価格のことです。
この価格は、毎年1月1日付で変動し、毎年7月1日に全国の国税局・税務署で公表されます。
路線価から土地の予想価格を算出する際には、当然に、この路線価の情報が必要です。
そのため、売薬予定の土地の路線価が分からない方は、下記のホームページで路線価を調べておいてください。
「路線価図・評価倍率表」
なお、上記の路線価は、それぞれ千円単位で記載がされておりますので、実際の数値は記載価格を千倍した数値になります。
例:記載数値が「130」であれば、路線価は「130,000円」
これらの確認が終わりましたら、次は土地自体の評価点を計算していきます。
まず、以下の要因を確認し、当てはまっているものを、条件によって100からプラス・マイナスしていってください。
- 道路の方角
- 北0 東+2 西+1 南+5
- 画地
- 整形されている0 やや不整形-3~-5 不整形-6~-30
- 嫌悪施設
- 無し0 やや有り-2~-5 有り-6~-10
- 角地である
- +2
- その他要因
- 場合により加算・差し引き
もちろん、これら以外にも価格に影響する要素はあるのですが、個人で要素を判断する場合には、上記程度にしておくのが無難です。
やはり、個人では全ての要素を的確に判断することは困難であり、あまりに多くの要因を含めると、実際価格と大きな誤差が出てしまう可能性があります。
そのため、大きな欠点・利点がある場合以外は、上記の要素を参照に土地の評価点を計算してみてください。
例えば、道路の方角が北であり、画地が不整形(-23程度)、嫌悪施設が周りやや有り(-3程度)の場合は以下の数値になります。
100-0-23-3=74→ここで計算をした数値は、「A」とします
計算ができましたら、以下の計算式に、上記の路線価(相続税評価額)と「A」を当てはめてください。
確認をした路線価(円/m²)×1.34×(A/100)=土地の単価(円/m²)
そうして、先程の計算式から算出された土地の単価に、土地全体の面積(地積)を掛けます。
土地の単価(円/m²)×地積(m²)=土地査定総額
では、実際に土地の地積が「103m²」、路線価(相続税評価額)が「130,000円」、上記の「A」を使用した場合の査定総額を計算してみます。
130,000円×1.34×(74/100)=128,000円(千円未満を切り捨てております)
128,000円×103m²=13,184,000円
これらのことから、この土地の予想価格は「13,184,000円」程度ということになります。
(なお、路線価に土地の地積を掛ければ、路線価価格の算出も行えます)
もちろん、これらはあくまで目安ですので、実際の査定価格と異なる可能性があるということは忘れないでください。
次は、これとは別の土地の査定価格の算出方法をご紹介致しますので、こちらの方法と一緒に価格の計算を行ってみてください。
土地の公示地価の算出方法
先程は、路線価のみを使用して、土地の予想価格を計算する方法を記載しました。
次は、路線価と公示地価を使用して、土地の予想価格を算出する方法をご紹介致します。
まず、この方法で価格を算出するためには、路線価と公示地価の確認が必要です。
路線価の確認は、上記と同じ方法を行うだけですので、下記では公示地価の確認方法から記載を行っていきます。
公示地価を調べるためには、まず、「路線価図・評価倍率表」のページへ行き、土地の所在地から、最も近く条件が似ている公示地価を探していきます。
(公示地価の表記に関しては、右画像を参照→「譲渡所得の申告のしかた(記載例)」(国税庁)(財産評価基準書 路線価図・評価倍率表)を加工して作成)
そうして、最も近い条件の公示地価の表記が見つかりましたら、その番号を確認し、番号に対応した地域の公示地価を調べていきます(「公 ××」となっている部分の「××」部分の数字が公示地価の番号です)。
公示地価の番号から公示地価を調べるためには、まず、「標準地・基準地検索システム」のページへ行ってください。
そうして、地図をクリックするか、検索ボックスに売却したい土地のある地域名を入力し、先程調べた公示地価の番号の欄の「価格(円/m²)」を確認します。
例:先程の数値が「公 23」であった場合は、「入力した地域名-23」と記載されている欄
公示地価の価格が分かりましたら、今度はこの「公示地価」と「公示地価を調べた地点」の「路線価の割合」を計算していきます。
例えば、公示地価を調べた地点の路線価が「184,000円」、公示地価が「230,000円」であった場合の割合は以下の通りです。
184,000円÷230,000円=0.8→80%
なお、ここでは確認のために計算を行いましたが、実際は殆どが80%前後の割合になりますので、この作業は割愛しても問題ありません。
計算が終わりましたら、「最初に確認をした路線価」に、「先程の路線価の割合」を掛け、出てきた数値に地積を掛けます。
確認をした路線価(円/m²)×路線価の割合=推定公示地価の単価
推定公示地価の単価×地積(m²)=土地の推定価格
では、路線価が「130,000円」、路線価の割合が「80%」、土地の地積が「103m²」の土地の予想価格を実際に計算してみます。
130,000円×80%=104,000円
104,000円×103m²=10,712,000円
これらのことから、この場合の土地の推定価格は「10,712,000円」ということになります。
もちろん、この方法で算出をした予想価格も、実際の査定価格とは異なる可能性がありますので、あくまで目安として考えておくようにしてください。
次は、これらのことを踏まえて、実際の成約予想価格を仮算出する方法をご説明致します。
成約予想価格の仮算出方法
今までは、路線価、公示地価などから土地の予想価格を算出してきました。
では、実際の成約予想価格を算出したい場合には、どういった計算を行えば良いのでしょうか?
今回は、この成約予想価格を大まかに算出する方法について記載を行っていきます。
まず、成約予想価格を算出するためには、売却予定の土地の前面道路の路線価を調べておく必要があります。→路線価図・評価倍率表
(この数値を「A」とします)
前面道路の路線価の確認が終わりましたら、次は、周辺の不動産の類似成約事例を確認していきます。
なお、周辺の類似成約事例は、「土地綜合情報システムの不動産取引価格情報検索」で検索をすることができます。
(ページ内の「路線・駅名から探す」などから、売却したい不動産のある地域の最寄り駅の事例を検索します)
そうして、それらの中から、なるべく売却予定の不動産に近い条件のものを探し(最寄りの駅や建ぺい率など)、その不動産の「m²単価」と「駅から徒歩何分」かを見ておきます。
(この類似成約事例のm²単価を「B」とします)
なお、万が一、出てきた事例数が少ない場合には、徒歩による時間が近い他の駅周辺の事例を代用しても問題ありません。
類似成約事例の確認が終わりましたら、次は、その最寄りの駅・徒歩時間・道路方位の情報を参考に、その周辺の路線価を調べていきます。
「路線価図・評価倍率表」
例:類似成約事例の不動産が「○○駅から徒歩3分」であれば、○○駅から徒歩3分で行ける場所の路線価を確認する
なお、周辺の路線価の価格にバラつきがある場合には、最高価格と最低価格を確認しておきます。
例:価格が110,000円と130,000円と170,000円だった場合は、110,000円~170,000円
(この類似成約事例の 路線価を「C」とします)
最後は、売却したい土地の地積を確認すれば、これでやっと計算に必要な情報を全て集めることができました。
(この売却したい土地の地積を「D」とします)
後は、今までの情報を下記の式に当てはめていくだけです。
計算式:{A×(B÷C)}×D
A……売却予定の土地の前面道路の路線価
B……類似成約事例のm²単価
C……類似成約事例の 路線価
D……売却したい土地の地積(m²)
なお、(B÷C)の計算を行った後は、小数点以下第一位までの数値で計算を行います。
例:1.23……となった場合には、1.2で計算をし、それ以下の値は切り捨てる
計算例:Aが130,000円、Bが200,000円、C が110,000円~170,000円、Dが103m²であった場合
{130,000円×(200,000円÷110,000円~170,000円)}×103m²=14,729,000円~26,780,000円
なお、更に正確な仮算出を行いたい場合には、「売却予定の土地」と「類似成約事例」の条件の相違点を吟味し、算出後の価格から個別要因をプラス・マイナスしていく必要があります。
例えば、売却予定の土地は駅から徒歩6分の位置であるのに、類似成約事例の土地は駅から徒歩3分であるなどといった場合です。
こういった場合には、価格から-10%をするなどといった修正が必要になります。
これらの要素は、各地域や不動産などによって異なりますので、全ての要素を個人で判断するのは困難です。
そのため、類似成約事例と比べて良い点と悪い点を確認し、上記の「ご自身で土地の査定を行う方法」で記載をした要因を参考に計算をしてみてください。
以上が、不動産の成約予想価格の仮算出方法の説明になります。
これで、土地に関する査定価格の算出方法の説明は終わりです。
次からは、ご自身でできる建物の査定価格の算出方法についてご説明致しますので、必要な方はご確認ください。
ご自身で建物の査定を行う方法1
不動産の売却を行う場合、売却するものが土地だけとは限りません。
例えば、土地上に建っている建物なども、立派な不動産です。
そのため、不動産売却の際の売却価格を想定するためには、建物などの予想価格も計算をしておく必要があります。
では、個人で建物の価格を予想したい場合には、どういった計算を行えば良いのでしょうか?
この項目では、こういった建物に関する予想価格の算出方法について記載を行っていきます。
なお、今回は、1都3県の木造住宅の査定価格の算出方法について記載をしておりますが、それ以外の地域でも、適宜修正をすることで同様の計算ができます。
まず、建物の予想価格の算出を行うためには、下記の数値の確認が必要です。
- 建物の建築工事費単価
- 品質格差率
- 規模修正
- 経過年数
- 観察減価
建物の「建物の建築工事費単価」とは、現在に同じ建物を建てた際に、1m²当たり何円であるかを計算した数値のことです。
万が一、建物の建築工事費単価が分からない場合には、周辺の新築戸建情報を調べ、それらの価格から延床面積を割った数値を代用することもできます。
例:周辺の新築戸建情報を調べた結果、価格が1,300万円で延床面積が100m²である場合
13,000,000円÷100mm²=130,000円
「建物の建築工事費単価」の確認が終わりましたら、次は、下記の表を参考に、「品質格差の比率」を確認していきます。
劣る | やや劣る | 普通 | やや優れる | 優れる | 相当優れる |
---|---|---|---|---|---|
~0.80 | 0.90 | 1.00 | 1.10 | 1.20 | 1.30~ |
品質格差の比率の確認が終わりましたら、今度は、売却予定の不動産の延べ床面積を確認し、以下の表から「規模修正の値」を確認します。
45m²~75m² | 1.08 |
---|---|
76m²~82m² | 1.05 |
83m²~89m² | 1.03 |
90m²~116m² | 1.00 |
117m²~134m² | 0.97 |
135m²~179m² | 0.95 |
180m²~ | 0.90 |
規模修正の値が確認できましたら、次は、建物が新築だった時から何年経過しているかを確認します。
経過年数の確認が終わりましたら、最後に、観察減価率の割合を確認していきます。
なお、観察減価と減価償却率は別のものですので、計算の際にはご注意ください。
減価償却の詳しい内容につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産を売却した時に売却益の計算に必要になる減価償却」の記事にあります「建物の減価償却費の償却方法」の項目をご覧ください。
「観察減価の割合」につきましては、下記の表から適切なものをご確認ください。
相当必要 | ある程度必要 | やや必要 | 必要ない |
---|---|---|---|
0.40 | 0.30 | 0.20 | 0.10 |
これで、建物の査定価格予想を算出するために必要な情報が全て揃いました。
後は、今まで確認をした数値を下記の式に当てはめていくだけです(木造建物の経済的耐用年数は24年とします)。
計算式:
建物の査定価格単価(円/m²)=建物の建築工事費単価(円/m²)×品質格差率×規模修正×{(24-経過年数)÷24}×(1-観察減価)
建物の予想価格=建物の査定価格単価(円/m²)×建物の延床面積(m²)
では、実際に建物の建築工事単価が「130,000円」、品質格差が「普通」、延床面積(規模修正)が「100m²」、経過年数が「22年」、補修修繕(観察減価)が「ある程度必要」である建物の予想価格を算出してみます。
130,000円×1.00×1.00×{(24-22)÷24}×(1-0.30)=7,583円(小数点以下は切り捨てております)
7,583円×100m²=758,300円
上記で算出した金額を、土地の予想価格と合計した価格が、不動産の全体予想価格ということになります。
もちろん、この予想価格は、実際の査定価格と完璧に合致する訳ではありませんので、あくまで目安として考えておいてください。
次は、上記以外の建物の査定方法についてご説明致します。
ご自身で建物の査定を行う方法2
先程は、各修正値を「建物の建築費単価」に掛けることで、予想価格の算出を行いました。
今度は、「構造・工法別の建物の建築費単価」に「現価率」というものを掛けて、価格を算出する方法をご紹介致します。
この場合、まず、売却する予定の建物の「構造・工法別の建築工事費単価」を確認する必要があります。
これらの単価が分からない場合、方法1の時と同じように、近隣の新築物件をリサーチすることにより、ある程度工事費単価を絞り込むことができます。
なお、価格を調べる際には、木造、鉄骨、レンガ・ブロック構造など、売却予定の不動産と同じ材質のものから単価を計算するようにしてください。
例:周辺の構造・工法が似ている新築戸建の販売価格が「3,343万円」で、その延床面積が「133m²」であった場合
33,340,000円÷133m²=250,676円(小数点以下を切り捨てております)
構造・工法別の建物の建築工事費単価の確認が終わりましたら、今度は「現価率」の計算を行っていきます。
現価率は、以下の計算式で算出をすることができますので、売却予定の不動産に合った数値を算出してみてください。
なお、法定耐用年数が分からない場合には、下記の表でご確認ください。
計算式:
現価率=1-{(経過年数×90%)÷法定耐用年数}
構造 | 法定耐用年数(住宅用) |
---|---|
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) | 47年 |
鉄筋コンクリート造(RC造) | 47年 |
レンガ・ブロック構造 | 38年 |
鉄骨造(S造)※骨格材の厚みが4mm超 | 34年 |
鉄骨造(S造)※骨格材の厚みが3mm超 | 27年 |
鉄骨造(S造)※骨格材の厚みが3mm以下 | 19年 |
木造(W造) | 22年 |
木骨モルタル造(外壁) | 20年 |
現価率の計算が終わりましたら、今度は下記の計算式に、各数値を当てはめ計算をします。
計算式:
住宅の予想価格=建物の建築費単価(円/m²)×延床面積(m²)×現価率
では、これから、下記の条件で実際に現価率と住宅の予想価格を計算してみます。
計算例:「築22年」の木造住宅で、床面積が「100m²」、建物の建築費単価が「130,000円」の一戸建の場合
【現価率の計算】
1-{(22×90%)÷22}=0.1
【建物の予想査定総額の計算】
130,000円×100m²×0.1=1,300,000円
これらのことから、この場合の建物の予想価格は「1,300,000円」となります。
なお、この方法で算出をした価格はあくまで予想であるため、実際の価格と異なる可能性があるという点には注意をしておいてください。
次は、マンションなどの売却価格を予想する方法についてご説明致しますので、マンションなどを売却しようと考えていらっしゃる方は確認をしてみてください。
マンションなどの価格査定の方法
マンションは、売却をする時期などによって、その価格が大きく変わってしまうのが一般的です。
そのため、現在の価格がどの程度であるのか十分に考慮し、把握をしてから売却をする必要があります。
マンションの価格を査定する場合、売買しようとしている不動産と、同じような不動産の取引事例の価格と比較をして査定をする「取引事例比較法」を行う場合が殆どです。
そのため、価格予想をする際には、なるべく構造・条件・要素などが売却予定のマンションに近いものをリサーチし、その価格を把握しておくことが大切です。
【マンション売買時に確認をしておきたい各要素】
- マンションの階数
- マンションの間取り
- 部屋の方位
- マンションの構造や規模
なお、近辺のマンションの取引事例は、
「土地綜合情報システムの不動産取引価格情報検索」、
「レインズ・マーケット・インフォーメーション」、
「インターネット広告・折り込みチラシ」
などからリサーチをすることができます。
売却予定のマンションに最も近い取引事例が見つかりましたら、そのマンションの価格を売却予定のマンションの価格に置き換えます。
そうして、類似取引事例のマンションと、売却予定のマンションの各条件を比較し、異なる部分の好条件・悪条件から価格の増価・減価を考えてください。
次は、不動産市場の動向を調べ、類似取引事例の不動産が取引された時期と現在に、どの程度の相場変動があるかを確認していきます。
とはいえ、現在の市場全体の動向を正確に把握することは、個人では不可能に近いです。
そのため、同規模の不動産の当時と現在の価格を比較するなどして、大体の市場の動向を確認します。
これらの確認が終わりましたら、最初に比較をした価格に、条件を比較した際の増価・減価の値と不動産市場の時点修正を反映させていきます。
そうして、算出された価格が、現在のマンションの予想価格です。
※クリックで拡大
もちろん、これは個人で簡易的にマンションの価格を予想する方法ですので、実際にはもっと複雑な処理が必要になります。
そのため、他同様、この方法で算出をした価格も、あくまで予想であるということを意識しておいてください。
次は、不動産会社に買取を依頼した場合の予想買取金額の算出方法についてご説明致しますので、買取を視野に入れていらっしゃる方は確認をしてみてください。
買取の場合の予想価格算出の方法
不動産を売却する際には、買取を選択することができるということは既に書きました。
買取は、売却価格が安くなりやすいというデメリットがありますが、中には買取を選択したほうが高額で取引ができる事例もあります。
そのため、事前に、どの程度の価格になる可能性があるのかを確認しておくことが大切です。
では、買取を選択した場合の買取金額を予想したい場合には、どのような計算が必要になるのでしょうか?
不動産会社に不動産の買取を依頼した場合、業者は不動産の周辺事例をマーケティングし、販売価格を設定する場合が殆どです。
そのため、その地域において、需要が大きい価格帯を調べることで、ある程度価格を絞り込むことができます。
なお、価格帯の検索は、今までと同じように、「インターネット広告・折り込みチラシ」などからリサーチすることができますのでご確認ください。
これらの確認が終わりましたら、次は、不動産会社が不動産を買取、販売するまでの費用を考えていきます。
不動産会社が負担する可能性のある主な費用とその予想費用は以下の通りです。
- 仲介手数料(購入時)
- (購入金額×3%+6万円)+消費税
- 仲介手数料(売却時)
- (売却金額×3%+6万円)+消費税
- 建物の解体費用(又はリフォーム費用)
- 今回は、坪5万円前後(木造)と仮定
- 建物の建築費用
- 今回は、1棟1,300円~1,600万円と仮定
- 測量費用・登記諸費用
- 今回は、1棟50万円と仮定
- 外構・地盤調査など
- 今回は、1棟100万円前後と仮定
- その他必要に応じた費用
- 用途に応じて発生
なお、各費用の詳しい内容につきましては、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」のページをご覧ください。
では、これから以下の例を見ながら、建物をリフォームするのではなく、解体して新しい建物を建てることを前提とした場合のおおよその買取価格を算出してみます。
棟数 | 土地の面積 | 建物の面積 | 分譲価格 |
---|---|---|---|
3棟 | 45m²(13.61坪) | 75m²/3LDK | 3,430万円 |
まず、最初は、分譲している不動産会社の利益を差し引くために、定められた比率を差し引いておきます。
この比率は、各社規定によって異なるのが一般的ですが、今回は10%として計算を行います。
3,430万円-(3,430万円×10%)=3,087万円←この価格を「A」とします。
(3,430万円×90%で計算をしても問題ありません)
次は、「A」から差し引く諸経費の計算を行っていきます。
なお、諸経費を計算する順番は以下の通りです。
- 仲介手数料(売却時)
- 建物の解体費用
- 建物の建築費用
- 測量費用・登記諸費用
- 外構・地盤調査など
- 仲介手数料(購入時)
順序1.仲介手数料(売却時)の暫定費用
(34,300,000円×3%+60,000円)×1.08=1,176,120円
よって、「約118万円」だということが分かりました。
順序2.建物の暫定解体費用
売却予定の不動産の延床面積が93m²(28.13坪)で、木造であった場合
28.13坪×50,000円=1,406,500円
よって、「約141万円」だということが分かりました。
順序3.建物の暫定建築費用
上記のリストから、「約1,300万円」と仮定します。
順序4.測量・登記諸費用
上記のリストから、1棟当たり「約50万円」と仮定します。
順序5.外構・地盤調査等
上記のリストから、1棟当たり「約100万円」と仮定します。
これら全ての費用の目安がつきましたら、「A」から、「1~5」までの費用を差し引いていきます。
計算式:A-(1+2+3+4+5)
計算例:3,087万円-(118万円+141万円+1,300万円+50万円+100万円)=1,378万円
計算ができましたら、今度は、先程算出した金額から「仲介手数料(購入時)」を算出していきます。
順序6.仲介手数料(購入時)の暫定費用
(1,378万円×3%+60,000円)=473,400円
よって、「約47万円」だということが分かりました。
そうして、1,378万円から先程の購入時の仲介手数料を差し引きます。
原価:1,378万円-47万円=1,331万円
これで、不動産のだいたいの原価を算出することができました。
この原価に分譲数を掛ければ、分譲地全体「135m²」のだいたいの買取価格を知ることができます。
1,331万円×3=3,993万円
これらのことから、この事例の予想買取価格は、「約3,993万円前後」ということになります。
もちろん、この価格も、実際に不動産会社に査定を依頼すると、異なった金額が提示されることも多いため、あくまで買取価格の目安と考えておくようにしてください。
やはり、正確な査定価格を知りたい場合には、実際に不動産会社の方に査定依頼をしてみるのが一番です。
最近は、インターネットから一括で、複数の不動産会社に査定を申し込めるようなサービスも多くなってきています。
そのため、こういったサービスを利用すれば、簡単に不動産の査定価格を知ることができます。
中には、匿名で査定を依頼できる会社もありますので、情報の入力に抵抗のある方は、そういったサービスを使用してみると良いかもしれません。
以上が、不動産を売却する前に、価格を予想する各種方法になります。
これらの確認が終わりましたら、次は、とうとう不動産会社と契約を行い、販売活動を行っていくことになります。
とはいえ、媒介契約や販売活動を行う際には、やはりある程度の知識を持っておかなくては、スムーズにことが運びにくくなってしまうことも多いものです。
そのため、次の項目では、そんな媒介契約・販売を行う前に確認しておきたい事項についてご説明致します。
媒介契約・販売を行う際の確認事項
不動産の売却価格の目安を確認し、実際に査定依頼などを行ったら、次は不動産会社と契約を行っていきます。
ここで相性の良い不動産会社と契約をすることができれば、効果的に不動産売却を行える可能性が高まります。
そのため、契約をする不動産会社や契約方法などには十分に注意をしておくことが大切です。
しかし、やはり世の中には、多くの不動産会社が存在しています。
そのため、どの会社と契約を行えば良いのか、悩んでしまうことも多いものです。
また、不動産の販売活動を行う前には、きちんと確認をしておきたい要素もたくさんあります。
これらを確認する前に、不動産の売却活動を始めてしまうと、やはりそれがもとでトラブルになってしまう可能性も高まります
そのため、この項目では、こういった不動産の販売活動を行う前に確認をしておきたいことについて記載を行っていきます。
まずは、不動産会社と仲介契約を行う前に確認をしておきたい事項についてです。
各種資料や境界などの確認
不動産を売却する際には、やはりある程度、不動産売却に関する事前準備などをしておく必要があります。
もし、何の準備もなしに販売活動を始めてしまった場合、様々な面で不具合やトラブルが起こりやすくなってしまっても仕方がありません。
そのため、きちんと事前準備をし、必要資料なども余さず用意をしておくことが大切です。
その際に、まず確認しておきたいのは、不動産に関する基本的な権利関係などの部分になります。
例えば、不動産が共有名義であったり、貸借権が設定されていたりする場合には、それぞれ権利者への同意が必要です。
そのため、売却予定の不動産の所有権や借地権など、売却に必要な情報をきちんと調べておくようにしてください。
これらの情報は、登記簿謄本(登記事項証明書)などに記載がされております。
登記記録を確認し、万が一、実際の情報と登記記録が異なる場合には、それらの変更もしてから売買を行うようにしてください。
また、不動産売買後のトラブルを防止するために、隣地との境界確認もしておくことが大切です。
やはり、隣地との境界が曖昧なままでは、後に様々なトラブルが起こる原因となってしまいます。
そのため、以前に測量や境界確定などを行っている場合にはその証明を準備し、境界確定がされていない場合には改めて測量を行っておくと安心です。
【不動産売却前に確認をしておきたい各資料】
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 権利証又は登記識別情報通知
- 不動産購入時の契約書類
- 測量図
- 境界確定図など隣地との境界を明らかにするもの
- 土地が貸借権の場合にはそれらに関する書類
以上が、不動産売却の前に最低限確認しておきたい事項になります。
次は、不動産を売却する際の設備や保証などの確認点についてご説明致します。
瑕疵担保責任と建物設備の確認
不動産の権利関係の書類や境界に関する証明などを確認しましたら、次は、不動産の状態に関する確認を行っていきます。
やはり、不動産の管理状態が悪いと、買主の方に不信感などを与えてしまう原因になりかねません。
そのため、事前にきちんと不動産を確認し、設備や建物などの状態を把握おくことが大切です。
更に、万が一、瑕疵などがあった場合の対応は、どうするのかという部分もしっかりと確認しておく必要があります。
(瑕疵担保責任の詳しい内容につきましては、同ページ内の「売買時の瑕疵担保責任について」をご覧ください)
特に、土地などの隠れた瑕疵は、場合によっては契約解除の対象となってしまうこともあるため、十分な注意が必要です。
【土地などに隠れた瑕疵の一例】
- 埋め戻した浄化槽がある場合
- その土地上で以前に事件などが発生していた場合
- 以前に井戸などが埋め立てられていた場合
- 旧建物の廃材や産業廃棄物などが見つかった場合
- 土壌が汚染されていた場合
万が一、重大な瑕疵が発生する危険のある土地は、事前に買主の方に説明をし、同意した上で取引を行うことが大切です。
更に、建物は外観だけに意識をするのではなく、中の設備などにも十分に注意を払い、確認をしておく必要があります。
売主の方は、売買契約時に以下の項目を記載した「設備表」を作成し、買主の方に交付します。
- キッチン関係
- 浴室・洗面設備関係
- トイレ・洗濯機関係
- 居住空間関係
- その他
万が一、売買後一定期間内に、これらの設備に不具合があった場合には、売主の方が修理や金銭的な保証を行うことになる可能性があります。
契約形態によっては、「保証なし」とすることもできますが、通常は1週間前後の保証期間を設けるのが一般的です。
そのため、不具合を感じた個所の詳細を買主の方に伝えておくことで、後のトラブルを回避することができます。
以上が、不動産売却の際に意識しておきたい設備や保証の確認点です。
これらの確認が終わりましたら、次は、不動産会社に仲介を依頼していくことになります。
不動産売買において、仲介依頼をする不動産会社は非常に重要です。
そのため、次は、不動産会社の選び方についてご説明致します。
仲介依頼先の選び方と実績の確認
不動産会社に査定を依頼すると、通常は一定の期間でその返事が返ってきます。
その際に、複数の不動産会社に査定を依頼していると、後に、どの会社と契約をすれば良いのか分からなくなってしまうことも多いものです。
そういった場合には、どのようにして不動産会社を選んでいけば良いのでしょうか?
まず、最初に確認をしておきたいのは、相手から返ってきた査定価格です。
複数社の査定価格を比較して、あまりにも高額であったり、低額であったりする会社を除外していきます。
そうして、適正な査定価格が返ってきた不動産会社を絞り込んでいってください。
絞り込みが終わりましたら、その中から実際に契約を行いたい会社を探していきます。
この時に意識をして確認しておきたい点は、
「どんな不動産売却が得意なのか」
「販売価格の設定時の対応」
「仮定買主の方へのアプローチはどのように行ってくださるのか」
という部分です。
不動産会社が得意な物件タイプを個人で判断することは困難ですが、普段どのような物件を扱うことが多いかをじっくりと観察することで、大体の予想程度は立てることができます。
これらの確認が終わりましたら、今度は不動産会社に不動産売却の目的などを相談し、販売価格の設定がどのような感じかを確認していきます。
まず、販売価格の設定に関しては、最低でも以下の4つを設定してください。
- 成約予想価格
- 不動産市場に情報を公開してから3週間以内に買主の方が見つかる価格
- 売り出し価格
- 通常よりも高額に設定した価格(成約予想価格に10~15%程度の金額をプラスする場合が多い)
- 上限価格
- 販売期間に余裕がある場合などに短期間実施するための価格(市場相場より20%以上高い)
- 不動産会社買取価格(買取保証)
- 販売期間が過ぎてしまった場合に不動産会社に買取して貰う際の価格
これらの設定をする際に、売主の方の目的などに親身になってくださった不動産会社は、後に契約をしていく上でも信頼ができる場合が多いです。
これらを確認し、更に信頼ができそうな不動産会社を絞り込めましたら、最後は、万が一不動産が売れにくかった場合に、どういった対応を行ってくださるかを確認していきます。
これは、今までの実績などを調べ、実際の事例などを参考にしていくことが大切です。
例えば、インターネット広告や折り込みチラシなどの宣伝では売れ残っていた不動産があった際に、現地に看板を設置したら買主の方が見つかったなどといった事例もあります。
そのため、不動産が売れにくい場合に、不動産会社がどういった対応を取ってくださるのかを知っておくと、万が一の場合にも柔軟に対応して貰える可能性が高まります。
なお、中には、大手と中小のどちらの業者に依頼をしたほうが良いのかという疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
そういった方は、「不動産売却時に大手と中小の業者に依頼をした際の利点と欠点」のページをご覧ください。
これらを確認し、契約をしたいと感じた不動産会社がありましたら、次はとうとう媒介契約を行っていきます。
とはいえ、媒介契約とは、実際にはどういったものなのかと疑問に感じてしまう方も多いかもしれません。
そのため、次は、この媒介契約について記載を行っていきます。
媒介契約時に契約内容を確認
依頼したい不動産会社が見つかりましたら、今度は、不動産会社と媒介契約を行っていきます。
ここで注意が必要なのは、媒介契約には、3種類の方法があるという部分です。
これらには、それぞれに特徴があり、売主の方が任意で選択をすることができます。
一度、不動産会社と媒介契約を締結したら、もう、他の契約方法を選択することはできません。
そのため、各契約方法の特徴などを理解し、適切なものを選択しておかないと、後に後悔してしまうことになります。
売却時に後悔をしないためにも、やはりそれぞれの契約内容を理解し、適切なものを選択することが大切です。
不動産の媒介契約には3種類あり、それぞれ以下のような名称で呼ばれております。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
これら媒介契約の詳しい内容につきましては、お手数をお掛け致しますが、「不動産の売却時に選択をできる二種類の方法とそれぞれの特徴」の記事にあります「媒介契約の種類と内容の特徴」の項目をご覧ください。
それぞれの契約内容を確認しましたら、どの契約方法が良いかを選択し、実際に契約を行っていきます。
その際には、分からないことなどは、すぐに不動産会社に尋ね、不明な点が無くなってから契約を行うようにしてください。
これで、仲介依頼前の準備から不動産会社と媒介契約を行うまでの説明は終わりです。
次の項目では、不動産の販売活動を行う上で、意識をしてきたいことについて記載を行っていきます。
販売活動を行う際の確認点
各種準備を終え、不動産会社に仲介を依頼したら、とうとう販売活動の開始です。
販売活動を行う際には、売り出し価格を決め、指定流通機構(レインズ)や広告媒体などへの登録を行います。
【不動産を宣伝する手段】
- インターネット広告への登録
- 新聞の折り込み広告
- 周辺へ直接広告する
- 現地へ看板などを出す
- 不動産会社の既存顧客へ紹介して貰う
これらの作業の多くは、仲介先の不動産会社が行ってくださいますので、個人で作業をする場面は殆どありません。
(個人売買の場合は、こういった広告活動や宣伝などをご自身で行う必要があります)
とはいえ、売り出し価格は、売主の方の希望価格と不動産会社の査定価格を踏まえて、売主の方が金額を設定するのが一般的です。
そのため、価格設定で悩んでしまった場合には、仲介を依頼した不動産会社に相談をしてみると、効果的なアドバイスを貰えることがあります。
なお、個人売買など個人で価格を設定したい場合には、同ページ内の「不動産の予想売却価格の計算方法」の項目をご覧ください。
更に、売り出し価格の設定が終わっても、まだまだやるべきことはたくさんあります。
例えば、不動産の内覧などの準備や、売れなかった場合の対処などです。
この項目では、そんな内覧時のコツや販売活動時の価格設定を効果的に行うための方法などを記載していきます。
内覧・オープンハウスを行う場合
不動産の売却を行う際に、重大な役割を果たすのが、室内を購入希望の方に紹介する「内覧」です。
この内覧時に、買主の方に好印象を与えることができれば、当然に不動産自体も売れやすくなります。
そのため、室内をきちんと整理整頓し、汚れ・破損などを綺麗に修復するなど、なるべく清潔感がある空間を意識しておくことが重要です。
更に、不要なものを片付け、部屋を広くしておいたほうが、買主の方が好印象を持ちやすくなります。
もちろん、内覧時には、普段意識をしていない部分にも注意を払い、掃除をしておくことも大切です。
例えば、クローゼットの中など、普段他人に見られる機会が少ない場所なども、内覧時には確認をされる可能性があります。
以下は、買主の方が内覧時に確認する可能性のある個所をまとめた表です。
玄関・ポーチ |
|
---|---|
洗面所・浴室 |
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トイレ |
|
キッチン |
|
バルコニー |
|
収納 |
|
リビング(洋室) |
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和室 |
|
天井・換気扇 |
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その他の確認 |
|
これらの中から、できる限りの確認・修復を行い、ここに住みたいと思われるような空間作りをしておくことが大切です。
もちろん、これら以外にも確認すべき個所がある場合には、状況に応じて確認をするようにしてください。
また、内覧時に大切なのは、室内の環境作りだけではありません。
やはり、買主の方は、その不動産を購入した後の周りの環境なども気になっております。
そのため、内覧時には、住んでいて良かった点や悪かった点などを買主の方に素直に伝えておくと、好印象を持って貰いやすくなります。
もちろん、過度にアピールを行うことは、買主の方にマイナスの印象を与える可能性が高くなりますので、買主の方が欲しい情報を的確に伝えるようにしてください。
以上が、内覧・オープンハウスを行う場合のポイントになります。
次は、効果的に買主の方を探す方法などについてご説明致します。
買主を効果的に探したい場合
不動産を売却する場合、「その不動産を欲しがる可能性の高い層」を見つけることができれば、効果的に売却活動を行うことができます。
やはり、そういった方々に、不動産の情報を宣伝すれば、売買が成立する可能性や売却価格などが高まるのは当然です。
そのため、不動産売却を行う際には、こういった方々が多く存在する場所へ不動産情報を発信することが必要になります。
この場合、まず、情報を発信する前に、「売却する不動産がどういった状態のもの」で、「どういった人物像が欲しがる」のかを「実在するデータ」から構築していく作業が必要です。
例えば、どういった「性別」、「年齢」、「職業」、「所得」、「世帯」の方に売れやすい不動産なのかなどを考えていきます。
そうして、その方々が、「どうしてその不動産を買おうと思ったのか」という動機も仮定し、データを構築していってください。
例:
- 性別
- 不動産の情報から、男性がターゲットなのか、女性がターゲットなのかを十分に考慮していきます。
- 年齢
- 不動産の状況から、何歳程度の方が適切かを考えていき、大体のイメージを持っていきます。
- 職業
- 不動産の所在地や販売価格などから、不動産を欲しがるであろう職業を考えていきます。
- 所得
- 不動産の販売価格やその他必要情報から、大体この程度の所得の方が購入を考えるだろうといったことを考えていきます。
- 世帯
- 不動産の販売価格、面積・その他必要情報から、どういった世帯の方に需要がありそうかを考え、様々なケースを想定していきます。
- 購入動機
- 上記の情報を踏まえて、どういった購入動機を持っていらっしゃる方が多いかを考えていき、条件に合う買主の方のイメージを仮定していきます。
これらの情報をもとに、理想の買主像に近い方々へ不動産の情報を発信していきます。
もちろん、こういった情報は、経験・実績・専門知識が豊富な方が構築をしたほうが、的確に理想像を仮定できる場合が多いです。
そのため、一度、仲介先の不動産会社などに、どういった買主の方に売れやすい不動産であるのかをじっくりと相談してみると、イメージを固めやすくなるかもしれません。
なお、不動産売却の際には、住宅メーカーなどに情報を提供すると、適切な買主の方を紹介してくださることもあります。
そのため、仲介先との契約方法によっては、住宅メーカーに情報を提供するのも一つの手です。
以上が、不動産売却時に効果的に買主の方を探すために手順になります。
次は、実際に販売活動を行う上で、売れやすい不動産を売却する際の流れについてご説明致します。
売却しやすい条件の不動産の場合
不動産には、売れやすい地域・条件のものと、売れにくい条件のものがあります。
やはり、都心部などといった人口が多い地域にある不動産などは、買主の方が見つかりやすいのが一般的です。
そのため、こういった売れやすい条件の不動産は、それに応じた販売活動を展開していくようにする必要があります。
販売活動を行う際には、期間を「3期程度」に分け、その期間ごとに活動内容を変えていくと、いざという時にも適切な対応をしやすくなります。
こういった売れやすい地域での販売活動は、大体、販売活動期間を3ヶ月前後と考え、活動を計画しておくのが効果的です。
では、これから、販売活動を行う際の活動期間とその内容について説明をしていきます。
「販売活動の1期」
活動期間:活動開始から3週間前後~1ヶ月前後
価格設定:上限価格(市場価格に20%をプラスした金額)
1期は、上限価格で販売活動を行うことが可能な時期です。
この時期に、不動産の買主の方が見つかれば、かなり高額で取引が行えます。
通常は、活動開始から3週間前後が妥当ですが、経済状況により不動産価格が上昇する可能性がある場合には、1ヶ月程継続をしても問題ありません。
「販売活動の2期」
活動期間:活動開始から3週目前後~2か月目
価格設定:売り出し価格
2期は、価格を売り出し価格に変更して販売活動を行っていきます。
売り出し価格とは、基本的に周辺物件などと相場が一致する価格設定のことです。
この価格での販売活動は、3期の中で最も長くなります。
「販売活動の3期」
活動期間:販売活動から3か月目
価格設定:成約予想価格
3期は、とうとう販売価格を成約予想価格に近付けていきます。
この場合の価格は、買主の方からの値段交渉などを加味しながら設定を行うことが大切です。
更に、周辺成約事例などの確認をよく行い、予想価格が適切かどうかも確認をしていくようにしてください。
これらの活動を行えば、大体3ヶ月程度で不動産を売却できるはずです。
以上が、売却しやすい条件の不動産を売却する際の流れになります。
万が一、上記の流れで不動産が売れ残ってしまった場合には、同ページ内の「どうしても売れない場合」の項目をご覧ください。
次は、売却しにくい条件の不動産を売却する際の流れについてご説明致します。
売却しにくい条件の不動産の場合
売却したい不動産が、人口の少ない地域に存在したり、条件・状態が悪いものだったりした場合には、買主の方が見つかりにくい可能性があります。
そのため、こういった売却しにくい条件の不動産を売却する際には、その状況に合った販売活動を行っていくことが大切です。
売却しやすい条件の不動産は、大体3ヶ月程度の販売期間を設けたのに対して、こちらは大体「4ヶ月~6ヶ月程度」を視野に入れ、先程と同様に3期に分けた販売活動を行っていきます。
「販売活動の1期」
活動期間:活動開始から2週間前後
価格設定:上限価格(市場価格に20%をプラスした金額)
1期は、上限価格で販売活動を行い、買主の方が現れるのを待ちます。
この価格での販売を長期間行ってしまった場合、市場に「高額」という印象を与えてしまいますので、上記の通り、大体2週間前後を目安に、活動を計画しておいてください。
もちろん、この段階で買主の方が見つかればラッキーですが、そういったケースは殆どありません。
「販売活動の2期」
活動期間:活動開始から2週目前後~3ヶ月目
価格設定:売り出し価格
2期には、価格を売り出し価格にして販売活動を行っていきます。
この場合、売却しやすい条件の不動産と同様に、周辺物件と相場が一致するように価格設定をしてください。
不動産が売却しにくい地域での販売活動は、2ヶ月半前後をこの価格設定で販売していきます。
「販売活動の3期」
活動期間:活動開始から4ヶ月目以降
価格設定:1期と2期を考慮した上で設定
3期は、1期と2期の状況を確認し、考慮した上で価格の設定を行います。
この場合、現況相場の1段低い金額を設定するのが効果的です。
ここで価格設定を間違えてしまうと、不動産が売れ残ってしまうこともありますので、十分に考慮して上で設定を行ってください。
なお、この時に、相場の下落を追いかけて少しずつ値段を下げていってしまうと、売却時の利益が減少してしまう原因になりかねません。
そのため、この「相場の後追い」をしていらっしゃる場合には、早急に相場を見直し、設定し直すようにしてください。
以上が、売却しにくい条件の不動産を売却する流れになります。
なお、これらの販売活動を経ても不動産が売れない場合には、販売活動に何か問題点があるのかもしれません。
そのため、次は、販売活動が長期化してしまった際に、再確認しておきたい点についてご説明致しますので、ご自身の状況と照らし合わせてみてください。
どうしても売れない場合
不動産がどうしても売れない場合、販売活動に何か問題があるのかもしれません。
そのため、一度、周辺の市場動向や購入希望者の方の反応を確認するなどして、原因を探していく必要があります。
その際には、きちんと仲介依頼をした不動産会社とも話し合い、これからの方針を共有しておくことが大切です。
例えば、不動産の価格設定は適切であるか、割安にし過ぎて悪い印象を与えていないかを、不動産会社と見直してみましょう。
更に、短期間で小出しに値下げしてしまい、売れ残り物件のようなイメージを与えていないか、という部分も忘れずに確認をしておいてください。
また、購入希望者の方に、不動産のメリット・デメリットを適切に伝えられていたかどうかも、改めて振り返ってみることが大切です。
例えば、修繕が必要な場所を確認し忘れていないか、内覧時の印象は良いかを改めて確認し、良くない点があった場合にはそれらを改善いってください。
これらに問題がないにも関わらず、不動産が売れない場合、もしかすると不動産会社や個人での販売活動に何か問題があるのかもしれません。
そのため、不動産会社(個人で)の販売活動が熱心であるか、効果的な宣伝が行われているか、見学希望者へ適切な対応ができているかという点を確認してみてください。
- 不動産の価格設定
-
- 不動産の価格設定が高額過ぎる
- 割安な価格にし過ぎて印象を悪くしている
- 短期間で小出しに値下げした結果売れ残り物件だと思われている
- 不動産の魅力の伝達
-
- 不動産のメリット・デメリットが適切に伝えられていない
- 修繕するべき個所がまだある
- 不要なものを片付けておらず印象が悪い
- 販売活動自体の問題
-
- 依頼先の不動産会社や個人が販売活動を熱心に行っていない
- 有効な宣伝活動が行われていない
- 見学希望者をいつでも受け入れられる準備ができていない
以上が、不動産の販売活動が長期化してしまった際に再確認しておきたい点になります。
これで、媒介契約・販売を行う際の確認事項の説明は終わりです。
次の項目では、実際に売買契約を行う際の注意点などについて記載を行っていきます。
実際に売買契約を行う際の注意点
不動産の販売活動が成功し、買主の方が見つかった場合、とうとう売買契約に移っていきます。
この時に、「売買契約まで話が進んだら、後は簡単だ」と考えるのは間違いです。
実は、この売買契約を締結する部分では、まだやらなくてはいけなことがあります。
例えば、買主の方から各種条件の交渉などが行われる可能性もありますので、それらに関して意識をしておくことが大切です。
なお、一度、契約を締結したら、その契約を片方の一方的な理由で解除することは、原則できません。
(解除金や違約金などの支払いを行えば、解除自体は可能です)
そのため、契約の際には、売買契約書や重要事項説明書について、前日までには一読し、内容を確認・把握しておく必要があります。
(重要事項説明書の詳しい内容につきましては、同ページ内の「重要事項説明についての確認」の項目をご覧ください)
この項目では、こういった不動産の売買契約を行う際の各注意点について記載を行っていきます。
各種交渉があった場合の注意点
不動産の購入希望者の方が現れた場合、そのままトントン拍子で取引が完了するとは限りません。
やはり、不動産売却の際には、高額な金銭の取引が行われる場合が多いため、買主の方もなるべくは好条件で取引を終えたいと考えております。
そのため、購入希望価格、代金の支払い条件、引き渡し希望日など、相手から条件の交渉を受けることも少なくありません。
これらの条件は、購入希望者から、提示される「買付証明書」いう書面に記載されております。
(購入申込書など別の名称の場合もあります)
売主の方は、当初構築した計画を確認し、売却後の生活に支障がないかを検討した上で、それらの条件交渉に入るかを決めていかなくてはいけません。
不動産売買に関する交渉は、一般的に、売り主側の不動産会社と買い主側の不動産会社が行ってくださいます。
(個人売買の場合には、個人間で交渉を行うことになります)
そのため、売主の方は、不動産会社からの市場動向の情報やアドバイスを参考にして、希望条件を的確に不動産会社に伝えておくことが大切です。
例え、大幅な値下げ交渉であったとしても、上限価格で販売を行っていた場合には、成約予想価格よりも高い価格で取引ができる場合もあります。
この場合は、結果的に相場よりも高い価格で売却できますので、そのまま契約を進めても損をすることはありません。
一方、購入希望者から、成約予想価格よりも低い価格で交渉を受けた場合には、価格交渉の検討が必要です。
不動産が売却しやすい地域であれば、次の購入者を探すことを視野に入れた交渉を行うこともできます。
しかし、反対に売却がしにくい地域の場合は、次の購入者を待つ時間がない場合も少なくありません。
そのため、相場が下落していることを加味し、条件を付けるなどして交渉を進めることになる場合もあります。
なお、その際に、購入希望者からの提示金額よりも高い金額の条件を返す場合には、相手にその金額の根拠を伝えておくことが大切です。
例えば、査定額を算出した際に行った「金額・条件の妥当性」などを的確に相手に伝えた上で価格交渉に臨むと、相手が納得し、それに応じてくださる可能性も高まります。
更に、売買時に交渉できる条件は、価格だけではなく、下記のような条件も一緒に調整を行うことが可能です。
【調整を行う可能性のある主な条件の一例】
- 不動産の売買価格
- 各種手付金の金額
- 不動産の引き渡し時期
- 瑕疵担保責任の期限
- 土地を実測するかどうか
- 土地を実測する場合は実際の面積に応じた売買代金の精算を行うかどうか
- 建物や設備の補修を行うかどうか
- 古家などがある場合はそれらを撤去するかどうか
- 固定資産税や都市計画税などの精算方法や金額について
例えば、建物や設備に不具合がある場合、それらの補修を行わない代わりに売却価格を下げるといった調整を行うこともできます。
そのため、それぞれの条件を確認し、必要な部分を合わせて調整・交渉を行っておくと、価格と各条件を合わせやすくなります。
以上が、買主の方から各種交渉などがあった場合の注意点です。
次の項目では、不動産売却を行う際に必要にないことが多い、重要事項説明書についてご説明致します。
重要事項説明についての確認
不動産を売却する際には、売買契約の前に買主の方へ「重要事項説明」を行います。
重要事項説明とは、不動産会社が購入予定者に対して、売買契約を締結するまでの間に、購入物件に関わる情報や契約条件などの重要事項の説明を行うことです。
これは、宅地建物取引業法で定められている決まりですので、売買時には殆どの場合必要な作業となります。
重要事項説明の際には、宅地建物取引士が内容を記載した書面に記名・押印し、その書面を交付した上で、口頭説明を行うのが一般的です。
説明時には、固定資産税や管理費などの日割り精算とその受取方法など、金銭的な動きに関する説明もありますので、売主の方と買主の方は、それらに間違いがないかなどを確認しておくことが大切です。
売買時の重要事項説明書に記載される主な内容は、下記のようなものがあります。
- 対象となる宅地又は建物に直接関係する事項
-
- 登記記録(登記簿謄本・登記事項証明書など)の記載事項
- 都市計画法・建築基準法などの法令に基づく制限の概要
- 敷地と道路、私道の負担に関する事項
- 飲用水やガス、電気の供給施設及び排水施設の整備状況
- 未完成建物の場合は、工事が完了した際の形状や構造など
- 宅地建物が造成宅地防災区域内であるか否か
- 宅地建物が土砂災害警戒区域内であるか否か
- アスベスト(石綿)の使用調査の内容
- 耐震診断の内容
- 住宅性能評価を受けた新築住宅である場合は「住宅性能評価書」の交付の有無
- 取引条件に関する事項
-
- 売買代金及び交換差金以外に授受される金銭
- 売買の契約解除に関する事項
- 損害賠償額の予定や違約金に関する事項
- 業者自らが売主の場合は、手付金などの保全措置の概要
- 支払い金又は預かり金の保全措置の概要
- 金銭の貸借のあっせん
- 瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要
- 割賦販売に係る事項
- その他の事項
-
- 供託所などに関する事項(その他、取引の判断に重要な影響を及ぼす事項についても記載・説明されております)
- マンションなどの区分所有建物の場合の追加事項
-
- 敷地に関する権利の種類・内容
- 共有部分に関する規約の定め
- 専有部分の用途とその他の利用の制限に関する規約などの定め
- 専用使用権に関する規約などの定め
- 所有者が特定の者に負担すべき費用を減免する旨の規約などの定め
- 計画修繕積立金などに関する事項
- 通常の管理費用の金額
- 管理の委託先
- 建物の維持修繕の実施状況の記録
- その他の事項
不動産会社は重要事項説明を行うまでに、これらの情報を集めるため、詳細な物件調査を行っていきます
その場合、やはり、売主の方にしか分からない事情などもあるため、不動産会社だけでは全ての情報を入手することができません。
そのため、売り主の方は、不動産会社に対して、求められた不動産の関連書類・ご存知の情報を正確に提供する必要があります。
以下は、不動産会社が行う物件調査と売主の方が提供する情報の一例です。
調査するもの・必要情報 | 調査・提供 | |
---|---|---|
法務局での調査 | 登記記録(登記簿謄本・登記事項証明書など)、公図などの調査 | 不動産会社 |
行政庁での調査 | 法令上の制限などの調査(都市計画法や建築基準法など) | 不動産会社 |
現地での調査 | 道路・敷地・建物などの状況や近隣との境界線、高圧線の有無の調査 | 不動産会社 |
インフラの調査 | 上下水道やガスなどの配管状況の調査 | 不動産会社 |
不動産関係書類 | 購入時の重要事項説明書、建築時の設計図、リフォームを行った場合にはその書類、マンションの場合は管理規約や使用細則の書類など | 売主 |
その他の情報 | 明らかになっている不動産の瑕疵や、その他気になる情報など(近隣トラブル・騒音の有無・周辺の情報など) | 売主 |
なお、売主の方は、これら以外にも不動産に関して気になる点などがあれば、できる限り不動産会社に情報を提供しておくことが大切です。
実際の重要事項説明の流れと重要事項説明書の見方につきましては、下記に記載をしておりますので、不明な部分などをそれぞれご確認ください。
(なお、売主の方は、稀に重要事項説明書の原本や写しなどが貰えない場合がありますので、事前に不動産会社にご確認ください)
1.説明前の基本的な情報の確認
まず、重要事項説明書を見てみると、宅地建物取引士や取引の内容などの基本的な情報が記載されております。
不動産の売買による重要事項説明書を確認する際には、まず、これらの情報が適切であるかを見てみることが大切です。
そのため、これから右の画像を見ながら、重要事項説明書の基本的な情報の確認点について説明を行っていきます。
なお、画像は国土交通省が推奨している重要事項説明書の画像を使用・加工しておりますので、その他のものだと、少々項目が異なる可能性があるためご注意ください。
「別添3・重要事項説明の様式例」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/common/001064670.pdf)を加工して作成
【第一面のA枠.説明をする宅地建物取引士】
ここには、重要事項説明を行う「宅地建物取引士」の方の情報が記載されております。
宅地建物取引士の方の「氏名」、「登録番号」、「事務所の住所・電話番号」などが記載されておりますので、それぞれの情報をご確認ください。
万が一、説明者の方が宅地建物取引士出ない場合には、法令に違反しておりますので、早急に改善が必要です。
【第一面のB枠.取引の態様】
この欄の説明は、法令では義務付けられておりませんが、通常は記載が行われます。
不動産会社(売主本人)が売主である場合には「当事者」、
売主の方が他におり、不動産会社などが代理である場合には「代理」、
不動産会社などによる媒介(仲介)売買である場合には、「媒介」
と記載されておりますので、対応する様態にチェックがされているかをご確認ください。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたい基本的な情報です。
次は、重要事項説明書に記載してある「不動産の基本的な情報」の確認点についてご説明致します。
2.基本的な不動産情報の確認
重要事項説明書には、売却予定の不動産の基本的な情報も記載されております。
そのため、その情報に間違いがないか、必要な情報は記載されているか、買主の方に正確に情報が伝わるかなどを確認してみることが大切です。
この項目では、この重要事項説明書に記載されている不動産の基本的な情報の確認点について記載を行っていきます。
なお、これらの情報は、重要事項説明書の第一面の下部と第二面の上部に記載がされているのですが、「通常の建物」なのか「区分所有建物」なのかによって、記載が必要な情報が若干異なります。
そのため、この項目では上側に「通常の建物」、下側に「区分所有建物」の画像を貼り付け、各項目の説明を行っていきます。
(第二面は「通常の建物」と「区分所有建物」に違いはありませんので1枚だけとなっております)
「別添3・重要事項説明の様式例」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/common/001064670.pdf)を加工して作成
【第一面のC枠.物件の情報】
売却する予定の不動産の所在地や面積、種類などの情報が記載されております。
売主の方は、これらの情報が、登記記録などと同一なものであるかどうかを確認してみてください。
なお、リフォームなどを行い登記の変更をしていない場合には、登記記録の情報が実際のものと異なっている可能性があります。
そういった場合には、きちんと登記を変更し、重要事項説明書の内容も修正を行っておいてください。
【第二面のD枠.登記記録に記録された事項】
この項目の情報は、登記記録と照らし合わせながら、記載情報に間違いがないかを確認していきます。
所有権の登記名義などは、登記記録の甲区欄に記載されておりますので、各自ご確認ください。
なお、万が一、不動産に抵当権などが設定されている場合には、そのことに関しても記載がされているかを確認します。
不動産の売買を行う際には、通常は抵当権を抹消することが前提ではありますが、何らかの事情により抹消しないで売買を行う際には、買主の方の理解が必要です。
更に、貸借権などが設定されている借地などを売却する場合にも、そのことについての記載が行われているかをチェックしておくことが大切です。
また、マンションなどの区分所有建物を売却する場合には、権利の種類などの確認も忘れないようにしてください。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたい不動産の基本的な情報です。
次は、重要事項説明に記載してある「法令上の制限など」の確認点についてご説明致します。
3.法令上の制限などの確認
重要事項説明書には、都市計画法・建築基準法に基づく制限などの情報もきちんと記載を行っておかなくてはいけません。
やはり、買主の方はこれらの制限を配慮した上で不動産の購入を行うため、売買後に記載のなかった制限が発覚してしまうと、それがもとで大きなトラブルが起こってしまうこともあります。
そのため、売主の方は、重要事項説明書に法令が全て記載されているか、十分に確認をしておくことが大切です。
なお、この重要事項説明書の法令上の制限は、「第二面の下部」と「第三面の上部」に記載されております。
こちらの面も、先程と同様に、「通常の建物」と「区分所有建物」の書面に若干の違いがありますが、こちらは特に差支えがないため「通常の建物」の書面だけで説明を行っております。
(区分所有建物の第二面最下部に、「ト その他の制限」がないだけです)
では、それぞれの画像を見ながら、法令上の制限の確認をしていきます。
「別添3・重要事項説明の様式例」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/common/001064670.pdf)を加工して作成
【第二面と第三面のE枠.都市計画法・建築基準法に基づく制限】
この欄には、都市計画法で定められた用途地域や地域地区の種類・制限の概要などが記載されております。
買主の方は、これらの情報を確認して不動産を購入しますので、間違いなどがあると大変です。
そのため、それぞれの法令などを十分に確認し、漏れなどがないかをご確認ください。
なお、中古住宅などの場合は、建物を建設した当時は適法であったものでも、時を経て都市計画が変更され、適合外の建物となっている可能性があります。
この場合、既存不動産が違反建築となることはありませんが、買主の方がこれと同等の建物を立て直そうとした場合には、違反建築となってしまいますので注意が必要です。
そのため、現在の住宅と都市計画法の関係性にも注意をし、買主の方にそれが伝わっているか確認をしておくようにしてください。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたい法令上の制限の情報です。
次は、重要事項説明に記載してある「道路やその他のインフラに関する事項」の確認点についてご説明致します。
4.インフラ設備などの確認
道路などに関する各種インフラは、不動産売買時に非常に大切な部分になります。
何故なら、これらは不動産購入後の買主の方の生活に大きな影響があるからです。
例えば、不動産に面している道路が私道である場合には、様々な制限が発生する可能性があります。
更に、私道の維持管理のための費用が発生する場合もあり、これらの説明を十分に行っていないと、買主の方と大きなトラブルになってしまうことも少なくありません。
そのため、この項目では、重要事項説明書のインフラ設備に関する事項の欄の確認点について説明していきます。
なお、こちらも、通常の建物と区分所有建物の事項に違いはありませんので、画像は1枚だけとなっております。
「別添3・重要事項説明の様式例」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/common/001064670.pdf)を加工して作成
では、右画像を見ながら、インフラ設備に関する事項についての確認点を見ていきましょう。
【第三面のF枠.私道に関する負担に関する事項】
もし、売却する予定の不動産に私道部分が含まれている場合には、それらの記載情報が正確かを確かめておく必要があります。
私道の権利関係、負担金などの有無、通行料の負担など、余さずに記載がされているかをしっかりと確認してください。
もちろん、道路の掘削などの権利についても、買主の方にきちんと伝えておくことが大切です。
やはり、これらの情報をきちんと買主の方に伝えていなかった場合、後に重大なトラブルが起こってしまう可能性があります。
【第三面のG枠.飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の設備状況】
飲用水・電気・ガスの供給施設及び排水施設の設備は、買主の方が生活をする上で必要不可欠なものです。
そのため、これらの設備状況はしっかりと確認し、適切に記載がされているかをチェックしておくようにしてください。
もちろん、何らかの特別な負担金が発生する場合にも、それらを買主の方に伝えておくことが大切です。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたいインフラ設備の情報です。
次は、重要事項説明に記載してある「その他の物件に関する制限などの事項」の確認点についてご説明致します。
5.その他の制限などの確認
万が一、まだ完成していない建物を売却する場合には、それらに関する事項も重要事項説明書に記載されます。
この場合、建物が未完だという点に配慮し、なるべく完成後のイメージを的確に買主の方に伝えておくことが重要です。
そのため、記載された情報に間違いなどがないかを、十分にチェックしておくようにしてください。
なお、ここから、「通常の建物」と「区分所有建物」の重要事項説明書の記載事項が大きく変わってきますので、ここからは面を分けて各所の説明を行っていきます。
「別添3・重要事項説明の様式例」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/common/001064670.pdf)を加工して作成
【第三面と第四面のH枠(この部分は共通).未完成物件の場合の完成時の形状・構造】
※上側2枚が「通常の建物」、下側2枚が「区分所有建物」の画像です。
新築分譲物件で建物が未完成である場合、この欄への記載が必要になります。
売主の方は、買主の方に完成時の不動産情報が的確に伝わるように、十分な情報を開示しておくことが大切です。
もちろん、記載してある情報に不備や異なる点などがないかも、十分にチェックしておくようにしてください。
【通常の建物の場合は「第四面」、区分所有建物の場合は「第六面」のI枠.当該宅地建物が造成宅地防災区域内か否か】
造成宅地防災区域とは、宅地造成に伴う災害で大きな被害が発生する恐れがあると指定されている区域のことです。
売却予定の不動産の所在地が、造成宅地防災区域内である場合には、そのことを買主の方に伝えておく必要があります。
そのため、この欄の情報が、適切に記入がされているかを忘れずにチェックしておいてください。
【通常の建物の場合は「第四面」、区分所有建物の場合は「第六面」のJ枠.当該宅地建物が土砂・津波災害警戒区域内か否か】
この欄では、土砂により大きな被害が発生する恐れがある地域や、津波が発生した場合に生命・身体に危害が生ずる恐れがある地域と、市町村から指定されている区域内か否かの確認を行う欄です。
土砂・津波災害警戒区域内である場合には、対応する欄に記入がされているかをチェックしておいてください。
【通常の建物の場合は「第四面」、区分所有建物の場合は「第六面」のK枠.アスベスト(石綿)の使用調査とその内容】
この欄には、不動産のアスベスト(石綿)調査状況が記載されております。
万が一、アスベスト(石綿)調査を行ったのに「無」となっていたり、行っていないのに「有」となっていたりする場合には、事前にそれらの修正を申し出ておいてください。
【通常の建物の場合は「第四面」、区分所有建物の場合は「第六面」のL枠.耐震診断の内容】
昭和56年の耐震基準の法改正以前に、建築確認を受けた建物は、耐震基準が低くなっている可能性があります。
そのため、それ以前に建築をした建物は、一定の耐震診断を受けることで、その耐震性を証明することができます。
万が一、耐震診断を受けているのに「無」となっていたり、診断を受けていないのに「有」となっていたりする場合には、記載内容の修正を申し出ておいてください。
【通常の建物の場合は「第五面」、区分所有建物の場合は「第七面」のM枠.住宅性能評価を受けた新築住宅である場合】
売却予定の不動産が、住宅性能評価を受けた新築住宅である場合には、この欄にその情報が記載されております。
住宅性能評価は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」にもとづき、住宅の品質や性能について客観的な評価が行われるのが一般的です。
住宅性能評価書が交付済みの場合は「有」に、ない場合は「無」に記入がされているかをチェックし、下の欄の対応する評価書に記入がされているかをご確認ください。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたい、その他の物件に関する制限などの事項です。
次は、重要事項説明に記載してある「区分所有建物の場合の事項」の確認点についてご説明致します。
6.区分所有建物の場合の確認
区分所有建物とは、「マンション」、「アパート」、「テラスハウス」など、所有者の所有権がそれぞれ異なっている不動産のことです。
この場合、所有者の所有部分は、区分所有者が所有権となっている「専有部分」と、他の方と共有になる「共有部分」に分かれている場合が殆どです。
例えば、マンションの部屋部分は「専有部分」、マンションの共同玄関・廊下・エレベーターなどは「共有部分」となります。
こういった影響により、区分所有建物の売却は、通常の一戸建を売却するよりも、権利関係が複雑になってしまうことが多いです。
そのため、重要事項説明時などに、この権利関係に関して十分な説明を行っておくことが大切です。
この項目では、そんな区分所有建物を売却する際の重要事項説明書の確認点について記載を行っていきます。
なお、確認点の各説明は右画像を参考にして行っておりますので、必要なものを各自ご確認ください。
「別添3・重要事項説明の様式例」(国土交通省) (http://www.mlit.go.jp/common/001064670.pdf)を加工して作成
【区分所有建物の第四面のa枠.敷地に関する権利の種類及び内容】
ここには、区分所有建物の敷地面積や権利の種類などが記載されております。
敷地に、借地権部分がある場合なども、この欄に記入がされますので、売主の方は各種情報が正確かをご確認ください。
【区分所有建物の第四面のb枠.共用部分に関する規約等の定め】
区分所有建物には、共有部分と呼ばれる場所が存在します。
こういった部分に関する管理方法・管理者の選任方法・権限などは、管理規約などで定められているのが一般的です。
この欄には、そういった共有部分に関する規約などの定めが記載されております。
そのため、売主の方は、情報に間違いがないか、抜けている部分はないかを事前に確認しておくようにしてください。
【区分所有建物の第四面のc枠.専有部分の用途その他利用の制限に関する規約等の定め】
区分所有建物の専有部分は、場合によっては様々な制限や規約などがある可能性があります。
例えば、動物を室内に入れてはいけない、リフォームをすることはできないなどの決まりがあるケースも少なくありません。
この欄には、こういった専有部分に関する制限や規約など記載されております。
そのため、この欄に記入情報に漏れがあると、後に買主の方とトラブルが起こってしまう可能性がありますのでご注意ください。
【区分所有建物の第四面のd枠.専用使用権に関する規約等の定め】
この欄には、区分所有建物の敷地、共用部分、付属施設などの「特定の区分所有者」にのみ、使用を認める「専用使用権」が定められている場合に記載が行われております。
例えば、専用庭、ルーフバルコニー、駐車場、トランクルームなどは、専用使用権が規約などで定められている可能性があります。
そのため、売主の方は、記載情報に漏れがないか、間違いがないかをチェックし、万が一不備があった場合には、修正を申し出ておいてください。
【区分所有建物の第四面のe枠.修繕積立金などに関する事項】
区分所有建物は、区分所有者が別々であるため、場合によっては、共同で建物の修繕や管理を行う必要があります。
これらは、計画的な修繕や日常の管理に必要な費用として、規約に定められている場合が殆どです。
この欄には、そういった修繕積立金や管理費などの説明が記載されております。
売主の方は、これらの金額に間違いがないかを確認し、万が一、これらの費用を滞納していらっしゃる場合には、そのことに関する記載も行われているかをチェックしておいてください。
【区分所有建物の第四面のf枠.管理の委託先に関する事項】
区分所有建物は、基本的に管理会社などに管理が委託されております。
そのため、重要事項説明の際には、管理会社の概要などについても説明が必要です。
この欄には、そういった管理の委託先の情報が記載されておりますので、売主の方は、その情報に間違いがないか確認をしておいてください。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたい区分所有建物に関する情報です。
次は、重要事項説明に記載してある「売買の契約条件」の確認点についてご説明致します。
7.売買の契約条件の確認
重要事項説明の際には、売買などの契約において、特に重要な事項について改めて説明があります。
そのため、やはり売主の方と買主の方は、それぞれこれらの内容を十分に確認しておくことが大切です。
この項目では、こういった重要事項説明書に記載がされた売買時の契約条件の確認点について記載をしていきます。
なお、これらの情報も、「通常の建物」と「区分所有建物」で記載されている「面」が異なっておりますので、それぞれ対応している画像をご覧ください。
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【通常の建物の場合は「第六面」、区分所有建物の場合は「第八面」のN枠.代金及び交換差金以外に授受される金額】
※上側2枚が「通常の建物」、下側1枚が「区分所有建物」の画像です。
この欄には、手付金、固定資産税、都市計画税・その他管理費の清算金に関する事項が記載されております。
これらの金額は、直接売買代金には関係がありませんが、念のため、売主の方は、間違いがないかを確認しておくようにしてください。
【通常の建物の場合は「第六面」、区分所有建物の場合は「第八面」のO枠.契約の解除に関する事項】
この欄には、手付金の放棄による契約解除など、契約解除の条件やその手続きの方法、解除の効果はどうなるのかといった説明が記載されております。
そのため、売主の方は、契約解除時の対応について間違いがないかを事前に十分にご確認ください。
【通常の建物の場合は「第六面」、区分所有建物の場合は「第八面」のP枠.損害賠償額の予定または違約金に関する事項】
この欄は、契約に違反した場合の損害賠償の予定又は違約金などに関する定めがある場合に記載がされております。
違約金などの金額は、大体、売買代金の20%以内とすることが多いようですが、最終的には当事者間の合意によって決定されるのが一般的です。
そのため、売主の方は、金額や内容に記載ミスがないかをチェックしておくようにしてください。
【通常の建物の場合は「第六面」、区分所有建物の場合は「第八面」のQ枠.手付金等の保全措置の概要】
売主の宅地建物取引業者が、売買契約時に下記のいずれかの条件で手付金を受け取る場合には、「手付金等の保全」をしなくてはいけません。
「完成物件で物件代金の10%又は1,000万円を超える手付金などを受け取る場合」
「未完成物件で5%又は1,000万円を超える手付金等を受け取る場合」
この欄には、こういった保全措置に関する事項が記載されておりますので、売主の方は、その内容に間違いがないかを十分にチェックしておいてください。
【通常の建物の場合は「第七面」、区分所有建物の場合は「第八面」のR枠.支払金や預かり金の保全措置の概要】
不動産を売買する場合、売主の方は、買主の方から金銭を受け取ったり、又は預かったりします。
それらの金銭について、宅地建物取引業者が、保全措置を講じる(行う)場合には、この欄へ保全措置の内容が記載されております。
保全措置を講ずるが否かは、任意となっておりますので、売主の方は、これらの記載内容に相違がないかをご確認ください。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたい売買の契約条件に関する情報です。
次は、重要事項説明に記載してある「その他の事項」の確認点についてご説明致します。
8.その他の事項の確認
重要事項説明書を確認する際には、その他の事項などについても、きちんとチェックをしておく必要があります。
やはり、これらの事項に記載ミスなどがあると、買主の方に的確な情報を伝えることができません。
そうなると、売買時や売買後のトラブルの原因になってしまう可能性があります。
そのため、この項目では、こういった不動産売買時のその他の事項に関しての確認点を記載していきます。
なお、これらの情報も、「通常の建物」と「区分所有建物」で記載されている「面」が異なっておりますので、該当する画像を確認するようにしてください。
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【通常の建物の場合は「第七面」、区分所有建物の場合は「第九面」のS枠.金銭の貸借のあっせん】
※上側2枚が「通常の建物」、下側2枚が「区分所有建物」の画像です。
宅地建物取引業者が住宅ローンなどの金銭の貸借のあっせんを行う場合には、この欄へそれらの融資先・金利・返済方法などについての情報が記載されております。
また、買主の方が予定していた住宅ローンなどを受けられなかった場合の措置なども、この欄へ記載がされています。
そのため、売主の方は、それらに問題がないかを確認しておいてください。
【通常の建物の場合は「第七面」、区分所有建物の場合は「第九面」のT枠.瑕疵担保責任の履行に関する措置の概要】
この欄には、売主の方が講ずる、「瑕疵担保責任の履行に関する措置」についての説明が記載されております。
なお、瑕疵担保責任の履行に関する措置とは、売主が何らかの理由で瑕疵担保責任を負うことができない場合でも、保険への加入などにより、瑕疵担保責任を履行することができるという制度です。
平成21年10月1日から、新築住宅の売主には、瑕疵担保責任の履行に関する措置を講ずることが義務化されております。
そのため、売主の方は、瑕疵担保責任の履行に対して、適切な記入がされているかをチェックし、何か不備がある場合には訂正をしておくようにしてください。
【通常の建物の場合は「第七面」、区分所有建物の場合は「第九面」のU枠.割賦販売に係る事項】
不動産を割賦(分割)で販売する場合には、この欄に、現金で販売する場合の価格や、割賦で販売する場合の価格などについて記載がされます。
更に、引き渡しまでに支払う金額と、引き渡し後に分割して支払う金額・その支払い時期なども一緒に記載されているのが一般的です。
そのため、売主の方は、これらの記載に不備がないかを確認しておいてください。
【通常の建物の場合は「第八面」、区分所有建物の場合は「第十面」のV枠.供託所などに関する説明】
宅地建物取引業者は、営業保証金を供託するか、宅地建物取引業保証協会に加入することが義務付けられております。
これは、消費者などが、宅地建物取引業者の責任により取引上の損害を被った場合に、消費者の保護を図るためです。
この決まりにより、宅地建物取引業者の責任により取引上の損害を被った場合には、宅地建物取引業者が供託している営業保証金、又は宅地建物取引業保証協会が供託している保証金が還付されることになります。
この欄には、こういった、供託所などに関する情報が記載されております。
宅地建物取引業者が、「宅地建物取引業保証協会の会員でない場合」は、「営業保証金を供託している供託所とその所在地」が記載されているのが一般的です。
一方、宅地建物取引業者が、「宅地建物取引業保証協会の会員の場合」は、「保証協会の名称、住所・所在地、保証協会が保証金を供託している供託所とその所在地」について記載がされております。
売主の方は、これらの記載に関して、記載漏れや不備がないかをチェックし、問題がないかをご確認ください。
以上が、重要事項説明書の中で確認をしておきたい、その他の事項に関する情報です。
次は、重要事項説明書と一緒に作成をしておきたい「申告書」についてご説明致します。
告知書へ記載する内容の確認
重要事項説明書が不動産売買において必ず必要な書類であるのに対し、「告知書」のほうは、任意で作成を行う書類になります。
告知書とは、「付帯設備表及び物件状況報告書」のことであり、宅地又は建物の過去の履歴や隠れた瑕疵などについて、状況を説明する書面です。
そのため、売主の方にしか分からない瑕疵の状況をきちんと伝えたい場合には、この申告書を作成する必要があります。
やはり、売却不動産やその設備などに何かしらの不具合があった場合、それは立派な瑕疵です。
また、元から知っていたのにそのことを隠していた瑕疵は、隠れた瑕疵ではありませんので、後に重大なトラブルが起こってしまう可能性もあります。
実際に、国土交通省では、「売主にしか分からない事項について、売主の協力が得られるときは告知書を提出して貰い、これを買主に渡すことで、将来のトラブル防止に役立てることが望ましい」としております。
告知書の記載事項には、下記ようなものがありますので、作成を考えていらっしゃる方は確認をしてみてください。
【土地関係の記載】
- 敷地などの境界確定の状況
- 土壌汚染調査・瑕疵の存否や可能性の有無
- 土地の過去の所有者と利用状況
- 周辺の土地の過去及び利用状況
【建物関係の記載】
- 建物を新築した時の設計図書など
- 建物を増改築及び修繕した場合はその履歴
- アスベスト(石綿)使用の有無に関する調査の存否
- 建物の耐震診断の有無
- 住宅性能評価などの状況
- 建物の瑕疵の存否やその可能性の有無
- 建物の過去の所有者と利用状況
【その他の記載】
- 以前の所有者から引き継いだ各資料
- 消費生活用品製品安全法で定められている特定保守製品の有無
- 建物の新築などに関わった不動産流通業者
- 建物の増改築などに関わった不動産流通業者
これらを告知書に記載しておくことで、お互いに納得した上で不動産の売買を行いやすくなります。
そのため、なるべくは、重要事項説明書などと一緒に、この告知書も作成をしておくようにしてください。
以上が、不動産売買時の告知書に関する説明になります。
これで、重要事項説明と告知書などに関する説明は終わりです。
次は、不動産の引き渡し時とその後の基礎知識についてご説明致します。
不動産の引き渡し時の基礎知識
買主の方との交渉が終わり、売買契約を結んだら、後は、不動産を引き渡していくだけです。
その際には、売主の方が各資料などを準備し、必要な手続きを終えておかなくてはいけません。
例えば、所有権移転登記申請などは、売主の方が関与しなくては手続きを行うことができません。
引き渡しの期日までに、こういった準備ができなかった場合、売主の方は債務不履行となってしまします。
そうなると、それ相応の違約金の支払いを求められる可能性があります。
更に、引き渡しを終えた後には、各種費用の清算や税金の支払いなども行っておかなくてはいけません。
そのため、この項目では、こういった不動産の引き渡し時に必要なことや流れ、その後の税金などについて記載を行っていきます。
まずは、不動産の引き渡しまでに準備しておきたいものや手続きなどについてご説明致します。
引き渡しまでに準備が必要なもの
不動産の引き渡しを行う際には、それまでに色々なものを準備しておく必要があります。
特に、引き渡しのために必要な手続きなどは、場合によって時間が掛かってしまうこともありますので、早めに全ての手続きを行っておくことが重要です。
そのため、万が一、引き渡し時に不明な点などがあれば、それらを不動産会社に相談をしておくようにしてください。
不動産の引き渡しの際には、物件の鍵や「不動産売却を行う際の手順」で記載をした必要書類などの引き渡しも必要になります。
そのため、これらのものも、不動産と一緒に引き渡しができるよう、準備を進めておくことが大切です。
なお、「不動産売却を行う際の手順」で記載をしたもの以外で必要になる可能性のある書類・ものなどは下記のようになります。
- 登記に必要な費用(登録免許税や司法書士への報酬など)
- 手付金を充当した残代金や各種精算金などの領収書(振込控えで代替する場合もあり)
- 建築関係書類・物件の鍵など買主の方へ引き渡しする予定のもの一式
- 仲介手数料
なお、不動産の引き渡し時に必要な手続きなどにつきましては、下記をご覧ください。
【所有権移転登記の準備】
不動産を引き渡すということは、その所有者が変わるということです。
そのため、法律的に不動産の所有者が変わることを登記し直さなくてはいけません。
これらには、「登記識別情報又は権利書」、「印鑑証明書」、「住民票」、「固定資産評価額証明書」などが必要になる可能性があります。(登記を司法書士に委任する場合には、「委任状」なども必要になります)
なお、この時に登記識別情報又は権利書を紛失していらっしゃる場合には、特別な手続きが必要になる可能性があります。
そのため、なるべく早めに手続きに取り掛かるなど、時間に余裕を持って手続きを行っておくことが大切です。
【抵当権の抹消準備】
これらは、抵当権が付いたままの不動産を売却する際に必要な作業になります。
抵当権を抹消するためには、ローン残債の全額返済が必要です。
そのため、抵当権抹消に係る金融機関のスケジュールをご確認の上、これらの手続きを行うようにしてください。
なお、抵当権の抹消を行うためには、以下の書類が必要です。
【新しい住居への引越し】
売主の方は、不動産を引き渡すまでに、引越しなどを済ませておくのが一般的です。
そのため、契約内容などを確認し、それまでに引越しを行っておくようにしてください
また、マンションなどを売却する方は、賃借者の方への立退きも進めておくことが大切です。
【その他の確認】
上記以外にも、必要に応じて必要書類の準備や手続きなどを行っておきます。
特に、買主の方から提示され、準備が必要になったものなどを改めて確認し、漏れがないかをチェックしておいてください。
以上が、不動産の引き渡しまでに準備をしておきたいものや手続きの説明になります。
次は、不動産を引き渡す際の実際の手順や流れなどについてご説明致します。
「抵当権抹消登記の対象となる不動産の登記事項証明書(登記簿謄本)」
「登記原因証明情報」
「抵当権設定時の登記済証又は登記識別情報」
「抵当権者の委任状、代表者事項証明書(資格証明書)」
など
【土地の境界確認(実測の確認)】
買主の方から、土地の実測や境界確定などを求められていらっしゃる場合には、引き渡しまでに、これらの準備を整えておく必要があります。
土地の実測や境界確定は、近隣の方などが立ち会った上で、土地家屋調査士が測量・境界を確定するのが一般的です。
これらの作業も、場合によっては時間が掛かってしまいますので、早めに依頼をしておくようにしてください。
【現地確認の実施】
不動産の引き渡しを行う際には、原則として、売主・買主・不動産会社が立ち会って現地の確認を行います。
その際には、隣地との境界や付帯設備の引継ぎ、物件の修復などに関して、お互いに確認をし合います。
引き渡しの際の実際の流れ
上記の確認が終わりましたら、とうとう買主の方に不動産を引き渡していきます。
不動産を引き渡す際には、まず、事前に、売主と買主が境界や設備などが契約書の通りかを現地で確認するのが一般的です。
この現地確認で問題がなければ、売主の方は、所有権移転登記の申請に必要な書類が揃っているかをチェックしていきます。
なお、登記を司法書士の方に委任していらっしゃる場合には、司法書士の方が確認を行います。
また、不動産に抵当権が設定されている場合には、それらを抹消するための書類も準備をしておくようにしてください。
それらの準備・確認が終わりましたら、売主と買主は、予め決めておいた不動産の決算・取引が行われる場所へ集合します。
そうして、売主の方は、買主の方から売買代金の残りを受け取り、買主の方に「残代金の領収書」と「所有権移転登記などに必要な書類」を引き渡していきます。
なお、登記を司法書士に委任していらっしゃる場合には、登記費用は司法書士の方に支払いますのでご注意ください。
これらの引き渡しが終わりましたら、今度は、各種負担金(公租公課など)の清算を行っていきます。
この場合に清算を行うことが多い負担金は、マンションなどの管理費・固定資産税・都市計画税などです。
なお、
マンションなどの管理費の負担額の詳しい内容につきましては、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「不動産の各種精算金の返金」の項目を、
固定資産税・都市計画税の負担額の詳しい内容につきましては、「不動産を売却する際に必要になる各費用の計算方法と合計金額」の記事にあります「固定資産税・都市計画税の返金」の項目を
ご覧ください。
買主の方から各種精算金を受け取ったら、それらの領収書を受け渡します。
領収書の受け渡しが終わりましたら、今度は買主の方に「物件の鍵」を引き渡していきます。
その際には、玄関・勝手口・その他の鍵など、渡し忘れがないよう、十分にご注意ください。
また、買主の方に引き渡す建築関係書類、付帯設備の取り扱い説明書、その他の書類などがある場合には、この時に一緒に引き渡していきます。
これら全ての引き渡しが終わりましたら、「引き渡し確認書」を取り交わして、お互いに売買が完了したことを確認し合います。
そうして、不動産会社への仲介手数料や司法書士の方への報酬などを支払い、これで不動産の引き渡しは終了です。
※クリックで拡大
後は、期限までに不動産売買に関する税金の支払いを行えば、やっと全ての手続きを終えられたということになります。
税金額の計算や納税方法につきましては、次の項目でご説明致しますので、売主の方は、確認をしておいてください。
税金など不動産売買に必要な費用
不動産の売買契約を結び、不動産を引き渡せば、売買が全て終わったと思ってしまう方も多いかもしれません。
しかし、実は、不動産を引き渡した後、まだ大切なことが1つ残っております。
それは、「不動産売却によって得た利益に対する税金の支払い」です。
万が一、税金の支払いを忘れてしまった場合には、延滞税や各種罰則を受けてしまう可能性があります。
そのため、不動産の売却を終えた方は、税金の納付を忘れないように意識をしておくことが大切です。
不動産売却時の税金は、譲渡所得税として、基本的に所得税と住民税の支払いが必要になります。
売却した不動産が、
「譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年以下のもの」は「短期譲渡所得」、
「譲渡した年の1月1日現在で所有期間が5年を超えるもの」は「長期譲渡所得」
の税率で税金の計算を行いますので、それぞれ対応するものを確認しておくようにしてください。
○短期譲渡所得の場合の税率○
所得税が30%、住民税が9%、復興特別所得税が2.1%
合計で39.63%
○長期譲渡所得の場合の税率○
所得税が15%、住民税が5%、復興特別所得税が2.1%
合計で20.315%
なお、これら以外にも、不動産の所有期間が10年を超える場合や、各種条件に当てはまる場合には、特例や軽減税率などを受けられる場合があります。
これら税金の詳しい内容につきましては、「不動産売却をした際に適用できる特例や2種類の税率と計算」の記事をご覧ください。
なお、不動産の譲渡所得税の納付を行う際には、確定申告が必要になります。
そのため、不動産の売却を終えたら、確定申告などの準備を徐々に進めておくことが大切です。
確定申告の詳しい内容につきましては、「不動産売却の際に確定申告が必要になる状況と各種申請方法」の記事をご覧ください。
こうして、確定申告・納税を終えれば、やっと不動産売却に係る全て手続きは終わりです。
長くなってしまいましたが、以上が、不動産売却の際の基礎知識になります。
やはり、不動産売却は、人生の中でそうそうあることではありません。
そのため、万が一、不動産売却を行うことになった場合には、これらの事項をチェックしてみてください。